テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

第3話 - 思い出話

222

2023年01月10日

#ドラマ

#青春恋愛

#高校生

#一次創作

×××

翌日

早朝8時

眞琴杏樹

鮎原さん！
起きてください！

眞琴杏樹

もう8時ですよ！

眠る透の体を杏樹が優しくゆする

眞琴杏樹

早く起きなきゃ！

眞琴杏樹

おーい！鮎原さーん！

眞琴杏樹

聞こえてますかー？

眞琴杏樹

おーい！

鮎原透

う、うー・・ん

眞琴杏樹

あ！やっと起きた！

鮎原透

も、もう朝か・・

眞琴杏樹

もう・・・

眞琴杏樹

いつまで寝てるんですか？

眞琴杏樹

早く起きなきゃ
遅刻しちゃいますよ？

鮎原透

本店集合は10時だろ？

鮎原透

またまだ余裕
あるだろ・・・

眞琴杏樹

なに言ってるんですか！

眞琴杏樹

余裕持って
行動しなきゃ！

そういう杏樹はすでに着替えていた

鮎原透

もう着替えてんのか？

眞琴杏樹

当たり前じゃないですか

眞琴杏樹

朝食食べる時間
だってあるんですよ？

鮎原透

いや、俺は普段
朝は食べねーから

眞琴杏樹

ダメですよ！

眞琴杏樹

朝食べなきゃ
力でませんよ？

眞琴杏樹

今日はホールで
研修なんだから！

鮎原透

まぁ、そうだな・・

透は重い体を無理やり起こして背伸びをする

眞琴杏樹

早く顔洗って来て下さい

眞琴杏樹

朝ごはん
食べに行きましょ！

鮎原透

お、おぅ！そうだな

鮎原透

顔洗ってくるわ

眞琴杏樹

はい・・・

透は気だるそうに歩きながらユニットバスへ入って行く

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

・・・・・

鮎原透

（杏樹ちゃん・・普通だな）

鮎原透

（やっぱ気にして
ねーのかな？）

鮎原透

（昨日のこと・・・）

鮎原透

（まぁ、あんなの
不可抗力だし）

鮎原透

（俺の気にし過ぎだったか？）

鮎原透

（まぁ、いいか）

鮎原透

（とりあえず朝飯だ）

鮎原透

（それからの事は
あとから考えよう）

透と杏樹はホテルのレストランで朝食を食べていた

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

・・・・・

2人はほとんど言葉を交わさなかった

鮎原透

（やっぱ気にしてんのかな？）

鮎原透

（やっぱり裸見られた事
嫌だったよな・・・）

眞琴杏樹

（鮎原さん・・・）

眞琴杏樹

（やっぱり昨日のこと
気にしてるのかな？）

眞琴杏樹

（今日の朝はわざと
明るく接して）

眞琴杏樹

（気にして無い
って言うのを）

眞琴杏樹

（わかって
欲しかったんだけど）

眞琴杏樹

（伝わってないのかな？）

眞琴杏樹

（だってあれは
鮎原さんが
悪いんじゃ無いし）

眞琴杏樹

（気にして無いって
伝えた方がいいのかな？）

眞琴杏樹

（でも、わざわざ
伝えたりしたら）

眞琴杏樹

（逆に気にしてるって
思われたりしないかな？）

眞琴杏樹

（もう、どうするのが
正解なんだろ・・・

眞琴杏樹

（全然わかんないよ・・）

鮎原透

な、なぁ、杏樹ちゃん？

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

そろそろ行くか？

眞琴杏樹

あ、そうですね・・

眞琴杏樹

あんまりゆっくり
してたら遅刻
しちゃいますよね

鮎原透

あ、ああ・・・

眞琴杏樹

（ああ、もう、どうしよ）

2人は重たい空気を感じながら本店へと歩みを進めた

研修中

杏樹は不安を抱えたまま研修を受けていたこともあり

普段はしないミスを連発していた

チーフ

違うぞ眞琴さん

チーフ

そこはそうじゃない！

眞琴杏樹

あっ、すいません

眞琴杏樹

申し訳ありません

チーフ

いや、いいんだ！

チーフ

焦らなくて良い！

チーフ

ゆっくりと慎重に
やればいいんだ

眞琴杏樹

はい、すいません

杏樹は自分のしでかしたミスで周りに迷惑をかけた事を反省しているのか何度も頭を下げて謝っている

そんな杏樹を見て透は自分自身を責めていた

鮎原透

