テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

第2話 - 再会

222

2023年01月05日

#ドラマ

#青春恋愛

#高校生

#一次創作

×××

鮎屋百貨店本店第3研修室

研修室には研修対象者が集められ人事の人間からの説明の場が設けられてらいた

人事

以上の理由から
今回の研修が
決定いたしました

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

どうした？

眞琴杏樹

話が難し過ぎます

眞琴杏樹

レベルが違い過ぎて
ついていけません

眞琴杏樹

ど、どうしたら・・

眞琴杏樹

やっぱり私にはまだ
早かったのかな・・

鮎原透

まぁ、後から俺が
分かりやすく
教えてやるから！な？

眞琴杏樹

は、はい・・・

人事

で、ここからは
今期入社した新入社員も

人事

同時に研修に
参加してもらう

人事

入ってきなさい

人事の言葉と共にドアが開き一人の女性が入ってくる

眞琴杏樹

あっ！！

その女性は杏樹がよく知る人物だった

日向奏星

研修に参加させて
いただきます

日向奏星

日向奏星と言います

日向奏星

よろしくお願いします

眞琴杏樹

奏星さん！？

日向奏星

え！？もしかして
杏樹ちゃん？？

日向奏星

なんで杏樹ちゃんが──

人事

ゴホン！

人事

知り合いなのかも
しれないが

人事

今は研修中だ

人事

積もる話は
後にしてもらえるかな？

日向奏星

あっ、申し訳ありません

眞琴杏樹

すいません

鮎原透

（ホテルの手配も
まともに出来ねー
ぽんこつ人事が）

鮎原透

（なに偉そうに
ほざいでんだよ！クソ！）

鮎原透

（俺・・こいつの事
すでに嫌いだわ）

透は人事に静かに敵意をむき出していた

休憩所

一通りの講義を終えた一同は休憩所にて、久々の再会に胸を躍らせていた

日向奏星

久しぶりね！
杏樹ちゃん！

眞琴杏樹

お久しぶりです！

眞琴杏樹

奏星さん！！

日向奏星

まさかこんなトコで
会えるなんて！

眞琴杏樹

私も驚きましたよ！

日向奏星

確か杏樹ちゃんは
来年卒業だったよね？

眞琴杏樹

はい！やっとですよ！

日向奏星

仕事しながら
頑張ってんだね！
尊敬するよ

眞琴杏樹

えへへ、そんな事
ないですよ・・

眞琴杏樹

あっ！それはそうと
先輩とはどうなんですか？

眞琴杏樹

確か同棲
してるんですよね？

日向奏星

もう、だらしなくて
ホント困ってんだよね

日向奏星

脱いだ服はそのままだし

日向奏星

朝なんて私が起こして
あげなかったら

日向奏星

永遠に寝てるんだよ？

日向奏星

ホント困っちゃう

眞琴杏樹

ふふふ

眞琴杏樹

幸せそうですね

日向奏星

ま、まぁ、ね

日向奏星

幸せだよ♫

日向奏星

てか私のことより
鮎原さんとはどうなの？

日向奏星

あの日からなんか
進展あったの？

眞琴杏樹

実はそれが全然で・・

日向奏星

もう！何してんの！

日向奏星

早くしなきゃ
誰かに先越されちゃうよ？

眞琴杏樹

分かってるんですけど

眞琴杏樹

やっぱりまだ昔の事を
完全に克服出来てなくて

日向奏星

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

その、罪悪感とかは
みなさんのおかげで
無くなったんですけど

