翌日
渚沙はイラついていた
それは、日付が変わっても 凛太郎が家に帰ってこないからだ
揚羽渚沙
揚羽渚沙
家に帰らないなんて
揚羽渚沙
何処で何やってんの?
揚羽渚沙
揚羽渚沙
揚羽渚沙
日向家前
美咲は日向家の玄関前に居た
姫川美咲
そしてインターフォンを押す
ピンポーン
リビングにチャイム音が 鳴り響く
日向綾星
日向綾星
シー・・・・ン
日向綾星
寝てるのかな?
日向綾星
日向綾星
綾星はドアに近づき 覗き穴から外を伺う
日向綾星
お姉ちゃんだ♫
日向綾星
ガチャ
姫川美咲
日向綾星
久しぶり!
日向綾星
姫川美咲
日向綾星
姫川美咲
話あるから、入るね
日向綾星
綾星は内心不安に思っていた
いつもは笑顔が絶えない 美咲の顔には
その笑顔は無く
悲しみや怒りとも取れる 表情をしていたからだ
日向綾星
ガチャ
日向奏星
入る時はノック──
姫川美咲
日向奏星
日向奏星
姫川美咲
じゃないでしょ?
日向奏星
日向綾星
綾星は小学生ながらに 美咲が突然やって来た 理由を察していた
「揚羽お兄ちゃんの事だ」
日向綾星
お姉ちゃんはね──
姫川美咲
姫川美咲
二人で話したいから
姫川美咲
出ててくれる?
日向綾星
美咲は綾星を部屋から追い出す
日向奏星
姫川美咲
日向綾星
日向綾星
日向綾星
話をしに来たんだ・・)
日向綾星
日向綾星
日向綾星
姫川美咲
来たかわかる?
日向奏星
姫川美咲
日向奏星
姫川美咲
好きな人が出来たって
姫川美咲
言ってんの?
日向奏星
姫川美咲
電話があったの
日向奏星
姫川美咲
返事が全然
返って来なくて
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
しちゃったのかな?って
姫川美咲
日向奏星
姫川美咲
奏星に揚羽くんと
姫川美咲
言うつもりは無いけどさ
姫川美咲
恋人同士でしょ?
姫川美咲
言ってあげたら?
姫川美咲
姫川美咲
好きな人が出来たって
姫川美咲
姫川美咲
日向奏星
関係なくない?
姫川美咲
日向奏星
凛くんの問題なんだから
姫川美咲
奏星が心配で──
日向奏星
はさまないでよ!
姫川美咲
姫川美咲
心配してる
だけじゃん!
姫川美咲
そんな言われ方
姫川美咲
なんない訳?
姫川美咲
悪いんだけど!
日向奏星
心配してるだけじゃん
日向奏星
心配してって
頼んだ覚えない!
姫川美咲
ガチャ
日向志津香
日向綾星
日向綾星
日向志津香
日向志津香
日向綾星
して欲しく無いよ
日向志津香
日向志津香
日向綾星
美咲お姉ちゃんが・・
日向志津香
姫川美咲
おかしくない?
日向奏星
姫川美咲
奏星だったら
姫川美咲
しないじゃん!
日向奏星
姫川美咲
いじめられてんの?
姫川美咲
別れろって
脅されてんの?
姫川美咲
私が代わりに──
日向奏星
日向奏星
日向奏星
よく言えたね?
姫川美咲
姫川美咲
友達じゃないの?
日向奏星
美咲だけだよ
姫川美咲
何よ今更!
姫川美咲
姫川美咲
だと思って──
ガチャ
奏星の美咲の言い合いに 割り込むように 志津香が部屋に入ってくる
日向志津香
良い加減に──
日向奏星
はさむなって言ってんの!
日向奏星
姫川美咲
それに他人って──
日向志津香
バシン
志津香は奏星の頬に 平手打ちをする
日向奏星
姫川美咲
日向綾星
日向奏星
日向志津香
美咲ちゃんに
何て言ったの?
