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午前8時

一同はレストランに集まり

モーニングビュッフェに 舌鼓を打つ

しかしながら、生憎の吹雪のせいで スキーが中止になるのではないか? という不安の中の食事 という事もあってか

あまり盛り上がっているとは 言い難い状況であった

日向奏星

やっぱスキーは
中止になっちゃう
のかな?

和久井龍也

その可能性は
かなり高いと思うぜ

姫川美咲

あ〜あ!

姫川美咲

せっかく龍也に
教えてもらいながら
スキーできると思ったのに

揚羽凛太郎

屋内スキー場とかって
長野にはねーのかな!

揚羽凛太郎

神奈川とか岐阜とかには
あるって聞いたけど

和久井龍也

長野にはねーんだよな

揚羽凛太郎

はぁ・・・

揚羽凛太郎

やっぱ無理なのかな?

日向奏星

一応、この吹雪は
午後には止む予報
らしいけど

和久井龍也

ゲレンデってなると
当分は視界は
悪いだろうからな

揚羽凛太郎

どうなるんだろうな

皆が不安を抱えながら 朝食を取る

午前9時

大広間

大広間には生徒一同が集められ

小雪の口から 本日の日程が告げられた

常盤小雪

本日は昨日同様に
10時からスキー体験を
予定してましたが

常盤小雪

皆さんも知っての通り
外は生憎の吹雪です

揚羽凛太郎

・・・・・

常盤小雪

午後からは晴れるという
予報ではありますが

常盤小雪

吹雪後のゲレンデは
視界が悪くなりやすく

常盤小雪

スキー体験をするのは
困難を極めると言う
ホテルの方々からの話もあり

常盤小雪

本日のスキー体験は
誠に残念ではありますが
中止とします!

小雪の口から発せられたら 「スキー体験中止」という事実に 生徒たちがざわつく

肝月先生

静かにしろ!

揚羽凛太郎

やっぱ中止かぁ・・

和久井龍也

まぁ、仕方ねーよな

日向奏星

じゃあ今日は
どうなるんだろ?

日向奏星

1日ホテルの中?

姫川美咲

それつまんなーい

肝月先生

そこ!静かにしろ!
話はまだ終わりじゃ無いんだ

姫川美咲

すいませーん!

肝月先生

まったく・・

肝月先生

常盤先生!
続けてください!

常盤小雪

はい!

揚羽凛太郎

《話はまだ終わり
じゃないって
どういう意味だろうな?》

和久井龍也

《さぁ・・・》

常盤小雪

だからと言って
1日ホテルの中だけで
過ごすと言うのは

常盤小雪

あまりにも
退屈だと思います

揚羽凛太郎

・・・・・

常盤小雪

ですので──

常盤小雪

吹雪が止むと
されている午後から

常盤小雪

全員でバスに乗って
長野駅周辺まで戻ります

揚羽凛太郎

(長野駅?)

常盤小雪

そこで初日同様に
自由行動とします

自由行動という言葉を聞き 歓喜混じりにざわつく生徒一同

揚羽凛太郎

自由行動か・・

和久井龍也

これはこれで
アリだなぁ

姫川美咲

スキー中止なのは
残念だけど

姫川美咲

自由行動は嬉しいね

日向奏星

うん!

常盤小雪

なので今から11時までは
ホテル内で待機してもらい

常盤小雪

その後バスに乗って
長野駅周辺まで移動し

常盤小雪

12時から16時までの
4時間自由行動とします

クラスメイトA

4時間も?

クラスメイトB

それならかなり
楽しめるね

男子生徒A

くぅー!
テンションあがる

常盤小雪

ですので、今から各自に
注意事項をまとめた
プリントを渡します

常盤小雪

これらを守って
自由行動をしてください

常盤小雪

では部屋に戻って!

小雪の合図で 生徒一同は大広間から 各自、部屋へ戻る

室内では 凛太郎、龍也、奏星、美咲の 4人があつまり

自由行動時に どこを回るかを 打ち合わせしていた

揚羽凛太郎

注意事項って
何だったっけ?

日向奏星

えー・・っとね

奏星がプリントに目を通す

日向奏星

まず、自由行動
している間は

日向奏星

必ず3人以上である事!