眞琴杏樹

でも私・・また
相手の気持ちを無視して
暴走しそうで・・

眞琴杏樹

そう考えちゃったら

眞琴杏樹

想いを伝えるのが
怖くなっちゃって

眞琴杏樹

未だに伝えるのを
躊躇っちゃうんですよ

日向奏星

まぁ、それは
時間をかけて
慣れるしか無いよ

日向奏星

私にも何か協力
出来る事があれば

日向奏星

何でも協力するから

日向奏星

遠慮なく言ってね？

眞琴杏樹

奏星さん・・・

眞琴杏樹

ありがとうございます

日向奏星

てか鮎原さんは？

日向奏星

さっきから
姿が見えないけど

眞琴杏樹

タバコですよ！タバコ！

日向奏星

ああ、タバコね

眞琴杏樹

いっつもスパスパ
やってるんですよ

眞琴杏樹

もうあれは
依存症ですよ！依存症！

鮎原透

依存症で悪かったな

眞琴杏樹

あら？聞こえちゃいました？

鮎原透

まぁ、実際に
依存してっからな

鮎原透

でも依存してんのは──

眞琴杏樹

鮎原さんの脳でしたよね？

鮎原透

う・・・

眞琴杏樹

いつも言ってますもんね？

鮎原透

い、いつもは
言ってねーよ

眞琴杏樹

嘘ばっかり！

日向奏星

ふふふ

夕方

杏樹、透、奏星の3名はやっと研修か解放された事で安堵に満ちた表情をしていた

眞琴杏樹

なんかずっと話を
聞いてるだけでしたね

眞琴杏樹

ちょっと退屈でした

鮎原透

まったくだぜ

鮎原透

あんなマニュアル通りの
テンプレ説明ばっかで

鮎原透

良い加減飽き飽き
って感じだったよな

眞琴杏樹

こら！こら！鮎原さん？

鮎原透

まぁ、明日からは
実際にホールに立てる
らしいからな

鮎原透

今日よりはいくらか
マシだろうけど！

眞琴杏樹

まぁ、確かにそれは
同感ですね・・・

日向奏星

2人はこの後って
予定とかあるの？

眞琴杏樹

予定ですか？

眞琴杏樹

特に決めてませんけど

眞琴杏樹

どうします？鮎原さん

鮎原透

まぁ、どっかで
適当に飯食って
ホテルかなぁ

日向奏星

だったら、この後
みんなでご飯
いきません？

眞琴杏樹

あっ！いいですね！

日向奏星

今日は凛太郎も
仕事休みだから

日向奏星

一緒にどう？

眞琴杏樹

先輩も来るんですか？

鮎原透

嬉しそうだな？

眞琴杏樹

あ、いや、別に
そんな事ないですよ？

鮎原透

ふー・・ん

日向奏星

ふふふ

日向奏星

ならこの後
ご飯でOKですか？

眞琴杏樹

はい！もちろんです

揚羽凛太郎

外で飯食おうなんて
めずらしいな？

日向奏星

だって今日研修だったし
疲れたんだもん

日向奏星

たまには良いでしょ？

揚羽凛太郎

俺外食より奏星の
手料理の方がいいんだけど

日向奏星

毎日毎日私ばっか
作るの大変なんだもん

日向奏星

ならたまには凛太郎が
晩御飯作ってくれる？

揚羽凛太郎

やっぱ奏星もたまには
休まないとな！

揚羽凛太郎

そうだよな！うん！

揚羽凛太郎

外食！いいじゃん！

日向奏星

まったく・・・

日向奏星

それに今日は
サプライズな
ゲストも居るんだよ？

揚羽凛太郎

ゲスト？

揚羽凛太郎

誰だよゲストって

揚羽凛太郎

龍也とか？

日向奏星

それはお店に
着いてのお楽しみよ

揚羽凛太郎

なんだよそれ・・

日向奏星

あっ！居た！居た！

日向奏星

凛太郎連れてきたよー！

揚羽凛太郎

ん？

揚羽凛太郎

あれは・・・

眞琴杏樹

揚羽先輩・・・

揚羽凛太郎