（あんな単純作業・・）

鮎原透

（いつもの杏樹ちゃんなら
余裕でこなしてんのに）

鮎原透

（やっぱり昨日の事
気にしてんだな・・）

鮎原透

（完璧俺のせい
じゃねーかよ！）

鮎原透

（まぁ、そりゃ
そうだよな）

鮎原透

（俺がいくら不可抗力
って言ったって）

鮎原透

（裸を見ちまったって
事には変わりねーもんな）

鮎原透

（はぁ〜・・・）

鮎原透

（どうしたもんかな・・）

互いに自分を責めながらの研修はどんよりとした空気のまま続いた

眞琴杏樹

はぁ〜・・・

眞琴杏樹

ダメダメだったなぁ・・

午前の研修を終えた杏樹は休憩所で肩を落として落ち込んでいた

眞琴杏樹

やっぱり鮎原さんに
伝えるべきなのかな？

眞琴杏樹

でもこのまま研修したら

眞琴杏樹

また色んな人に
迷惑かけちゃう・・

眞琴杏樹

どうしよ・・・

そこに杏樹の身を心配した奏星が近づいてくる

日向奏星

杏樹ちゃん？

眞琴杏樹

あ、奏星さん・・

眞琴杏樹

お疲れ様です・・

日向奏星

うん、お疲れ様！

眞琴杏樹

・・・・

日向奏星

ねぇ、杏樹ちゃん

日向奏星

もしかして
さっきのミス
気にしてるの？

眞琴杏樹

あ、いや・・・

日向奏星

ミスするのは仕方ないよ

日向奏星

大事なのは
ミスした自分を
責める事じゃ無くて

日向奏星

次どうしたら同じ
ミスをしないか考えて

日向奏星

それを次に活かす事！
そうでしょ？

眞琴杏樹

あ、いや、そうじゃなくて

日向奏星

ん？

日向奏星

あ、もしかして

日向奏星

鮎原さんと
何かあったとか？

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

何があったの？

眞琴杏樹

あ、いや、その・・・

日向奏星

何か悩みがあるなら
私に話してみてよ！

日向奏星

こういう時って
誰かに話したりすると
楽になったりするよ？

眞琴杏樹

で、でも・・・

日向奏星

昨日言ったでしょ？

日向奏星

力になるから
なんでも話してって

眞琴杏樹

奏星さん・・・

日向奏星

話してみてよ！ね？

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

実は昨日──

その頃研修中では拓郎がチーフより研修の報告がされていた

鮎原拓郎

うー・・・ん

鮎原拓郎

あの眞琴さんがね・・・

チーフ

長野店のチーフ
からは、前もって

チーフ

ああいうミスを
するような子では無いと
聞かされていたので

チーフ

妙に気になりましてね

鮎原拓郎

・・・・・

チーフ

もしかしたら昨晩

チーフ

息子さん──

チーフ

いや、透くんと
何かあったんでしょうか？

鮎原拓郎

・・・・

チーフ

確か人事のミスのせいで
昨晩は同じ部屋で
一夜を過ごしたんですよね？

鮎原拓郎

まぁ、父として
そんな事は無い！と
言ってやりたいが

鮎原拓郎

あの透だからな・・・

鮎原拓郎

否定できない事が
なんとも情けない

チーフ

このままでは
研修もままなりません

鮎原拓郎

わかった！

鮎原拓郎

私から眞琴さんと
透に話を聞いてみよう

チーフ

申し訳ありませんが
お願いします・・

鮎原拓郎

ああ・・・

杏樹は昨晩の一件を奏星に話した

日向奏星

そんな事があったんだ

眞琴杏樹

私・・・

眞琴杏樹

気にして無いって
伝えたいんですけど

眞琴杏樹

わざわざ
言ったりしたら

眞琴杏樹

逆効果かな？って

日向奏星

・・・・・

眞琴杏樹

でも伝えなくて
このまま鮎原さんとの関係が

眞琴杏樹

ギクシャクするのは
もっと嫌だし・・・

眞琴杏樹

もう、何が正解か
分からなくって・・

日向奏星

ちょっとだけ
思い出話していい？

眞琴杏樹

え？

日向奏星

私と凛太郎の話なんだけど

眞琴杏樹

は、はい・・・

日向奏星

これはまだ私と
凛太郎が付き合う
前の話なんだけどね

日向奏星

ある時に凛太郎が
雨の日に、学校に傘を
忘れて来た事があったの

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

私ね──

日向奏星

そんな困ってる凛太郎を
放って置けなくて

