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お節介アゲハと弱虫ヒナタ

第29話 - 他人と家族を天秤に

222

2022年11月08日

#ドラマ

#青春恋愛

#高校生

#一次創作

#第3回テノコン

×××

数日後

奏星と美咲は美咲の部屋で楽しく談笑していた

姫川美咲

いいなぁ。
そのペンダント

日向奏星

でしょ？でしょ？

日向奏星

美咲は和久井くんから
何プレゼントされたの？

姫川美咲

これ！これ！

美咲は左耳につけた三日月型のピアスを指先でツンと触る。

日向奏星

可愛いピアス！

姫川美咲

それに見て！見て！

姫川美咲

左右違うピアスでしょ？

日向奏星

あっ！ホントだ！

美咲の言う通り、右耳には五芒星型のピアス

左耳には三日月型のピアス左右違うピアスがついていた

日向奏星

なんで左右違う
ピアスなの？

姫川美咲

この三日月のピアスは
龍也からのプレゼント
なんだけど

姫川美咲

実は私のも龍也に
ピアスをプレゼント
しようと思って

姫川美咲

前もってこの
星型のピアスを
買ってあったの

日向奏星

あっ、そうだったんだ

姫川美咲

で、龍也がどうせなら
左右の耳に、それぞれが
買ったピアスを
つけようって言ってくれたから

日向奏星

だから、左右
違うピアスなんだね

姫川美咲

奏星はピアス
開けないの？

日向奏星

だって体に
穴開けるんだよ？

日向奏星

ぜっったい痛いじゃん

姫川美咲

まぁ、コンタクト程度で
びびってたもんね

日向奏星

それは前までの
話でしょ！

姫川美咲

あー！でも暇だなー

姫川美咲

龍也も居ないし

日向奏星

確か軽井沢に
行ってるんだよね？

姫川美咲

そうなんだよね

龍也は母親の実家がある軽井沢へ帰省しており美咲は暇を持て余していた

姫川美咲

まぁ、毎年帰省
してるらしいから
しょうがないんだけど

姫川美咲

今年くらい良いじゃんね

日向奏星

まぁ、仕方ないよ

姫川美咲

ねぇ！奏星！たまには
二人でどっか行こうよ

日向奏星

あーそうだね

日向奏星

ずっと家に居ても
退屈なだけだし

日向奏星

たまには行こっか？

姫川美咲

よし！そうと決まれば
駅前に繰り出すか！

日向奏星

うん♫そうしよ♫

姫川美咲

ママ？

姫川樹音

ん？どうかした？

姫川美咲

ちょっと奏星と
出かけてくる！

姫川樹音

ああ！いいわよ！
行ってらっしゃい！

姫川鉄心

気をつけて行けよ？

姫川美咲

うん！わかってる！

姫川美咲

じゃあ行ってきます！

姫川樹音

奏星ちゃんも
気をつけてね

日向奏星

はい！

日向奏星

あ、あと、クッキー
ご馳走様でした

姫川樹音

お口にあったかな？

日向奏星

美味しかったです♪

姫川樹音

よかった♪よかった♪

日向奏星

今度レシピ
教えてください

姫川樹音

もう、全然いいよ！
いつでも言ってね？

姫川樹音

奏星ちゃんだったら
いくらでも教えたげる

日向奏星

ふふふ、ありがとう
ございます

姫川鉄心

最近は物騒だから
気をつけるんだぞ！

日向奏星

は、はい・・・

日向奏星

じゃ、じゃあ
行ってきます

日向奏星

美咲のパパって
ホントカッコいいよね

姫川美咲

でしょ？でしょ？

日向奏星

喋ると、なんか
緊張しちゃう

姫川美咲

初めてパパに
会った時の奏星

姫川美咲

キョドり過ぎてて
面白かったなぁ

日向奏星

もう！いつの話？

姫川美咲

あっ、そういえば
綾星ちゃんって今家？

日向奏星

ううん。友達と
遊びに行ってる

日向奏星

てかなんで綾星？

姫川美咲

いや、家にいるなら
一緒に連れて行きたいなぁ
って思っただけ

日向奏星

いいよ！綾星は！

日向奏星

うるさいだけだから

姫川美咲

でも姉妹がいるって
羨ましいなぁ

日向奏星

そう？

姫川美咲

だって私一人っ子だから