ま、眞琴！？

揚羽凛太郎

久しぶりだなぁ！

眞琴杏樹

お、お久しぶりです

揚羽凛太郎

それに・・・

鮎原透

どうも！

揚羽凛太郎

鮎原さん・・・

揚羽凛太郎

どうも・・お久しぶりです

鮎原透

まぁ、お前とは
あんま話した事無かったから

鮎原透

ほとんど印象には
残ってねーと思うけど

揚羽凛太郎

まぁ、正直言うと
そうっスね・・あはは

日向奏星

正直に言わないの！

奏星が凛太郎の頭を平手打ちする

揚羽凛太郎

ちょ、叩くなよな！

日向奏星

失礼な事言わないの

揚羽凛太郎

はい・・すいません

眞琴杏樹

ぷっ

揚羽凛太郎

何笑ってんだよ！眞琴！

眞琴杏樹

なんか奏星さんの
尻にひかれてる
なぁって・・

揚羽凛太郎

そ、そんな事ねーし

鮎原透

いや、今の感じじゃ
そう感じたぜ？

揚羽凛太郎

う・・・

日向奏星

さっさと行くよ！ホラ！

うなだれる凛太郎を奏星が店の中へ通しやる

4人は久方ぶりの再会を喜びながら楽しく食事を楽しむ

揚羽凛太郎

てか何で眞琴と
鮎原さんが
奏星と一緒に？

揚羽凛太郎

いつの間に連絡先
交換してたんだ？

眞琴杏樹

わたし今、鮎屋の
レストランで
バイトしてるんですよ

揚羽凛太郎

あ、そうだったの？

日向奏星

ホラ！凛太郎覚えてる？

日向奏星

修学旅行で長野に
行った時に

日向奏星

吹雪でスキーが中止に
なった事あったじゃん！

揚羽凛太郎

ああ、あったな！
懐かしいなぁ

日向奏星

その時にさ、鮎屋の
レストランで

日向奏星

社長さんにご馳走
してもらったでしょ？

揚羽凛太郎

うんうん、あったね

日向奏星

杏樹ちゃんね・・
そのレストランで
バイトしてるんだって

揚羽凛太郎

あっ！あそこか！

揚羽凛太郎

て事は眞琴はいま
長野に住んでるって事？

眞琴杏樹

はい・・・

眞琴杏樹

あの日以来、お母さんと
長野に引っ越して

眞琴杏樹

長野の定時制高校に
通ってるんです

揚羽凛太郎

へー！

鮎原透

そこでたまたま
俺も同じクラスに
なったって訳だよ

揚羽凛太郎

そうだったんスね

揚羽凛太郎

そっか！そっか！

揚羽凛太郎

眞琴も頑張ってんだな

眞琴杏樹

奏星さんに聞きましたけど

眞琴杏樹

先輩って今、心理
カウンセラーなんですよね？

揚羽凛太郎

ま、まぁな

鮎原透

俺、詳しく
知らねーんだけど

鮎原透

具体的にどんな
仕事なんだ？

鮎原透

心理カウンセラーって

揚羽凛太郎

まぁ、平たく言えば
悩み相談みたいな
感じっスかね

揚羽凛太郎

悩みを抱えてる依頼人を
専門知識とか技術で救う

揚羽凛太郎

みたいな？

眞琴杏樹

なんか、先輩に
ピッタリですね

揚羽凛太郎

いや、ちょっと
かっこよく言い過ぎたかな

揚羽凛太郎

実際には俺なんて
新人もいいとこだから

揚羽凛太郎

まだ依頼なんて
受けた事ないんだよな

揚羽凛太郎

まぁ、今はいろんな
先輩の仕事ぶり見ながら
ひたすら勉強！

揚羽凛太郎

って感じかな

揚羽凛太郎

でもいずれは俺の言葉で
いろんな人を
救える人になりたいんだ

眞琴杏樹

素晴らしい夢ですね

眞琴杏樹

頑張ってくださいね

眞琴杏樹

私、応援してますから

揚羽凛太郎

サンキュー眞琴！

揚羽凛太郎

眞琴も頑張れよ

揚羽凛太郎

来年卒業なんだろ？

眞琴杏樹

はい！やっとです

揚羽凛太郎

応援してるから！

眞琴杏樹