日向奏星

凛太郎に私の家で
雨宿りしない？って
提案した事があったんだ

眞琴杏樹

奏星さんの家で・・

日向奏星

私、その時から
凛太郎の事が好きでね

日向奏星

少しでも凛太郎と
長い時間一緒に居たくて
雨宿りを提案したの

日向奏星

まぁ、凛太郎は
快くOKしてくれて

日向奏星

私の家で綾星と
遊んだりしながら
雨宿りしてたの

眞琴杏樹

綾星ちゃんって
妹さんでしたよね？

日向奏星

うん・・・

日向奏星

ママも一緒に晩御飯を
食べていきなさい！
とか言ってくれてね

日向奏星

でもね──

日向奏星

後から帰って来たパパが

日向奏星

雨が降ってる中
凛太郎を追い返し
ちゃったんだ

眞琴杏樹

え？先輩を？
何でですか？

日向奏星

凛太郎が私の家に
無理矢理押しかけて来た
って勘違いしちゃったの

眞琴杏樹

あっ、そういう事か

日向奏星

まぁ、パパも
この時に初めて
凛太郎と会ったから

日向奏星

勘違いしちゃうのも
無理ないかなぁって

日向奏星

今思い返せば
そう思うんだけどね

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

でも、当時の私は
そんな事を考えれる
大人じゃ無かったんだよね

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

だから私ね──

日向奏星

申し訳なさそうに
帰っていく凛太郎に
申し訳なくて

日向奏星

傘を渡そうとしたんだ
それくらいしか凛太郎に
できる事が思いつかなくて

日向奏星

けど、ずくに凛太郎が
帰っちゃってね

日向奏星

そのせいで凛太郎が
次の日に風邪
ひいちゃったの

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

当時の私は
自分を責めてた

日向奏星

私がパパに前もって
凛太郎の事を
伝えてさえいれば・・

日向奏星

私が無理矢理にでも
傘を渡してあげてれば

日向奏星

凛太郎が風邪を引く
なんて事、無かった
んじゃないかって

眞琴杏樹

・・・・・

日向奏星

私、凛太郎に
何度も謝ったの

日向奏星

でも、自分を責めてる
私を見た凛太郎はね

日向奏星

風邪を引いたのは
俺が悪いんだから

日向奏星

気にしなくて良い！

日向奏星

娘を大切に思う父親の
気持ちは分かるから

日向奏星

全然気にして無いよって！
そう言ってくれたの

眞琴杏樹

ふふふ・・・
先輩らしいですね

日向奏星

ふふふ、だね！

日向奏星

まぁ、長々と
喋っちゃったけど

日向奏星

まぁ、私が何を
言いたいかっていうと

日向奏星

きちんと言葉にして
気持ちを伝えれば

日向奏星

鮎原さんは
受け入れてくれるん
じゃないかな？って事

眞琴杏樹

奏星さん・・・

日向奏星

自分1人で
悩んでたってダメ！

日向奏星

杏樹ちゃんが
心を込めた言葉で
きちんと伝えれば

日向奏星

きっと鮎原さんに伝わる

日向奏星

少なくとも私は
そう思うよ？

眞琴杏樹

奏星さん・・・

眞琴杏樹

ありがとうございます

眞琴杏樹

私、鮎原さんに
気持ちを伝えて来ます

眞琴杏樹

気にして無いって！
伝えて来ます！

日向奏星

うん！言って来な！

眞琴杏樹

はいっ！

そう言って杏樹は休憩所を飛び出して行った

透は喫煙所でタバコを吸いながら頭を悩ませていた

鮎原透

はぁ〜・・・

鮎原透

どうすっかなぁ・・

鮎原透

今日も同じ部屋で
寝なきゃなんねー
ってのに・・

鮎原透

やっぱ改めて
謝るべきか？

鮎原透

はぁ〜・・・

鮎原透

まさか俺が
女の子の事で

鮎原透

こんなにも
悩む日が来るなんてな

鮎原透

やっぱ謝るか・・

透はタバコを灰皿に押しつぶし喫煙所を出ようとした

そこに杏樹が小走りでやって来た

眞琴杏樹

鮎原さん！

鮎原透

あ、杏樹ちゃん・・

鮎原透

ど、どうかしたの？

鮎原透

随分と慌ててる
みたいだけど・・

眞琴杏樹

えっと、その・・

眞琴杏樹

昨日の事なんですけど

鮎原透

昨日・・・

鮎原透

（やっぱ・・・
その話になるよな）

鮎原透

（どんな事でも
言われる覚悟だ・・）

眞琴杏樹