姫川美咲

たまに家で一人でいる時とか

姫川美咲

お姉ちゃんか
妹が居たらなぁ
って思う事あるもん

日向奏星

まぁ、確かにそうかもね

姫川美咲

もう、綾星ちゃん
ちょうだいよ！

日向奏星

何言ってんのよ！

揚羽渚沙

凛太郎！

揚羽凛太郎

ん？なに？

揚羽渚沙

ちょっと来なさい！

揚羽凛太郎

なに？

揚羽渚沙

良いから来なさい！

揚羽凛太郎

（なんか怒ってね？）

理由を言わずに「来い」としか言わない渚沙を疑問に思いながらも

凛太郎は言われるがままにクローゼットがある渚沙の寝室へ向かう

揚羽渚沙

これなんだけど・・・

揚羽凛太郎

コレ・・って？何？

渚沙はタンスの一番下の段を開けその中には収納されている洋服を指差す

揚羽凛太郎

服がどうしたんだよ

揚羽渚沙

あんた・・・

揚羽渚沙

まさかとは思うけど
女装の趣味とか
あったりしないわよね？

突然の渚沙の問いに驚きを隠せない凛太郎

揚羽凛太郎

はぁ？何言ってんだよ

揚羽凛太郎

そんな趣味
ある訳ねーだろ！

揚羽渚沙

ならなんで、タンスから
私の服出したの？

揚羽凛太郎

はぁ？なんの話だよ

揚羽渚沙

この服だけ
畳み方が違うのよ！

渚沙が指差した洋服は確かに他の洋服とは明らかに畳み方が違っていた

揚羽凛太郎

服を出した？

揚羽凛太郎

（何の話だ？）

揚羽凛太郎

あっ！！！！

凛太郎は少し考えてある事を思い出した

揚羽渚沙

何？

揚羽渚沙

なんか思い当たる
事でもあるの？

揚羽凛太郎

あ、いや、その・・

揚羽渚沙

何？言ってみなさい

揚羽凛太郎

この前文化祭があってさ

揚羽凛太郎

その文化祭終わりに
ウチでみんな集めて
打ち上げやったんだよ

揚羽渚沙

みんな？

揚羽凛太郎

俺と奏星と
龍也と姫川！

揚羽渚沙

はい！はい！

揚羽凛太郎

で、結局みんな
ウチに泊まったんだけど

揚羽渚沙

と、泊まった！？

渚沙は目を見開いて驚く

揚羽凛太郎

（あ、やば・・・）

揚羽凛太郎

（言っちゃまずかった？）

揚羽渚沙

ま、まぁいいわ・・

揚羽渚沙

それで？

揚羽凛太郎

あ、ああ・・・

揚羽凛太郎

その泊まりってのが
急に決まったから

揚羽凛太郎

奏星と姫川が
着替えを持ってきて
なくってさ

揚羽渚沙

あ〜！はいはい！

揚羽渚沙

服を貸したって事？

揚羽凛太郎

あ、うん・・・

揚羽凛太郎

ごめん・・勝手に

揚羽渚沙

いや！いや！
それだったらいいわ！

揚羽渚沙

なんだぁ。
服を貸しただけかぁ

揚羽渚沙

てっきりアンタに
女装の趣味が
あるのかと思った

揚羽凛太郎

ちげーよ！

揚羽渚沙

なら安心したわ

揚羽渚沙

というか母親が
家に居ないからって

揚羽渚沙

アンタねぇ・・・

揚羽凛太郎

しょうがねーだろ

揚羽凛太郎

俺以外のみんなが
俺ん家に泊まる気
マンマンだったんだから

揚羽渚沙

そんな事
言っちゃって

揚羽渚沙

ただ奏星ちゃんと
一緒に居たかった
だけなんじゃないの？

揚羽凛太郎

うるせーなぁ

街ブラを楽しんだ奏星と美咲は笑顔で帰宅路を歩いていた

姫川美咲

あー！楽しかった！

姫川美咲

やっぱ奏星
歌うまいよね

姫川美咲

バンバン90点代
叩き出すもんね

日向奏星

そんな事ないってば

姫川美咲

また行こうね！

姫川美咲

また奏星の歌
聞かせてよ♫

日向奏星

うん♫

姫川美咲

じゃあ私こっちだから

日向奏星

うん！今日楽しかった！

日向奏星

またね！美咲！

姫川美咲

うん！またね！

奏星と美咲は互いに手を振り笑顔でそれぞれの帰宅路に別れた

帰宅路を歩く奏星の背後から名前を呼ぶ声が聞こえる

眞琴杏樹

あの・・・

眞琴杏樹

日向奏星さんですよね？

日向奏星

ん？

自分の名前を呼ぶ声が聞こえ背後に振り向く奏星

日向奏星

はい、そうですけど・・

日向奏星

どちら様ですか？

