しばらくすると
星の光りは少しずつ弱くなっていった
美結
ピカピカきえちゃう……
拓郎
また電気をつけたらピカピカするよ
じゃあもう一回!
そう言おうとしたところで
郁美
ごはんだよ~
いっちゃんの声がした
美結
ピカピカ……
拓郎
また寝る時にピカピカしよう
美結
うん……
ちょっぴり寂しかったけれど
寝る時まで我慢しようと心に決めて
いっちゃんの待つダイニングへ
美結
わぁ!!
拓郎
今日は豪華だね
郁美
クリスマスイブですからね~
美味しいお店のローストチキン
いっちゃんお気に入りのシーザーサラダ
いろんな野菜が入ったスープに
いっちゃんの手作りロールパン
いつもと違うご馳走に心が踊る
拓郎
こ、このロールパン……いつの間に!?
郁美
出掛ける前に生地だけタイマーでセットしておいたの!
郁美
あとは帰ってから発酵して……
郁美
形作って焼くだけ!
拓郎
焼き立てだ……
拓郎
郁美さん凄いなぁ
テーブルの向こうには
キラキラと電飾が光るクリスマスツリー
美結
キラキラー!
拓郎
キレイだね
美結
うん!
郁美
はい、ちゃんとお座りしてね~
拓郎
美味しそうだなぁ
私のために用意された子供用の椅子に座り
郁美
お座りできた人~!
美結
はぁ~い!!
郁美
じゃあ!
郁美
おててを合わせて~
拓郎
いただきます!
美結
いただきま~す!
こんなに楽しいことがあるなんて知らなかった
ショッピングモールの大きなクリスマスツリー
電気を消すと光る沢山のお星様
いつもより豪華なご飯と
それを一緒に楽しめる大好きな家族
私のために精一杯、料理してくれるいっちゃんと
私のために一生懸命、星を貼り付けてくれたたっくん
うれしくて
うれしくてうれしくて
自然とと笑みがこぼれたら
郁美
いい笑顔だね~
拓郎
こっちも釣られてにやけちゃうなぁ
二人も笑っていた
郁美
美結、おいしい?
美結
おいひ~!
口の中いっぱいにチキンを頬張って
郁美
美結~詰めすぎ!
拓郎
ゆっくり噛んでごっくんするんだよ
美結
あ~い!
楽しかった食事が終わり
初めてちゃんとテレビを見た
優香里
テレビは見たらダメ
母の制限によってテレビを見たことがなかった私は
児童相談所でもテレビを見ることはなく
この家に来てからもテレビには興味を示さなかった
テレビの向こうから聞こえる音に恐怖を感じる
ここにいるはずのない母に怒られる気がした
優香里
あんなのもう要らない!!
突然フラッシュバックを引き起こし
美結
うわぁぁぁぁぁ!!
郁美
どうしたの!?
拓郎
美結!?
私は涙が止まらなくなった