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#はいきゅー!!
月枝春@低浮上
24
放課後
《あー緊張する》
《昨日なんで『はい』とか言ったんやろ》
《今更断るのもあれやし》
《にげたい。》
鞄の肩紐をぎゅっと握りながら璃杏は体育館の前に立っていた。
中から聞こえるボールの音
<ナイス!!
<もういっぽん!!
<きりかえや!
元気な声が体育館中に響いている。
《帰りたい》
《いやあかん。
きのう自分で決めたやん》
《克服するって》
《がんばれわたし》
小さく深呼吸をして、体育館の扉を開けた。
ガラッ──
一瞬で視線が集まる
《うぁ、、、》
《みんな見とる》
体が固まる
そのとき
北信介
落ち着いた声が響く
璃杏は北の方を見る
北信介
その一言だけ
その一言だけだけど
少し肩の力がぬけた
黒木 璃杏
緊張で声が震える
北は小さく頷いた
北信介
部員たちが北の前にあつまる
北信介
《どうしよ》
《自己紹介…。》
《むりかも》
《でも言わんと》
小さく息を吸う
黒木 璃杏
平然を装うふりは得意なはずなのに
今回ばかりは緊張がでてしまう
《名前だけじゃあかんか》
《もうちょっとなんか言えわたし》
《むりや。》
あたまの中で一人反省会がはじまる
そんな璃杏を見て侑が苦笑いをした
宮侑
宮治
部員たちから小さな笑いが起こる。
璃杏はその空気に少し驚く
《わらっとる》
《よかった》
《変な空気にならんかった》
耳がほんのり赤くなる
その様子を角名はしっかりとみていた
角名倫太郎
誰かに聞こえるか聞こえないかくらいの声でそうつぶやく
角名倫太郎
おもしろそう。
そうおもっただけ
北信介
黒木 璃杏
北信介
その言葉に璃杏は小さく頷く
《ええひとやな》
《あ、そういえばこの人》
《北信介》
《キャプテンやったよな》
《しかも隣のクラス》
《すごい落ち着いとる》
そんなこと考えている間に練習がはじまる
「「「おねがいします!」」」
《すご》
《声揃っとる》
《これが全国レベルなんやな》
ボールが床を叩く音
スパイク
レシーブ
トス
ひとつひとつのプレーが早い
《ぜんぜんみえへん》
《すごすぎる》
思わず見入ってしまう
すると
コロコロ…
ひとつのボールが璃杏の足元に転がる
《えっと》
《だれにかえせば》
《投げて届くかな》
《変なとこに飛んだらどーしよ》
《うあ》
固まっていると
北信介
璃杏は顔をあげる
北は優しく手を差し出した
北信介
黒木 璃杏
《たすかった!》
璃杏は小さく近づき、そっとボールを渡す。
黒木 璃杏
北信介
そう言って自然とボールをコートに返した
璃杏は小さく頭を下げる
《優しい》
《ちゃんと覚えな》
《迷惑かけんように》
その日、璃杏は何度も心の中でそう繰り返していた。
体育館には変わらずボールの音が響いていた
──第4章 END
コメント
1件
うわ、第5話読み終わったよ……! 璃杏ちゃんの緊張がすごく伝わってきて、胸がぎゅってなった。特に「帰りたい」「克服するって決めたやん」って自分との戦いしてるところ、めっちゃ共感する。北キャプテンの「来てくれてありがとうな」って一言、あれだけで空気がふわっと変わった感じがして、そういう優しさが沁みるよね。 角名くんの「みみあっか」って呟きも、ニヤってなった。この先がすごく気になる……! 続き、楽しみにしてるよ🌙