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翌日

渚沙はイラついていた

それは、日付が変わっても 凛太郎が家に帰ってこないからだ

揚羽渚沙

おっそい!!

揚羽渚沙

高校生が朝になっても
家に帰らないなんて

揚羽渚沙

あの子ったら
何処で何やってんの?

揚羽渚沙

スマホにも出ないし!

揚羽渚沙

まったく!!

揚羽渚沙

帰ってきたら処刑ね!

日向家前

美咲は日向家の玄関前に居た

姫川美咲

・・・・・

そしてインターフォンを押す

ピンポーン

リビングにチャイム音が 鳴り響く

日向綾星

お姉ちゃーん!

日向綾星

誰かきたよー!

シー・・・・ン

日向綾星

もう、まだ
寝てるのかな?

日向綾星

しょうがないなぁ

日向綾星

はいはーい!

綾星はドアに近づき 覗き穴から外を伺う

日向綾星

わぁ♫美咲
お姉ちゃんだ♫

日向綾星

今開けるねー!

ガチャ

姫川美咲

綾星ちゃん!

日向綾星

美咲お姉ちゃん!
久しぶり!

日向綾星

どうしたの?

姫川美咲

奏星居る?

日向綾星

あ、うん、居るけど

姫川美咲

ちょっと奏星に
話あるから、入るね

日向綾星

美咲お姉ちゃん?

綾星は内心不安に思っていた

いつもは笑顔が絶えない 美咲の顔には

その笑顔は無く

悲しみや怒りとも取れる 表情をしていたからだ

日向綾星

(お姉ちゃん?)

ガチャ

日向奏星

もう、綾星?
入る時はノック──

姫川美咲

・・・・・

日向奏星

み、美咲?

日向奏星

あ、来てたんだ

姫川美咲

来てたんだ!
じゃないでしょ?

日向奏星

え?

日向綾星

待って美咲お姉ちゃん

綾星は小学生ながらに 美咲が突然やって来た 理由を察していた

「揚羽お兄ちゃんの事だ」

日向綾星

美咲お姉ちゃん!
お姉ちゃんはね──

姫川美咲

ごめんね綾星ちゃん

姫川美咲

ちょっと奏星と
二人で話したいから

姫川美咲

部屋から
出ててくれる?

日向綾星

ちょ!お姉ちゃん

美咲は綾星を部屋から追い出す

日向奏星

美咲?

姫川美咲

・・・・・

日向綾星

(どうしよ・・・)

日向綾星

(美咲お姉ちゃん・・)

日向綾星

(絶対に揚羽お兄ちゃんの
話をしに来たんだ・・)

日向綾星

(でも話しちゃったら)

日向綾星

(またあの人が来ちゃう)

日向綾星

(どうしたら・・・)

姫川美咲

私が今日、何で
来たかわかる?

日向奏星

いや・・・

姫川美咲

揚羽くんの事だよ!

日向奏星

・・・・・

姫川美咲

揚羽くん以外に
好きな人が出来たって

姫川美咲

それ本気で
言ってんの?

日向奏星

何でそれを・・・

姫川美咲

一昨日、揚羽くんから
電話があったの

日向奏星

凛くんから?

姫川美咲

奏星からのLIMEの
返事が全然
返って来なくて

姫川美咲

電話にも出ないから

姫川美咲

揚羽くん・・・

姫川美咲

自分が奏星に何か
しちゃったのかな?って

姫川美咲

すっごく悩んでたよ?

日向奏星

・・・・・

姫川美咲

私は別に
奏星に揚羽くんと

姫川美咲

死ぬまで一緒に居ろって
言うつもりは無いけどさ

姫川美咲

でも今は
恋人同士でしょ?

姫川美咲

ならちゃんと理由くらい
言ってあげたら?

姫川美咲

一方的に無視して

姫川美咲

挙句の果てに
好きな人が出来たって

姫川美咲

言っちゃ悪いけど

姫川美咲

酷すぎると思うよ?

