はじめに
この作品は
私が以前連載していた作品
お節介アゲハと 弱虫ヒナタ
この作品の 続編、スピンオフのような 作品となっております
前作をお読みいただければ 今作をより楽しめると思います
全41話という 結構な話数の長編となっていますが 決して裏切らないストーリーだと 自負しておりますので
もしよろしければ 前作をお読みになった後に 今作に戻って来ていただくと 嬉しく思います
では──
お節介アゲハと 弱虫ヒナタ 〜アルメリア〜
お楽しみください
鮎屋百貨店 レストラン
先輩
先輩
先輩
あがっていいよ!
眞琴杏樹
残業できますけど?
先輩
先輩
先輩
気にしなくていいから
先輩
眞琴杏樹
眞琴杏樹
お先にあがります・・
先輩
頑張りなね?
眞琴杏樹
杏樹が外へ出ると 車が一台近づいてきた
その車から一人の男が降りて 杏樹に話しかける
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
杏樹は笑顔で 鮎原が運転する車の 助手席に乗る
眞琴杏樹
眞琴杏樹
送ってもらっちゃって
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
申し訳ないです・・
眞琴杏樹
ガソリン代受け取って
もらえませんか?
鮎原透
言ってるだろ?
眞琴杏樹
鮎原透
気にすんなって!
鮎原透
わざわざ遠回りしてる
訳じゃないんだから!
鮎原透
払うくらいなら
鮎原透
買ってあげなよ
眞琴杏樹
杏樹は納得したような しないような複雑な心境になり 困惑した表情をする
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
ドライブ付き合ってよ
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
明るくなったね?
眞琴杏樹
鮎原透
同窓会に行って
揚羽に会ったろ?
眞琴杏樹
鮎原透
明るくなったよ!
杏樹ちゃん!
眞琴杏樹
無いと思いますよ
眞琴杏樹
鮎原透
季節は4月 杏樹と透は4年生となり
卒業まで残すところ 後1年となっていた
しかし杏樹は相変わらず 透に想いを伝えれずにいた
同窓会の会場で 奏星と美咲に背中を押されたが
やはり、中学生の頃しでかした 凛太郎へのストーキング
そして奏星や綾星を巻き込んだ 例の監禁騒動が脳裏をよぎり
気持ちを伝える事が出来ずにいた
透もまた、杏樹の気持ちに 気づいてはいるが
中学生の頃に一人の後輩を 自殺未遂に追い込んでしまった事
そして龍也や美咲を巻き込んだ 例の一件が頭をよぎり 気持ちを受け入れる事が 出来ずにいた
そんな時、透は 父親であり社長である拓郎から 社長室に呼び出されていた
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
人材育成にも
鮎原拓郎
決定してな!
鮎原拓郎
ゴールデンウィーク期間に
鮎原拓郎
向かわせる事にしたんだ
鮎原透
杏樹ちゃんですか?
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原拓郎
起きる事なく卒業出来れば
鮎原拓郎
勘当を取り消す
鮎原透
鮎原拓郎
卒業した後も
鮎原拓郎
言ってくれている
鮎原拓郎
背負って立つ若者を
育成したいんだよ
鮎原透
鮎原拓郎
強制では無い
鮎原拓郎
もちろん強制だがな
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
行きたく無いと言うなら
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原透
杏樹ちゃんに話しますよ
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原透
長野県紅葉学園高校 定時制棟
教室では杏樹が クラスメイトである 虹山愛莉(にじやまあいり)と
葛城絵里香(かつらぎえりか)の3名で 楽しげに談笑していた
虹山愛莉
眞琴杏樹
虹山愛莉
一緒に登校してるよね?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
虹山愛莉
訳じゃないんだけど
虹山愛莉
付き合ってるのかなって
眞琴杏樹
関係じゃ無いよ
葛城絵里香
眞琴杏樹
葛城絵里香
こうも毎日一緒に
登校してんの?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
だから一緒にって・・
虹山愛莉
それだけの理由で
虹山愛莉
眞琴杏樹
ガラガラ
杏樹がクラスメイトの言葉に 困惑していると 透が教室に入ってきた
眞琴杏樹
鮎原透
虹山愛莉
葛城絵里香
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
話したい事があってさ
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
来てくれる?
眞琴杏樹
葛城絵里香
分かりやすく過ぎ
虹山愛莉
虹山愛莉
鮎原さんの事好きだよね
虹山愛莉
否定するんだろ?
虹山愛莉
葛城絵里香
あったらしいよ
虹山愛莉
葛城絵里香
詳しくは知らないけど
葛城絵里香
教えてくれないんだよね
虹山愛莉
聞こうとするな!
虹山愛莉
無い過去のひとつや
ふたつあるっしょ!
葛城絵里香
そうだけどさ・・
眞琴杏樹
杏樹は透の口から鮎屋本店での 研修の話を聞かされた
鮎原透
鮎原透
鮎原透
あるらしいんだ
眞琴杏樹
学校も休みですもんね
眞琴杏樹
アルバイトですよね?
眞琴杏樹
研修ってあるんですか?
鮎原透
アルバイトの
人材育成にまで
鮎原透
鮎原透
急遽決まったらしいんだ
眞琴杏樹
鮎原透
本店にふたりの人間を
向かわせたいらしくて
鮎原透
俺と杏樹ちゃんの名前が
あがってんだよね
眞琴杏樹
眞琴杏樹
社長の息子さんですし
眞琴杏樹
分かりますけど
鮎原透
杏樹ちゃんは特に
よく働いてくれてるし
鮎原透
働きたいって言ってたろ?
眞琴杏樹
鮎原透
たったって
感じみてぇなんだ
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
聞くんですか?