私──

鮎原透

ゴクリ・・・

眞琴杏樹

気にしてませんから！

鮎原透

え・・・

鮎原透

気にして無い？

眞琴杏樹

だって昨日は私の事を
心配してくれたから

眞琴杏樹

ああやって入って来て
くれたんですよね？

眞琴杏樹

鮎原さんは・・・

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

そりゃ、裸を
見られちゃった事

眞琴杏樹

恥ずかしく無いって
言ったら嘘に
なっちゃいますけど

眞琴杏樹

私──

眞琴杏樹

そんな事で
鮎原さんの事──

眞琴杏樹

嫌いになったり
しませんから！

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

だから、自分を
責めないでください！

鮎原透

そ、そっか・・・

鮎原透

あ、ありがとうな

鮎原透

杏樹ちゃん・・

眞琴杏樹

鮎原さん・・

鮎原透

てっきり、嫌いに
なった的な事を

鮎原透

言われるとばかり
思ってたからさ

眞琴杏樹

私が鮎原さんを
嫌いになったり
する訳ないです！

鮎原透

よ、よかった・・・

するといきなり背後から何者かが透の肩に手を置く

鮎原透

ん？

透が振り返ると

鮎原拓郎

・・・・・

鮎原透

と、父さん！

鮎原透

あ、いや、しゃ、社長

鮎原拓郎

裸を見られた！と
聞こえて来たが？

鮎原拓郎

一体どう言う意味だ？

鮎原拓郎

透・・・

眞琴杏樹

あっ・・・

鮎原拓郎

貴様という奴は！
あれほど忠告しただろ！

拓郎は達の首をスリーパーホールドで締め付ける

鮎原透

うぐ・・・

鮎原拓郎

二度目は無いとも
言ったはずだろ！

鮎原透

だから、違いますって

透は拓郎の腕を振り解く

鮎原透

（馬鹿力め・・）

眞琴杏樹

社長さん！
待って下さい！

眞琴杏樹

違うんです！

鮎原拓郎

ん？違う？

杏樹は拓郎にことの経緯を説明した

鮎原拓郎

なるほど！

鮎原拓郎

そういう事だったんだな

鮎原拓郎

すまない！すまない！

鮎原拓郎

私はてっきり
透の奴が眞琴さんに
何かしたのかと・・

眞琴杏樹

違いますよ

眞琴杏樹

まぁ、恥ずかしかった
ですけど・・・

鮎原拓郎

ま、まぁ、だが
今日はそういう事は
起こらないと思うから

鮎原拓郎

安心してくれ！
眞琴さん！

眞琴杏樹

え？どういう
意味ですか？

鮎原拓郎

運良く、別の部屋に
空きができたと

鮎原拓郎

先ほどホテル側から
連絡があってね

鮎原拓郎

急遽部屋を手配したんだ

鮎原拓郎

だから眞琴さん！
今日1日は透とは別々の
部屋で宿泊してくれ

眞琴杏樹

別々・・・

鮎原拓郎

ホテル側には私から
伝えておくから

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

分かりました・・・

鮎原透

よかったな！杏樹ちゃん

鮎原透

部屋を1人で
自由に使えるぞ

眞琴杏樹

そ、そう、ですね

鮎原透

ん？どうかしたか？
元気ないみたいだな？

眞琴杏樹

そ、そんな事
無いですよ・・・

鮎原透

そっか・・・

鮎原透

ならいいけどさ

眞琴杏樹

そ、それより
早くいきましょうよ

眞琴杏樹

午後の研修
始まっちゃいますよ

鮎原透

ああ、そうだな

午後の研修を終えた3人は疲れ果てた様子で鮎屋を出た

眞琴杏樹

はぁ〜・・・

眞琴杏樹

疲れた・・・

鮎原透

昨日よりは
やり甲斐あったけど

鮎原透

結構ハードだったな

眞琴杏樹

ほんとですね・・

眞琴杏樹

昨日との差が
凄まじかったです

日向奏星

今日はもう、みんな
そのまま帰ろっか

日向奏星

なんか疲れちゃった

眞琴杏樹

ですね

鮎原透

さっさとホテル帰って
寝ちまおうぜ

眞琴杏樹

はい・・・

眞琴杏樹

じゃあ奏星さん！

眞琴杏樹

最終日もよろしく
お願いしますね！

日向奏星

うん！互いに
頑張ろうね！

眞琴杏樹

あっ！そうだ！

眞琴杏樹

鮎原さん！

鮎原透

ん？どうした？

眞琴杏樹

ちょっと待ってて
くれませんか？

鮎原透

はぁ？どうかしたか？

眞琴杏樹

すぐに終わりますから！