日向奏星

み、美咲に
関係なくない?

姫川美咲

はぁ?何それ!

日向奏星

これは私と
凛くんの問題なんだから

姫川美咲

私は友達として
奏星が心配で──

日向奏星

よ、余計な口
はさまないでよ!

姫川美咲

何よ!その言い方!

姫川美咲

私はただ友達を
心配してる
だけじゃん!

姫川美咲

なのに何で
そんな言われ方

姫川美咲

されなくちゃ
なんない訳?

姫川美咲

マジ気分
悪いんだけど!

日向奏星

美咲が勝手に
心配してるだけじゃん

日向奏星

別に私は美咲に
心配してって
頼んだ覚えない!

姫川美咲

何よそれ!!!

ガチャ

日向志津香

ただいま

日向綾星

ママ・・・

日向綾星

ぐずっ・・・

日向志津香

何よ!綾星!

日向志津香

何泣いてんの?

日向綾星

私・・喧嘩
して欲しく無いよ

日向志津香

え?喧嘩?

日向志津香

何よ喧嘩って

日向綾星

お姉ちゃんと
美咲お姉ちゃんが・・

日向志津香

え!?

姫川美咲

てか今日の奏星
おかしくない?

日向奏星

おかしい?

姫川美咲

いつもの
奏星だったら

姫川美咲

そんな言い方
しないじゃん!

日向奏星

(美咲・・・)

姫川美咲

もしかして誰かに
いじめられてんの?

姫川美咲

揚羽くんと
別れろって
脅されてんの?

姫川美咲

だったら
私が代わりに──

日向奏星

(美咲・・・)

日向奏星

(ごめん・・・)

日向奏星

私をいじめて人が
よく言えたね?

姫川美咲

はぁ?何!それ!

姫川美咲

私たち
友達じゃないの?

日向奏星

そう思ってんの
美咲だけだよ

姫川美咲

ふざけんなよ!
何よ今更!

姫川美咲

私は奏星の事──

姫川美咲

一番の親友
だと思って──

ガチャ

奏星の美咲の言い合いに 割り込むように 志津香が部屋に入ってくる

日向志津香

アナタ達!
良い加減に──

日向奏星

赤の他人が余計な口
はさむなって言ってんの!

日向奏星

じゃ、迷惑なのよ!!

姫川美咲

邪魔って何よ!
それに他人って──

日向志津香

奏星!良い加減にしなさい

バシン

志津香は奏星の頬に 平手打ちをする

日向奏星

っ・・・・

姫川美咲

マ、ママさん・・・

日向綾星

ママ・・・

日向奏星

何すんのよ!ママ!

日向志津香

アンタ!今
美咲ちゃんに
何て言ったの?

日向志津香

赤の他人ですって?

日向奏星

だってそうじゃん!

日向奏星

美咲とは──

日向志津香

美咲ちゃんは
大切な友達じゃないの?

日向志津香

親友じゃないの?

日向奏星

・・・・・

日向志津香

そりゃ、過去に色々
あったのかもしれないわ

日向志津香

けど、その事はもう
水に流してる筈でしょ?

日向奏星

・・・・・

日向志津香

いい?

日向志津香

言葉は凶器なのよ?

日向志津香

一時的な感情に
身を任せた

日向志津香

奏星な不用意な
言葉ひとつで

日向志津香

一生の関係が壊れる
事だってあるのよ?

日向志津香

アンタ分かってるの?

日向奏星

・・・・・

日向志津香

そこを理解しなさい!

日向奏星

・る・い・・・

日向志津香

はい?

日向奏星

うるさいって言ったの!!

日向奏星

もう放っておいてよ!

奏星は涙を流しながら 部屋から出て行く

日向志津香

コラ!待ちなさい!奏星!