眞琴杏樹

私・・眞琴杏樹って言います

日向奏星

眞琴・・杏樹？

日向奏星

（どこかで聞いた名前）

日向奏星

眞琴さん？

日向奏星

あの・・何か用ですか？

眞琴杏樹

単刀直入に言います！

眞琴杏樹

先輩に近づかないで！

日向奏星

はい？先輩？

日向奏星

あの・・何の話ですか？

眞琴杏樹

私の揚羽先輩に
近づかないで！って
言ってるの！

日向奏星

揚羽先輩？

日向奏星

（あっ！思い出した！）

日向奏星

（たしか眞琴杏樹って）

日向奏星

（中学生の頃
凛くんのストーキングを
してたって言う・・・）

日向奏星

あの・・意味がわかりません

日向奏星

近づかないでって
どういう意味ですか？

眞琴杏樹

まんまの意味です

眞琴杏樹

先輩は私の彼氏だから

眞琴杏樹

日向さんは邪魔なんです

日向奏星

彼氏？

日向奏星

いや、凛くんは
私の彼氏ですよ？

眞琴杏樹

凛くんなんて気安く
呼ばないでください！

日向奏星

はぁ？別に彼氏なんだし
そう呼んだって別に──

眞琴杏樹

どうせ先輩を
騙して弄んで

眞琴杏樹

彼女気取ってる
だけでしょ？

日向奏星

（何？この人・・・）

日向奏星

あの、すいません

日向奏星

迷惑なんで
やめてください

日向奏星

失礼します

奏星は杏樹を無視してその場を立ち去ろうとする

眞琴杏樹

待ちなさいよ！

そんな奏星の腕を杏樹が引っ張る

日向奏星

ちょっと！
何なんですか？

日向奏星

やめてください！

眞琴杏樹

今ここで！先輩に
近づかないって
約束してよ！

日向奏星

近づくも何も
私は恋人同士なの！

日向奏星

あなたにとやかく
言わられる筋合い
ないですよね？

日向奏星

迷惑ですから
やめてください！

眞琴杏樹

だから先輩は──

日向奏星

凛くんは私の事
愛してるって言ってくれたし

日向奏星

ずっと一緒に
居たいって
言ってくれました

日向奏星

私も同じ気持ちです！

日向奏星

私たちの邪魔しないで！

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

帰りますから！

日向奏星

それじゃ！

眞琴杏樹

綾星ちゃん・・・

日向奏星

え？

その場を立ち去ろうとする奏星だったが

杏樹の口から綾星の名前が出てきた瞬間足を止めて振り返る

日向奏星

なんで綾星の名前を
あなたが？

眞琴杏樹

可愛い妹さんですね

日向奏星

綾星に何かするつもり？

日向奏星

だとしたら許さない！

眞琴杏樹

確かこの先の公園で
泣いてたような
気がするなぁ

日向奏星

まさか！！！

奏星は心の片隅に不安を感じながら公園へ向かって走る

日向奏星

綾星！！

奏星が公園へ着くとそこには大粒の涙を流しながら大泣きしている綾星の姿があった

日向綾星

うわぁぁぁぁん

日向奏星

大丈夫？綾星！

日向綾星

お姉ちゃぁぁぁん

綾星は奏星の姿を確認すると泣きながら胸に飛び込んで来た

日向奏星

何があったの？

日向綾星

あのね──

日向綾星

私がね──

日向綾星

友達と遊んでたらね──

日向綾星

いきなり知らない人にね──

日向綾星

背中押されてね──

日向綾星

ぐすっ・・・

日向奏星

背中を？

日向奏星

（まさか・・・）

眞琴杏樹

あらら・・・

眞琴杏樹

大丈夫ですか？

日向奏星

あなた！！！

日向綾星

うわぁぁぁぁん

日向綾星

この人が──

日向綾星

この人が私の事を──

日向奏星

やっぱりアナタなの？

日向奏星

こんな事して──

日向奏星

何が目的なの？

眞琴杏樹

だから言いましたよね？

眞琴杏樹

私の望みはただひとつ

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

先輩に近づかないで
ほしいだけです

日向奏星

その為だけに
こんな事するの？

