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「大輝!見て見て!」

孤児院の図書室で宝石図鑑を開けて、そいつは無邪気な笑顔でこちらに来た。

「この宝石、大輝の瞳みたいじゃない?」

そいつが指を指しているところには、真っ青な綺麗な宝石だった。

「綺麗だな。てか俺そんなに綺麗な目してるのか?」

「うん!大輝僕たちの面倒みてくれてる時いつも青くて綺麗な目をしてるんだよ!」

「ハハッ!なんか照れるなぁ…自分の目が宝石みたいだとか!ありがとな!」

その図鑑に載っている大輝の瞳にそっくりだという真っ青な宝石の写真の下にこう書かれていた。

「アウイナイト」 和名…藍宝石 結晶系…等軸晶系 硬度…5.5〜6

宝石言葉 「高貴」 「情熱」 「過去との決別」

親の顔を知らない無邪気な少年だった大輝の目はその子にとっては宝石だったらしい。

天井の通気口から降ってきた男は情報屋の大輝だった。

百峰桃音

え、大輝!?

鎖で縛られ男に踏みつけられている桃音は驚いた。

いや待て、なんでお前がいるんだよ?

鎖鎌の男

て、てめぇ……どきやがれ!!

ドガッ!

鎖鎌の男

がっ…!

大輝は男の上に乗ったままそいつの頭を思いっきり踏みつけた。

琉芭 大輝

てめぇ…こんなことできるなんて容赦もクソもねぇな。

大輝は踏みつけた足に力を入れながら上から見下して言う。

お前もどっこいどっこいだけどな。

鎖鎌の男

…ど、退けっつってんだろ!!

琉芭 大輝

黙れクソ野郎が!!

ドガッ!ドガッ! ドガッ!ドガッ!

鎖鎌の男

ガッ…グハッ!!

大輝はそのまま男の頭を足蹴にした。 男の頭から血がドクドクと流れ出てくる…… 鼻も折れて歯も欠けて下顎も外れて目も片方潰れる。

鎖鎌の男

アガッ..ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……!!.

琉芭 大輝

てめぇ如きが女に手ぇ出してんじゃねぇこの(自主規制)野郎が!!!!!〇ね!!!!!

おい今なんつった。絶対に放送したら駄目なこと言っただろ。

早乙女 瑠花

うわ〜もう顔の原型留めてないじゃん超ヤバ〜い笑ていうか誰〜?

ヌンチャクの男の相手をしているにも関わらず割と呑気にその光景を見て言う瑠花。

ヌンチャクの男

何よそ見してんだ!!

早乙女 瑠花

いーじゃん別に〜!アレ超いいsituationじゃん!!

サイコパスちゃん、そこじゃない。 てか今めちゃくちゃ発音が良い英語になったぞ?

核山 康一

ちょ、大輝!落ち着けって!!そいつもう死んでる!!たぶん!!

斧の男の攻撃を避けながらひたすら鎖鎌の男を足蹴にする大輝を遠くから説得する康一。

斧の男

なに他人の心配してんだよ!!

核山 康一

他人じゃねぇ!!あいつは!!

核山 康一

俺の相棒なんだよ!!!!

そうかそうか、ただの「他人」ではなく「相棒」なんだな。なるほどなるほど………………え?

百峰桃音

え?相棒…?

琉芭 大輝

クソが!死ね!死ね!!

暴言を吐きながら何度も足蹴にする大輝。男はもう息をしていない。いや、僅かだが呼吸はあるっちゃある。でももうすぐ死ぬかもしれない。

百峰桃音

あっ…!

百峰桃音

だ、大輝!!落ち着いて!!

百峰桃音

ウチはもう大丈夫やから!!!

桃音は大輝を止めようと説得する。

琉芭 大輝

はっ…!!

桃音の声が耳に入ると大輝の足はピタリと止まった。正気に戻ったのだろうか、表情もいつもの大輝になった。

百峰桃音

大…輝?

琉芭 大輝

す、すまない桃音!ついカッとなってしまった!

百峰桃音

え?あぁ…うん?

何故か謝ってきた。見苦しいものを見せてしまったからなのか? そういえば前もこんなことあったな。

※第3話参照

百峰桃音

ありがとう大輝…!助かったわ!

琉芭 大輝

え…いや別に///

琉芭 大輝

それより大丈夫かお前!?

