午前8時
一同はレストランに集まり
モーニングビュッフェに 舌鼓を打つ
しかしながら、生憎の吹雪のせいで スキーが中止になるのではないか? という不安の中の食事 という事もあってか
あまり盛り上がっているとは 言い難い状況であった
日向奏星
中止になっちゃう
のかな?
和久井龍也
かなり高いと思うぜ
姫川美咲
姫川美咲
教えてもらいながら
スキーできると思ったのに
揚羽凛太郎
長野にはねーのかな!
揚羽凛太郎
あるって聞いたけど
和久井龍也
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向奏星
午後には止む予報
らしいけど
和久井龍也
当分は視界は
悪いだろうからな
揚羽凛太郎
皆が不安を抱えながら 朝食を取る
午前9時
大広間
大広間には生徒一同が集められ
小雪の口から 本日の日程が告げられた
常盤小雪
10時からスキー体験を
予定してましたが
常盤小雪
外は生憎の吹雪です
揚羽凛太郎
常盤小雪
予報ではありますが
常盤小雪
視界が悪くなりやすく
常盤小雪
困難を極めると言う
ホテルの方々からの話もあり
常盤小雪
誠に残念ではありますが
中止とします!
小雪の口から発せられたら 「スキー体験中止」という事実に 生徒たちがざわつく
肝月先生
揚羽凛太郎
和久井龍也
日向奏星
どうなるんだろ?
日向奏星
姫川美咲
肝月先生
話はまだ終わりじゃ無いんだ
姫川美咲
肝月先生
肝月先生
続けてください!
常盤小雪
揚羽凛太郎
じゃないって
どういう意味だろうな?》
和久井龍也
常盤小雪
1日ホテルの中だけで
過ごすと言うのは
常盤小雪
退屈だと思います
揚羽凛太郎
常盤小雪
常盤小雪
されている午後から
常盤小雪
長野駅周辺まで戻ります
揚羽凛太郎
常盤小雪
自由行動とします
自由行動という言葉を聞き 歓喜混じりにざわつく生徒一同
揚羽凛太郎
和久井龍也
アリだなぁ
姫川美咲
残念だけど
姫川美咲
日向奏星
常盤小雪
ホテル内で待機してもらい
常盤小雪
長野駅周辺まで移動し
常盤小雪
4時間自由行動とします
クラスメイトA
クラスメイトB
楽しめるね
男子生徒A
テンションあがる
常盤小雪
注意事項をまとめた
プリントを渡します
常盤小雪
自由行動をしてください
常盤小雪
小雪の合図で 生徒一同は大広間から 各自、部屋へ戻る
室内では 凛太郎、龍也、奏星、美咲の 4人があつまり
自由行動時に どこを回るかを 打ち合わせしていた
揚羽凛太郎
何だったっけ?
日向奏星
奏星がプリントに目を通す
日向奏星
している間は
日向奏星
日向奏星
担任への定期連絡を
する事!
和久井龍也
姫川美咲
さすがに心配だろうからね
揚羽凛太郎
責任問題だもんな
日向奏星
食べる時に出たレシートを
日向奏星
担任に渡す事!
日向奏星
経費として返金対応
するんだって
揚羽凛太郎
日向奏星
決して出ない事!
日向奏星
和久井龍也
揚羽凛太郎
ブルーになってたけど
揚羽凛太郎
サプライズだな
姫川美咲
どこ行こっか?
和久井龍也
見ながら考えようぜ
それから各々 ホテル内で待機し
バスに乗り込み 長野駅周辺を目指す
午後12時20分
長野市には先ほどの吹雪が まるで幻であったかのような 晴天が訪れていた
日向奏星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
不安だったけどな
和久井龍也
どうするんだ?
揚羽凛太郎
ぶらついてみるよ
姫川美咲
皆んなでまわらない?
姫川美咲
姫川美咲
揚羽凛太郎
姫川美咲
揚羽凛太郎
日向奏星
3人で回ろっか
揚羽凛太郎
日向奏星
覚えてないの?
揚羽凛太郎
日向奏星
自由行動しちゃ
いけないんでしょ?
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
和久井龍也
困ってるリン見て
楽しんでね?
姫川美咲
和久井龍也
気強いのかな?
姫川美咲
日向奏星
和久井龍也
なんでもねーよ!