奏星は志津香の制止を 振り切って 家から飛び出す

日向志津香

奏星・・・

姫川美咲

・・・・・

日向綾星

ぐすっ・・・

日向奏星

みんな・・うるさい

日向奏星

私の気持ちも知らないで

日向奏星

私はだって凛くんと
別れたくなんか無いよ

日向奏星

ずっと一緒に居たいよ

日向奏星

ずっと・・ずっと

日向奏星

でも・・

日向奏星

こうするしかないんじゃん

日向奏星

何も知らないくせに・・

日向奏星

ぐすっ・・・

姫川美咲

すいませんでした

姫川美咲

お騒がせして・・・

日向志津香

いいのよ・・・

日向志津香

友達同士で
言い合う事なんて

日向志津香

誰だって経験
してる事だろうし

日向志津香

気にしなくて良いわよ

姫川美咲

あ、ありがとう
ございます・・・

日向志津香

けど何があったの?

日向志津香

2人が言い合うなんて

日向志津香

珍しいわよね?

姫川美咲

それが・・その

日向志津香

それに奏星が
美咲ちゃんに対して

日向志津香

赤の他人だ!

日向志津香

邪魔だ!なんて

姫川美咲

じ、実は──

美咲は今日なぜ家を訪れたのか? その経緯を志津香に説明する

日向志津香

え?奏星と
揚羽くんが?

美咲の話を聞いた志津香は 目を見開いて驚く

姫川美咲

どうも、そうらしくて

日向志津香

信じられないわね

日向志津香

本当なの?

日向志津香

その話・・・

姫川美咲

私も奏星に会うまでは

姫川美咲

信じれませんでした

日向志津香

・・・・・

姫川美咲

奏星は揚羽くんの事
好きだった筈だし

姫川美咲

揚羽くんだって
同じ気持ちな筈ですから

日向志津香

まぁ、そうよね・・

姫川美咲

でも、さっきの奏星の
様子からして・・・

日向志津香

本当っぽいと?

姫川美咲

は、はい・・・

日向志津香

まぁ、確かにね・・

日向志津香

普段感情的に
なるなんて事が
滅多にない奏星が

日向志津香

あそこまで
激昂するんだから

姫川美咲

そ、そうですよね

日向志津香

でも、ただ別れた
ってだけで

日向志津香

あそこまで
感情的になるかしら?

姫川美咲

それもそうですよね

日向志津香

しかも他に好きな人が
出来たからなんて

日向志津香

そんな人の気配なんて
微塵も感じなかった

日向志津香

奏星だったら
そう言う相手がいたら

日向志津香

真っ先に
私に話すのよね

日向志津香

揚羽くんの時が
そうだったから・・

姫川美咲

じゃ、じゃあ・・

日向志津香

奏星の嘘の
可能性もあるわね

姫川美咲

でも何で奏星は
そんな嘘を?

日向志津香

そこが疑問なのよね

日向志津香

何が理由が
あるのかしら?

日向志津香

揚羽くんと
別れなきゃいけない

日向志津香

何か特別な理由が

日向綾星

(言わなきゃ・・・)

日向綾星

(私のせいなんだって)

日向綾星

(脅されてるんだって)

日向綾星

(みんなに言わなきゃ)

日向綾星

(でも・・言ったら)

日向綾星

(お姉ちゃんが・・・)

日向綾星

(ど、どうすれば・・・)

日向綾星

(でも私が
言わなかったら)

日向綾星

(お姉ちゃんと
美咲お姉ちゃんは)

日向綾星

(ずっと仲直り出来ない
ままに・・・)

日向綾星

(揚羽お兄ちゃんとだって)

日向綾星

(別れたままになっちゃう)

日向綾星

(どうしたらいいの?)

姫川美咲

綾星ちゃん?

姫川美咲

どうかしたの?

姫川美咲

なんか震えてるよ?

日向綾星

い、いや・・・

姫川美咲

ごめんね・・・

姫川美咲

私のせいだよね・・・

姫川美咲

怖かったよね?
ごめんね綾星ちゃん

日向志津香

綾星?