大輝は鎖で縛られた桃音の起こし体を支えながら言う。

百峰桃音

うん…!大丈夫やで!

琉芭 大輝

…なら、良かった………

大輝はホッとして桃音の鎖を解く。

ブシャアアアア!!!

斧の男

ぎゃあああ!!!!

核山 康一

よォ大輝!

斧の音の首にサバイバルナイフを刺してまた抜いて大量の血を吹き出させて倒した康一は機嫌よく大輝に近づいてくる。

琉芭 大輝

おぉ!康一!やっぱりお前の爆弾だったんだなw

百峰桃音

てか、2人知り合いなん?

核山 康一

知り合いどころか相棒だよ!

百峰桃音

え、えぇ!?マジで!?

琉芭 大輝

ん?俺言ってなかったっけ?

百峰桃音

ゆーてへんわ!!

すかさず突っ込む桃音。

ヌンチャクの男

とりゃあ!!!

ガンッ!

早乙女 瑠花

あうぅ!!

ヌンチャクの男が鈍い音ならせた。 瑠花にヌンチャクの一撃を食らわせたのだ。

……って、え?なんか……

早乙女 瑠花

わーーー!!!!

こっち飛んできた!!???

百峰桃音

えええええ!!!??

瑠花はヌンチャクの一撃によって桃音の方にぶっ飛ばされた。 そしてそれが真っ直ぐこっちに来て……

ドサッ

百峰桃音

いでっ

桃音は下敷きになった。

早乙女 瑠花

あ、ごめん!

核山 康一

瑠花ちゃん大丈夫!?

早乙女 瑠花

あ、うん!大丈夫…///

マフィアのボス

くっそ…もう3人も殺りやがって!

ずっと黙って見ていたマフィアのボスはようやく口を開いた。

マフィアのボス

しかもお前は誰だ!!?

マフィアのボスは大輝に指を指しながら言った。

マフィアのボス

何しにここへ来た!?お前も殺し屋か!?

百峰桃音

確かに。大輝なんで居るん?

早乙女 瑠花

(てか誰???)

核山 康一

どーせまた情報抜き取りに来たんだろ?

琉芭 大輝

ビンゴだ相棒。

あーなるほどなるほど。

……てか、それ今マフィアのボスの目の前で言っちゃったけど???

マフィアのボス

なにぃ!?

ほらな。

マフィアのボス

うちの組織の情報を盗みに来たのかこの泥棒野郎が!!!

琉芭 大輝

うるせえ!誰が泥棒だ!!

百峰桃音

(いや…やってる事泥棒と変わらんやん。)

多分ここに居る者全員そう思ってる。

早乙女 瑠花

あんた情報屋なのー?ならハッキングとかですればいいのになんで?

琉芭 大輝

あー……それはな…

マフィアのボス

……やはりお前だったんだな、うちの組織にサイバー攻撃してきたのは。

瑠花と大輝との会話に割り込むようにマフィアのボスが言う。

〜数時間前〜

〜大輝宅のモニター室〜

琉芭 大輝

チッ…あ"ー!なんで例の情報がねぇんだよ!

数台のPCを前に1台のキーボードをタッピングしまくりながら大輝は不機嫌そうに言った。

琉芭 大輝

……おい待てよ?
まさかとは思うが……ハッキングで盗まれないようにあえてデータに入れてないのか!?

大輝はマフィアの情報モニターにハッキングで侵入したが1時間以上幾ら探してもお目当ての情報が見つからなかった。

琉芭 大輝

……こんだけ探してもないなら本拠地に忍び込んで盗む他ないのか。あまりやりたくないが………はぁ…仕方ない。

大輝はため息混じりに言った。願わくばやりたくない…………

琉芭 大輝

ただ……その例のブツが本拠地のどこに保管されているんだが…………よし

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

大輝は目に留まる程の早さでタッピングをしまくる。

琉芭 大輝

俺の盗賊時代の経験からして……ブツとかはだいたい金庫とかがありそうな場所なんだよな……

大輝は呟きながらハッキングで侵入したマフィアの本拠地の全ての防犯カメラを確認していく。

琉芭 大輝

○○室前に2人……▽▽の前に5人……□□の前に…クッソ多いな!?

琉芭 大輝

サイバー攻撃でパニックに陥らせてその隙にブツの回収をするか!