鮎原透
眞琴杏樹
言わないのに
鮎原透
鮎原透
揚羽やら和久井が
住んでる霞町駅だし
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
ありがとうございます
眞琴杏樹
眞琴杏樹
同窓会に連れて
行ってもらった時に
眞琴杏樹
和解的なの、出来ましたから
鮎原透
鮎原透
社長に話して大丈夫?
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
鮎原透
友達と話してたのに
邪魔しちまって
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
それから数日後
本店研修を数日後に控えた頃 とある問題が発生していた
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原透
出来ないんですか?
鮎原拓郎
問い合わせてみたんだが
鮎原拓郎
どこのホテルも満室でな
鮎原拓郎
鮎原透
何やってるんですか
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原透
宿泊するホテルの部屋が
鮎原透
同じ部屋なんて!
鮎原透
なんて言えば・・・
鮎原拓郎
私からも前もって
言ってあったんだがな
鮎原透
鮎原拓郎
出勤したらココに来るように
伝えてあるから
鮎原拓郎
眞琴さんが出勤してから
詳しく話し合おう
鮎原透
その後、出勤してきた杏樹に 拓郎の口から事情が説明された
眞琴杏樹
鮎原拓郎
深々と頭を下げる拓郎
眞琴杏樹
やめてくださいよ!
眞琴杏樹
鮎原拓郎
私の監督不行届だ
鮎原拓郎
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
起きちまったから
鮎原透
一旦白紙に戻す事に──
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
同じ部屋でも構いませんよ
鮎原透
杏樹ちゃん!!
鮎原拓郎
眞琴杏樹
眞琴杏樹
変な事するつもり
なんですか?
鮎原透
鮎原透
してる時じゃ──
眞琴杏樹
眞琴杏樹
勉強したいんです
鮎原拓郎
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
出来るように
なりたいんです!
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
社長さん!
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
お願いします
透は拓郎に深々と頭を下げる
鮎原拓郎
鮎原透
考えてくれてるんです
杏樹ちゃんは!
眞琴杏樹
鮎原透
更に大きくなる為には
鮎原透
鮎原透
育成は必須だと思います
鮎原拓郎
鮎原拓郎
そんな言葉が聞けるとはな
鮎原透
気持ちを尊重したいんです
鮎原透
どうか!お願いします!
眞琴杏樹
拓郎に深々と頭を下げる 杏樹と透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
身の安全を第一に
考えなくてはならない
鮎原拓郎
こんなに考えてくれている
君達の気持ちを
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
話をしておく
眞琴杏樹
鮎原拓郎
拓郎は真剣な眼差しで 透を見つめる
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
手なんか出すなよ?
鮎原透
何言ってるんですか!
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原拓郎
鮎原拓郎
そこまで言うなら
信じよう
休憩中
透は厨房奥の休憩スペースで タバコを吸っていた
鮎原透
そこに菓子パンと コーヒーを手にした 杏樹が入ってきた
眞琴杏樹
鮎原透
今休憩?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
タバコ休憩ですか?
鮎原透
鮎原透
れっきとした休憩時間だよ
鮎原透
休憩時間中しか
吸わねーよ
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
またパンか?
鮎原透
食べればいいのに
眞琴杏樹
高いんですもん
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
すいません
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
鮎原透
鮎原透
よかったんだよ?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹
したらダメですよ?
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏里
杏樹は、母である杏里に 本店での研修の件を説明していた
眞琴杏樹
人材育成の為の
研修なんだってさ
眞琴杏里
研修があるなんて
眞琴杏里
眞琴杏樹
言ったんだけど
眞琴杏樹
眞琴杏里
お母さん言わないわよ
眞琴杏里
眞琴杏里
眞琴杏里
滅多に無いわよ?
眞琴杏樹
眞琴杏里
あの霞町駅に行くのよね?
眞琴杏樹
眞琴杏里
眞琴杏里
その、凛太郎くんや
奏星さんがいるんでしょう?
眞琴杏樹
心配性なんだから
眞琴杏樹
眞琴杏樹
和解できたって
眞琴杏里
眞琴杏樹
眞琴杏樹
心配しなくていいから
眞琴杏樹
眞琴杏里
眞琴杏里
どこかに泊まるの?
眞琴杏樹
前もって予約してくれた
ホテルに泊まるの
眞琴杏樹
会社持ちらしいよ
眞琴杏里
鮎屋は凄いわね
眞琴杏里
一緒に行くのよね?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
心細かったんだけど
眞琴杏里
安心ね!
眞琴杏樹
眞琴杏里
いらないわよ
眞琴杏里
眞琴杏樹
眞琴杏里
元気になってくれたわね)
眞琴杏里
渚沙さんや志津香さんの
おかげで修復できたし)
眞琴杏里
眞琴杏樹
眞琴杏里
眞琴杏樹
眞琴杏里
楽しそうなのが
嬉しいのよ
眞琴杏樹
眞琴杏樹
それから数日経過し
ゴールデンウィーク
人酔いしそうになる程に ごった返す人ごみをかき分け 杏樹と透は駅に降り立った
霞町駅
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
ゴールデンウィークだからな
鮎原透
鮎原透
仕事してる俺らって
鮎原透
眞琴杏樹
眞琴杏樹
眞琴杏樹
仕方ないですよね
眞琴杏樹
眞琴杏樹
あって無いような
もんですからね
鮎原透
眞琴杏樹
大丈夫ですか?
鮎原透
透は腕時計で 時間を確認する
鮎原透
眞琴杏樹
迷惑ですよね?
鮎原透
鮎原透
腹ごしらえでもするか?
眞琴杏樹
眞琴杏樹
鮎原透
眞琴杏樹