啓一と満谷と別れた彰は 重い足取りで帰路についた
日下部彰
日下部千里
彰がリビングへ入ると 不安な表情をした 千里が小走りでやって来た
日下部彰
日下部彰
良かったのに・・・
日下部千里
日下部千里
日下部彰
日下部千里
大丈夫だったの?
日下部彰
日下部千里
大丈夫だったの?
日下部彰
気持ちやまやまなんだけど
日下部千里
日下部彰
日下部千里
千里は彰に 不安な眼差しを向ける
日下部彰
日下部彰
日下部彰
日下部千里
日下部彰
書いてあったから・・
日下部千里
日下部彰
日下部千里
日下部彰
彰は病院での出来事を 丁寧に千里に聞かせた
日下部千里
日下部千里
日下部千里
日下部彰
あげたかったんだけど
日下部彰
あったらって言う
河上くんの気持ちもわかるし
日下部千里
日下部彰
出来た部下だし
日下部彰
思ってたからさ・・
日下部千里
日下部彰
一緒だからさ
日下部彰
思うんだけど
日下部千里
日下部彰
日下部千里
行ってほしく無い
日下部彰
日下部千里
危ない目に
遭ったりしたら・・
日下部千里
日下部彰
日下部彰
日下部千里
日下部彰
河上くんの気持ちを
裏切る事になるし
日下部彰
日下部千里
日下部彰
見る前に死ねないよ
彰は千里のお腹を 優しく摩りながら言った
日下部千里
日下部彰
日下部彰
日下部千里
都内某所の雑居ビルの一室
薄暗い室内では 数名の男が密談していた
大丈夫なんですか?
指示が不服か?
言いませんが・・
クラブの未来を
考えての事で──
”ボス”が護ってくれる
突き止めたとしても
万に一つもあり得ない
”ボス”が付いてる
男の問いかけに 紺色のスーツに身を包んだ 中年男性が応える
近衛副総監
近衛副総監
GPS発信機を
付けているとは言え
近衛副総監
管理できる訳では無い
近衛副総監
伝えたのか?
ありません!
したと伝えました
近衛副総監
契約書のコピーを
取りに向かったのだろう
近衛副総監
感づかれるとは・・
近衛副総監
コピーを奪取できれば
問題はない
近衛副総監
先を越されたとしても
近衛副総監
そのコピーを私の元へ
持ってこさせる事も出来る!
近衛副総監
手に入れる方がいいと?
近衛副総監
加えて指示を出します
近衛副総監
日下部彰
彰はパ大きなあくびをしながら パジャマに着替えず ベッドに横たわる
日下部千里
日下部千里
日下部千里
日下部彰
日下部千里
日下部千里
すると思ってんの?
日下部彰
彰はうんざりした様子で 上着を脱ぐ
パサッ
彰が上着を脱ぐと同時に 内ポケットに入っていた 何かが床に落ちる
日下部千里
日下部彰
日下部千里
千里はうんざりした様子で 床に落ちた何かを拾う
日下部千里
床に落ちた何かを拾った千里 青ざめた顔で声を荒げる
日下部彰
変なもんでもあった?
日下部千里
千里は拾った”ソレ”を彰に見せる
日下部彰
日下部千里
日下部千里
日下部千里
持ってるの?
彰が脱いだ上着の 内ポケットに入っていたのは 警察手帳だった
日下部彰
日下部千里
彰は恐る恐る 警察手帳を開く
そこには──
巡査部長 満谷翼
そう記されていた
日下部彰
満谷さんのだ!
日下部千里
日下部千里
彰が言ってた警察官?
日下部彰
警察手帳を預かって
日下部彰
電話をしたんだよ
日下部千里
持って帰って
来ちゃったの?
日下部彰
日下部彰
日下部千里
日下部彰
日下部千里
どうすんのよ!
日下部彰
日下部彰
家に居るはずだから
日下部千里
日下部彰
彰が手早く上着を羽織り 玄関に向かおうとすると
ピンポーン
インターフォンか鳴り響く
日下部彰
日下部彰
日下部千里
さっき言ってた
満谷さんじゃない?
日下部彰
日下部千里
日下部彰
彰は玄関へ走り ドア開ける
日下部彰
日下部彰
しかしそこに立っていたのは 別の男だった
日下部彰
日下部彰
日下部彰
日下部彰
日下部彰
自分の家に居るんじゃ
ないでしょうか?
発信機が示してる
日下部彰
時間の無駄だ!
男は彰を押し退けて 無理やり部屋に入る
日下部彰
日下部彰
日下部千里
日下部千里
見知らぬ男性の突然の訪問に 驚きを隠せない千里
日下部彰
離れるんだ!
日下部千里
男は無言のまま 部屋を見渡し──
何処にいる?
日下部彰
何言ってんだ!
日下部彰
って言ってるだろ!
居るって事は
確かにこの家を
示してんだ!
日下部彰
日下部彰
警察手帳の事か?
彰は上着の内ポケットから 満谷の警察手帳を取り出す
持ってんだ?
日下部彰
日下部彰
彰には男の顔に見覚えがあった
日下部彰
偽警官だろ!!!
日下部彰
Dクラブの関係者!!
把握してやがったか
筒抜けって訳か
日下部彰
持ってるって言う
契約書のコピーか?
日下部彰
そう言うと男は懐から バタフライナイフを取り出して 不的な笑みを浮かべる
日下部彰
日下部彰
男の笑みから千里に 危険が迫っている事を 感じ取った彰は
日下部彰
「そいつから離れるんだ!」
彰がそう言いかける前に 男は千里の体を自分に抱き寄せる
日下部千里
日下部彰
日下部彰
日下部彰
日下部彰
俺1人の力でも──)
彰は足に力を入れて 男から千里を救い出そうとするが
男は薄ら笑いを浮かべながら バタフライナイフをくるくると回す
日下部彰
男は千里の首筋に バタフライナイフの刃先を押し当てる
日下部千里
喉笛掻っ捌くぜ?
千里はかつてない恐怖を 感じているせいか 潤んだ瞳でブルブルと震えている
日下部彰
日下部彰
日下部彰
コピーのはずだろ?
日下部彰
そんな物は無い!
どうかは、俺が決める
日下部千里
日下部彰
確かにお前が
言ったように
契約書のコピーで
日下部彰
千里を人質にする
必要なんて無いだろ?
ひとつ仕事をしてもらう
日下部彰
お前は河上の
上司かなんかだろ?
日下部彰
日下部彰
把握済みって事か?
日下部彰
河上が持ってるコピーを
俺の元へ持ってこい
日下部彰
そんな事を──
死んでもいいならな
日下部彰
日下部彰
犯罪集団だ・・・)
日下部彰
契約書のコピーを
取りに行ったりしたら)
日下部彰
担ぐことになる・・・)
日下部彰
日下部彰
千里を救えるなら・・・)
日下部彰
追って連絡する
日下部彰
男はそう言うと 千里を連れて玄関先へ歩いていく
日下部彰
日下部千里
日下部彰
日下部彰
日下部千里
日下部千里