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

再びタッピングを始めると大輝の前にある5台のPCモニターに黒に白い文字が打たれたページが沢山出てきた。

琉芭 大輝

さて と…

琉芭 大輝

行くか。

大輝はモニター席から立ち上がり部屋を出た。

大輝が使っていたその正面のPCの画面には真っ青な宝石が映っていた。

〜マフィアの本拠地〜

マフィアの一員

オイ!なんだ!?

マフィアの一員

どっからこんなものが出やがった!?

マフィアのボス

なんだ!?何を騒いでいる!?

マフィアの一員

ボス!サイバー攻撃です!

マフィアのボス

くっ…ハッカーか!?

マフィアの一員

組織の情報が次々と消えていきます!!

マフィアのボス

はぁ!?さっさと止めろ!

マフィアの一員

無理です!手に負えません!!

マフィアのボス

くっそ、誰だこんなことを…!

マフィアのボス

…まさか?

マフィアのボス

おい!例のブツは無事か!?あれが無いと計画が台無しだ!!

マフィアの一員

は、はい!!すぐ確認してきます!!

マフィアの一員

ボス!!例のブツがありません!!

マフィアのボス

なんだと!?

マフィアの一員

何者かが侵入してきたのでしょうか!?

マフィアのボス

…ん?侵入……か。

マフィアのボス

ならソイツを捕まえて取り返せ!!

マフィアの一員

了解!!

マフィアのボス

……ハッカーか。

マフィアのボス

『コロッセオ』…『ジュピター』……

ボスはハッカーの名前を言っていく…

マフィアのボス

…いや、あいつか……お前だな!

マフィアのボス

『アウイナイト』!!!

マフィアのボス

お前が情報屋の『アウイナイト』だな!ハッカーでもあるらしいな!

そして現在に至る。

百峰桃音

アウイ…ナイト?

早乙女 瑠花

アウイナイトって宝石じゃん!

核山 康一

え、アウイナイトって宝石の名前だったのか?初耳だぜ!

そこじゃない2人とも。てかなんで瑠花はそんなこと知ってんだ。

琉芭 大輝

なんだ。俺のことご存知だったか。

琉芭 大輝

しかもまさか勘づかれたとはな……

マフィアのボス

はん!この手を使ってくるのは貴様ぐらいだと思ったからな!!

マフィアのボス

それにお前はこの暗黒街だけでなく裏社会全般的に有名だからな……こっち側の世界でお前を知らない奴は居ねぇだろうがよ。

確かに……『アウイナイト』っていう天才ハッカーはウチも前から知ってる。それにネットの世界でもあるから暗黒街以外にも広がってると思う。

おそらく犯罪者は皆知ってるはずやろう。 それで知らないやつは多分居ない……

早乙女 瑠花

えー、アタシ知らないんだけどー!

いや居たわ。

琉芭 大輝

そ、そうか……

琉芭 大輝

まぁ別に知っても知らなくてもどっちでもいいけどな……

マフィアのボス

ふん。まぁ、まさか御本人にお目にかかれるなんて…今日はついてるな。

ボスは大輝を見てニヤッと口角を上げる。

マフィアのボス

まぁ…大っっっ嫌いな軍曹に会うのはついてねぇけどなぁ。

そして表情を変え見下すようにして康一を睨みつけてる。

核山 康一

俺お前みたいな奴なんか記憶にねぇよ。

マフィアのボス

チッ…てめぇのそういうところが軍の時から嫌いなんだよ!

琉芭 大輝

なんだ康一?あいつと何か関係があるのか?

核山 康一

あいつが言うには俺が軍にいた時の伍長だったらしい。俺より階級が1個下のな。

琉芭 大輝

なるほどな。

核山 康一

まぁ俺全然覚えてねぇんだけどな

琉芭 大輝

だろうな。軍にいた時の記憶が無いって前に言ってたからな。

マフィアのボス

ふん…まぁそこの馬鹿軍曹はともかく……

核山 康一

馬鹿軍曹って失礼だなおい…

マフィアのボス

アウイナイト。お前のハッキング技術を見込んでお前に提案がある。

康一の呟きには一切耳を傾けず、大輝に言う。

琉芭 大輝

は?提案?

マフィアのボス

うちの組織で働かないか?

スカウトだった。

マフィアのボス

うちの組織にはお前のような有能な奴が必y…

琉芭 大輝

断る。

即答やないかい。 せめて最後まで言わせてあげよ?

マフィアのボス

なんだと!?