日向奏星

それから1時間に1回
担任への定期連絡を
する事!

和久井龍也

まぁ、4時間もあるからな

姫川美咲

生徒を4時間も野放しは
さすがに心配だろうからね

揚羽凛太郎

何があったら
責任問題だもんな

日向奏星

それから、昼食を
食べる時に出たレシートを

日向奏星

ホテル到着時に
担任に渡す事!

日向奏星

後からから計上して
経費として返金対応
するんだって

揚羽凛太郎

あとは?

日向奏星

最後に長野駅周辺から
決して出ない事!

日向奏星

って書いてある

和久井龍也

意外に緩いな

揚羽凛太郎

スキー中止になって
ブルーになってたけど

揚羽凛太郎

予想外の
サプライズだな

姫川美咲

ね?龍也!
どこ行こっか?

和久井龍也

まぁ、ゴーグルマップ
見ながら考えようぜ

それから各々 ホテル内で待機し

バスに乗り込み 長野駅周辺を目指す

午後12時20分

長野市には先ほどの吹雪が まるで幻であったかのような 晴天が訪れていた

日向奏星

晴れてよかったね

揚羽凛太郎

ホントそれ!

揚羽凛太郎

まじで止むのか
不安だったけどな

和久井龍也

リンたちは
どうするんだ?

揚羽凛太郎

まぁ、テキトーに
ぶらついてみるよ

姫川美咲

ねぇ!ねぇ!せっかくだし
皆んなでまわらない?

姫川美咲

ダブルデートしよ♫

姫川美咲

ダブルデート♫

揚羽凛太郎

え?ダブル?

姫川美咲

えー!嫌?

揚羽凛太郎

別に嫌じゃ──

日向奏星

なら凛くん抜きで
3人で回ろっか

揚羽凛太郎

ちょ!おい!

日向奏星

凛くん!注意事項
覚えてないの?

揚羽凛太郎

注意事項?

日向奏星

3人以上でなきゃ
自由行動しちゃ
いけないんでしょ?

揚羽凛太郎

あっ!そうだった

日向奏星

だから3人で──

揚羽凛太郎

いや!待った!待った!

揚羽凛太郎

4人で回ろ?な?な?

日向奏星

ふふふ

日向奏星

冗談だよ!冗談

和久井龍也

なんか日向って
困ってるリン見て
楽しんでね?

姫川美咲

ぷっ!確かに

和久井龍也

意外にSっ
気強いのかな?

姫川美咲

あー!それあるかも

日向奏星

Sって何の話?

和久井龍也

いや!いや!
なんでもねーよ!

日向奏星

ふー・・ん

和久井龍也

(なんか無言の
圧力を感じる)

4人はしばらくの間 目的もなく長野駅周辺を ぶらぶらと探索していた

姫川美咲

あっ!百貨店あるよ!

姫川美咲

ホラ!ホラ!

和久井龍也

百貨店?

美咲が指差す建物を 龍也が確認する

そこには 「鮎屋百貨店」と書かれていた

揚羽凛太郎

鮎屋?

揚羽凛太郎

鮎屋って確か──

和久井龍也

鮎原透の親父が
社長やってる百貨店だな

和久井龍也

長野にも
あったんだな

日向奏星

鮎原って人、たしか
美咲を騙そうとした
先輩だよね?

和久井龍也

ああ!あいつ今頃
何やってんだろうな

姫川美咲

そんな事はいいから!
とりあえず見てみようよ

姫川美咲

ね?ね?

美咲は龍也の腕に 自分の腕を絡ませる

和久井龍也

お、おう・・・

鮎屋百貨店

約114,000 m2の 敷地面積に 約135の店舗が軒を連ねる

揚羽凛太郎

鮎屋って初めて来たけど
案外でけーんだな

和久井龍也

まぁ、鮎屋だからな

和久井龍也

てか駅前にも
あるだろ?

揚羽凛太郎

俺行った事
ねーんだよな

日向奏星

え?行った事ないの?

