さまよう道

SNSの画面をちゃんと見ると、そこには通話時間が先ほどの四分の通話記録よりも前の記録が残っていた。おかしなことに自分もお母さんに電話をかけている。そんなことはしていない。

ここで止まっている。通話記録があっても言葉の内容は記録されていない。

一瞬で気が付いた。すみれから貰ったURLだった。私はすぐにこれを削除した。何か怖いし、二つもいらないから。

勝手に流れる通話記録。もちろん、取ってない。会話はそのまま流れる。

個人同士なのにどういうこと？二人で待っているのは分かるけど、なぜすみれのアイコンが。 そして一番気になるのはすみれから来たSNSもお母さんからもそして今の現時刻も全て彼女と別れた時刻のまま動いてない。動いてるのは通話記録の謎の時間やSNSでの私とのやり取り、そして私自身。 そして私が行くべき場所は…。

キッチンへ向かった私はそこにあった物に目を疑った。そこには赤い液体に横たわる包丁があった。落ちたのは包丁なのだろう。

赤い液体の匂いを嗅いでみた。血じゃなくて嗅いだことのありそうな匂い。舐めてみたくなる。

人差し指でそれを舐めてみる。

これは…。

その上に書かれていた"URL”というケチャップで出来た文字にすみれから送られてきたURLの話やお母さんたちがここに促す話で一つの決意を固めた。

スマホ画面を見ると、あの続きにお母さんから2件の通知記録が入っていた。

なるほど。あの時の数字遊びのすみれが発した「にぃ〜」が入るか入らないかは、私と彼女の深い縁を妨げるか繋ぐ為のものだったのかもしれない。すみれとの画面に戻った。

やっぱりお母さんとのSNSの通話記録と同じだ。そして数字遊びの最後に私が彼女に向けた一言の「11524731」の間の「にぃ〜」という彼女の言葉。これら全て次の一言に変換される。

”いい子に死になさい"、と。

私はそっとここにある彼女から送られたURLを押した。