百峰桃音

なんだとちゃうわ。

アカンもう言ってもうたわ。

琉芭 大輝

俺にはIBUKIがある。

そうそう。大輝にはIBUKIがあるんだから。今更アンタらみたいな極悪人共なんかに就くわけないやろ……

………………ん?

え、待って?今IBUKIってゆーた? 「俺にはIBUKIがある」って……つまり?

百峰桃音

大輝…アンタまさか……?

琉芭 大輝

あぁ。IBUKIの情報部に就職してるぜ?

え…えええええ!!!??

百峰桃音

え!?アンタいつIBUKIに入ったん!?

琉芭 大輝

昨日だが?

百峰桃音

昨日!??

核山 康一

あ〜そういえば言ってたなぁ!

相棒は知ってるんかぁ…仲良いんやな

マフィアのボス

あぁ…?なんでだ。

マフィアのボス

IBUKIなんか…殺し屋なんか偽善者の集まりだろ!!

ボスは声を荒らげて言う。

マフィアのボス

俺らのように警官に追われ裏社会でしか生きていけない人間なのに!なんで一般市民からにはメリットになってるんだよ!!

百峰桃音

はぁ?

なんか、吹っ切れそうになる…

百峰桃音

お前らと一緒にすんな。

百峰桃音

確かにウチらは表社会では生きていけない犯罪者や。

百峰桃音

でもな!表社会を脅かすお前らとは全然ちゃうねんよぉ!!

早乙女 瑠花

も、桃音落ち着け〜?

怒りを込めて反論する桃音を落ち着かせようと止めようとする瑠花。

核山 康一

も、桃音…ちゃん?

琉芭 大輝

(桃音…珍しく怒ってやがるな。)

康一は手を出し、大輝は固まる。

マフィアのボス

チッ……黙れ…

マフィアのボス

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ…まぁ別に黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

マフィアのボス

ヒーロー気取りも大概にしろ殺し屋共が!!

マフィアのボス

殺れ!

ヌンチャクの男

了解!

ボスの命令を聞くと男はヌンチャクを振り回しながらこちらへ駆けてくる。

百峰桃音

(真っ直ぐこっちに……でも!)

バン!

桃音は素早く銃を取り出しヌンチャクの男の脳天を撃ち、あっさりと倒してしまった。

琉芭 大輝

え、早っ!?

核山 康一

嘘だろ!?全っ然見えなかったぜ!?

早乙女 瑠花

てか最初からそうしてよ!

百峰桃音

あー…

核山 康一

いや…桃音ちゃんが中距離タイプの武器を使うから鎖鎌の男以外は誰も近づかなかったんだろう。

琉芭 大輝

だからあいつは真っ先に桃音を襲いにかかったってことか…

百峰桃音

なるほど…

大輝は頭を血塗れにされた鎖鎌の男を見て言った。

マフィアのボス

くっ…!

百峰桃音

あとはアンタだけやな。

桃音を始めに一同がボスを睨む。

マフィアのボス

クソが!もういい!

マフィアのボス

アウイナイトもクソ軍曹も女達も!

マフィアのボス

お前全員蜂の巣にしてやる!!!!!!!!

ドガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!

ボスはまた機関銃を乱射し始めた。 しかも先程よりも威力が強い。

琉芭 大輝

危ねぇ!

核山 康一

またかよ!

4人は桃音、瑠花と康一、大輝の二手に別れて咄嗟に武器が入った箱の影に身を隠す。

早乙女 瑠花

ヤバいよマジで!!

百峰桃音

このままやと全員蜂の巣になるで!

しかし箱はどんどん乱射によって身を隠す場は徐々に削られていく……

マフィアのボス

ははははは!!もう逃げ場はねぇ!!!!

琉芭 大輝

どうする…

核山 康一

大輝、一か八かでアレやるか?

琉芭 大輝

アレって…まさか「囮スリ作戦」か?

百峰桃音

「囮スリ作戦」…???

琉芭 大輝

いや、一理あるがお前蜂の巣になるぞ?

核山 康一

おう!俺は死の淵まで行く覚悟はあるぜ!

康一はニッと笑いながら言った

琉芭 大輝

フッ…さすが元軍人だな!

核山 康一

ヘヘッ!

琉芭 大輝

よし、行けるか?康一

核山 康一

当ったり前ぇだ!

康一は威勢よく答える。

早乙女 瑠花

え、待って?何?「囮スリ作戦」って!?