揚羽凛太郎

あんま用事ねーからさ

日向奏星

なら今度一緒に
二人で行こうよ

日向奏星

オススメの店とか
いっぱい知ってるから

揚羽凛太郎

ああ!そうだな

姫川美咲

ならお昼は
ここで食べる?

和久井龍也

ああ、そうすっか

和久井龍也

ここなら大抵は
揃ってっからな

凛太郎たちが楽しげに 会話しながら 店内を歩いていると

ブランド物のスーツに 身を包んだ小綺麗な中年男性が 話しかけてきた

中年男性

もしかして
君は和久井くんかな?

和久井龍也

え?

龍也が振り返ると そこに居たのは

和久井龍也

あっ!アンタって
もしかして──

話しかけてきた男子は 鮎原透の父親にして 鮎屋百貨店の社長を務める 鮎原拓郎だった

鮎原拓郎

やっぱり
和久井くんだね

和久井龍也

鮎原さん!

姫川美咲

あっ!社長さんだ!

鮎原拓郎

姫川さんも
久しぶりだね

姫川美咲

お久しぶりです

鮎原拓郎

その節は透が
迷惑をかけてしまい
すまなかったね

姫川美咲

いや、そんな
とんでもないです

鮎原拓郎

和久井くんもギプスが
取れたみたいで安心したよ

和久井龍也

あん時は治療費
出してもらって
ありがとうございました

鮎原拓郎

いや、なぁに!
和久井くんの骨折は
こちらの不手際だからね

鮎原拓郎

それはそうと
君達は長野で
何をやっているんだね?

和久井龍也

実は修学旅行で──

鮎原拓郎

ああ!そういう事か!

姫川美咲

今日はスキーを
やる予定だったんですけど

姫川美咲

今朝の吹雪のせいで
中止になっちゃったんです

鮎原拓郎

確かに今朝の吹雪は
すごかったからね

和久井龍也

だから急遽
自由行動になったんスよ

揚羽凛太郎

なぁ!奏星!

日向奏星

なに?

揚羽凛太郎

あの人誰だっけ?

日向奏星

忘れたの?

日向奏星

鮎屋の社長だよ!

日向奏星

それと鮎原先輩の
お父さん!!

揚羽凛太郎

あっ!確か
あんな顔だったな

日向奏星

もう!人の顔と名前は
忘れちゃダメだよ

揚羽凛太郎

まぁ、俺は
直接的な関わりはないしさ

揚羽凛太郎

すっかり忘れてたわ

鮎原拓郎

ところで君達は
昼食はもう済ませたのかな?

和久井龍也

いや、まだで・・

和久井龍也

店内でどっか
探そうかと──

鮎原拓郎

それは丁度良かった!

和久井龍也

え?

鮎原拓郎

よかったらウチの
レストランで
食事をして行きなさい!

鮎原拓郎

お代はもちろん
私が持とう!

和久井龍也

いや、それは悪いですよ
お金は払いま──

鮎原拓郎

遠慮する事はない!

和久井龍也

ですけど──

姫川美咲

はい!はい!龍也!

姫川美咲

こう言う時は素直に
「いただきます」
って言うのよ!

和久井龍也

いや、でもな──

姫川美咲

せっかく鮎原さんが
言ってくれてるんだから

姫川美咲

無碍にしたら顔に
泥塗る事になるよ

鮎原拓郎

わはは!
そうだぞ和久井くん

鮎原拓郎

私の顔に
泥を塗るのかい?

和久井龍也

それは──

和久井龍也

(まぁ、せっかく
言ってくれてるし)

和久井龍也

じゃ、じゃあ
お言葉に甘えて

鮎原拓郎

君達も一緒にどうぞ!

揚羽凛太郎

俺たちもいいんですか?

鮎原拓郎

ああ!和久井くんと
姫川さんの
お友達なんだよね?

姫川美咲

はいっ!!

姫川美咲

この子は私の1番の親友
日向奏星です!

日向奏星

日向・・奏星です!

鮎原拓郎

日向さんだね!
よろしく!

鮎原拓郎

確かあの日・・
屋上に居たよね?