そう言うと杏樹は小走りで奏星を追いかけて行く

鮎原透

何なんだ？

眞琴杏樹

奏星さん！

眞琴杏樹

待って下さい！

日向奏星

あれ？杏樹ちゃん？

日向奏星

どうしたの？

眞琴杏樹

その・・まだ奏星さんに
お礼を言ってなかったから

日向奏星

お礼？

眞琴杏樹

さっきのアドバイス

眞琴杏樹

ありがとうございました

日向奏星

ああ！あれか！

日向奏星

いいの！いいの！

眞琴杏樹

奏星さんが居なかったら
ずっと鮎原さんに気持ちを
伝えれないままだったんで

眞琴杏樹

本当に助かりました！

眞琴杏樹

ありがとうございます！

日向奏星

私のアドバイス
役に立ったかな？

眞琴杏樹

役に立ちました！

眞琴杏樹

って言うか
役に立ったって言い方が

眞琴杏樹

上から目線みたいですけど

日向奏星

ふふふ、そんな事
気にしなくて良いよ

日向奏星

杏樹ちゃんって
ホント律儀だね

眞琴杏樹

いや、そんな事・・・

日向奏星

私は杏樹ちゃんを
応援してるから
頑張ってね！

眞琴杏樹

はい！頑張ります！

眞琴杏樹

では、失礼しますね

日向奏星

うん！明日よろしくね

眞琴杏樹

はい！

杏樹は満足した様子で鮎原の元に帰って行く

眞琴杏樹

鮎原さん！ごめんなさい

眞琴杏樹

お待たせしちゃって

鮎原透

いや、別に良いけど

鮎原透

何だったんだ？

眞琴杏樹

それは秘密ですよ

鮎原透

なんだよそれ・・・

眞琴杏樹

そんな事より
早くご飯食べにいきましょ

眞琴杏樹

もうお腹ペコペコ・・

鮎原透

ああ、そうだな

日向奏星

杏樹ちゃん・・

日向奏星

元気になってくれて
本当によかったな

日向奏星

うまく行くと
いいけどなぁ

日向奏星

てか、今日は
ホント疲れちゃった

日向奏星

凛太郎・・・

日向奏星

今日はお惣菜って
言ったら怒るかな？

日向奏星

でも作る気力ないし

日向奏星

やっぱデリ──

揚羽凛太郎

奏星！

日向奏星

え？凛太郎？
どうたの？こんな所で！

揚羽凛太郎

仕事が早めに終わったから
奏星を迎えに来たんだよ

日向奏星

迎えに来るなんて
珍しいね？

揚羽凛太郎

まぁ、その、なんだ

揚羽凛太郎

今日は俺が晩飯
作ろうかなって・・

日向奏星

どういう風の吹き回し？

揚羽凛太郎

いや、いつも奏星にばっか
作ってもらってるから

揚羽凛太郎

たまにはさ・・・

揚羽凛太郎

だから一緒に買い出し
行きたいなぁって

日向奏星

何作ってくれんの？

揚羽凛太郎

まぁ、鳥の照り焼きかな？

日向奏星

また？

日向奏星

凛太郎が作る時
いつも照り焼きじゃん！

揚羽凛太郎

いいじゃん！

揚羽凛太郎

美味しいだろ？
俺の照り焼き！

日向奏星

まぁ、作り方を
教えてあげたのは
私なんだけどね！

揚羽凛太郎

まぁ、それを
言われちゃうと・・

日向奏星

まぁ、確かに
照り焼きだけは
私より上手いよね！

日向奏星

照り焼き「だけ」は！

揚羽凛太郎

「だけ」を強調すんなよ

揚羽凛太郎

まぁ、言い返せないのが
なんとも悔しいけどさ

日向奏星

ふふふ

日向奏星

なら買い出し行こ！

揚羽凛太郎

お、おぅ・・・

奏星は凛太郎の腕に自分の腕を絡ませ仲良くスーパーまでの道のりを歩く

ホテルのレストランで夕飯をすませた透と杏樹はそれぞれの部屋に戻る

鮎原透

じゃあ杏樹ちゃん！

鮎原透

また明日よろしくな

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

今日は早めに休めよ？

眞琴杏樹

鮎原さんも
ご、ごゆっくり・・

鮎原透

おう！じゃあおやすみ！

眞琴杏樹

お、お休みなさい

杏樹は透と別れ別の部屋に向かう

鮎原透

・・・・・

鮎原透

何か元気なくね？

鮎原透

疲れてるだけか？

鮎原透

まぁ、いいか

プシュ

シャワーを終えた透は上半身裸の状態でホテルの売店で買った頑張りビールを勢いよく飲む

鮎原透

グビグビグビ・・

鮎原透

ふぅ・・・

鮎原透

杏樹ちゃんには悪いけど
やっぱ1人は気楽で良いな

鮎原透

さすがに杏樹ちゃんの前で
裸で部屋をうろつく
訳にもいかねーもんな

透はビールを片手にそれとなく時計で時間を確認する