ありがとうございます

皆が店の外へ出ると辺りはすっかり暗くなっていた

日向奏星

わ！もう
すっかり夜じゃん

日向奏星

ごめんね杏樹ちゃん

日向奏星

こんな時間まで
付き合わせちゃって

眞琴杏樹

そんな・・

眞琴杏樹

私も楽しかったんで

鮎原透

じゃあ杏樹ちゃん
そろそろ行くか

眞琴杏樹

はい、そうですね

日向奏星

なら杏樹ちゃん！
それから鮎原さん！

日向奏星

明日も研修頑張り
ましょうね！

眞琴杏樹

はい！頑張りましょう

鮎原透

ああ！明日もよろしくな

眞琴杏樹

なら先輩！失礼します

揚羽凛太郎

ああ！頑張ってな！

眞琴杏樹

はい！

凛太郎と奏星と別れた2人はホテルまでの道のりを歩いていた

鮎原透

よかったな！
揚羽に会えて

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

で、でも
揚羽先輩の事は

眞琴杏樹

もう、なんとも
思ってませんからね？

鮎原透

何でわざわざ
俺に言うんだよ

眞琴杏樹

いや、別に
なんとなくですよ・・

鮎原透

ふー・・ん

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

・・・・・

2人は無言のままホテルまで歩く

ホテルエントランス

眞琴杏樹

さぁ！鮎原さん！

眞琴杏樹

早くチェックインしましょ

眞琴杏樹

もうクタクタ・・

鮎原透

あ、杏樹ちゃん・・

眞琴杏樹

ん？どうかしました？

鮎原透

その・・1本だけ
タバコ吸って来て
いいかな？

眞琴杏樹

えー！

眞琴杏樹

早く部屋に
行きたいんですけど

鮎原透

頼むって！な？
1本だけだからさ！

眞琴杏樹

もう、仕方ないですね

鮎原透

悪いな！すぐ
済ませるから！

眞琴杏樹

冗談ですよ！
ゆっくり良いですよ

鮎原透

すまん・・・

透はそう言うと申し訳なさそうに腰を引くしながら喫煙スペースに走って行く

眞琴杏樹

まったく鮎原さんは・・

鮎原透

お待たせ！

鮎原透

悪かったな！

眞琴杏樹

早く行きましょ！

鮎原透

お、おぅ・・・

チェックインを済ませた2人は部屋に入り疲れた体を休める

眞琴杏樹

はぁ〜・・・

眞琴杏樹

疲れちゃった

杏樹は部屋に入るとすぐさまベッドに包む背に横たわる

鮎原透

コラ！コラ！

鮎原透

服にシワができるぞ！

眞琴杏樹

だって疲れたんですもん

鮎原透

ならさっさと
風呂に入っちまえ

鮎原透

それからゆっくり
すれば良いだろ？

眞琴杏樹

あ、そうですね

眞琴杏樹

・・・・・

杏樹は黙って透の顔を見つめる

鮎原透

なんだよ！

鮎原透

俺の顔なんて
ジッと見て・・

眞琴杏樹

覗いたら
ダメですからね？

鮎原透

覗かねーから
安心しろ

眞琴杏樹

そうやって
否定されると
逆にショックです

鮎原透

どっちなんだよ！

眞琴杏樹

えへへ、冗談ですよ

鮎原透

冗談？

鮎原透

そりゃ覗いて
良いって事か？

眞琴杏樹

！！！！！

杏樹は顔を赤くする

眞琴杏樹

鮎原さんのエ○チ！

鮎原透

いいから
安心して入れよ！

眞琴杏樹

はーい！入って来まーす

鮎原透

ったく・・・

鮎原透

はぁ〜・・・

透ばベッドに仰向けに横たわりこれからの事を考えていた

鮎原透

部屋に入るまでは
あんま実感なかったけど

鮎原透

部屋入るとやっぱ
