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沙南夜

ねぇねぇ!妃香梨ってあの幻屋に行ったんでしょ?!

妃香梨

まぁ・・・うん

沙南夜

あのね〜気をつけた方がいいよ

沙南夜

幻屋で貰った&買ったものは絶対に捨てちゃいけないって言われてるの

妃香梨

・・・なんで?

沙南夜

幻屋の少女に何かされるんだって

沙南夜

だから、絶対捨てちゃダメだよ

妃香梨

う、うん

私が幻屋で出会った少女は

噂されてるほど怖い少女じゃない

むしろ優しい少女だった

妃香梨

はぁ・・・疲れた

妃香梨

ただいま

お母さん

なんで帰ってきたのよ

お母さん

あんたはウチの子じゃないでしょ

お母さん

出ていきなさい

妃香梨

・・・うぜぇなババア

お母さん

・・・何か言った・・・?ゴゴゴゴゴ・・・

妃香梨

何も

妃香梨

さよならくそばばあ

妃香梨

二度とこんな所来ないわ

私は小さい頃から両親に嫌われている

でも、今日から新しい両親を探すことにしたの

草太

妃香梨

草太

遅かったじゃねぇか

妃香梨

ごめん、待った?

草太

いや、待ったけど大丈夫

腐れ縁の草太と一緒に新しい両親を探す

妃香梨

はぁ・・・ダメだね、どこも私達を家にすら入れてくれない

草太

だな

草太

まぁ無理もないか

草太

知らない高校生が家に来たって家族にしてくれる人はいないよな

妃香梨

そうかぁ・・・

家を出て3時間、色々な家を回ったが、どこも私達を受け入れてくれなかった

妃香梨

ねぇ、私達どうすればいいのかな

草太

・・・分からない

私達は頭を抱えた

しばらく経って、草太が口を開いた

草太

そうだ

草太

こうなったら幻屋が本当にあると信じて探してみるしかないな

妃香梨

幻屋・・・?

草太

知らないのか?

草太

噂だと、なんでもあってものを貰ったり買ったりできる幻のお店があるらしいんだ。

草太

そこには謎の少女がいるらしい

草太

正体不明の、な

草太

幻屋を見つけられるのは選ばれし者たちだけ

妃香梨

そんな噂、ホントなわけないじゃん

草太

でも、やってみるしかないだろ?

草太

それとも何もしないで飢え死にするか?

妃香梨

・・・それはやだ

草太

じゃあ、やるだけやってみようぜ

妃香梨

何をすればいいの?

草太

・・・探す

妃香梨

え?そんなんで見つかるの?

草太

選ばれし者なら、突然目の前に幻屋が現れるらしい

妃香梨

へぇ

妃香梨

嘘くさい話

妃香梨

まぁいいや。探すか

私達はゆっくり歩を進めた

すると突然、目の前が明るくなった

光が消えると、何やらお店のような建物が現れた

妃香梨

これって・・・

草太

もしかして・・・

「幻屋?!」

謎の少女

・・・あら、いらっしゃい、天川妃香梨さん、夕立草太さん

妃香梨

え、あなたは・・・?

草太

なんで俺たちの名前を知ってるんだ・・・?

謎の少女

そんなことどうでもいいでしょ

謎の少女

何を求めているの、あなた達は

草太

俺達は・・・

妃香梨

私達は・・・

「新しい家族が欲しいです」

謎の少女は一瞬驚いた顔をした

謎の少女

家族・・・?

謎の少女

あなた達、家族がいないの?

妃香梨

います

草太

だけど、俺達親から嫌われてて

草太

追い出されたんです

謎の少女

・・・そう

謎の少女

分かったわ。あなた達に家族をあげましょう

妃香梨

ほんとですか?!

草太

ありがとうございます!