核山 康一

まぁ見てろって!俺に任せろ!

琉芭 大輝

俺らだろ!

核山 康一

そうだな笑

2人は箱の影からクラウチングスタートのような姿勢になってスタンバイする。

百峰桃音

一体何をするんや…?

琉芭 大輝

カウントダウン行くぜ

琉芭 大輝

3…2…1…

GO!!

核山 康一

オラァ!!

すると康一は箱の影から飛び出し走り出した。

マフィアのボス

はっ!血迷ったか軍曹!馬鹿みたいに突っ走りやがって!!

ボスは迷わず康一に向かって機関銃を撃ちまくる。

核山 康一

っとぉ危ねぇ!!

ブシュッ ブシュッ

百峰桃音

康一!

弾丸が康一の腕に数箇所掠る。

早乙女 瑠花

なんでそんな突っ切るの!?

早乙女 瑠花

てかアウイナイトは…!?

瑠花は大輝が居る武器が入った箱の影の方を見る……が

早乙女 瑠花

居ない!?

そこには大輝の姿は無かった。

百峰桃音

なんで!?

百峰桃音

てか康一とアイツ……!

次に康一が向かう先のボスを見る……とそこには、

百峰桃音

大輝…!?

早乙女 瑠花

いつの間に!?

ボスの背後に大輝が居た。 影に忍び込むような低い姿勢だ。 おそらく全員が康一に注目している隙に移動したのだろう。

早乙女 瑠花

あれ後ろから殺る系?

百峰桃音

たぶん…その為に康一が囮に?

小声で話しながら大輝の様子を見る2人…

マフィアのボス

真正面から突っ込んで来るなんて!
やはり軍の時から全く変わってねぇな!感情がない心がない、戦って敵を殲滅することしか脳が無い道具みたいな奴!!まるで生きている感じがしねぇなぁ!!!

ボスは笑いながら康一を罵った。

核山 康一

……

マフィアのボス

死ねぇ!!

ボスは康一を蜂の巣にしようと機関銃を向け乱射する……が

ピュ〜……

銃口からは弾丸ではなく一筋の水が出てきた。

マフィアのボス

…は?

百峰桃音

え???

ボスの手には機関銃は無かった。

代わりにT●YS“Я”USで売ってそうなおもちゃの水鉄砲があった。

マフィアのボス

何!!???

早乙女 瑠花

水鉄砲!?なんで!!?

百峰桃音

いやなんであんの!?

早乙女 瑠花

あれ絶対TO●S“Я”USの水鉄砲じゃん!

百峰桃音

おいTOY●“Я”USゆーな!
てか、ゆーてる場合か!

すぐさま2人は大輝の方を見ると…

琉芭 大輝

お前の探し物はコレか?

ボスの背後から大輝はいたずらっぽく笑って言った。

その手にはボスが持っていたはずの機関銃があった。

マフィアのボス

て、てめぇ…いつの間に!?

早乙女 瑠花

えぇ!?

百峰桃音

嘘やん!?

核山 康一

お前の相手はこの爆弾軍曹様だ!

康一は手榴弾を握りセーフピンを歯で抜き、ボスに向かって投げた。

マフィアのボス

なっ…!?

琉芭 大輝

おぉっやべぇ!

大輝は康一が投げた手榴弾に気付くと焦るようにすぐさまその場を離れた。

マフィアのボス

っー!!

ドカーン!!!!

爆発した…

シュゴー……

辺り一面が煙で覆われる

百峰桃音

(なるほど…これが「囮スリ作戦」か。)

視界が失われるこの場で桃音は大輝と康一が言う「囮スリ作戦」を悟った。

まず康一が物陰から先に出て囮になって自身を注目させる。

次に少し間が開いてから遅れて大輝が敵の視界になるべく入らないように低い姿勢になって敵の背後を取る。

敵が康一に熱中している隙に大輝の高度なスリ技術で機関銃と偽物をすり替える。

そして無防になった敵を康一が仕留める。

百峰桃音

(そういうことか…)

しばらく経って煙が薄くなってきて辺りが少しずつ見えるようになっていく。

百峰桃音

大輝!康一!

爆発の近くにいた大輝と康一は無事なのかと思って2人の名を呼ぶ。

琉芭 大輝

俺は無事だ!

まだ完全には煙が消えていなくて見えずらい視界の中から大輝の声がした。

早乙女 瑠花

よかった!情報屋は無事ね!