2人で一部屋なんだって
実感するよな・・・

鮎原透

ん？

透は起き上がり部屋を見渡す

すると、事前に説明を受けていなかった衝撃の事実が判明する

鮎原透

おい！おい！待てよ！

鮎原透

ベッドひとつしか
ねーじゃねーかよ！

そう。宿泊する部屋にはベッドがひとつしか無かった

鮎原透

本店の人事はどんだけ
無能なんだよ・・・

鮎原透

そもそも1人分しか
手配してなかったん
じゃねーか！

鮎原透

はぁ〜・・・

眞琴杏樹

えー・・っと

眞琴杏樹

あれ？

眞琴杏樹

何・・これ・・

杏樹はユニットバスの蛇口を見て首を傾げる

眞琴杏樹

赤い蛇口と青い蛇口が
あるんだけど？

眞琴杏樹

これって
どっちを回せば
いいんだろ？

眞琴杏樹

まぁ、とりあえず
青を回しちゃえ

鮎原透

まぁ、とりあえず俺は
ソファで寝るかな

鮎原透

流石に同じベッドで
寝るわけにはなぁ・・

鮎原透

まぁ、ソファは
寝にくいだろうけど

鮎原透

この際仕方な──

きゃぁぁぁぁ

ユニットバス内から杏樹の悲鳴が聞こえて来た

鮎原透

は！？

鮎原透

杏樹ちゃん？

透は杏樹の身に危険が及んだのでは無いかと心配いしユニットバスまで走る

鮎原透

どうした！

鮎原透

杏樹ちゃん！

鮎原透

何かあったか？

透はユニットバスのドアを急いで開き杏樹に問いかける

眞琴杏樹

あっ・・・///

杏樹は恥ずかしさのあまりに浴槽内でうずくまる

眞琴杏樹

ちょ・・鮎原さん///

眞琴杏樹

いきなり開けないで
くださいよぉ///

鮎原透

あっ・・・///

透は我に返り杏樹から目線を逸らし背を向ける

鮎原透

あ、ごめん・・・

鮎原透

別に覗きたかったわけじゃ

鮎原透

（って、なに俺は
童貞みてーな反応
してんだよ！）

眞琴杏樹

・・・・・///

鮎原透

てか、どうかしたか？

鮎原透

すげー悲鳴だったぞ？

眞琴杏樹

蛇口を回したら
水が出て来たから
びっくりしただけです///

鮎原透

なんだよ・・・

鮎原透

そんな事かよ・・・

鮎原透

びっくりさせんなよ・・

眞琴杏樹

す、すいません・・・///

眞琴杏樹

でも、もう
大丈夫ですから・・///

鮎原透

あ、わかった・・・

鮎原透

ま、まぁ、ゆっくりしてな

眞琴杏樹

は、はい・・///

透は慌ててドアを閉めてユニットバスから出る

鮎原透

（はぁ〜・・・）

鮎原透

（脅かすなよな・・・）

鮎原透

（つーか、我ながら
キモい反応しちまったな）

鮎原透

（まぁ、水が出た
だけだったら
大丈夫だろう・・）

鮎原透

（戻ろ・・・）

眞琴杏樹

（は、恥ずかしい・・・）

眞琴杏樹

（見られちゃったかな？）

眞琴杏樹

（もう・・・）

眞琴杏樹

（鮎原さんのバカ・・）

眞琴杏樹

（まぁ、でも私を
心配してくれたからこそ）

眞琴杏樹

（ああやって入って来て
くれたんだもんね）

眞琴杏樹

（うん！そうだよ！）

眞琴杏樹

（別に鮎原さんだって
やらしい事しようとか）

眞琴杏樹

（考えてた訳じゃ
ないんだろうし・・）

眞琴杏樹

大丈夫！大丈夫！

杏樹は気を取り直して青い蛇口を回す

しかしシャワーからは再び冷たい水が噴き出す

眞琴杏樹

いやぁ！もう！また水？

眞琴杏樹

もう、何なのこれ！

眞琴杏樹

壊れてるのかな？

眞琴杏樹

もう、最悪・・・

杏樹が困惑していると外から透がドアをノックし語りかける

