テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
2件
重岡大毅
神山智洋
重岡大毅
神山智洋
マリン王国の上級使用人の重岡大毅。
重岡の隣には神山が虚ろな目で海を眺めていた。
神山は動こうとせず話もしなかった。
重岡大毅
≪海の歌い手≫
それはマリン王国に代々から伝えられている海の精霊。
彼らはマリン王国の出身の者に憑りついて異国の言葉で歌を披露する。
だが≪海の歌い手≫に憑りつかれば人間の行動ができなくなる。
そして国王は強力の力を持つ≪海の歌い手≫を儀式の最後に海に沈めて殺すと風習がある。
そして今、神山は儀式に海に沈められる日が近づいていた。
重岡大毅
俺は神ちゃんの監視役としてここにおる。
幼い頃からずっと過ごしてきた神ちゃんがいてまうなんて許さへん。
やけど神ちゃんが正気に戻らんとどないしょうもでけへん。
重岡大毅
重岡は頭を抱えて神山の様子を見ていた。
向井康二
俺らは客室用へ移動させられ窓から見える大海原を眺めている。
目黒蓮
向井康二
風ともに潮風が吹いてくる。
それは過去の記憶を鮮明に蘇ようとしとる。
波が穏やかに城に寄せてくる。
コンコン
目黒蓮
丸山隆平
扉の叩く音が鳴り目黒は返事をすると国王の丸山隆平が入って来る。
丸山隆平
目黒蓮
丸山隆平
目黒蓮
この人がマリン王国の国王様。
優しい笑顔と心地よい言葉に向井は釘付けとなっていく。
丸山隆平
向井康二
この人.....どこかで見たことあるような
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
向井康二
国王様は俺のことを見てる。
俺も無言で国王様を見つめ続ける。
丸山隆平
ギュッ
向井康二
突然国王様は俺を優しく抱きしめてくれる。
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
向井康二
国王様の話に俺の頭がついていけず困惑する。
目黒蓮
丸山隆平
俺がどないしょうもなく困っとったら蓮様がフォローするように言うてくれた。
蓮様の言葉に国王様は我に返って俺を離してくれた。
向井康二
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
生まれて初めておかんと国王様の関係を知った。
康二が生まれた数年間はみんな幸せに暮らしとった。
年中海は綺麗でたくさんの魚を取れとった
海に囲まれた王国と珍しさから祭りには他国からの国王や王子などが来てくれた。
マリン王国には゛神の歌い手"とよばれる精霊に守れとるってみんなが思 とった。
神の歌い手は波に乗って聞こえるむっちゃ美しい歌声であり歌声を聞ぃた者は幸せになれると言われとった。
ハナもそうやったハナは当時の南の大領主と結婚し康二が生まれて幸せに暮らしとった。
だがその幸せやったマリン王国に悲劇が起きてん。
マリン王国の奥側にある帝国と戦争が始めた。
当然ながら帝国軍は武器も人力も圧倒的に勝っておりマリン王国に送られた兵士はあっけなく死んどった。
康二のおとんも戦争に出され死亡したと知らせがきた。
俺らはこのままマリン王国ともに海に沈んでいくと覚悟した。
だが絶望してた俺らはなんと帝国と和睦しマリン王国は滅びんとすんでん。
理由は色々あったけれど大事な故郷を救えたのが嬉しかったわ。
やけど戦争は終わったことで大勢の男が失ぉたことで職を無くした女たちは故郷を離れた。
ハナも旦那さんが亡くなったことで康二を育てるパルを稼ぐためにクリスト王国に行ったわ。
俺は反対けれど王国でも他人を豊かにできるパルもなかった。
ほんで数年後、ハナは大罪を犯したことで処刑されたと知らせがきた。
俺はすぐにハナが大罪を犯したことは嘘と見抜いた、ハナは心優しい妹やった。
ハナはクリスト王国に殺されたとわかった、やけど一緒にクリスト王国に行った康二の行方は掴めへんかった。
ハナが処刑された時には康二がいなかったと知った。
どんなに探しても康二を見つからんかった。
向井康二
丸山隆平
向井康二
俺は赤ん坊の頃の康二しか見たことなかったから康二がこんなに成長しとったとは。