日向志津香

アンタは奏星から
何か聞いてない?

日向志津香

どんな些細な
事でもいいから!

姫川美咲

何が知ってたら
教えてくれないかな?

日向綾星

う、ううん・・・

日向綾星

何も・・聞いてないよ

日向志津香

・・・・・

日向志津香

そ、そう・・・

日向綾星

私・・部屋に
戻ってるね・・・

日向志津香

え、ええ・・・

日向志津香

綾星──

日向志津香

嘘ついてるわね

姫川美咲

え!?

姫川美咲

綾星ちゃんが?

日向志津香

多分ね・・・

姫川美咲

分かるんですか?

日向志津香

伊達に何年も
母親として娘を
見てきてないからね

日向志津香

分かるのよ

姫川美咲

でも、なんで
綾星ちゃんが?

日向志津香

うー・・・ん

志津香は考え込む

姫川美咲

私──

姫川美咲

聞いてきます

美咲は綾星の部屋に 向かおうとするが

日向志津香

待って!

それを志津香が止める

姫川美咲

ママさん・・・

日向志津香

しばらくは
そっとしときましょう

姫川美咲

で、でも・・・

日向志津香

確かに綾星が何かを
隠してる事は明白

日向志津香

けど、綾星も今は
気が動転してる筈

日向志津香

だから今は──

姫川美咲

わ、わかりました

日向志津香

とりあえずは
お茶でも飲んで
落ち着いて

姫川美咲

は、はい・・・

揚羽渚沙

全くもう!

揚羽渚沙

凛太郎のヤツ!
何処ほっつき
歩いてんのかしら?

揚羽渚沙

もしかして
奏星ちゃんの家に
泊まってんのかしら

揚羽渚沙

いや、だとしたら
志津香さんから
電話あるはずだし

揚羽渚沙

なら龍也くんの家?

揚羽渚沙

いやいや違うな

揚羽渚沙

龍也くんは確か
軽井沢に行ってて

揚羽渚沙

今日帰ってくるって
凛太郎が言ってたし

揚羽渚沙

え!?

揚羽渚沙

じゃあ凛太郎・・
何処に行ってんの?

プルルルル

渚沙のスマホに 登録していない番号からの 着信が入る

揚羽渚沙

ん?誰?

揚羽渚沙

とりあえず
出てみるか

揚羽渚沙

はい?もしもし

女性

あの・・・

女性

揚羽渚沙さんの
電話でお間違い
なかったでしょうか?

揚羽渚沙

はい、そうですけど

揚羽渚沙

どちら様でしょうか?

揚羽渚沙

登録してない番号
なんですけど・・・

女性

あの、お久しぶりです

女性

眞琴杏樹の母──

眞琴杏里

眞琴杏里です

揚羽渚沙

ま、眞琴さん?

揚羽渚沙

ご、ご無沙汰してます

揚羽渚沙

でも、どうか
されたんですか?

眞琴杏里

実は娘の
杏樹の事で・・・

揚羽渚沙

杏樹ちゃんが
どうしたんですか?

眞琴杏里

実はつい先日から
家出をしてまして

揚羽渚沙

家出?

眞琴杏里

はい・・・

揚羽渚沙

でもなぜ私に電話を?

眞琴杏里

実は自宅に
書き置きを残して
家出をしてるんですけど

揚羽渚沙

書き置きですか・・

眞琴杏里

それには──

眞琴杏里

先輩に会いに
行ってくるって
書いてあって・・・

揚羽渚沙

え?せ、先輩って・・・

眞琴杏里

おそらく息子さん──

眞琴杏里

凛太郎くんの事だと
思うんです・・・

揚羽渚沙

ま、まさか!?

眞琴杏里

ですので・・・
もしかしたら

眞琴杏里

杏樹がそちらに
お邪魔してるんじゃ?

