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#怪異
×××
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進級してからは
楽しいことばかりだった
昼食時間もその「楽しいこと」の一つ
机や椅子をギーギーと音を立てながら
移動させて
皆で集まって食べる昼食の風景は
微笑ましいものだ
しかし
そんな「楽しいこと」をしている
クラスルームの中に
一人だけ浮かない顔の
千尋がいた
千尋
千尋はいつもこの時間になると
1年生の頃からの友達である
穴越弓美と
同じテーブルで弁当を広げている
千尋が見晴らしのいい窓際の机なので
弓美は椅子を担いで
そこにやってくる
弓美
弓美
弓美
千尋は有名な某映画の登場人物にあやかって
弓美から「セン」と呼ばれるようになったのだった
それ以降
普段下の名前で呼ばない
男子からさえも
そう呼ばれるようになってしまった
ただ
今ではもうすっかり浸透しているので
千尋もそれを容認しているのだが
千尋
弓美
弓美
千尋
千尋
千尋
弓美
弓美は運んできた椅子に
どっかと腰を下ろすと
楽しげに千尋の言葉をレシーブする
千尋
千尋
千尋
千尋は相変わらず暗いオーラに身を包んで
弓美の言葉を受け止めている
弓美
弓美
弓美
弓美は人差し指をピンと立てて
「ここがポイント!」のような
ポーズをとってみせた
千尋
千尋
弓美
弓美
弓美
千尋
弓美
弓美
千尋
弓美は千尋に人差し指を向けた
弓美
弓美
弓美
千尋の目が少し大きくなった
千尋
千尋
弓美
弓美
弓美は指先で千尋の額をつつく
千尋
千尋
弓美
千尋
千尋
千尋
弓美は指を引っ込めて
口を窄ませた
弓美
弓美
弓美は言いながら
カバンから弁当箱を取りだす
萎えきった千尋とは
対照的だった
千尋
千尋
千尋
千尋
ピンク色の包みを解こうとしていた
弓美の手がぴたりと止まる
千尋はそこでようやく
ハッとして
弓美の表情を窺う
少し
眉間に皺を寄せたような顔になっていたが
自分に千尋の視線が向けられていたことに気づくと
にっこりと微笑んで見せた
弓美
弓美
弓美
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋の語勢が
少しずつ勢いを帯びていった
弓美
弓美
弓美は鼻でわらう
だが
それは彼女らしい暖かな笑い方だった
弓美
弓美
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋
弓美
弓美
弓美はニンマリと
満面の笑みを浮かべる
口調がすっかり熱くなってしまった千尋は
あっと息をのむ
弓美
弓美
弓美は明るく
しかし冷静に
いつものように千尋の言葉に答える
千尋
千尋
千尋
千尋
弓美
弓美
弓美
弓美
千尋
千尋
弓美
弓美
弓美
弓美は
千尋の頭に右手をポンと乗せ
くしゃくしゃと左右に動かした
艶やかな黒髪が少し崩れる
千尋は
戸惑ったような
はにかんだような そんな顔になる
千尋
弓美
弓美
弓美
弓美
弓美
弓美
弓美
弓美
弓美は千尋の肩をゆする
千尋
千尋
弓美
闇に沈みかけていた千尋は
少しだけそこから引き戻されたような気がしていた
弓美の繊細な髪が
窓からのほのかな風を受けて
さらさらと流れている
そしてそれに包まれた
包容力のある
元気な笑い顔
「弓美なら信用できる」
千尋はそう信じていた
コメント
4件
弓美の明るくて軽やかな励まし方、いいなあ。「なーんだ」って笑い飛ばしつつ、最後には「守ってあげる」「家に住んでもいい」って――冗談めかしながらも本気度が伝わってくる台詞がすごく温かかったです。千尋の不安が少しだけほぐれた描写に、ほっとしました。二人の距離感と信頼関係が丁寧に描かれていて、この関係性の上で不幸の手紙がどう転がっていくのか、気になります。