日向奏星

は、はい・・

姫川美咲

で、この人が奏星の彼氏
揚羽凛太郎くんです

和久井龍也

俺の中学時代からの
友達なんです

揚羽凛太郎

お、お久しぶりです

揚羽凛太郎

揚羽凛太郎です・・

鮎原拓郎

揚羽くんだね!
よろしく!

日向奏星

《何がお久しぶりよ》

日向奏星

《覚えてなかったくせに》

揚羽凛太郎

《いいんだよ別に!》

レストラン

凛太郎たちは 鮎原拓郎に連れられ レストランにやって来ていた

鮎原拓郎

さぁ!好きな席に
座るといい!

鮎原拓郎

私はウェイターに
伝えなければならない
事があるから

鮎原拓郎

先に座っていてくれ

揚羽凛太郎

は、はい・・・

皆は申し訳なさそうに 4人掛けの テーブル席に座る

和久井龍也

なんかお洒落な
レストランだな

揚羽凛太郎

ああ!

揚羽凛太郎

なんか変に
緊張しちまうな

日向奏星

周りのお客さんも
上品な奥様ばっかりだよ!

姫川美咲

絶対高いよね?
このレストラン

和久井龍也

俺自分で払うなんて
言ってたけど

和久井龍也

マジで払ってたら
どうなってたんだろ

揚羽凛太郎

破産すんぞ!破産!

鮎原拓郎

君!ちょっといいか?

ウェイター

これは!社長!

ウェイター

お疲れ様です!

鮎原拓郎

ああ!お疲れ様!

ウェイター

どうかされましたか?

鮎原拓郎

今、高校生4人組を
テーブル席へご案内した

ウェイター

高校生・・ですか

鮎原拓郎

彼らは私にとって
大切なお客様だ

ウェイター

社長の?

鮎原拓郎

彼らのお会計は
私持ちだから
間違えない様に頼む

ウェイター

かしこまりました

鮎原拓郎

あと”アイツ”に
顔を出す様に
伝えてくれ

鮎原拓郎

彼らに会わせたい

ウェイター

わかりました

ウェイター

すぐに呼んでまります

鮎原拓郎

ああ!頼んだ!

鮎原拓郎

さぁ!君達!
メニュー表だ!

鮎原拓郎

なんでも好きなものを
頼んでくれ!

そういうと拓郎は 4人それぞれに メニュー表を手渡す

揚羽凛太郎

あ、ありがとうございます

鮎原拓郎

ゆっくりしていてくれ

そう伝えると拓郎は 急足で厨房へ舞い戻った

姫川美咲

忙しそうだね

日向奏星

まぁ、社長さんだし!
それに今は
ランチの時間だろうしね

揚羽凛太郎

あんなに動く
社長って居るんだな

揚羽凛太郎

社長ってなんつーか
椅子に座って
ふんぞり返ってる
イメージだけどな

日向奏星

ちょっと!
声が大きいよ!

揚羽凛太郎

あっ、ヤバ・・

日向奏星

もう!バカ!

揚羽凛太郎

ごめん・・・

鮎原拓郎

まぁ、揚羽くんが
言ったような社長も
居るけどね

鮎原拓郎

私は動いてないと
落ち着かない
性格なもんでね(笑)

背後から現れた拓郎が 凛太郎の両肩に手を添え 優しく語りかける

揚羽凛太郎

あ、聞こえてました?

日向奏星

もう!声な
大きいのよ!

揚羽凛太郎

す、すいません

鮎原拓郎

わはははは!

鮎原拓郎

気にしなくていいよ!

一同は渡された メニュー表を見る

揚羽凛太郎

た、高いな・・・

日向奏星

う、うん・・・

日向奏星

気軽に行ける
値段じゃないよね

それから皆は メニュー表を吟味する

日向奏星

どれにしよっかなぁ

姫川美咲

龍也はどれにする?

和久井龍也

うー・・・ん

和久井龍也

ハンバーグかなぁ

日向奏星

私はパスタにしようかな

日向奏星

ペペロンチーノとか
カルボナーラとか
選べるみたいだし

姫川美咲

あ!じゃあ私も
パスタにしよっと

揚羽凛太郎

俺はチキン南蛮かなぁ

日向奏星

チキン好きだよね!
凛くん!