日向志津香
日向奏星
日向奏星
日向志津香
大切な友達じゃないの?
日向志津香
日向奏星
日向志津香
あったのかもしれないわ
日向志津香
水に流してる筈でしょ?
日向奏星
日向志津香
日向志津香
日向志津香
身を任せた
日向志津香
言葉ひとつで
日向志津香
事だってあるのよ?
日向志津香
日向奏星
日向志津香
日向奏星
日向志津香
日向奏星
日向奏星
奏星は涙を流しながら 部屋から出て行く
日向志津香
奏星は志津香の制止を 振り切って 家から飛び出す
日向志津香
姫川美咲
日向綾星
日向奏星
日向奏星
日向奏星
別れたくなんか無いよ
日向奏星
日向奏星
日向奏星
日向奏星
日向奏星
日向奏星
姫川美咲
姫川美咲
日向志津香
日向志津香
言い合う事なんて
日向志津香
してる事だろうし
日向志津香
姫川美咲
ございます・・・
日向志津香
日向志津香
日向志津香
姫川美咲
日向志津香
美咲ちゃんに対して
日向志津香
日向志津香
姫川美咲
美咲は今日なぜ家を訪れたのか? その経緯を志津香に説明する
日向志津香
揚羽くんが?
美咲の話を聞いた志津香は 目を見開いて驚く
姫川美咲
日向志津香
日向志津香
日向志津香
姫川美咲
姫川美咲
日向志津香
姫川美咲
好きだった筈だし
姫川美咲
同じ気持ちな筈ですから
日向志津香
姫川美咲
様子からして・・・
日向志津香
姫川美咲
日向志津香
日向志津香
なるなんて事が
滅多にない奏星が
日向志津香
激昂するんだから
姫川美咲
日向志津香
ってだけで
日向志津香
感情的になるかしら?
姫川美咲
日向志津香
出来たからなんて
日向志津香
微塵も感じなかった
日向志津香
そう言う相手がいたら
日向志津香
私に話すのよね
日向志津香
そうだったから・・
姫川美咲
日向志津香
可能性もあるわね
姫川美咲
そんな嘘を?
日向志津香
日向志津香
あるのかしら?
日向志津香
別れなきゃいけない
日向志津香
日向綾星
日向綾星
日向綾星
日向綾星
日向綾星
日向綾星
日向綾星
日向綾星
言わなかったら)
日向綾星
美咲お姉ちゃんは)
日向綾星
ままに・・・)
日向綾星
日向綾星
日向綾星
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
日向綾星
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
ごめんね綾星ちゃん
日向志津香
日向志津香
何か聞いてない?
日向志津香
事でもいいから!
姫川美咲
教えてくれないかな?
日向綾星
日向綾星
日向志津香
日向志津香
日向綾星
戻ってるね・・・
日向志津香
日向志津香
日向志津香
姫川美咲
姫川美咲
日向志津香
姫川美咲
日向志津香
母親として娘を
見てきてないからね
日向志津香
姫川美咲
綾星ちゃんが?
日向志津香
志津香は考え込む
姫川美咲
姫川美咲
美咲は綾星の部屋に 向かおうとするが
日向志津香
それを志津香が止める
姫川美咲
日向志津香
そっとしときましょう
姫川美咲
日向志津香
隠してる事は明白
日向志津香
気が動転してる筈
日向志津香
姫川美咲
日向志津香
お茶でも飲んで
落ち着いて
姫川美咲
揚羽渚沙
揚羽渚沙
何処ほっつき
歩いてんのかしら?
揚羽渚沙
奏星ちゃんの家に
泊まってんのかしら
揚羽渚沙
志津香さんから
電話あるはずだし
揚羽渚沙
揚羽渚沙
揚羽渚沙
軽井沢に行ってて
揚羽渚沙
凛太郎が言ってたし
揚羽渚沙
揚羽渚沙
何処に行ってんの?
