正直、本当に見つけられないと思っていたから
理解できなくて、頭がおかしくなりそうだった
風魔
風魔
それは、メシン様でも抜けなかったと説明された
つまり、本当に
初代様は、巫女様だけに預けるつもりなのか…
そんな疑問を抱えつつ
それでも、前に進まないと
そう思い、再び二人の言葉に耳を傾けた
メシン
メシン
そう言い、少し残念そうなメシン様
…だろうな、なんて思ってしまった
仮にも、沙羅の巫女なのに
代々伝わる刀は、メシン様を認めなかったということになる
……それは、複雑だろうなと
勝手な、同情までして
風魔
なんて声を、振り絞るのが限界だった
メシン
皆の前だからなのかいつもより言葉が丁寧で
頭はそんな現実逃避ばかり考える
……にしても、仁詠様にお願い、か
メシン様が不可能な時点で不可能な事は察しがつくけど
試してみてダメだった場合の時間の無駄が面倒だと感じた
……それ程、巫女様には時間が無い
風魔
風魔
多分、これが一番
巫女様なら、確実に抜けるだろうし
桃門
桃門
桃門
……「姉さんの気配」
それ即ち、沙羅の巫女としての血の強さ
メシン様は、もう色々とごちゃごちゃに混ざっているから
沙羅の巫女としては、そんなに機能していない
逆に言えば仁詠様は
全てをメシン様に捧げた故に
沙羅の血が、前よりも濃い
……だけどそれは
同時に、認めたくなくて
風魔
風魔
風魔
風魔
頭の中にチラつく吸血姫を
見て見ぬふりをした
……全く、いい意味でも悪い意味でも変わらない奴だ
蒼空
雨嶺
なんて野次を飛ばしてくる仲間に
つい、本音で
風魔
と、昔のような返しをしてしまった
それを2人も気がついているから
蒼空
雨嶺
なんて、悪ノリしてくれて
緊張が少しだけ無くなって
風魔
柄にもなく、ため息なんてついてみたり
メシン
メシン
真剣に考えるメシン様に
成長を感じて、少し嬉しくなった
風魔
しかし、真実を言ってはならない
これは、言ってしまえばただのエゴで
認めたくないのは、沙羅の血にクルトの血が混ざってることで
本当に…どうしようもない
巫女様への、忠誠だから
蒼空
なんて言われて
思わず、びっくりする
蒼空
蒼空
そう、結局はそれなのだ
自分達の、巫女様に対する異常な忠誠心故に
尊き刀を
尊き、親子の思い出の品を
俺ら如きが、汚していいわけが無い
でも、そんなこと言ってられないもの真実
雨嶺
あ、いいなそれ
と、思った矢先に
美愛
その言葉で、この会議は無に帰した
美愛
メシン
そういい何処からともなく現れた人
風魔や蒼空さんが止めない時点で敵では無いけど
それでも、素性のしれない人には警戒心を抱いてしまう
が、それは次の一言で無くなるのであった
風魔
メシン
美愛……?
それってつまり…
美愛
美愛
美愛
その一言で、場の空気が凍る
…なんだろう、この人
蒼空さん達よりも、桁が違う
不思議と、ついて行きたくなる
そんな、カリスマ性を持っている
風魔
風魔
そんな凍てついた空気の中
風魔だけが、いつも通りだった
……凄いな、風魔
美愛
美愛
と、どんどん会話は進んでいく
だけど、それらは上手く耳に入らない
なぜなら
メシン
メシン
メシン
メシン
メシン
もう会えないと思っていたからびっくりである
それにしても、綺麗な人
母様がついて行くのも、なんとなく分かってしまう
そうやって見ていると
頭の中が一発ではっきりとするくらい
衝撃的な言葉が飛んできた
風魔
風魔
風魔
……え?
「白刀・白雪」を、風魔が?
美愛
美愛
美愛
美愛
…美愛様、人を丸め込むのが上手いな
風魔の1番の弱点は、2代目様だ
その方の名前を出せば…
風魔
こうなるのは、目に見えているのである
美愛
美愛
雨嶺
蒼空
桃門
桃門
どうやら、話を聞いてない内に役割分担は終わっていたらしい
それにしても……
風魔に、「白刀・白雪」が託された
あれは、巫女の刀
沙羅家の、秘宝
初代様が、命を懸けて守ったもの
……それを
本当に、風魔が抜けるの?
そんな事を考えていたら
桃門さんとの話は終わっていたらしく
美愛
美愛
風魔
風魔
美愛
美愛
そう言って、どこかへ行ってしまった
……2代目様の、愛されようを
何故か今更、痛感した
風魔
風魔
風魔
いきなり話を振られてビックリするボク
そして、咄嗟に
メシン
メシン
と、美愛様を言い訳に使った
ごめんなさい、美愛様
風魔
風魔
そう言って、ふっと笑う風魔
そこにボクは、不安と希望を見た気がした
風魔
メシン
風魔の中には、2代目様しか居ない
……とっくに、分かっていただろ
だったら、早く要件を済ませないと
風魔
メシン
風魔
風魔
そう言って、風魔は行ってしまった
……風魔は、2代目様の神の使い
……ボクの、神の使いじゃない
それを、なんとなく
痛いほど、受け止めた気がする
……この先、風魔がどんな選択をしようと
止める権利は、ボクにはないんだろうな
そんな、予感がしていた
そして、今更気がついたのだ
……世界は、残酷なのだと
きっと、こうなるだろうと分かってた
初代様は
母様でも無く
ボクでもない、誰かを選ぶだろうと
そして、今
八大陸で、その資格を有しているのは
メシン
メシン
白い刀を持つ、貴方だろうと
そう、思ってた
ね?風魔
白い刀を持って立つ君に
ボクは、どんな感情を抱けばいいの?
教えてよ
風魔
コメント
3件
神の使いの絡みが見れて嬉しいけど、最後のメシン様の複雑な気持ちが読んでて辛かった……😭😭 メシン様は正真正銘『沙羅の巫女4代目』の人物……にも関わらず、白刀・白雪は抜けず刀に認められなかった……。それなのに沙羅の巫女2代目の風の神の使いである風魔さんを白刀・白雪は認めた……でも、風魔さんはメシン様を大切に育ててくれた人物……辛すぎる……