揚羽凛太郎

まぁ、昔から
好きだからな

それから皆は それぞれ注文をする

姫川美咲

このパスタおいし!

姫川美咲

奏星は?たしか
カルボナーラに
したんだよね?

日向奏星

めちゃおいしいよ

揚羽凛太郎

チキン南蛮も
甘辛で最高だぜ

和久井龍也

なんか悪い気が
してきたなぁ

和久井龍也

こんな美味い飯が
タダなんて

姫川美咲

これも全部龍也が私を
助けてくれたおかげだね

姫川美咲

ありがとうね!龍也

和久井龍也

いや!いや!
美咲が鮎原に騙された
おかけだろ

姫川美咲

はぁ?何ですって!

和久井龍也

そんな怒るなよ!
軽い冗談だろ!

姫川美咲

ふんっ!!

日向奏星

今のはひどいよ!
和久井くん?

揚羽凛太郎

そうだよ和久井くん?

和久井龍也

うるせーよ!

皆がしばらく 昼食を楽しんでいると

鮎原拓郎

どうだね?君達!

鮎原拓郎

楽しんでくれてるかい?

和久井龍也

はい!すごく美味しいです

姫川美咲

ご馳走してもらって
ありがとうございます

鮎原拓郎

お礼には及ばないよ!

鮎原拓郎

これは私からの
せめてもの謝罪だからな

和久井龍也

謝罪なんて・・

鮎原拓郎

ところで君達に
会わせたい男が居るんだが

揚羽凛太郎

会わせたい男?

日向奏星

誰ですか?

鮎原拓郎

連れて来ても
構わないかな?

和久井龍也

別に構いませんけど

和久井龍也

(誰だろ?)

鮎原拓郎

さぁ!来なさい!

拓郎が一人の男の手を引っ張って 皆の前に連れてくる

鮎原透

ちょっと!
引っ張らないで下さいよ

姫川美咲

あっ!先輩?

和久井龍也

鮎原透・・・

拓郎が連れてきたのは

かつて美咲を騙そうとしていた 拓郎の息子である透だった

鮎原拓郎

さっさと挨拶するんだ!

鮎原拓郎

それにお前には
彼らに言わなきゃならん
事があるはずだ!

鮎原透

わ、わかってますよ

和久井龍也

あの?社長さん?

鮎原拓郎

なんだね?

和久井龍也

その・・息子さんは
勘当したんじゃ
なかったんですか?

鮎原拓郎

勘当はしているよ

鮎原拓郎

しかし、透が自ら
私の元で下っ端として
一から働きたい!と
言うもんでね

鮎原拓郎

今はこのレストランで
見習いとして
働かせているんだ!

鮎原透

・・・・・

姫川美咲

そうだったんだぁ

鮎原拓郎

ほら!透!
何を突っ立てるんだ!

鮎原拓郎

言う事があるだろ!

鮎原透

は、はい・・・

鮎原透

美咲ちゃん・・

姫川美咲

・・・・・

鮎原透

それから和久井・・

鮎原拓郎

呼び捨てにする奴があるか

拓郎が透の後頭部を 平手打ちする

鮎原透

すいません・・

鮎原透

わ、和久井くん・・

和久井龍也

・・・・・

鮎原透

本当に・・・

鮎原透

本当に申し訳なかった!

透は深々と頭を下げる

姫川美咲

先輩・・・

和久井龍也

(鮎原・・・)

鮎原透

父さんに勘当されて・・

鮎原透

学校を退学になって・・

鮎原透

やっと・・やっと・・

鮎原透

自分がしてきた
愚かさに気がついた

鮎原透

色んなものを失って
やっと気づいた・・

和久井龍也

・・・・・

姫川美咲

先輩?

姫川美咲

顔を上げてください

鮎原透

美咲ちゃん・・

姫川美咲

私・・

姫川美咲

先輩を恨んでなんか
いませんから

鮎原透

!!!!!!

鮎原透

美咲ちゃん・・

和久井龍也

美咲・・・

日向奏星

・・・・・

姫川美咲

確かにあの時の先輩は
めちゃ怖かったし

姫川美咲

お世辞にも良い人とは
言えなかったのかも
しれません

鮎原透

・・・・・

姫川美咲

でも私は先輩に
感謝してるんですよ?

