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夏夜
廃遊園地へと再び着地する。
すると、私の体はカラスの姿から人間へと戻っていく。
この遊園地を家と勘違いしているんだろう。私は、心のどこかで。
深夜1時を回っていた。
明日も学校だし、そろそろ寝よう。
寝床は管理人室だ。
遊園地の外れの方にある。
マットと毛布があったから、そこで寝ている。
窓から差し込む月明かりを見てその日は眠りに落ちた。
チュンチュン
陽の光が差し込んでくる。
夏夜
鞄に教科書を詰めて、財布片手に廃遊園地を出た。
今日帰ったら寝巻きを洗濯しよう。
洗濯は面倒なのでいつもはコインランドリーで済ませている。
鞄に下着やパジャマも詰めて、コンビニに立寄る。
夏夜
朝はレモンティーだけでいっか。と呟きコンビニを出る。
昼は、別に何も食べなくていいや。どうせお腹空かないし。
凛
後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
誰だろう。私に用のある人なんて。
凛
誰だっけ。
凛
夏夜
やっと思い出した。
凛
凛
どうして私なんかに構うんだろう。
私の事嫌いなはずなんだけどなぁ。
夏夜
夏夜
凛
凛
夏夜
私は住宅街の一角を曲がりコインランドリーへと向かう。
そう。友達を作ったところで何にもならない。私はそんなこと知ってる。
小学校2年生だったっけ。
私には親友がいた。
家ではひとりぼっちだった私を親友は救ってくれた。
私の唯一の支えだった。
私だけクラスで浮いていた。骨と皮だけの身体。その癖身長は気持ち悪いくらい高かった。
父は、私を妻と自分の子供ではない、妻が他所で作った子供だから私を心底嫌っていた。
だから、よく身体を殴られ蹴られていた。
でも、顔は一切傷つけられなかった。虐待と訴えられるのに怯えているようだった。
母は父ほど酷くはなかった。でも、よく髪を引っ張られていた。煙草を押し付けられたりもした。
私が両親の喧嘩に止めに入った後の罰はいつも母が考えていた。
こんな虐待ばかり受けていたせいで身体は痣だらけだった。夏でも長袖長ズボンの私は、いじめるには格好の獲物だった。
腕をまくることも、短パンになることも許されなかった私をいじめていたやつを注意してくれたのが親友だった。
学校での居場所も狭まっていった私を助けてくれた。
でも、仲良くなって、3ヶ月経った頃だっけ。
親友は、交通事故で亡くなった。
そして私はまたいじめられるようになった。
あの親友には、もう会いたくない。
会ったところで別にって感じだし、もう会えないし。
昔のことを思い出していると、いつの間にかコインランドリーに着いてしまっていた。
下着とパジャマをボンボンと入れ、私はコインランドリーを後にした。