日向奏星
和久井龍也
圧力を感じる)
4人はしばらくの間 目的もなく長野駅周辺を ぶらぶらと探索していた
姫川美咲
姫川美咲
和久井龍也
美咲が指差す建物を 龍也が確認する
そこには 「鮎屋百貨店」と書かれていた
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
和久井龍也
社長やってる百貨店だな
和久井龍也
あったんだな
日向奏星
美咲を騙そうとした
先輩だよね?
和久井龍也
何やってんだろうな
姫川美咲
とりあえず見てみようよ
姫川美咲
美咲は龍也の腕に 自分の腕を絡ませる
和久井龍也
鮎屋百貨店
約114,000 m2の 敷地面積に 約135の店舗が軒を連ねる
揚羽凛太郎
案外でけーんだな
和久井龍也
和久井龍也
あるだろ?
揚羽凛太郎
ねーんだよな
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
二人で行こうよ
日向奏星
いっぱい知ってるから
揚羽凛太郎
姫川美咲
ここで食べる?
和久井龍也
和久井龍也
揃ってっからな
凛太郎たちが楽しげに 会話しながら 店内を歩いていると
ブランド物のスーツに 身を包んだ小綺麗な中年男性が 話しかけてきた
中年男性
君は和久井くんかな?
和久井龍也
龍也が振り返ると そこに居たのは
和久井龍也
もしかして──
話しかけてきた男子は 鮎原透の父親にして 鮎屋百貨店の社長を務める 鮎原拓郎だった
鮎原拓郎
和久井くんだね
和久井龍也
姫川美咲
鮎原拓郎
久しぶりだね
姫川美咲
鮎原拓郎
迷惑をかけてしまい
すまなかったね
姫川美咲
とんでもないです
鮎原拓郎
取れたみたいで安心したよ
和久井龍也
出してもらって
ありがとうございました
鮎原拓郎
和久井くんの骨折は
こちらの不手際だからね
鮎原拓郎
君達は長野で
何をやっているんだね?
和久井龍也
鮎原拓郎
姫川美咲
やる予定だったんですけど
姫川美咲
中止になっちゃったんです
鮎原拓郎
すごかったからね
和久井龍也
自由行動になったんスよ
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
日向奏星
お父さん!!
揚羽凛太郎
あんな顔だったな
日向奏星
忘れちゃダメだよ
揚羽凛太郎
直接的な関わりはないしさ
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
昼食はもう済ませたのかな?
和久井龍也
和久井龍也
探そうかと──
鮎原拓郎
和久井龍也
鮎原拓郎
レストランで
食事をして行きなさい!
鮎原拓郎
私が持とう!
和久井龍也
お金は払いま──
鮎原拓郎
和久井龍也
姫川美咲
姫川美咲
「いただきます」
って言うのよ!
和久井龍也
姫川美咲
言ってくれてるんだから
姫川美咲
泥塗る事になるよ
鮎原拓郎
そうだぞ和久井くん
鮎原拓郎
泥を塗るのかい?
和久井龍也
和久井龍也
言ってくれてるし)
和久井龍也
お言葉に甘えて
鮎原拓郎
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
姫川さんの
お友達なんだよね?
姫川美咲
姫川美咲
日向奏星です!
日向奏星
鮎原拓郎
よろしく!
鮎原拓郎
屋上に居たよね?
日向奏星
姫川美咲
揚羽凛太郎くんです
和久井龍也
友達なんです
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
よろしく!
日向奏星
日向奏星
揚羽凛太郎
レストラン
凛太郎たちは 鮎原拓郎に連れられ レストランにやって来ていた
鮎原拓郎
座るといい!
鮎原拓郎
伝えなければならない
事があるから
鮎原拓郎
揚羽凛太郎
皆は申し訳なさそうに 4人掛けの テーブル席に座る
和久井龍也
レストランだな
揚羽凛太郎
揚羽凛太郎
緊張しちまうな
日向奏星
上品な奥様ばっかりだよ!
姫川美咲
このレストラン
和久井龍也
言ってたけど
和久井龍也
どうなってたんだろ
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
ウェイター
ウェイター
鮎原拓郎
ウェイター
鮎原拓郎
テーブル席へご案内した
ウェイター
鮎原拓郎
大切なお客様だ
ウェイター
鮎原拓郎
私持ちだから
間違えない様に頼む
ウェイター
鮎原拓郎
顔を出す様に
伝えてくれ
鮎原拓郎
ウェイター
ウェイター
鮎原拓郎
鮎原拓郎
メニュー表だ!
