コメント
3件
うおぉぉ!どんな展開が待ってるんだろう?とても楽しみです♪
今回もお読み下さりありがとうございます🥲 完結まで頑張って参りたいと思います
腹を決めて呼んだタクシーに 長い間揺られながら
この家に帰ってきたあの日は、
もう時間も遅かったので、二人で 特に何かを話すこともなく 眠りについた。
朝が来て、再び顔を合わせてからも、ハルさんはいつも通りに 接してくる。
日曜日は驚くほど、何の変哲もなく
まるで昨日の会話など無かったかの ように、あっと言う間に過ぎていって
自身について話し出すことが 出来ないまま、勇気が出せないまま
二人で出かけたあの日から、もう 一週間が経とうとしていた。
そしてまた次の日曜日が来て
私とハルさんはいつも通りの 日常を送る。
その曜日も、既に変わろうとする 時刻になっていた。
ハルさん
ハルさんはあくびをしながら、 こちらに背を向けひらひらと 手を振る。
「戻った方がいいとは思う。」
「ハルも、それは分かってんじゃね」
__ハルさんにはきっとバレている。
私が向こうの世界に戻りたく ないのだ、と。
でもハルさんは聞かなかった。 なぜ戻りたくないのか。
ハルさんはきっと、私から話すのを 待っている。
遠ざかっていくその背中に、私は 喉まで出かかった言葉を飲み込んで
でも、また口を開いて
彼に縋るように、
言葉を発した。
ハル
ハル
ハルさんはくるりと振り返り、その 静かな瞳で私を見つめた。
その表情からは、彼の心情は 読み取れない。
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ハルさん
ハルさん
話し終えた私に、ハルさんは それだけ言った。
でも、私はその言葉の意味がよく理解 出来なかった。
だって、私が何を頑張っていたと いうのだろう。
私は何一つ、頑張れてなんかいない。
むしろ私は
自分の気持ちや周りの気持ちから 逃げ続けただけの
弱虫だ。
ハルさん
複雑な表情をしている私に、ハルさんは笑ってそう言った。
ハルさん
彼は途中まで言いかけた言葉を、 いや、と言って止めた。
ハルさん
ハルさん
ハルさん
ハル
彼は私と目を合わせると
ゆっくりと、口を開いた。
ハルさん
その名を聞き、私は唖然とした。
だって、その名前は。
私が何か口にする前に、彼は 私の名を呼んだ。
ハルさん