日向奏星

おかしいんじゃない？

眞琴杏樹

おかしくなんか無いですよ

眞琴杏樹

私は先輩と
一緒になれれば

眞琴杏樹

他の奴らがどうなろうと
知った事じゃないですから

日向奏星

狂ってる・・・

眞琴杏樹

なんとでも言ってください

日向奏星

こんなの明らかに
傷害じゃない！

眞琴杏樹

警察に言いますか？

眞琴杏樹

ならその前に
もっと痛い思いを
させなくちゃ・・

日向綾星

うわぁぁぁぁん

日向奏星

綾星・・大丈夫だから

奏星は綾星を抱きしめて何度も頭を撫でる

眞琴杏樹

さぁ、どうします？

眞琴杏樹

先輩から離れてくれます？

眞琴杏樹

それとも、妹が
危険な目に遭ってでも
先輩と一緒に居たいですか？

日向奏星

（わ、私は・・・）

揚羽凛太郎

あれ？おかしいな

揚羽渚沙

どうかした？

揚羽凛太郎

いや、奏星との
LIMEなんだけど

揚羽凛太郎

今度一緒にカラオケ
行くって約束しててさ

揚羽凛太郎

いつにする？って
送って以来

揚羽凛太郎

返事がねーんだよ

揚羽凛太郎

いつもなら直ぐに
返事来んのに

揚羽渚沙

あんたが奏星ちゃんを
怒らせるような事
言ったんじゃないの？

揚羽凛太郎

何もしてねーよ！

揚羽渚沙

この前だって
デートだ中に

揚羽渚沙

他の人にお節介焼いて
怒らせたんでしょ？

揚羽渚沙

龍也くんから
聞いたわよ

揚羽凛太郎

龍也のヤツ・・
余計な事を！

揚羽渚沙

思い返してみなさいよ

揚羽渚沙

なんか傷つける言葉
言った記憶ない？

揚羽凛太郎

うー・・・ん

揚羽凛太郎

まったく記憶にない

揚羽渚沙

まったく・・・

揚羽渚沙

その辺は全く
進歩してないわね

揚羽凛太郎

悪かったな！

揚羽凛太郎

（でもどうしたんだろ）

日向奏星

私が凛くんに
近づかなければ

日向奏星

綾星には何もしないの？

眞琴杏樹

はい！もちろん！

眞琴杏樹

この場で──

眞琴杏樹

先輩の連絡先を消して──

眞琴杏樹

先輩とは別れるって
私に約束して──

眞琴杏樹

金輪際先輩に
関わらないって
約束してくれれば

眞琴杏樹

私からは何もしません

日向奏星

・・・・・

日向綾星

お姉ちゃん？

日向綾星

揚羽お兄ちゃんと
別れちゃうの？

日向奏星

綾星は黙ってて！！

日向綾星

お姉ちゃん・・・

眞琴杏樹

妹さんをそんな怒鳴ったら
可哀想じゃないですか

眞琴杏樹

お姉ちゃん怖いねぇ

杏樹が綾星の頭を撫でようとする

日向奏星

綾星に触れないで！

眞琴杏樹

失礼ですね！
まだ何もしませんよ

眞琴杏樹

「まだ」ね・・・

眞琴杏樹

ふふふ

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

で？どうします？

日向奏星

・・そく・る

眞琴杏樹

はい？聞こえませんよ？

眞琴杏樹

濁さないで
ハッキリ言ってください

日向奏星

約束・・する

日向奏星

も、もう凛くんには
関わらないから・・

日向奏星

だから・・・

眞琴杏樹

そうです！そうです！

眞琴杏樹

やっと分かって
くれましたか！

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

そうですよね！

眞琴杏樹

他人と実の妹を
天秤にかけたら

眞琴杏樹

そりゃ妹をとりますよね

日向奏星

卑怯だよ・・

日向奏星

こんなの・・・

眞琴杏樹

何とでも言ってください

眞琴杏樹

まぁ、今となっては
アンタなんか
眼中にないんだけど

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

じゃあ、スマホ
貸してください！

眞琴杏樹

先輩の連絡先消しますから

日向奏星

じ、自分でする・・・

眞琴杏樹

そうですか？

眞琴杏樹

ふふふ

眞琴杏樹

ならお願いします♫