鮎原透

どうかしたか？

眞琴杏樹

あ、鮎原さん・・・

眞琴杏樹

多分壊れてますよ？
このユニットバス

鮎原透

え？壊れてる？

眞琴杏樹

何度蛇口を回しても
水しか出ないんですよ

眞琴杏樹

もう、どうしたら
いいんですか？コレ

鮎原透

ちょっと待ってろ

透はそういうとしばらくしてからドアを少し開けてバスタオルを掴んだ手だけをユニットバス内に入れて来た

鮎原透

とりあえず
このバスタオルで
体巻いてくれ

鮎原透

俺が確認してみるから

眞琴杏樹

あ、はい・・・

杏樹はバスタオルを受け取るとそれを体に巻きつけた

眞琴杏樹

ま、巻きましたよ

鮎原透

じゃあ、入るぞ

眞琴杏樹

は、はい・・・

透はユニットバス内に入ってきた

鮎原透

水しか出ねーって？

眞琴杏樹

そうなんです・・・

眞琴杏樹

この青い蛇口を回したら
水しか出なくて・・

鮎原透

は？何言ってんだ？

鮎原透

そりゃ青回して
水しか出ないのは
当たり前だろ？

眞琴杏樹

え？どういう
意味ですか？

鮎原透

まさか、杏樹ちゃん・・

鮎原透

このタイプの蛇口って
初めて見た感じ？

眞琴杏樹

ん？

杏樹は首を傾げる

鮎原透

だから、赤と青に
別れてる蛇口って
初めて見たのか？

鮎原透

って聞いてんだよ

眞琴杏樹

あ、は、はい・・

眞琴杏樹

赤と青・・
どっち回せば良いか
分からなかったんで

眞琴杏樹

とりあえず
青を回したんです

鮎原透

はぁ〜・・・

鮎原透

なるほどね・・・

鮎原透

そういう事か・・・

眞琴杏樹

どうかしたんですか？

鮎原透

いいか？

透は右手にシャワーヘッドを持ち左手で青い蛇口に触る

鮎原透

この青い蛇口を
回したら水が出る

鮎原透

ホラ！シャワーから
出てる水を触ってみな？

杏樹は透に言われるがままシャワーに手を伸ばす

眞琴杏樹

は、はい・・水ですね

眞琴杏樹

それは分かりますけど

鮎原透

それから、赤い蛇口！
こいつ回したら
お湯が出るんだよ

眞琴杏樹

あっ！そうだったの？

鮎原透

ホラ！お湯だろ？

杏樹は再び透から手渡さたシャワーに手を伸ばす

眞琴杏樹

わぁ！本当だ！
あったかい！

鮎原透

こいうタイプの蛇口は

鮎原透

赤い蛇口を回して
お湯を出しながら

鮎原透

青い蛇口を回して
水を出して

鮎原透

丁度良い温度のお湯に
自分で調節しなきゃ
いけねーんだよ

眞琴杏樹

あっ、なるほど
同時に使わなきゃ
ダメなんですね

鮎原透

そう！そういう事！

鮎原透

この調節が意外と
面倒臭いんだよ

鮎原透

熱す過ぎたり
冷た過ぎたりするからな！

眞琴杏樹

なるほどですね・・・

鮎原透

わかった？理解した？

眞琴杏樹

はい！理解しました！
もう大丈夫です

鮎原透

なら良かったよ

眞琴杏樹

すいません・・・

眞琴杏樹

迷惑かけちゃいました

鮎原透

じゃあゆっくりな？

眞琴杏樹

は、はい・・・

それからしばらくして寝巻き姿の杏樹が恥ずかしそうに部屋に入ってきた

眞琴杏樹

あ、鮎原さん・・・

眞琴杏樹

お、お風呂上がったんで

眞琴杏樹

次・・鮎原さん
ど、どうぞ・・・

鮎原透

お、おぅ・・・

鮎原透

じゃあ、行ってくるわ

眞琴杏樹

は、はい・・・

透は浴室に立ちシャワーで体を洗い流す

鮎原透

（ったく・・・）

鮎原透

（女の裸なんて
嫌ってくらいに
見慣れてんのに）

鮎原透

