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コメント
3件
いやあ…読んでて息が止まるかと思いました。露子の「これで終われるね」という台詞と、慎一が初めて見せた感情の爆発、そしてその直後に見えた「生きたい」という本心。あの一連の流れ、本当に切なくて美しかったです。かごめかごめの無機質な歌と崩落の対比もゾクッとしました。そして陽一の本性がついに…あのメスを手にした狂気、観察対象として慎一を見る視線の冷たさが怖いです。でも、それ以上に、慎一の「相手の本心がわかってしまう」能力が、この閉鎖空間でどう作用するのか、次が気になって仕方ないです。
最期のかごめかごめが始まった
暗闇の中で、慎一はいつも通り鬼になる
5人の子供しかいない坑道で、無機質で棒読みな歌が響く
「かごめかごめ」 「籠の中の鳥は____」
歌詞の先を歌おうとした次の瞬間、 坑道全体が激しい振動に身震いした
手を繋ぎ、慎一を囲む子ども達の動きは、 それがきっかけで、ピタリと止まった
都築慎一
桑原陽一
神田志乃
一ノ瀬露子
慎一は嫌な予感を感じ取り、 思わず立ち上がる
そして露子は、 「時間が来た」と意味深な言葉を残す
いつもなら、他人の言葉の裏側が嫌でもわかってしまう慎一 しかし、露子にはそれが通用しなかった
都築慎一
一ノ瀬露子
都築慎一
露子は慎一に向かって、怪しげに微笑む 慎一はその言葉の裏側を読み取れなかった
露子は突然、何もない場所に向かって走る そして、くるりと慎一の方へ向く
都築慎一
露子はいつもの儚い笑顔で笑う
一ノ瀬露子
都築慎一
次の瞬間、 天井の岩盤が一塊になって剥がれ落ちてきた
岩盤が落ちる先には、丁度露子が立っていた 彼女の上からは、容赦なく巨岩と土砂が濁流となって降り注ぐ
そして、露子は瓦礫の下敷きとなってしまった
都築慎一
慎一は青ざめた表情で、 押し潰された露子の元へ駆け寄る
これが、 常に顰めっ面で、感情表現の薄い慎一が、 初めて感情を爆発させた瞬間だった
一ノ瀬露子
都築慎一
都築慎一
一ノ瀬露子
慎一は初めて涙を流した 頬が濡れる感覚は、あまり経験したことないものだった
慎一は露子を助けたいという一心で、必死になっていた
しかしその瞬間、 慎一は、露子の本心がようやく見えた
都築慎一
ずっと見えなかった、彼女の本心
慎一が見えたのは、 静かで深い「生きたい」という願いだった
都築慎一
一ノ瀬露子
そこから、 露子は二度と慎一に話しかけることはなかった
さっきまで見えていた「生きたい」という本心も、 スッと消えてなくなった
露子を触ると、亡き者のように冷たかった
都築慎一
都築慎一
慎一には、大声で泣くほどの元気はなかった しかし、彼は初めて「人を失う辛さ」を味わった
冷たくなった露子の手を しばらく離そうとはしなかった
亡くなった露子から離れようとしない慎一の後ろ姿を、 遠くから見る勲
古賀勲
古賀勲
口にするだけでも泣きたくなるような、冷たい事実 勲は唇を強く噛み締め、拳を強く握った
勲はいつもより弱々しい足音を鳴らしながら、 慎一の元へ近づこうと歩いた
都築慎一
古賀勲
都築慎一
古賀勲
都築慎一
慎一の目は、 さっきまで涙を溢した者とは思えないほど、 冷徹で鋭かった
露子を「恋敵」として嫉妬をする勲の本心は、 「孤独」だと見抜いていたからこそ、 言えることだった
古賀勲
完全に図星を突かれていた
勲はわかりやすく動揺し、 自分の強い力で、慎一の細い腕から、 冷たくなった露子の手を離そうとする
その時、支柱の木材が「ギギギ…」と悲鳴を上げる
次の瞬間、岩盤が再び裂け、 一瞬にして退路を塞ぐ
露子に続いて、 勲も真っ逆さまに落ちる瓦礫の下敷きになってしまった
都築慎一
慎一は露子の手を名残惜しそうに離し、 慎一はその場から逃げ出そうとする
しかし、慎一の足元から掠れた声が聞こえる
古賀勲
慎一は逃げ出す足の動きを止め、 いつもとは違う弱々しい勲の手を見つめる
都築慎一
古賀勲
しかし、そこで手の力が抜け、 勲はもう二度と話しかけることはなかった
さっきまで暖かかった勲の体 慎一は最後に、勲の坊主頭をそっと撫でた
しかし、気のせいだろうか 勲の口元が一瞬だけ、緩んだように見える
それを見た慎一は、 声を上げることなく、 静かに涙を流す
現時点で残された慎一、志乃、陽一がいるこの坑道は、 異質な雰囲気で包まれていた
桑原陽一
都築慎一
桑原陽一
すると、 陽一は半ズボンについているポケットから、 いつも持ち歩いているメスを取り出しながら、 慎一の元へ近づく
都築慎一
桑原陽一
都築慎一
桑原陽一
もちろん、 慎一には陽一の意図なんてわかっていた
彼の本心は読めたものの、 その狂気的な考えを理解することは困難だった
慎一は表情を変えないまま、 一歩一歩後ろへ下がる
しかし、陽一は慎一のすぐ近くにいた
動揺を隠しきれなかったからか、 彼の額は汗で濡れていた
都築慎一
都築慎一
桑原陽一
陽一はそう言うと、 慎一をすぐに押し倒し、 彼の頬にメスを当てる
都築慎一
桑原陽一
桑原陽一
陽一の手の力は段々強くなり、 慎一の頬からは、静かに血が垂れていく
頬から伝わる痛みで、 慎一は顔を思い切り歪める
今にも涙が出そうだが、 歯を食いしばって、耐えている
都築慎一
都築慎一
陽一が、メスを上に掠らせるように動かす
慎一は突然伝わってくる痛みに、 思わず目を思い切り瞑る
彼の頬からは赤い液体がダラダラと垂れる
都築慎一
桑原陽一
慎一は見たくはないが、 観察対象として自分のことを見ている陽一の本心が見えていた
普段は顰めっ面しかしない自分を泣かせたいという願望が、 慎一には丸見えだった
むしろそれが、 陽一に対する恐怖を掻き立てていくのだった