鮎原拓郎
頼んでくれ!
そういうと拓郎は 4人それぞれに メニュー表を手渡す
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
そう伝えると拓郎は 急足で厨房へ舞い戻った
姫川美咲
日向奏星
それに今は
ランチの時間だろうしね
揚羽凛太郎
社長って居るんだな
揚羽凛太郎
椅子に座って
ふんぞり返ってる
イメージだけどな
日向奏星
声が大きいよ!
揚羽凛太郎
日向奏星
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
言ったような社長も
居るけどね
鮎原拓郎
落ち着かない
性格なもんでね(笑)
背後から現れた拓郎が 凛太郎の両肩に手を添え 優しく語りかける
揚羽凛太郎
日向奏星
大きいのよ!
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
鮎原拓郎
一同は渡された メニュー表を見る
揚羽凛太郎
日向奏星
日向奏星
値段じゃないよね
それから皆は メニュー表を吟味する
日向奏星
姫川美咲
和久井龍也
和久井龍也
日向奏星
日向奏星
カルボナーラとか
選べるみたいだし
姫川美咲
パスタにしよっと
揚羽凛太郎
日向奏星
凛くん!
揚羽凛太郎
好きだからな
それから皆は それぞれ注文をする
姫川美咲
姫川美咲
カルボナーラに
したんだよね?
日向奏星
揚羽凛太郎
甘辛で最高だぜ
和久井龍也
してきたなぁ
和久井龍也
タダなんて
姫川美咲
助けてくれたおかげだね
姫川美咲
和久井龍也
美咲が鮎原に騙された
おかけだろ
姫川美咲
和久井龍也
軽い冗談だろ!
姫川美咲
日向奏星
和久井くん?
揚羽凛太郎
和久井龍也
皆がしばらく 昼食を楽しんでいると
鮎原拓郎
鮎原拓郎
和久井龍也
姫川美咲
ありがとうございます
鮎原拓郎
鮎原拓郎
せめてもの謝罪だからな
和久井龍也
鮎原拓郎
会わせたい男が居るんだが
揚羽凛太郎
日向奏星
鮎原拓郎
構わないかな?
和久井龍也
和久井龍也
鮎原拓郎
拓郎が一人の男の手を引っ張って 皆の前に連れてくる
鮎原透
引っ張らないで下さいよ
姫川美咲
和久井龍也
拓郎が連れてきたのは
かつて美咲を騙そうとしていた 拓郎の息子である透だった
鮎原拓郎
鮎原拓郎
彼らに言わなきゃならん
事があるはずだ!
鮎原透
和久井龍也
鮎原拓郎
和久井龍也
勘当したんじゃ
なかったんですか?
鮎原拓郎
鮎原拓郎
私の元で下っ端として
一から働きたい!と
言うもんでね
鮎原拓郎
見習いとして
働かせているんだ!
鮎原透
姫川美咲
鮎原拓郎
何を突っ立てるんだ!
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原透
姫川美咲
鮎原透
鮎原拓郎
拓郎が透の後頭部を 平手打ちする
鮎原透
鮎原透
和久井龍也
鮎原透
鮎原透
透は深々と頭を下げる
姫川美咲
和久井龍也
鮎原透
鮎原透
鮎原透
鮎原透
愚かさに気がついた
鮎原透
やっと気づいた・・
和久井龍也
姫川美咲
姫川美咲
鮎原透
姫川美咲
姫川美咲
いませんから
鮎原透
鮎原透
和久井龍也
日向奏星
姫川美咲
めちゃ怖かったし
姫川美咲
言えなかったのかも
しれません
鮎原透
姫川美咲
感謝してるんですよ?
鮎原拓郎
鮎原透
姫川美咲
なかったら
姫川美咲
付き合えてなかった
かもしれませんから
和久井龍也
姫川美咲
くれた先輩には
感謝してるんです
姫川美咲
責めないでください
鮎原透
美咲ちゃん・・・
それから一同は レストランでの食事を終える
揚羽凛太郎
日向奏星
鮎原拓郎
楽しんでくれたかな?
和久井龍也
美味しかったっス
姫川美咲
鮎原拓郎
鮎原拓郎
この後は予定は
決めてあるのかな?