日向奏星

これで文句ないでしょ？

奏星は杏樹に言われたようにスマホから凛太郎の連絡先を消去した

眞琴杏樹

オッケー♫オッケー♫

眞琴杏樹

これでアンタは
先輩とはなんの関係もない
ただのクラスメイトですね

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

ホントは先輩の視界に
入るのもやめて欲しいけど

眞琴杏樹

まぁ、クラスメイトだし

眞琴杏樹

それは無理だろうから

眞琴杏樹

そこは勘弁してあげますね♫

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

じゃあ私はこれで
帰りますね！

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

あっ、あと
もし仮に約束破って

眞琴杏樹

先輩に近づいたりしたら

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

私──

眞琴杏樹

妹さんの事──

眞琴杏樹

殺しちゃうかも♫

日向綾星

えっ！？

殺すと言う言葉に呼応するように綾星の体が小刻みに震える

日向奏星

大丈夫・・・

日向奏星

約束は守るから・・・

眞琴杏樹

その言葉聞けて
安心しました

眞琴杏樹

じゃ！さようなら！

杏樹は満足げな表情を浮かべながら公園を後にした

日向綾星

お姉ちゃん？

日向綾星

揚羽お兄ちゃんと
別れたりしないよね？

日向綾星

大丈夫だよね？

日向奏星

綾星・・・

奏星は目に涙を浮かべながら綾星を抱きしめる

日向奏星

大丈夫だから・・・

日向奏星

綾星は何も
心配しなくていいから・・

日向綾星

お姉ちゃん・・・

日向奏星

（ごめんね・・凛くん）

日向奏星

（やっぱり私は
どこまで行っても
弱虫のままだよ・・）

揚羽凛太郎

あぁぁぁぁ

揚羽凛太郎

なんか心配になってきた

揚羽凛太郎

全然連絡帰ってこない

凛太郎は相変わらず奏星からのLIMEの返事が帰ってこない事に不安を感じていた

揚羽凛太郎

やっぱ俺・・・
知らず知らずの内に

揚羽凛太郎

奏星の事を
傷つけちゃったのかな？

揚羽凛太郎

やっぱ電話してみるか

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

やっぱキモいかな？

揚羽凛太郎

いや！仮に俺が
傷つけたんなら

揚羽凛太郎

謝らなきゃだしな！

揚羽凛太郎

電話すっか！

凛太郎はスマホ連絡帳の奏星の欄をタップし電話をかける

プルルルル

静かな薄暗い部屋でスマホの着信音だけが響き渡る

日向奏星

・・・・・

奏星は目から流れる涙を手で拭いスマホのディスプレイを確認する

スマホの画面には登録していない番号が表示されていた

日向奏星

（たぶん凛くんからだ・・）

日向奏星

（私がLIMEの返事を
全然返さないから）

日向奏星

（心配して電話してきて
くれたんだ・・・）

日向奏星

（でも、今電話に出ちゃったら）

日向奏星

（綾星が眞琴って子に
何されるか・・・）

日向奏星

（ごめん・・凛くん・・）

日向奏星

（私・・電話に出れない・・）

日向奏星

（凛くん・・・）

日向奏星

（私・・どうすればいいの？）

日向奏星

（助けてよ・・凛くん）

揚羽凛太郎

やっぱ出ない・・・

揚羽凛太郎

こんな事今まで
無かったのに・・

揚羽凛太郎

ちょっと姫川に
聞いてみるか

揚羽凛太郎

奏星、姫川になら
なんか話してるかも

凛太郎は美咲に電話をする

姫川美咲

もしもし？
揚羽くん？

揚羽凛太郎

あっ、ごめん
こんな遅い時間に

姫川美咲

いや、いいんだけど

姫川美咲

どうしたの？

姫川美咲

揚羽くんが私に
電話してくるなんて
珍しいね？

姫川美咲

なんかあった？

揚羽凛太郎

奏星の事──