あとは康一…

琉芭 大輝

おい康一!そこに居るよな!?

核山 康一

おー!居るぜー!

やっと煙が消えて視界が蘇る。

床は康一の爆弾によって木っ端微塵にされたボス”だった物”が転がり落ちてて赤く染まっている。

百峰桃音

うわっ

早乙女 瑠花

バラバラ死体だー!/////

血みどろに興奮する瑠花はともかく康一は……

核山 康一

うーん…駄目だ。やっぱこいつのこと思い出せねぇぜ。

琉芭 大輝

それ殺った後に言うか

康一はボスの生首を足元に突っ立っていた。全身返り血で真っ赤だ。

百峰桃音

怖っ

普段銃で殺し返り血を浴びる量が少なめの桃音にとっては爆弾使いの康一の顔や体に付いた返り血を見るとなかなかの量に思えた。

核山 康一

まぁそれより!任務完了だな!

早乙女 瑠花

そだね!

核山 康一

お前らが来てくれたお陰だぜ!ありがとな!

百峰桃音

全っ然!

百峰桃音

ウチは大輝が居らんかったら今頃死んでるし

琉芭 大輝

なっ…///

琉芭 大輝

あ、そうだ!

照れているのを誤魔化すように大輝は天井に開いた通気口の真下へ歩いて行く。

百峰桃音

核山 康一

そうかお前、情報盗みに来たんだったな!

琉芭 大輝

あぁ

琉芭 大輝

よっ!

大輝は跳躍し通気口の手前の方を掴みぶら下がると、懸垂しながら逆上がりをするように下半身を上げ足から通気口へ入った。

早乙女 瑠花

情報屋〜?

そのまま奥へと入っていく… しばらくすると戻ってきた。

琉芭 大輝

待たせたな。

大輝は通気口から飛び降りた。 その手にはスーツケースがあった。

琉芭 大輝

そうさ。本当は俺、これがお目当てだったんだよ。

大輝は満足気な顔でスーツケースを見せながら言った。

百峰桃音

スーツケース?

早乙女 瑠花

なになにー?

琉芭 大輝

組織が厳重に保管してたブツだ。
店長からの任務だ。

百峰桃音

店長が?

核山 康一

IBUKI加入して早速ハードな仕事受け入れたんだな!

琉芭 大輝

あぁ。まさか初っ端からハッキングでは手に入れられない物が標的になるなんてな……

早乙女 瑠花

すっごー!

瑠花は目を輝かせて言った。

核山 康一

よっし!そんじゃあ処理班に連絡して帰るか!

康一はスマホを取り出し処理班に電話をかけた。

核山 康一

あ、もしもし?こちら核山康一!殲滅完了だ。処理を頼むぜ!

殲滅って言い方……

百峰桃音

まぁ…帰ろか

早乙女 瑠花

そだね!

4人はこの広い武器倉庫から出ようとドアへ向かう。 桃音がドアノブに手を掛けるが…

ガキャッ

ん…?なんか変な音した?

百峰桃音

あれ?開けへん?

核山 康一

え?

琉芭 大輝

マジかよ

早乙女 瑠花

桃音ちょっと退いて!

瑠花は桃音を割り込んでドアノブを握る。

早乙女 瑠花

どれどれ〜?

バキンッ!!

さらにヤバい音がした…

早乙女 瑠花

あ…

琉芭 大輝

え?

百峰桃音

え?

核山 康一

すんげぇ

全員が呆然とし、この場が静まる…

何が起こったのか…… 瑠花がドアノブを壊してしまったのだ

早乙女 瑠花

ごっ…

早乙女 瑠花

ごめ〜ん!!!力加減間違えた〜!!

瑠花は手を合わせて頭を下げて謝った。

琉芭 大輝

あ…いや、全然構わない。
元から壊れていたんだろう。

大輝は瑠花をフォローするが、本当か混乱しているのだろう。

琉芭 大輝

……康一の爆弾の所為かもな

核山 康一

えぇ!?俺ぇ!!?

康一は自分に指を指して言った。

百峰桃音

それはそうとして、どないする?

核山 康一

爆弾使うか?

琉芭 大輝

いや、それやったら処理班が困るだろ

核山 康一

確かに今回は結構派手にやっちまったからなぁ…

早乙女 瑠花

あの〜…

瑠花が少し申し訳なさそうな感じで軽く手を上げて三人の会話に入る。

早乙女 瑠花

ケジメつけま〜す……

すると瑠花はドア前に立つ

早乙女 瑠花

あ、みんな危ないから離れてて

琉芭 大輝

わかった…?