眞琴杏里

と、思いまして──

眞琴杏里

お電話をさせて
もらったんです・・・

揚羽渚沙

・・・・・

眞琴杏里

ど、どうか
されましたか?

揚羽渚沙

実は凛太郎──

揚羽渚沙

昨日の夜から
帰ってないんです

眞琴杏里

え!?

眞琴杏里

もしかして・・・

揚羽渚沙

私も友達の家に
泊まってるのかも
って考えてたんですけど

揚羽渚沙

眞琴さんの話を聞いて
心配になってきました

眞琴杏里

”以前のような事”に
なっていなければ
いいんですが・・

揚羽渚沙

あの、眞琴さんは
今どちらに?

眞琴杏里

今から新幹線で
そちらに向かう
ところです

眞琴杏里

おそらく1時間程度で
駅に着くかと思います

揚羽渚沙

でしたら駅で
落ち合いませんか?

眞琴杏里

はい!ぜひ
お願いしたいです

揚羽渚沙

わかりました!
では駅についたら
連絡をお願いします

女性

はい・・・

揚羽渚沙

まさか・・・

揚羽渚沙

あの杏樹ちゃんが
凛太郎に会いに
来てたなんて・・・

揚羽渚沙

でも何で・・・

揚羽渚沙

いや、考えてる
場合じゃないわね・・

揚羽渚沙

早く駅に向かわなきゃ

渚沙は手早く 着替えを済ませ

駅に向かうべく 自宅を急足で出る

姫川美咲

うー・・・ん

姫川美咲

揚羽くん・・・

姫川美咲

電話に出ないなぁ・・

日向志津香

奏星も電話に
電話に出ないわね

美咲は凛太郎に

志津香は奏星に

それぞれ電話をかけ続けるが 二人とも電話に出る気配がない

そんな時── 美咲のスマホに着信が入る

姫川美咲

あ!揚羽くんかな?

美咲はスマホの 画面を確認する

そこには 龍也と表示されていた

姫川美咲

あ、龍也か・・・

姫川美咲

どうしたんだろ?

姫川美咲

もしもし?

和久井龍也

よう!美咲!

和久井龍也

今駅着いたぜ!

姫川美咲

ん?駅?

姫川美咲

どういう意味?

和久井龍也

おい!おい!

和久井龍也

駅に着いたら
電話くれっつったのは
美咲だろーが!!

姫川美咲

あっ!そうだった!

姫川美咲

すっかり忘れてた!

和久井龍也

んだよ!それ!

姫川美咲

今それどころじゃ無くてさ

和久井龍也

それどころじゃ無いって
どういう意味だよ

姫川美咲

あ、ごめん・・・
そういう意味じゃなくて

和久井龍也

何かあったのか?

姫川美咲

実は今奏星の家に
来てるんだけどさ

和久井龍也

ああ!それで?

姫川美咲

なんか揚羽くんと
奏星が別れたっぽくて

和久井龍也

へぇー・・

和久井龍也

リンと日向がね・・・

和久井龍也

って、はぁ!?

和久井龍也

別れた?
リンと日向が?

姫川美咲

そうみたいなの

姫川美咲

奏星が揚羽くんに
好きな人が出来たって

姫川美咲

別れを
切り出したらしくて

和久井龍也

うそだろ?

姫川美咲

こんな嘘つかないよ!

和久井龍也

で?今リンと日向は?

和久井龍也

何してんだ?

和久井龍也

近くに居んのか?

姫川美咲

実はちょっと
奏星喧嘩しちゃって

和久井龍也

はぁ?

姫川美咲

奏星が家を出て
行っちゃって

和久井龍也

何やってんだよ!

姫川美咲

しょうがないじゃん!

姫川美咲

揚羽くんと奏星は
めちゃお似合いだったし

姫川美咲

そんなふたりの
関係の終わりが

姫川美咲

こんなあっけ無いんだ!
思っちゃったら・・・

姫川美咲

なんか悲しくなって

姫川美咲

奏星にちょっと
キツく言っちゃって・・

和久井龍也

で?リンは?