謎の少女

ただし。

謎の少女

1つ条件があるの

謎の少女

絶対にこの店のことや私のことを他の人に詳しく話してはダメよ

妃香梨

分かりました

草太

承知です

謎の少女

お祖母様・・・

謎の少女

どうか二人に新しい家族をお恵みください・・・

私達の目の前がいきなり真っ暗になった

お母さん

・・・梨・・・

お母さん

草・・・

お姉ちゃん!お兄ちゃん!

起きて!起きて!

妃香梨

ん〜・・・

草太

あと10分だけ・・・

ダメ!!起きなさい!!

妃香梨

うるさいなぁ・・・

草太

もぉ・・・

私達が文句を言いながら目を開けると・・・

私達は知らない家の知らないベットの上にいた

妃香梨

ここ・・・どこ?!

草太

っ、だ、誰ですか?!

・・・?

どうしたの、寝ぼけてるの?

お母さん

ちょっと、2人とも。

お母さん

早く頭を起こしなさい

お父さん

お前達〜、学校に遅刻するぞ〜

妃香梨

え・・・

草太

なぁ妃香梨、もしかして・・・

「新しい家族?」

そうよ、そうだよ

この人達が新しい家族なんだ

妃香梨

あはは、冗談だよ〜

草太

妹だろ?

妹って呼ばないで!

澪って名前があるんだから

澪と名乗る妹らしき女の子は拗ねてリビングに行ってしまった

なんか楽しそうな家族だし、良かった

草太

なぁ妃香梨

妃香梨

ん?

草太

学校は変わらないってことはさ・・・

草太

俺達の本当の両親も俺達の本当の家に行けばいるって事だよな?

妃香梨

た、多分・・・

草太

会いに行ってみないか?

妃香梨

え?なんで?

草太

いや〜、何となく行きたくなってさ

妃香梨

え〜私会いたくないよ〜

草太

そうか。ならいいや

沙南夜

ちょ、妃香梨〜!!

妃香梨

・・・あ、沙南夜

沙南夜

なんか、先生が職員室に来いって言ってたよ

沙南夜

だいぶ急ぎらしいけど・・・なんかあったの?

沙南夜

あ、草太くん。草太くんも呼ばれてたよ

草太

え、まじ

妃香梨

私達、なんかしたっけ?

草太

いや・・・あれじゃね?

妃香梨

・・・あぁ

草太

まぁ取り敢えず行くか、職員室

妃香梨

うん

先生

お前達、昨日一日中何をしていたんだ

草太

・・・え?

妃香梨

何って・・・別に何も

お母さん

ちょっと妃香梨!どこに行ってたのよ

妃香梨

お、お母さん?!

妃香梨

何って・・・追い出されたからそのまま草太といたけど

お母さん

・・・草太くん

お母さん

娘と何をしていたの

草太

・・・妃香梨

草太

正直に話していいか?

妃香梨

・・・うん

草太

実は俺達、新しい家族を探してました

お母さん

・・・は?

草太

俺達、両親に嫌われてるから新しい家族を作ろうってなったんです

お母さん

嫌われてるって・・・妃香梨、あんたそんなこと思ってたの?

妃香梨

嫌ってるでしょ

妃香梨

ウチの子じゃないとか言ってたじゃん

お母さん

あれは・・・

お母さん

妃香梨の反抗が酷いから辞めさせるために言っただけよ

妃香梨

あっそ

妃香梨

でもまぁ私、もう新しい家族いるから

お母さん

・・・え?

妃香梨

もう帰って

妃香梨

私達、新しい家族を見つけたの

お母さん

そんな・・・ダメよ!戻ってきなさい

妃香梨

嫌だ

妃香梨

そっちに住んだら何もして貰えないもん

妃香梨

幸せに暮らせる家族の方がいいもん

お母さん

妃香梨・・・

先生

ちょ、ちょっと

先生

なんなんだお前達は

先生

親にとる態度じゃないだろう

先生

新しい家族とか馬鹿げたことを言うんじゃない

妃香梨

馬鹿げた事じゃないです

妃香梨

本当のことです

草太

幻屋のおかげで俺達は新しい家族が出来たんです

先生

幻屋・・・?あぁ、あの噂の

先生

そんなの嘘に決まっているだろう

先生

寝不足か何かで頭がおかしくなったのか?

