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カラスに化ける少女。

カラスに化ける少女。

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カラスに化ける少女。

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2020年04月24日

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教室へ入るといつもの光景が目に入る。

うるさい男子とうるさい女子、私のような人はほんの数人だけだ。

沢木さん!

どうして朝はどっか行っちゃったの〜?

またこの人か。いい加減諦めてくれないかな。

夏夜

コインランドリーに寄っただけ。

何かお洗濯?

夏夜

まぁね。

家も洗濯機も無いなんて言えない。

今時コインランドリーなんて珍しいね〜
お布団か何かお洗濯?でも大っきいもの持ってなかったよね…

夏夜

あの

夏夜

私と喋ってなくていいから。

夏夜

他の人と仲良くしてください。

そして私は教室を後にする。

友達なんか作ったって裏切るだけなんだから。

もう誰も信用しないんだから。

親も姉も先生もクラスのやつらもみんなクズだったんだから。

そんなこと考えていたら、一日が終わる頃。

今日もつまらない一日を終えて、帰る支度をする。

今日は…援交の日か。

おっさん達にこの生々しい傷や痣を見られてスルーされたことはなかった。

警察に連絡しようとするやつだっていた。

そんなことされちゃ私は牢屋行きなんだよ。

いくら虐待を受け、いじめられたとしても、私は3人の人間を殺した殺人鬼なんだから。

援交だって、犯罪なんだから。

コインランドリーでパジャマと下着を取ったあと、コンビニでおにぎりを買う。

夜はさすがに何か食べないと。今日一日何も食べてない。

そして住宅街を歩いていたら

あ!沢木さんじゃない!

今日は何回も会うね!

夏夜

またあなた…。

今日はつまらない一日ではなく、ついてない一日だな。

良かったら、うちでご飯食べてかない?

夏夜

いや、いい。

え〜!お願いだよ!

親戚から貰ったじゃがいも有り余ってるから、食べてもらいたいんだ!

本当に面倒な女だ。この人は。

私の返事も聞かずに、この人の家に連れていかれてしまった。

さぁ、上がって!

夏夜

ほんとうにいいんだけど。

30分だけ!

夏夜

…。

30分ならいいかと足を踏み入れる。

凛の母

あら凛、その子は?

うちで今日ご飯食べてくから。

凛の母

そう。分かったわ。

私、2階からお菓子持ってくるから、ちょっと待ってて!

夏夜

あ…

お腹空いてないのに。

凛の母

あの、お名前は?

しかもこの女の母親と2人きりなんて気まずすぎる。

夏夜

沢木です。

凛の母

凛と仲良いの?

夏夜

そういう訳では…。

私は事実を言っただけだ。

凛の母

そう…。

凛の母は寂しそうに言った。

凛の母

あの子、学校のことは何も言ってくれないのよ。

凛の母

中学の頃はやんちゃしてたし、友だちも少ないんじゃないかって心配で。

凛の母

中学に上がった頃から、あの子病んで病んで…。友達なんて連れてきたこと無かったのよ。

心外だった。あの人が昔はやんちゃしてたなんて。

沢木さん!良かったらこれどうぞ!

夏夜

どうも。

そのあと私は夕ご飯を頂いた。

久しぶりの、温かいご飯だった。

今日はありがとう!ちょっと送っていくよ。

夏夜

…。

夏夜

貴方、前はどんな人だったの?

…え?

夏夜

友達、いなかったの?

私の母親が喋ったの?

夏夜

えぇ。

そうだなー。中学上がる頃からいなかったかも。

前はやんちゃしてたけど、今は沢山友達作ってやり直そうと思ってる。

これからも、仲良くしてくれる…?

夏夜

どうして

ん?

私は咄嗟に言葉を発していた。

夏夜

どうして私に付きまとうの?

夏夜

私、髪長くて清潔感ないし、目だって虚ろで怖いでしょう?

私がみんなから好かれなかった理由は70%容姿だろう。

まともにお風呂にも入れて貰えなかった私は、いつも汚く、生々しい傷が増えていくだけだったのだから。

目。

沢木さんの目、とても綺麗よ。

夏夜

そんなことない。

私の目を気に入られたことは1度もなかった。

親からも先生からもあいつらからも気持ち悪がられたこの目を。

私はその目、好きだよ。

コバルトブルーの瞳、とっても素敵よ。

夏夜

そう。ありがとう。

そろそろ行かないと、援交の時間。

夏夜

ここまででいい。今日はごちそうさま。

いえいえ!

そして私は足早にスタスタと歩き始める。

すると、彼女の口からありえない言葉がこぼれた。

今日も援交に行くの?

カラスに化ける少女。

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