鮎原透

もう22時かぁ・・・

鮎原透

ちょっと早ぇーけど
もう寝ちまうか

透は手早く寝巻きに着替えベッドに横になろうとする

その時

コンコン

部屋のドアが何者かによりノックされた

鮎原透

ん？誰だ？

鮎原透

杏樹ちゃんかな？

透は杏樹の身に何か起こったのだろうか？などと考えながらドアを開ける

ガチャ

鮎原透

杏樹ちゃん？

鮎原透

どうかし──

透の言葉を遮るように寝巻き姿の杏樹が透に抱きついて来た

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

杏樹ちゃん？

鮎原透

どうかした？

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

眞琴杏樹

やっぱり・・私

眞琴杏樹

鮎原さんと
同じ部屋がいいです

鮎原透

え！？

眞琴杏樹

1人は・・嫌なんです

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

迷惑・・ですか？

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

鮎原さんが
迷惑って言うなら・・

鮎原透

仕方ねーな

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

そんな顔すんな！

鮎原透

別に嫌なんて
言わねーって！

透は杏樹の頭を優しく撫でる

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

まぁ、立ち話もあれだし

鮎原透

入って来な！

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

でも急にどうした？

眞琴杏樹

いや、その・・・

鮎原透

そんなに俺と
一緒がよかったか？

眞琴杏樹

はい・・・

鮎原透

そんなハッキリ
言ってんじゃねーよ

眞琴杏樹

す、すいません

鮎原透

まぁ、いいわ

鮎原透

じゃあ昨日みたいに
背中合わせで寝るか

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

お、お願いします

鮎原透

杏樹ちゃんは
シャワーは
もう浴びたのか？

鮎原透

パジャマ着てるって事は
もう浴びたのか？

眞琴杏樹

はい。さっき浴びました

鮎原透

ならもう寝れるな

鮎原透

俺はもう寝ようかと
思ってたんだけどさ

鮎原透

杏樹ちゃんは
どうする？

鮎原透

もう寝るか？

眞琴杏樹

そうですね

眞琴杏樹

私も寝ようかな

鮎原透

じゃあ寝るか

眞琴杏樹

はい

深夜

鮎原透

zzzzzzz

透は寝息を立てて眠る

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

（なんか目が
覚めちゃった・・）

眞琴杏樹

（でも今日は鮎原さんに
ワガママ言っちゃったな）

眞琴杏樹

（でも、鮎原さんは
文句ひとつ言わずに）

眞琴杏樹

（私を受け入れてくれた）

眞琴杏樹

（やっぱり、私──）

眞琴杏樹

（鮎原さんの事が好き・・）

眞琴杏樹

（まだ想いを
伝えれてないけど）

眞琴杏樹

（いつか、きっと・・・）

鮎原透

zzzzzzzzz

眞琴杏樹

・・・・・

眞琴杏樹

（キスくらい・・・）

眞琴杏樹

（い、いいよね？）

杏樹は透を起こさないようにゆっくりど体の体勢を変え

眠る透の唇に優しくキスをした

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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奏星が前作にあった話を思い出話として話すのなんかいい。なつかしい気持ちになってほっこりした

最高すぎる…！

×××

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

第3話 - 思い出話

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