瑠花はその場から少し後ろへ下がる

百峰桃音

え、ま…まさか?

早乙女 瑠花

せーのっ!!!

ドゴォッ!!!!

すると瑠花はドアを思いっきり蹴った

核山 康一

へ?

ドアに大きな穴が開いた…… というか、バッキバキになった。

琉芭 大輝

なっ…

早乙女 瑠花

よし!開いたよ!

百峰桃音

…は?

いや待て待て待て待て待て!!!

百峰桃音

開いたよ!…じゃないわ!

核山 康一

すっげぇ!!

康一は目を輝かせている。

百峰桃音

いや…!なんちゅー怪力やねん!?

早乙女 瑠花

えへへー

百峰桃音

えへへーちゃうて…

琉芭 大輝

おい……その力…お前まさか

大輝が驚いた表情で言う。

琉芭 大輝

最近IBUKIに加入したあの連続殺人鬼の「殺戮の悪魔」か!?

大輝が何を言い出すのかは何となく察してた。ウチや康一が初めて瑠花と会った時も同じ反応したからだ。

早乙女 瑠花

そだよ〜!

早乙女 瑠花

連続殺人鬼の「殺戮の悪魔」こと早乙女瑠花でーす!

瑠花は満面の笑みで両手でピースサインを顔の横にして自己紹介した。

琉芭 大輝

そういえば俺も自己紹介がまだだったな。

琉芭 大輝

俺は琉芭(リュウバ)大輝だ。
よろしくな、瑠花。

早乙女 瑠花

よろしく〜大輝〜!

瑠花と大輝は互いに自己紹介をした。

核山 康一

ハハッ、仲間が増えてなんだか面白くなってきやがったな!

康一がニッと笑う。

琉芭 大輝

あぁ、そうだな。

早乙女 瑠花

仲間……!

瑠花は目を丸くしてパァっと明るい表情呟いた。サイコパスな感じは全くしない、純粋な気持ちからできた笑みだった。ものすごく嬉しそうだ。

そういえば凜々愛も初めて瑠花と出会った日に、IBUKIの加入を勧めた時もそのような表情をしたって凜々愛が言ってたな。

…ん?凜々愛?

百峰桃音

あ、凜々愛の家行くって話……

早乙女 瑠花

あっ

核山 康一

ん?なんの話しだ?

琉芭 大輝

凜々愛がどうしたんだ?

百峰桃音

いやぁね…ウチら午後から凜々愛ん家行こうぜって話なったんやけど

早乙女 瑠花

完全に忘れちゃったね笑

百峰桃音

そもそもアンタがここに行こってゆーたからやろ。

早乙女 瑠花

まぁね笑

目を逸らし、えへへっと笑った。

核山 康一

ところで桃音ちゃんが言う凜々愛って子は?

百峰桃音

ウチの相棒や。IBUKIの殺し屋やけど…

核山 康一

あ〜同業者か!

百峰桃音

「人斬り人形」ってゆーたら分かる?本人はこのあだ名気に入ってへんけど。

核山 康一

あ〜〜……

天井を見上げ腰に手を当てて向いてる方向を変える。

核山 康一

聞いた事あるような無いような……

核山 康一

悪ぃ、顔が出て来ねぇぜ。

康一は人の顔を覚えるのが苦手なのだろうか……?かつて同じ軍だったあのボスですら忘れてしまったのだ。

百峰桃音

あの子人見知りやからな。
今度紹介するわな。

早乙女 瑠花

ちなみにアタシをスカウトしたの
その子〜!

琉芭 大輝

凜々愛がスカウトしたのか…
よく店長OKしたな。

核山 康一

おっと喋ってたら処理班きちまうな!
ドアも無事に(?)開いたし!行こうぜ!

ドア自体は無事かどうかはイマイチ判断出来ない……いや、無事ではないな。見ての通りバッキバキだもん。

百峰桃音

そうやな!

琉芭 大輝

あぁ

早乙女 瑠花

うん!

早乙女 瑠花

(アタシはもう……1人じゃないんだ!)

瑠花は3人の後に続いて倉庫を出た。

……

あの男……

一体、何処へ逃げよったんじゃ?

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