プルルルル
渚沙のスマホに 登録していない番号からの 着信が入る
揚羽渚沙
揚羽渚沙
出てみるか
揚羽渚沙
女性
女性
電話でお間違い
なかったでしょうか?
揚羽渚沙
揚羽渚沙
揚羽渚沙
なんですけど・・・
女性
女性
眞琴杏里
揚羽渚沙
揚羽渚沙
揚羽渚沙
されたんですか?
眞琴杏里
杏樹の事で・・・
揚羽渚沙
どうしたんですか?
眞琴杏里
家出をしてまして
揚羽渚沙
眞琴杏里
揚羽渚沙
眞琴杏里
書き置きを残して
家出をしてるんですけど
揚羽渚沙
眞琴杏里
眞琴杏里
行ってくるって
書いてあって・・・
揚羽渚沙
眞琴杏里
眞琴杏里
思うんです・・・
揚羽渚沙
眞琴杏里
もしかしたら
眞琴杏里
お邪魔してるんじゃ?
眞琴杏里
眞琴杏里
もらったんです・・・
揚羽渚沙
眞琴杏里
されましたか?
揚羽渚沙
揚羽渚沙
帰ってないんです
眞琴杏里
眞琴杏里
揚羽渚沙
泊まってるのかも
って考えてたんですけど
揚羽渚沙
心配になってきました
眞琴杏里
なっていなければ
いいんですが・・
揚羽渚沙
今どちらに?
眞琴杏里
そちらに向かう
ところです
眞琴杏里
駅に着くかと思います
揚羽渚沙
落ち合いませんか?
眞琴杏里
お願いしたいです
揚羽渚沙
では駅についたら
連絡をお願いします
女性
揚羽渚沙
揚羽渚沙
凛太郎に会いに
来てたなんて・・・
揚羽渚沙
揚羽渚沙
場合じゃないわね・・
揚羽渚沙
渚沙は手早く 着替えを済ませ
駅に向かうべく 自宅を急足で出る
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
日向志津香
電話に出ないわね
美咲は凛太郎に
志津香は奏星に
それぞれ電話をかけ続けるが 二人とも電話に出る気配がない
そんな時── 美咲のスマホに着信が入る
姫川美咲
美咲はスマホの 画面を確認する
そこには 龍也と表示されていた
姫川美咲
姫川美咲
姫川美咲
和久井龍也
和久井龍也
姫川美咲
姫川美咲
和久井龍也
和久井龍也
電話くれっつったのは
美咲だろーが!!
姫川美咲
姫川美咲
和久井龍也
姫川美咲
和久井龍也
どういう意味だよ
姫川美咲
そういう意味じゃなくて
和久井龍也
姫川美咲
来てるんだけどさ
和久井龍也
姫川美咲
奏星が別れたっぽくて
和久井龍也
和久井龍也
和久井龍也
和久井龍也
リンと日向が?
姫川美咲
姫川美咲
好きな人が出来たって
姫川美咲
切り出したらしくて
和久井龍也
姫川美咲
和久井龍也
和久井龍也
和久井龍也
姫川美咲
奏星喧嘩しちゃって
和久井龍也
姫川美咲
行っちゃって
和久井龍也
姫川美咲
姫川美咲
めちゃお似合いだったし
姫川美咲
関係の終わりが
姫川美咲
思っちゃったら・・・
姫川美咲
姫川美咲
キツく言っちゃって・・
和久井龍也
姫川美咲
連絡がつかなくてさ
和久井龍也
姫川美咲
姫川美咲
和久井龍也
俺もそっち向かうわ
和久井龍也
いいんだよな?