鮎原拓郎

!?

鮎原透

か、感謝?

姫川美咲

だって先輩の事が
なかったら

姫川美咲

私は龍也と
付き合えてなかった
かもしれませんから

和久井龍也

美咲・・・

姫川美咲

だらからキッカケを
くれた先輩には
感謝してるんです

姫川美咲

だから、もう自分を
責めないでください

鮎原透

あ、ありがとう
美咲ちゃん・・・

それから一同は レストランでの食事を終える

揚羽凛太郎

美味かったなぁ

日向奏星

ホントだね!

鮎原拓郎

どうだね?君達!
楽しんでくれたかな?

和久井龍也

はい!すげぇ
美味しかったっス

姫川美咲

もう!ホント

鮎原拓郎

それは良かった!

鮎原拓郎

ところで君達は
この後は予定は
決めてあるのかな?

鮎原拓郎

たしか自由行動の
最中だったよね?

揚羽凛太郎

いや、実はまだで──

鮎原拓郎

それは良かった!

鮎原拓郎

透に君達を
案内させるから

鮎原拓郎

色々見て回るといい!

鮎原透

俺がですか?

鮎原拓郎

これは社長命令だ!
彼らに店内を
案内してさしあげなさい

鮎原透

わ、わかりました

和久井龍也

(なんか色々
大変そうだな・・)

それから拓郎にお礼を言い レストランを後にした一同は 透と共に店内を見て回っていた

和久井龍也

アンタがレストランで
働いてるなんて驚いたぜ

鮎原透

まぁな・・・

和久井龍也

てっきり勘当されて
乞食にでも
なってんのかと思ったわ

鮎原透

うるせーなぁ

和久井龍也

アンタ今後どうすんだ?

和久井龍也

中卒のまま
あのレストランで
働くつもりか?

鮎原透

いや、来年から
定時制の高校に
行くつもりだ

和久井龍也

定時制って
夜間の高校だよな?

鮎原透

ああ・・・

鮎原透

まぁ、親父に借金する
羽目になっちまったけどな

和久井龍也

まぁ勘当されてっから
出してもらうわけには
いかねーわな!

鮎原透

ゼロからやり直してーんだ

和久井龍也

・・・・・

鮎原透

地べた這いつくばってでも
泥水啜ってでも
必死にやるつもりだ

鮎原透

失っちまった信用を
取り戻してーからな

和久井龍也

て事は来年からアンタは
高校一年に逆戻り
って訳だな!

和久井龍也

よっ!後輩!

鮎原透

てめぇなぁ!

鮎原透

ふっ、まぁいいわ

和久井龍也

ところで
あのパーカーの奴は
今どうしてんだ?

鮎原透

パーカー?

和久井龍也

ホラ!居ただろ?
金髪の──

鮎原透

ああ!涼太か!

和久井龍也

そう!そう!ソイツ!

鮎原透

知らねーよ!

鮎原透

退学になってから
連絡取ってねーからな

和久井龍也

ふー・・ん

鮎原透

風の噂じゃ他県に行って
ひとみと同棲してる
って話だけどなぁ

鮎原透

詳しくは知らねーよ

和久井龍也

ひとみって誰?

鮎原透

ああ!お前は
知らねーよな

鮎原透

俺たち二人には
共通のひとみって
セ○レが居たんだ

和久井龍也

へぇ・・・

鮎原透

涼太のヤツ、ひとみの事
随分気に入ってたからな

鮎原透

仲良くやってんじゃね?

和久井龍也

じゃあお前らは
いわゆる穴兄弟
だったわけだな!

鮎原透

まぁ、そんなトコだ!

鮎原透

そんな事より
お前はどうなんだよ?

和久井龍也

はぁ?俺?

鮎原透

美咲ちゃんとは
もうヤッたのか?

和久井龍也

何言ってんだよ!
いきなり!

鮎原透

もしかして・・お前
まだヤッてねーのか?

鮎原透

付き合ってんだろ?

