TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

10年越しの復讐 -シーズン1-

一覧ページ

「10年越しの復讐 -シーズン1-」のメインビジュアル

10年越しの復讐 -シーズン1-

13 - 10年越しの復讐 -シーズン1- 第13話

♥

765

2021年03月12日

シェアするシェアする
報告する

黒瀬は、後輩に指定した20時を過ぎてから、

妻に内緒で借りている家へとやってきた。

黒瀬

(里穂とかいう女に絡まれたせいで遅くなった)

黒瀬

(楽しむ時間が減るじゃねえか…くそ…)

黒瀬

おい、ちゃんと正座して待ってたか?

後輩

は、はい…先輩…7時からこのままです…

黒瀬

よしよし、ちゃんと主人を待てたな…

後輩

はい…俺はあなたのオモチャです…

後輩

好きなだけ殴ってください…

黒瀬

…『黙ってオモチャになってろ』って言ったこと

黒瀬

ちゃーんと守ってるんだなぁ…ふぅん…

黒瀬

…ツマンネーだろうが!この能無しがぁ!!

ガツッ!ドガッ!!!

後輩

ぐっああああっ!!

黒瀬

抵抗もしない奴を殴って何が楽しいんだ!

黒瀬

少しは考えろ!無能!!雑魚!!

後輩

あ、あああ!!ひ、酷いぃ!!

黒瀬

(…誰かを痛めつけるのは楽しい)

黒瀬

(これが堅実な男として生きる俺の、裏の顔だ)

黒瀬

(だけどなんだろう…今日は物足りない…)

黒瀬は、ここに来る前に会った、

里穂のことを思い出していた。

黒瀬

(…一ノ瀬里穂とかいう、あの女)

黒瀬

(10年前、仲間とボコボコにした女に似てた…)

黒瀬

(あの時は、今よりもっと気持ちよかった)

黒瀬

(もっと満たされたんだ…!)

黒瀬

なんでだ…!なんであの時のことばかり考える!?

ドガッ!ドガッ!!ドガァッ!!!

後輩

も…許し…あひっ…ひっ…

黒瀬

…ちっ、気絶した…今日は早かったな

黒瀬

(物足りない…)

黒瀬

(10年前の快感をもう一度味わえたら…!)

黒瀬は、10年前の少女を心の底から欲した。

しかし黒瀬は、あの少女が

植物状態になったことを知っていた。

黒瀬

もう一度、10年前の女を捕まえることはできない…

黒瀬

だったら…あの里穂って女を監禁して…

黒瀬

…殴って…切って…焼いて…犯せたら…

黒瀬

…………

黒瀬

…だ、ダメだダメだ!里穂って女は赤の他人!

黒瀬

後輩みたいに、脅迫できる材料もない!

黒瀬

拉致でもしようものなら、きっとすぐバレる…!

黒瀬

何考えているんだ俺は!ダメだ!考えるな!!

黒瀬は、ポケットに入れたままだった

里穂の電話番号が書かれたメモを握りしめた。

黒瀬

落ち着け…俺は社会的立場のある、いい父親なんだ…

黒瀬

気持ちを切り替えないと…家族が待ってる…

黒瀬

…帰ろう…これ以上は帰宅が遅くなりすぎる…

黒瀬は、気絶した後輩を放置したまま

妻と息子の待つ自宅へと向かった──

黒瀬は、自宅で家族の時間を過ごした。

優しい夫であり父親である黒瀬が、

さっきまで後輩を痛めつけていたなんて…

妻と息子には知る由もなかった。

黒瀬の妻

最近、帰り遅い日が多いのね…

黒瀬

ああ…後輩が仕事なかなか理解しなくてね

黒瀬

そのフォローが大変なんだ

黒瀬の妻

あなた…頼りにされてるのは知ってるけど

黒瀬の妻

一家の大黒柱なんだから、無理はしないでね…

黒瀬の妻

私たち、いつも…心配してるから…

黒瀬の妻

…………

黒瀬

(眠ったか…)

黒瀬

(…きれいな寝顔だ…安心しきっている)

黒瀬

(俺を信頼しているこの女を痛めつけたら…)

黒瀬

(いったいどんな悲鳴を上げるんだろうなあ…)

黒瀬の妻

本当に会社休むの…?大丈夫?

黒瀬

ああ…ちょっと調子悪い…

黒瀬

寝てればいいと思うから…心配いらないよ

黒瀬の妻

そう…?辛かったら病院行ってよ?

黒瀬

ああ、わかってる…

『もう一度あの快感を味わいたい』

その願いをかなえてくれそうな人物を、

黒瀬は1人だけ知っていた──

黒瀬

(妻も息子も出かけた。電話するなら今だ…)

黒瀬

(一ノ瀬里穂…10年前の少女に似た女…)

黒瀬

(俺は電話してどうする気なんだ…?)

黒瀬

(でもあの女が…!)

黒瀬

(どうしても…気になる!)

黒瀬は、思い切って里穂に電話をかけた。

プルルルルル…

里穂

…もしもし?

黒瀬

あ…里穂さん…ですか…?

里穂

もしかして、私がスーツ汚しちゃったかた?

黒瀬

(この女の声を聞いてるとゾクゾクする…)

黒瀬

(痛めつけて、悲鳴を聞きたい…!)

黒瀬

は、はい…昨日会った…

里穂

連絡くれたんですね!良かった!

里穂

それじゃあ、私がスーツを汚したことの…

里穂

お詫びをしたいって話、受けてくれるんですよね?

黒瀬

あ、ああ…はい…そちらが良ければ…

里穂

それなら、近いうちにご馳走します…ええと…

黒瀬

黒瀬です。俺は、黒瀬 優也です。

里穂

優也さん…当日、楽しみにしてます

黒瀬

(俺は生活に波風を立てることを好まない)

黒瀬

(こんな女の誘いに乗るなんてどうかしてる…)

黒瀬

(俺は…どうしてしまったんだ?)

数日後──

黒瀬は、里穂から指定された店に来ていた。

黒瀬

(里穂さんが予約したのはこの個室か…)

里穂

あ、優也さん…!来てくれたのね!

黒瀬

はい、今日はありがとうございます

里穂

ううん、私がご迷惑かけたんだもの、当然よ

黒瀬

(見れば見るほど…10年前のあの女に似てる)

黒瀬

(あの女と同じように、いい悲鳴が聞けそうだ…)

黒瀬

(懐かしいなあ…あの感覚…)

黒瀬

(そうだ、あの女はなんて名前だった?…確か…)

里穂

やだ、優也さん…そんなに見ないで?

黒瀬

え、いや…すみません…!

黒瀬

(気をつけろ…俺の卑しい感情に気付かれる…!)

里穂

ねえ、1杯目は何?生でいい?

黒瀬

はい、それでお願いします

黒瀬と里穂は、乾杯をした。

2人は、会話をしつつ酒を飲み進めた。

里穂

うふふ…少し酔っちゃったみたい…

黒瀬

俺もです

里穂

あのね、私最初に優也さんのこと…

里穂

『素敵な人』って言ったじゃない?

里穂

あれ、今も思ってるの…

黒瀬

里穂さん…そんなに近づいたら…

黒瀬は、里穂の誘うような視線から

目を逸らせないでいた──

10年越しの復讐 -シーズン1-

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

765

コメント

6

ユーザー
ユーザー
ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