草太

違います

妃香梨

私達はおかしくないです

化け物

大人はぁ酷いよねぇ

・・・え?

どこからか謎の声が聞こえた

化け物

何も分かってくれないし、ウザイよねぇ

パシッ

妃香梨

きゃあっ!

草太

妃香梨っ!!

草太

なんだ、これ・・・?

草太

薬?

謎の少女

ごめんなさい、少し雑にやりすぎてしまったわ

謎の少女

その薬、私に投げて!

妃香梨

あなたは・・・

草太

昨日の・・・・

謎の少女

いいから早く!

草太

あ、はい!

草太が薬を謎の少女に投げると白いけむりをたてながら何やら怪しげな動きをしだした

どうやら武器を作ったようだ

謎の少女

愚かなサトリよ、イタズラをやめなさい!!

化け物

うああああ・・・ごめんなさいァァァ・・・

謎の声の主は消えた

謎の少女

ふぅ・・・

お母さん

誰・・・?

先生

君は・・・どこから来たんだ・・・?

謎の少女

あぁ・・・見られてしまった

謎の少女

私のことは誰にも詳しく離さないでくださいね

謎の少女

私は幻屋の者です

お母さん

ま、幻屋!

先生

いや・・・まさか幻屋が存在するわけ・・・

謎の少女

あるんです

謎の少女

今あったことは忘れてください

謎の少女

では、さよなら・・・

お母さん

ま、待って!

謎の少女

・・・なんでしょう

お母さん

あなたが・・・妃香梨に新しい家族を・・・?

謎の少女

はい。まぁ、正確に言えば私のお祖母様が

お母さん

なんてことするのよ!

謎の少女

・・・はい?

謎の少女

私は選ばれし者にほしいものをあげただけですが

お母さん

ふざけないで・・・!

謎の少女

おかしいですね

謎の少女

天川妃香梨さんは両親に嫌われてるんですよね

謎の少女

なのになぜこんなにお母様が必死になっているんですか?

妃香梨

あぁ、なんかね、ウチの子じゃないって言ったのは反抗が酷かったから辞めさせるためだったらしいわ

謎の少女

そうですか・・・

謎の少女

私、嘘つきは大嫌いです

謎の少女

・・・新しい家族、没収しますね

妃香梨

・・・え?!どうして?!

謎の少女

だって、愛されてるじゃありませんか

草太

俺もダメなのか?!

謎の少女

夕立草太さんは別にそのままでいいです

草太

良かった・・・

妃香梨

やだ、私、戻りたくない

謎の少女

ダメです

謎の少女

御家族は大切にしてください

謎の少女

愛されてるなら、あなたも愛さなきゃ

私は青い光に包まれた

お母さん

妃香梨〜

お母さん

起きなさい、遅刻するわよ

妃香梨

・・・んん・・・

妃香梨

お母さん・・・

お母さん

ほら、起きて!

妃香梨

はぁい・・・

あれ、私何してたんだっけ

妃香梨

あれ・・・?

妃香梨

ねぇ、私お母さんに家を追い出されたよね?

お母さん

・・・え?

お母さん

そんなことしてないじゃない

お母さん

やめてよ変な嘘〜

妃香梨

そ、そっか。ごめん

なんだ夢だったのかな

沙南夜

妃香梨?聞いてる?

妃香梨

・・・ん?あぁ、えっと・・・なんだっけ

沙南夜

だから!前幻屋に言った時はどんな感じだったの?

妃香梨

どんな感じって・・・?

『絶対に私のことは他の人に詳しく話してはダメよ』

妃香梨

えぇっとねぇ・・・なんか、あんまり覚えてないや

沙南夜

え〜

結局夢だったのか現実だったのか分からない

だけど

謎の少女はきっと怖い人じゃない

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