姫川美咲
和久井龍也
行けると思うからさ
姫川美咲
和久井龍也
和久井龍也
和久井龍也
意味不明なウソつくなんて
和久井龍也
和久井龍也
揚羽渚沙
日向家に向かおうとする龍也に 渚沙が声をかける
和久井龍也
揚羽渚沙
揚羽渚沙
和久井龍也
揚羽渚沙
和久井龍也
楽しかったっスけど
和久井龍也
リンと日向の話って
もう誰かに聞きました?
揚羽渚沙
奏星ちゃん?
揚羽渚沙
和久井龍也
別れたっぽくて
揚羽渚沙
揚羽渚沙
和久井龍也
知らなかったんスね
揚羽渚沙
聞いてないわ・・・
和久井龍也
電話で初めて
知ったんスけど・・
和久井龍也
好きなヤツが
出来たとか言って
和久井龍也
振ったらしくて
揚羽渚沙
揚羽渚沙
いろんな男の子に
目移りするもんだけど
揚羽渚沙
和久井龍也
連絡がつかないみたいで
揚羽渚沙
和久井龍也
揚羽渚沙
眞琴杏樹って子
覚えてるかしら?
和久井龍也
和久井龍也
リンのストーカー
やってた女っスよね?
揚羽渚沙
和久井龍也
眞琴の名前を?
揚羽渚沙
杏樹ちゃんのお母さんが
来る事になってるの
和久井龍也
揚羽渚沙
渚沙は今朝の 杏里との電話内容を 龍也に伝える
和久井龍也
和久井龍也
揚羽渚沙
和久井龍也
リンの事を諦めて
無かったって事っスか?
揚羽渚沙
和久井龍也
和久井龍也
揚羽渚沙
和久井龍也
俺と一緒に日向の家に
行きませんか?
揚羽渚沙
和久井龍也
帰ってないらしくて
揚羽渚沙
和久井龍也
和久井龍也
してるかもしれません
揚羽渚沙
揚羽渚沙
和久井龍也
もう来るんスか?
揚羽渚沙
来るはずだけど
和久井龍也
一緒にいきましょうよ
揚羽渚沙
揚羽渚沙
和久井龍也
某所
凛太郎は廃墟となっている 雑居ビルの一室で目を覚ました
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎は室内を見回す
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎はその日1日の 行動を思い返す
揚羽凛太郎
って言われて・・
揚羽凛太郎
面倒臭くなって──
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
親父さんに助けられて──
揚羽凛太郎
聞いてもらって──
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
どうなったんだっけ?
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
ドアが開くと同時に 杏樹が部屋に入ってくる
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
凛太郎が立ちあがろうとする
ガキィン
しかし、腕に何かが引っかかり 上手く立ち上がれない
揚羽凛太郎
凛太郎の手首には 手錠がつけられ
部屋の至る所に設置されてある パイプと繋がっていた
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
逃がさない為だよ
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
生涯運命を共に
過ごすんだよ?
揚羽凛太郎
言ってんだよ!
眞琴杏樹
先輩の方じゃん
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
奏星の名前を・・
眞琴杏樹
眞琴杏樹
良い事に・・・
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
守ってあげる番だから
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
奏星の名前を知ったんだ!
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
別れようって言った事と
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
私が居るのに
眞琴杏樹
笑ってられるの?
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
近づいたなんて
ありえないから
眞琴杏樹
言葉巧みに騙して
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
あの女に言ったの
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
好きな人が出来たから
別れようって言ったのは・・
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
本心じゃなかったのか・・)
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
言ったとして──
揚羽凛太郎
聞き入れるなんて・・・
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
綾星ちゃんだっけ?
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
いじめてあげたら──
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
させておきながら
眞琴杏樹
あんな女と一緒に
楽しそうに笑って・・
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
聞かせてよ!
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
先輩にとって・・)
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
友達だって思ってるなら
眞琴杏樹
優しくしたの?
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
あんなに優しく出来るの?
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
おかしいかな?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
なっちゃうじゃん!
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
境界線って何?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
揚羽凛太郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
運命だって思った・・・
それは今より2年前
中学時代へ遡る