姫川美咲

実は揚羽くんにも
連絡がつかなくてさ

和久井龍也

リンまで?

姫川美咲

そうなの・・・

姫川美咲

もう何がなんだか・・・

和久井龍也

まぁ、とりあえず
俺もそっち向かうわ

和久井龍也

日向の家で
いいんだよな?

姫川美咲

うん・・・

和久井龍也

まぁ、20分くらいで
行けると思うからさ

姫川美咲

わかった・・待ってるね

和久井龍也

リンと日向が・・・

和久井龍也

いや、ありえねーだろ・・

和久井龍也

でも美咲がそんな
意味不明なウソつくなんて

和久井龍也

ありえねーしな・・

和久井龍也

どうなってんだよ・・・

揚羽渚沙

あれ?龍也くん?

日向家に向かおうとする龍也に 渚沙が声をかける

和久井龍也

あっ、おばさん!

揚羽渚沙

終業式の日以来ね・・

揚羽渚沙

お久しぶりね!

和久井龍也

ご無沙汰してるっス・・

揚羽渚沙

軽井沢楽しかった?

和久井龍也

まぁ、そりゃ
楽しかったっスけど

和久井龍也

それよりも
リンと日向の話って
もう誰かに聞きました?

揚羽渚沙

ん?凛太郎と
奏星ちゃん?

揚羽渚沙

何かあったの?

和久井龍也

なんかあの二人
別れたっぽくて

揚羽渚沙

え!?

揚羽渚沙

別れた?

和久井龍也

やっぱ
知らなかったんスね

揚羽渚沙

凛太郎からは何も
聞いてないわ・・・

和久井龍也

俺も今美咲からの
電話で初めて
知ったんスけど・・

和久井龍也

日向がリン以外に
好きなヤツが
出来たとか言って

和久井龍也

一方的にリンを
振ったらしくて

揚羽渚沙

奏星ちゃんが?

揚羽渚沙

まぁ、若いうちは
いろんな男の子に
目移りするもんだけど

揚羽渚沙

あの奏星ちゃんがね・・・

和久井龍也

それにリンにも
連絡がつかないみたいで

揚羽渚沙

あ!その件なんだけど

和久井龍也

ん?どうかしたんスか?

揚羽渚沙

龍也くんって
眞琴杏樹って子
覚えてるかしら?

和久井龍也

眞琴杏樹?

和久井龍也

そいつって中学時代に
リンのストーカー
やってた女っスよね?

揚羽渚沙

そうなんだけど・・

和久井龍也

てか何で今更
眞琴の名前を?

揚羽渚沙

実は今からここに
杏樹ちゃんのお母さんが
来る事になってるの

和久井龍也

え?なんでっスか?

揚羽渚沙

実は──

渚沙は今朝の 杏里との電話内容を 龍也に伝える

和久井龍也

マジっスか?

和久井龍也

あの眞琴が?

揚羽渚沙

ええ、そうらしいの

和久井龍也

じゃあまだ眞琴は
リンの事を諦めて
無かったって事っスか?

揚羽渚沙

そうなんだと思うわ

和久井龍也

まずいっスね・・・

和久井龍也

あっ!!!

揚羽渚沙

ん?どうかしたの?

和久井龍也

じゃあおばさんも
俺と一緒に日向の家に
行きませんか?

揚羽渚沙

え?奏星ちゃんの?

和久井龍也

実は日向も、家に
帰ってないらしくて

揚羽渚沙

え?奏星ちゃんも?

和久井龍也

もしかしたら眞琴──

和久井龍也

日向にも接触
してるかもしれません

揚羽渚沙

た、たしかに・・・

揚羽渚沙

有り得るかも・・・

和久井龍也

眞琴のお母さんは
もう来るんスか?