揚羽凛太郎

なんか聞いてない？

姫川美咲

奏星？

姫川美咲

奏星がどうかしたの？

揚羽凛太郎

実は今日さ──

揚羽凛太郎

奏星からLIMEの返事が
全然返ってこなくて

揚羽凛太郎

電話しても出ないんだ

姫川美咲

なにそれ？

姫川美咲

喧嘩でもした？

揚羽凛太郎

いや、それが全然
身に覚えがなくてさ

揚羽凛太郎

でも俺が気付いて
無いだけで

姫川美咲

知らないうちに奏星を
傷つけてるかも？って？

揚羽凛太郎

あ、あぁ・・

揚羽凛太郎

だから姫川になら
奏星、なんか相談とか
してねーかな？って思って

姫川美咲

今日奏星と街に
遊びに行ったけど

姫川美咲

そんな素振り
全然無かったよ？

揚羽凛太郎

え？まじで？

姫川美咲

うん！いつも通りの奏星
って感じだったよ？

揚羽凛太郎

じゃあ俺のせいじゃ
ねーのかな？

姫川美咲

まぁ、奏星だって
誰とも話したく無い日とか
あるんじゃない？

姫川美咲

あとは女の子の日って
可能性もあるけど

揚羽凛太郎

あっ、そういう
可能性もあるのか

姫川美咲

まぁ、私は奏星の
周期を知らないから
なんとも言えないけど

揚羽凛太郎

（でもそんな前触れもなく
急に来るもんなのかな？）

揚羽凛太郎

（流石に姫川に
聞くわけにはいかねーな）

姫川美咲

どうかした？

揚羽凛太郎

あ、いや・・・

姫川美咲

だから考え過ぎちゃ
ダメだと思うよ

揚羽凛太郎

俺もそう思うけどさ

揚羽凛太郎

前、デート中に
奏星を怒らせた事もあるし

揚羽凛太郎

なんか不安に
なって来ちゃってさ！

姫川美咲

心配なら私から
電話してあげよっか？

揚羽凛太郎

そうしてくれると
非常に助かる・・

姫川美咲

分かった！私から
電話してみるよ！

揚羽凛太郎

あ、あぁ・・・

姫川美咲

まったく
揚羽くんったら

姫川美咲

心配性なんだから

姫川美咲

どれどれ・・・

姫川美咲

奏星は出るかな？

美咲は奏星に電話をかけるがいくらコールしようとも奏星が出る気配がない

姫川美咲

うー・・・ん

姫川美咲

やっぱ出ないなぁ

姫川美咲

単純に寝落ちしてるとか
そんな理由だと思うけど

姫川美咲

とりとりあえず
揚羽くんに
連絡してみるか

揚羽凛太郎

やっぱ出ないか・・

姫川美咲

たぶん疲れて
寝てるだけだと思うよ

揚羽凛太郎

そうだと
良いんだけど・・・

姫川美咲

そんな心配なら明日
家に行ってみれば？

揚羽凛太郎

なんかそれストーカー
みたいじゃね？

姫川美咲

そうかなぁ？

揚羽凛太郎

まぁ、でも心配だし
明日様子見に行ってみるよ

揚羽凛太郎

悪いな遅い時間に！

揚羽凛太郎

色々協力
してもらって！

揚羽凛太郎

あとは俺で
なんとかするから！

姫川美咲

うん！

揚羽凛太郎

今日はありがとう

揚羽凛太郎

おやすみ！姫川！

姫川美咲

うん！おやすみ〜！

揚羽凛太郎

はぁ〜・・・

揚羽凛太郎

やっぱ俺の
考えすぎなのかな？

揚羽凛太郎

単純に寝てるだけかな？

揚羽凛太郎

でもなんだろ・・・

揚羽凛太郎

なんかスゲー
不安なんだよな

揚羽凛太郎

なんか奏星が俺の前から
居なくなっちゃいそうな

揚羽凛太郎

そんな気がすんだよな・・

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

でもこうして
1人で考えてても
埒があかねーからな

揚羽凛太郎

明日行ってみるか

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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杏樹ちゃん、めっちゃ狂ってる…、話読んだらタイトルに納得した！

×××

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