鮎原拓郎
最中だったよね?
揚羽凛太郎
鮎原拓郎
鮎原拓郎
案内させるから
鮎原拓郎
鮎原透
鮎原拓郎
彼らに店内を
案内してさしあげなさい
鮎原透
和久井龍也
大変そうだな・・)
それから拓郎にお礼を言い レストランを後にした一同は 透と共に店内を見て回っていた
和久井龍也
働いてるなんて驚いたぜ
鮎原透
和久井龍也
乞食にでも
なってんのかと思ったわ
鮎原透
和久井龍也
和久井龍也
あのレストランで
働くつもりか?
鮎原透
定時制の高校に
行くつもりだ
和久井龍也
夜間の高校だよな?
鮎原透
鮎原透
羽目になっちまったけどな
和久井龍也
出してもらうわけには
いかねーわな!
鮎原透
和久井龍也
鮎原透
泥水啜ってでも
必死にやるつもりだ
鮎原透
取り戻してーからな
和久井龍也
高校一年に逆戻り
って訳だな!
和久井龍也
鮎原透
鮎原透
和久井龍也
あのパーカーの奴は
今どうしてんだ?
鮎原透
和久井龍也
金髪の──
鮎原透
和久井龍也
鮎原透
鮎原透
連絡取ってねーからな
和久井龍也
鮎原透
ひとみと同棲してる
って話だけどなぁ
鮎原透
和久井龍也
鮎原透
知らねーよな
鮎原透
共通のひとみって
セ○レが居たんだ
和久井龍也
鮎原透
随分気に入ってたからな
鮎原透
和久井龍也
いわゆる穴兄弟
だったわけだな!
鮎原透
鮎原透
お前はどうなんだよ?
和久井龍也
鮎原透
もうヤッたのか?
和久井龍也
いきなり!
鮎原透
まだヤッてねーのか?
鮎原透
和久井龍也
鮎原透
飽きられて他所に行かれるぜ
和久井龍也
鮎原透
有難いアドバイスだ!
和久井龍也
それから数時間
時折休憩を挟みながら 凛太郎たちは鮎原と共に 鮎屋百貨店を見て回った
姫川美咲
ございました
鮎原透
鮎原透
美咲ちゃんに
会えて良かった
和久井龍也
頑張れよ!
鮎原透
鮎原透
ヤッちまえよ!
姫川美咲
和久井龍也
和久井龍也
関係ねー話だから
姫川美咲
鮎原透
機会があったら!
和久井龍也
姫川美咲
定時制頑張って
くださいね!
鮎原透
一同は透と別れ 集合先である長野駅へ戻る
その頃
ある地方都市では ひとつの事件が 静かに起きていた
警察署には 一人の女性が慌てた様子で 警察官に話をしている
女性
女性
警察官
お母さん!
警察官
いたしましたから!
女性
警察官
状況を確認いたします
女性
警察官
警察官
出勤された
女性
警察官
ご自宅にいらっしゃった?
女性
女性
中学時代からの
不登校で・・・
女性
行かせた高校ですら
登校できずに
女性
ましたから
女性
警察官
警察官
午後19時になって
ご帰宅された時には既に?
女性
女性
部屋に鍵をかけて
閉じこもっている訳ではなく
女性
テレビを見ていたりは
出来ていました
女性
なっても娘が
部屋から出てこないので
女性
部屋を覗いてみたら
女性
女性
女性は一枚の紙を テーブルの上にそっと置く
警察官
警察官
女性
女性
ろくにしていませんでしたし
女性
女性
女性
警察官
女性
男の子のストーキングを
していた事がありまして
警察官
女性
女性
したくないという
相手方の親の慈悲で
女性
という約束で
我々家族は
女性
引っ越して来たんです
警察官
会いたがっている
先輩というのが?
女性
ストーキングしていた
男の子の事だと思います
警察官
女性
警察官
女性
女性はテーブルの上に 一枚の写真を置く
警察官
警察官
娘さんの捜索にあたります
女性
警察官
眞琴杏樹
眞琴杏樹
通学してた電車だぁぁ♪
眞琴杏樹
大好きな先輩の顔が
浮かんでくる
眞琴杏樹
眞琴杏樹
先輩は無しでは
生きてけないから・・
眞琴杏樹






