銀河の孤独夢

パセリが消えたメイには、何も残っていなかった。

メイを慕っていた従業員もあまりの様変わりに恐怖し、未来を託すのを躊躇っている様子だった

パセリについて、2つの干渉による巨大な負荷に耐えられなくなった結果のショックﾀﾋ、という扱いになった。

ただ、パセリは命を落とした訳ではなく、植物状態の方が近い状態だそうだ

パセリの本来の体から魂が抜け、抜け殻となった。

パセリの意識、魂はあくまで「銀河」の方にあるが、この場所に居る者は誰1人その事を知らない

パセリのﾀﾋから2年が経つと、従業員からはパセリの記憶が薄れ、自然と「移住先を探す」方へとシフトする

呼吸が浅くなる

パセリの姿を見るやいなや、メイはパセリに向かって走り、抱きつきに行った。

子供の頃、メイはパセリの事が 家族として大好きで、 その想いは未だに変わっていなかった

パセリがそう言うと、メイは頭を撫でられた

甘える相手すら失ったのだ、

｢冥｣は、孤独だ

落ちてしまえば、あまりに一瞬の出来事だった

繋いだ手は直ぐに離され、互いに向かって伸ばされた腕はふらふらと宇宙を漂って、二度と繋がれることは無いと悟る

息が途端に苦しくなって、次に身体から感覚が抜け落ちていった

苦しそうにもがくパセリとは違い、ハデスは受け入れるかのように目を閉じていた。

一言も発しないまま、ハデスは宇宙の中を永遠に漂うことになるだろう

とっくに崩れた肉塊を眺めて、最初で最後の「分裂」を迎えよう

心だけは、通じ合うことを祈って、

「まもなく、目的地へと到着します。」

危険を避けるため、座席にお座り下さい 認証が完了次第、シートベルトが現れます、そちらをお締めになり、衝撃に備えてください。

あの日から、6年の月日が流れた。

たった3年ほどだった「冥の孤独を埋めた時間」は、孤独の主作用になって、心の中を徐々に黒く染めた

「惑星K」

地球と似た星、銀河との融合により、奇跡的に誕生した、太陽は付近にないが、星そのものの熱が比較的人にとってちょうど良いくらいとなっているため、問題は少ないと言える

人類は、確かに星を移そうとしていた。

私は呪われているの、とユメが叫ぶ

ユメが舌打ちをし、リョウタに殴りかかろうとするが、リョウタの身体を腕がすり抜けて、腕は空を切った。

ユメは、どこか駄々をこねる子供のようだった。

｢着陸を開始します｣ ｢スリー、ツー、ワン…｣

機械音声がそう発し、惑星Kへと着陸した。

冥は、永遠に孤独である

全てを失った冥は、第2の住処で「開拓」を続けることになるだろう。

「邪神」なんだよ。

to be continued