揚羽渚沙

そろそろ
来るはずだけど

和久井龍也

なら合流出来しだい
一緒にいきましょうよ

揚羽渚沙

そうね・・・

揚羽渚沙

お願いしようかしら

和久井龍也

はい!そうしましょう

某所

凛太郎は廃墟となっている 雑居ビルの一室で目を覚ました

揚羽凛太郎

う・・・

揚羽凛太郎

うー・・・ん

揚羽凛太郎

ここは・・何処だ?

凛太郎は室内を見回す

揚羽凛太郎

なんだよ・・ここ・・

揚羽凛太郎

俺って確か・・・

凛太郎はその日1日の 行動を思い返す

揚羽凛太郎

奏星に別れよう
って言われて・・

揚羽凛太郎

なんか色んなもんが
面倒臭くなって──

揚羽凛太郎

街をブラついてたら──

揚羽凛太郎

チンピラに絡まれて──

揚羽凛太郎

たまたま姫川の
親父さんに助けられて──

揚羽凛太郎

公園で姫川に話しを
聞いてもらって──

揚羽凛太郎

ってあれ?

揚羽凛太郎

その後って
どうなったんだっけ?

眞琴杏樹

目が覚めた?先輩

揚羽凛太郎

え?

ドアが開くと同時に 杏樹が部屋に入ってくる

揚羽凛太郎

あっ!そっか!

揚羽凛太郎

俺・・眞琴に・・・

眞琴杏樹

思い出した?

揚羽凛太郎

悪いけど眞琴──

揚羽凛太郎

俺は帰らなくちゃ──

凛太郎が立ちあがろうとする

ガキィン

しかし、腕に何かが引っかかり 上手く立ち上がれない

揚羽凛太郎

ん?なんだコレ?

凛太郎の手首には 手錠がつけられ

部屋の至る所に設置されてある パイプと繋がっていた

揚羽凛太郎

て、手錠!?

眞琴杏樹

何処に行こうっての?

眞琴杏樹

先輩♫

揚羽凛太郎

眞琴の仕業か?

眞琴杏樹

そうだよ♫

揚羽凛太郎

何なんだよ!コレ!

眞琴杏樹

先輩を
逃がさない為だよ

揚羽凛太郎

逃がさない為?

揚羽凛太郎

何の話をしてんだよ!

眞琴杏樹

分からないかなぁ

眞琴杏樹

いい?

眞琴杏樹

先輩は私の彼氏で──

眞琴杏樹

私は先輩の彼女なの♫

揚羽凛太郎

何を・・言って・・

眞琴杏樹

恋人って言うのは
生涯運命を共に
過ごすんだよ?

揚羽凛太郎

何を意味分かんねー事
言ってんだよ!

眞琴杏樹

意味分かんないのは
先輩の方じゃん

揚羽凛太郎

え・・・

眞琴杏樹

何?あの女!

揚羽凛太郎

お、女?

眞琴杏樹

日向奏星とかいう女だよ!

揚羽凛太郎

な、何でお前が
奏星の名前を・・

眞琴杏樹

あの女も性悪だよね

眞琴杏樹

私が居ないのを
良い事に・・・

眞琴杏樹

先輩をそそのかすなんて

眞琴杏樹

でも大丈夫だよ先輩

眞琴杏樹

今度私が先輩を
守ってあげる番だから

眞琴杏樹

安心して

揚羽凛太郎

ちょっと待てよ眞琴!

眞琴杏樹

なぁに?先輩

揚羽凛太郎

お前・・何処で
奏星の名前を知ったんだ!

眞琴杏樹

・・・・・

揚羽凛太郎

まさか奏星が俺に
別れようって言った事と

揚羽凛太郎

何か関係があんのか?

眞琴杏樹

・・・・・

揚羽凛太郎

何とか言えよ!眞琴!

眞琴杏樹

だっておかしくない?

揚羽凛太郎

え?

眞琴杏樹

なんで先輩には
私が居るのに

眞琴杏樹

あんなに楽しそうに
笑ってられるの?

