斎藤
俺、生まれつき
鼻が回るんだ。
鼻が回るんだ。
ト書き
(ゆっくりと鼻を
回しはじめる斎藤)
回しはじめる斎藤)
ト書き
(鼻の穴が右 上 左 ときて
元に戻る。)
元に戻る。)
友人
どうなっているのだ?
友人
何故回る?なぜ
皮膚がちぎれない?
皮膚がちぎれない?
斎藤
知らない。だが
回るものは回る。
回るものは回る。
友人
凄いな。
斎藤
今のは序の口だ。
もっと凄いのを
見せてやる。
もっと凄いのを
見せてやる。
ト書き
『 ぶいーーーーーん…』
友人
おおう!高速回転!
風が…かすかに風が。
風が…かすかに風が。
斎藤
今日は調子が良いな。
よし、とっておきのを
見せてやろう。
よし、とっておきのを
見せてやろう。
ト書き
(斎藤 ポケットから
竹とんぼを取り出す。)
竹とんぼを取り出す。)
ト書き
スチャッ。
ト書き
(斎藤 竹とんぼを
鼻に装着して
顔を真上に向ける。)
鼻に装着して
顔を真上に向ける。)
友人
おい、まさか…
ト書き
バラバラバラバラ
バラバラバラバラ
ふわっ…
バラバラバラバラ
ふわっ…
友人
浮いたーーーーー!!
友人
斎藤凄えよ!
お前マジ凄え!
お前マジ凄え!
斎藤
じゃ、ちょっと飛ぶわ。
ト書き
(数分間 友人の上を
飛び回る斎藤)
飛び回る斎藤)
ト書き
バラバラバラバラ
バラバラ…バラ…
スタッ。
バラバラ…バラ…
スタッ。
斎藤
ぜえ、ぜえ、ぜえ…
ト書き
(着地した斎藤は
膝に手を当て肩で大きく
息をしている。)
膝に手を当て肩で大きく
息をしている。)
友人
凄いじゃないか!
友人
正直羨ましいぞ!
自由に空飛べるなんて
自由に空飛べるなんて
友人
なあ、
友人
一体どんな気分なんだ?
ト書き
(齋藤 疲れきった様子で
友人をちらと見る)
友人をちらと見る)
斎藤
風が物凄いから
斎藤
目を開けてられない。
斎藤
無理して一瞬だけ目を
開けても
開けても
斎藤
上向いてるから
斎藤
空しか見えない。
斎藤
結論から言うと…
友人
……。
斎藤
ただやみくもに
斎藤
疲れるだけだ。