（童貞みてーな反応
しちまったぜ）

鮎原透

（でも、なんでだろうな）

鮎原透

（杏樹ちゃんになると
どうも・・あれなんだよな）

鮎原透

（昔の俺なんて・・
女っつったら都合のいい
性処理のおもちゃ）

鮎原透

（そんな風に
思ってたのにな）

鮎原透

（あーもう！
変に考えるのはヤメだ）

鮎原透

（さっさと出ちまおう）

透はバスタオルで体を丁寧に拭き

寝巻きに着替えて部屋に戻る

鮎原透

よ、よう・・・

眞琴杏樹

あっ、鮎原さん・・

鮎原透

今あがったわ

眞琴杏樹

は、はい・・・

ふたりの間に沈黙が流れる

透はその沈黙に耐えれず部屋に備え付けてあるデジタル時計を見る

すると時刻はすでに 0時を回ろうとしていた

鮎原透

やば！もう
そんな時間かよ！

眞琴杏樹

やば！

眞琴杏樹

早く寝ましょ！

眞琴杏樹

明日も研修ですし

鮎原透

そうだな・・・

眞琴杏樹

確か明日は10時には
集合でしたよね？

鮎原透

ああ、そうだ！

眞琴杏樹

なら早めに寝なきゃ

鮎原透

じゃあ杏樹ちゃんは
ベッド使ってくれ

眞琴杏樹

え？でも、それだと
鮎原さんはどこで
寝るんですか？

鮎原透

俺はこのソファで
寝るから大丈夫だよ

眞琴杏樹

え？で、でも・・・

鮎原透

さすがにベッドが
ひとつしかねーからな

鮎原透

ったく、本店の人事は
ぽんこつだよな・・・

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

じゃあ、杏樹ちゃん
おやすみ！

透はソファに横たわる

眞琴杏樹

あ、あの、鮎原さん！

鮎原透

ん？どうした？

眞琴杏樹

鮎原さんも・・その

眞琴杏樹

ベッドで寝れば
いいじゃないですか

鮎原透

え？いや、いいって

眞琴杏樹

だってソファなんかで
寝たりしたら・・

眞琴杏樹

体が痛く
なっちゃいますよ？

眞琴杏樹

明日はホールで
研修なんですから

眞琴杏樹

絶対明日辛いですよ？

鮎原透

いや、でも、さすがに

眞琴杏樹

鮎原さんなら・・
い、いいですよ

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

他の人だったら嫌ですけど

眞琴杏樹

鮎原さんだったら
大丈夫です・・・

鮎原透

な、なら

鮎原透

こっち向いて寝るからさ

眞琴杏樹

は、はい・・・

透と杏樹は互いに背中合わせでベッドに横たわる

眞琴杏樹

明日・・・
頑張りましょうね

鮎原透

お、おぅ・・・

鮎原透

じゃあ電気消すぞ？

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

なら・・おやすみ

眞琴杏樹

おやすみなさい

透はリモコンを操作し部屋の照明を消す

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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杏樹が可愛過ぎた！確かに赤と青にわかれてる蛇口って面倒くさいですよね（笑）

わお(｡･о･｡)

×××

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

第2話 - 再会

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