揚羽凛太郎

何・・言ってんだよ

眞琴杏樹

だから私、思ったの

眞琴杏樹

先輩からあの女に
近づいたなんて
ありえないから

眞琴杏樹

あの女が先輩の事を
言葉巧みに騙して

眞琴杏樹

先輩に近づいたんだって

揚羽凛太郎

・・・・・

眞琴杏樹

だから私・・・
あの女に言ったの

眞琴杏樹

先輩に近づくなって

揚羽凛太郎

なっ・・・

揚羽凛太郎

じゃあ奏星が俺に
好きな人が出来たから
別れようって言ったのは・・

眞琴杏樹

私が言わせたの

揚羽凛太郎

そう・・だったのか・・

揚羽凛太郎

(あれは奏星の
本心じゃなかったのか・・)

揚羽凛太郎

(でも俺・・・)

揚羽凛太郎

(奏星に酷い事を・・・)

揚羽凛太郎

でも眞琴がそんな事
言ったとして──

揚羽凛太郎

奏星がすんなり
聞き入れるなんて・・・

揚羽凛太郎

眞琴!お前──

揚羽凛太郎

奏星に何かしたのか?

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

妹の・・・
綾星ちゃんだっけ?

揚羽凛太郎

え?綾星ちゃん?

眞琴杏樹

その子を少し
いじめてあげたら──

揚羽凛太郎

はぁ?お前・・・

揚羽凛太郎

ふざけんなよ!

眞琴杏樹

・・・・・

揚羽凛太郎

そんな卑怯な事を・・・

眞琴杏樹

卑怯なのは先輩じゃん!

揚羽凛太郎

え?

眞琴杏樹

私をこんな気持ちに
させておきながら

眞琴杏樹

自分一人だけ
あんな女と一緒に
楽しそうに笑って・・

揚羽凛太郎

どういう意味だよ・・

眞琴杏樹

ならひとつ
聞かせてよ!

揚羽凛太郎

な、なんだよ・・

眞琴杏樹

先輩にとって私って

眞琴杏樹

恋人?

眞琴杏樹

それとも友達?

揚羽凛太郎

・・・・・

眞琴杏樹

聞かせてよ!

揚羽凛太郎

眞琴は・・・

揚羽凛太郎

友達だと思ってる・・

眞琴杏樹

く・・・

眞琴杏樹

(やっぱり
先輩にとって・・)

眞琴杏樹

(私は・・・)

眞琴杏樹

今更ふざけないでよ!

揚羽凛太郎

え!?

眞琴杏樹

友達?

眞琴杏樹

笑わせないでよ!

眞琴杏樹

私の事、恋人じゃなくて
友達だって思ってるなら

眞琴杏樹

何であんなに
優しくしたの?

揚羽凛太郎

眞琴・・・

眞琴杏樹

何でただの友達に
あんなに優しく出来るの?

揚羽凛太郎

・・・・・

眞琴杏樹

私が言ってる事
おかしいかな?

眞琴杏樹

ねぇ!先輩!

眞琴杏樹

なんとか言ってよ!

揚羽凛太郎

そ、それは・・・

眞琴杏樹

あんなに優しくされたら

眞琴杏樹

誰だって好きに
なっちゃうじゃん!

揚羽凛太郎

それは・・・

眞琴杏樹

先輩にとって──

眞琴杏樹

友達と恋人の
境界線って何?

眞琴杏樹

あの女と私──

眞琴杏樹

何が違うのよ!

揚羽凛太郎

・・・・・

眞琴杏樹

あの日──

眞琴杏樹

電車で痴漢されてる私を

眞琴杏樹

先輩は助けてくれた

揚羽凛太郎

・・・・・

眞琴杏樹

私──

眞琴杏樹

あの出会いは
運命だって思った・・・

それは今より2年前

中学時代へ遡る

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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コメント

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ユーザー
ユーザー

うわぁ、まじ展開凄すぎる…、

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