ある所にAという男がいた。
Aは3世代は一生遊んで暮らせる資産家の家に生まれたお坊っちゃま。
Aの知人
Aについて?
Aの知人
Aはめちゃくちゃイケメンで、
Aの知人
運動神経も抜群で、
Aの知人
物凄く頭も良かったわ
Aは天から全てを与えられ、最高の幸福を約束された男だったのだ。
そして彼にはさらなる幸福が与えられようとしていた。
Aの知人
彼ね、近々結婚するらしいわ
Aの知人
隣町の、絶世の美女よ。
あらゆる幸福を手にするAに、人々は嫉妬の塗れた言葉で呟いた。
民衆1
何であいつだけ…。
民衆2
何の努力もなしに…。くそ、落ちぶれちまえ。
そんな中とある人物が呟いた
民衆3
人生そんな上手く出来てる筈ない
それから間もなく、その言葉は現実のものとなる。
民衆1
おい、聞いたか?
民衆2
ああ、聞いたよ。
民衆3
万引きで捕まったってね。
民衆
「ざまーみろ」
窃盗罪だった。
なんとAは、スーパーで万引きをして捕まったのだという。
Aの父親
何という馬鹿なことを…。家から出て行け!
絶世の美女
別れましょ。……さようなら。
Aは親から見捨てられ、絶世の美女との婚約も破棄。
全てを手に入れられた男が全てを失ったのだ。
人々はそんな Aの転落を心の中で喜んだ。
しかし
何故 Aは万引きなどしたのか?
彼は金に困ってもいなく、万引きなんてする必要は無かった。
後に明らかになる、その答えは簡単なものだった。
「嫉妬」だ
A
私は、誰よりも幸福な男だ
A
私よりも、幸福な人間などいてはならない。
A
だからぶち壊してやったのだ。
Aは笑みを浮かべて呟いた
A
そう。私より幸福な人間は居てはならない
A
例え、
A
それが私自身であっても。
Aは嫉妬していたのだ。
最高の幸福が訪れるであろう、
未来の自分に