会いたかった...ずっと。
おかんと強引に離されたあの日から俺は1人やった。
おとんとおかんが優しく握ってくれる手のぬくもりもわからんと成長しとった。
家族から愛され幸せな時間などなかった。
言葉が通じへんことで周りの子供、大人からいじめられた。
義父に引き取られても使用人以下の扱いされる。
義弟からも無能の俺を嘲笑い虐待されてきた。
使用人たちも異能を使えへん俺を見てわろて助けもしてくれへんうえ使用人の仕事を俺に押しつけとった。
おかんと最後に会うたんはおかんの処刑やった。
無実の罪を着せられたおかんは住民たちから暴言吐かれ石を投げられとった。
ほんでおかんは俺に謝って、そのまま。
丸山隆平
向井康二
目黒蓮
目黒蓮
丸山隆平
国王様に俺の今までの人生を話し明かした。
国王様は何も言うことできずただただ俺を見つめとった。
向井康二
無異能ゆう理由だけでいじめられとった。
無異能だけで。
家族もいなかった俺にとって家族は羨ま過ぎるもんやった。
おとんとおかんが子供にりんご飴ちゃんをあげて子供が喜ぶ姿は俺にはなかってん。
幼い頃から使用人として働かせ俺がいろんなもんをできても誰からも褒めてもらえへんかった。
ちょっとでも失敗すれば俺の髪を掴んで暗くさぶい蔵に閉じ込められた。
けど.....
向井康二
丸山隆平
向井康二
向井康二
傷ついた俺を蓮様は優しく差し伸べてくれた。
無異能だけで必要とされへんかった俺を初めて必要とされてくれた。
俺だけに高価なオレンジ色のネックレスもくれた。
丸山隆平
目黒蓮
丸山隆平
丸山隆平
目黒蓮
国王様は正座の状態で頭を下げて蓮様にお礼を言う。
丸山隆平
向井康二
思いがけぬ家族と出会えた俺にとって複雑な気持ちやった。
今まで出会うたことすらんかった国王様が自分の叔父だとは思わんかった。
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
国王様は薄いズボンのポケットから1枚の写真を取り出してくれる。
丸山隆平
向井康二
国王様は俺にほんまの家族写真を見してくれた、それは赤ん坊の俺をおかんが優しく抱きしめ、おとんが優しく微笑んどる写真やった。
向井康二
丸山隆平
丸山隆平
向井康二
俺が幼い頃おとんは戦死しまともに顔を覚えてへんかった。
おかんも無実の罪で処刑され哀しい別れやった。
義父と義弟は俺のことを使用人以下としか思 てくれへんかった。
家族がいなかった俺には家族がほしかった。
家族がほしかった俺にとって最高のプレゼントやった。
向井康二
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
向井康二
丸山隆平
向井康二
初めて俺の家族写真を見た瞬間感動の言葉しかへんかった。
窓から夏の日差しがさして海の潮風が吹いている。
目黒蓮
目黒は王宮の廊下を歩きながら考え事をしていた。
やはりここは康二の故郷であったか。
康二が家族写真を見てとても幸せそうだった。
お祭りが終われば俺たちはゴッド王国に帰る。
もし康二がここに残りたいと言ったらどうするか。
目黒蓮
康二には家族がいなくて孤独に生きていた。
小さな幸せさえ知らずに。
目黒は康二の表情を見て感情を葛藤される。
重岡大毅
大倉忠義
重岡大毅
目黒蓮
扉の隙間から王弟様の声と使用人の声が漏れていて、俺は扉の隙間を覗く。
扉の隙間からはベッドの上に正座している青年がいる。
だが青年は虚ろな目をしており生気が感じられない。
大倉忠義
重岡大毅
使用人の怒鳴り声が響き渡る。
話を聞く限りあの青年はただの病気ではないようだ。
神山智洋
大倉忠義
神の歌い手って先国王様が話されたことを思い出す。
神の歌い手は海の精霊と言って人を幸せにすると。
だが神の歌い手が人に憑依するとは聞いたことなかった。
大倉忠義
キラ
目黒蓮
今、一瞬だったけど王弟の指につけていた指輪に見覚えがあった。
それは相手を自由に操れる呪い≪まじない≫の指輪、すなわち呪物。
王弟が呪物を持っているの。
目黒蓮
康二が幸せそうに過ごしている中目黒は暗雲の表情となる。
これから嫌な予感を感じながら。
3章 完結