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恵
24
#ネタバレ注意
るあ
1,942
駅でイルを見送った陸は
家に向かって全速力でペダルを漕いだ
何度も頭に浮かぶイルの姿
女子を後ろに乗せたのは初めてだった
女子とあんなに長く話したのも初めてのことで
麻衣子に対して感じる嫌悪感ではなく
安心感があったと陸は思った
松崎陸
自転車を置いて玄関のドアを開ける
出迎えてくれる人は誰もいなかった
ダイニングルームからは楽しそうな母親と空の声が
松崎空
松崎文
あまり時間を気にしていなかったが
もう7時を過ぎていたことに気づいた
松崎陸
そう思いつつ部屋に戻り
着替えてベッドに寝転んだ
ポケットに入れていたイルのカッターをじっと見つめる
そしてイルの言葉を思いだし
頭の中で何度も繰り返した
衝動的に腕を掴んでしまった
でもイルはちゃんと話を聞いてくれて
自分の申し出にも応じてくれた
カッターを交換して
もう自分を傷つけないと約束した
まだ会ったばかりなのに
心の奥で通じ合えた気がした
松崎陸
松崎陸
微かな期待と不安が入り交じる
そんな陸を気にも止めず
母親と空は食卓を囲んでいた
陸の分の夕食はちゃんと用意されているのだが
自分の思い通りにならない陸のことを
母親は避けるようになっていた
松崎文
陸は陸なりに精一杯やってきた
親の期待に応えて進んで行く兄たちのようになりたくて
兄たちには劣るがわりと偏差値の高い高校へ進み
校内での成績は常に上位
しかし母親には認めてもらえず
松崎文
松崎文
松崎文
母親が望んだのは
空が通っている偏差値トップの進学校
母親の思い通りの高校に進学し
母親の言うことに忠実に従う空は
母親にとって誇らしい存在だった
海もそこを受験し受かってはいたが
細かい校則がいくつもあることが嫌で
少しランクは下がるがそれでも偏差値の高い高校へ進んだ
母親はそれが理解できず
せめて大学はちゃんとしたところにと強く望んだが
海はそこでも大学ではなく専門学校への進学を希望
その事で母親と激しく衝突し
進学を完全に諦め出ていってしまった
それから母親は荒れてしまい
追い討ちをかけるように陸は受験に失敗してしまう
それまでの努力を完全に否定され
助けてくれていた海もいないこの家で
一人孤独を感じながら生きている
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