和久井龍也

お前には関係ねーだろ!

鮎原透

早いとこヤッとかねーと
飽きられて他所に行かれるぜ

和久井龍也

うるせーよ!

鮎原透

経験豊富な先輩からの
有難いアドバイスだ!

和久井龍也

ただのヤリ○ンだろ!

それから数時間

時折休憩を挟みながら 凛太郎たちは鮎原と共に 鮎屋百貨店を見て回った

姫川美咲

今日はありがとう
ございました

鮎原透

いいんだよ!

鮎原透

俺も和久井や
美咲ちゃんに
会えて良かった

和久井龍也

まぁ、お前も
頑張れよ!

鮎原透

お前もな!

鮎原透

さっさと
ヤッちまえよ!

姫川美咲

ヤッチマエ?

和久井龍也

余計な事言ってんな!

和久井龍也

大丈夫だ!美咲!
関係ねー話だから

姫川美咲

ふー・・・ん

鮎原透

まぁ、また
機会があったら!

和久井龍也

ああ!楽しかったわ!

姫川美咲

先輩も来年から
定時制頑張って
くださいね!

鮎原透

ああ!ありがとう

一同は透と別れ 集合先である長野駅へ戻る

その頃

ある地方都市では ひとつの事件が 静かに起きていた

警察署には 一人の女性が慌てた様子で 警察官に話をしている

女性

お願いします!

女性

娘を探してください!

警察官

分かりましたから!
お母さん!

警察官

捜索願いは受理
いたしましたから!

女性

お願いします!

警察官

まずもう一度
状況を確認いたします

女性

はい・・・

警察官

昨日の早朝8時

警察官

お母さんが職場へ
出勤された

女性

はい・・・

警察官

その時に娘さんは
ご自宅にいらっしゃった?

女性

はい・・・

女性

そもそも娘は
中学時代からの
不登校で・・・

女性

必死に説得して
行かせた高校ですら
登校できずに

女性

自宅で引きこもって
ましたから

女性

外出なんて・・・

警察官

話を元に戻しましょう

警察官

そしてお母さんが
午後19時になって
ご帰宅された時には既に?

女性

はい・・・

女性

不登校とは言っても
部屋に鍵をかけて
閉じこもっている訳ではなく

女性

二人で食事をしたり
テレビを見ていたりは
出来ていました

女性

しかし夕飯の時間に
なっても娘が
部屋から出てこないので

女性

おかしいなと思って
部屋を覗いてみたら

女性

通帳がなくなっていて

女性

それと、これが・・・

女性は一枚の紙を テーブルの上にそっと置く

警察官

会いに行ってくる?

警察官

誰か心当たりでも?

女性

いえ・・・

女性

私たちは親戚付き合いも
ろくにしていませんでしたし

女性

誰かに会いに──

女性

!!!!!!!

女性

まさか──

警察官

誰か思い当たる人物が?

女性

娘は中学の頃にとある
男の子のストーキングを
していた事がありまして

警察官

ストーキング?

女性

はい・・・

女性

ですが警察沙汰に
したくないという
相手方の親の慈悲で

女性

今後接触をしない!
という約束で
我々家族は

女性

この町に
引っ越して来たんです

警察官

では、この娘さんが
会いたがっている
先輩というのが?

女性

おそらく、かつて
ストーキングしていた
男の子の事だと思います

警察官

娘さんの名前は?

女性

眞琴・・杏樹です

警察官

写真などはございますか?

女性

はい・・・

女性はテーブルの上に 一枚の写真を置く

警察官

かしこまりました

警察官

我々が総力を上げて
娘さんの捜索にあたります

女性

お願いします・・・

警察官

安心してください!

眞琴杏樹

はあぁ〜懐かしいぃぃ

眞琴杏樹

いつも先輩と一緒に
通学してた電車だぁぁ♪

眞琴杏樹

目を閉じれば
大好きな先輩の顔が
浮かんでくる

眞琴杏樹

お母さんには悪いけど

眞琴杏樹

やっぱ私は
先輩は無しでは
生きてけないから・・

眞琴杏樹

待っててね・・先輩♪

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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和久井くんが、前言ってた子か…、

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