「恋は人を綺麗にするんだよ」
なんて、言われてからもう何年も経つ
結局恋は経験せず大人になろうとしている
綺麗になれるなら、やってみたい
だが、生憎私は相手もいなければ恋愛をどうしたら出来るのか知らなかった
だから、半ば諦めかけていたんだけど…と思い幼馴染2人に目を向ける
どうやら彼女の方はゲームに熱中しているらしい
彼は……
……彼は、ただ彼女を見ていた
愛おしそうに、優しい目で
不意に、こっちまで恥ずかしくなってきた
その視線が妙に甘ったるく
今まで見た事のない顔でびっくりした
なんだ、そんな顔できたんだ
なんて考えはとうに消えて
今私の思考を埋め尽くすものは
人は恋で綺麗になるのではなく
恋で人は綺麗になるのでもない
その愛おしそうな目が
その人を彩る雰囲気となり
純粋な恋をしているように見える
純粋な、「純愛」と呼ばれるもの
それが
眩しく美しかった
それよりも
それを我がものとして受け入れている様子が
とても、ただ、呆気ないほどに
綺麗だった