〜瑠花宅 前〜
路地裏で瑠花の感情が爆発した後、 桃音、凜々愛、麗は瑠花の家へ来た。
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
百峰 桃音
瑠花の家に上がる前にプチ反省会(?)で仲直りをした。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
姫宮 麗
早乙女 瑠花
玄関のドアを開けて機嫌良く言う。
百峰 桃音
瑠花の自宅はアパート住みの桃音たちとは違い、和風屋敷で庭も広い。
まるで、ヤクザの本拠地のようだ。
〜居間〜
早乙女 瑠花
瑠花は初めての来客が嬉しいからか、ルンルンと機嫌よく台所へ向かった。
姫宮 麗
神楽 凜々愛
姫宮 麗
普段 布の面積が小さい服を着ているキャピキャピなギャルの上、仕事では己の身だしなみなんぞ構わず返り血を浴びる、まさにサイコパスそのものである彼女が、まさかこの屋敷に住んでいるお嬢様と考えると、なかなかのギャップで理解が追いつかない。
百峰 桃音
桃音がそう言うと、辺りが静まった。
確かにこの屋敷は高級住宅地にしてはかなり変わっていた。屋敷の前には門があり、その横には何か大きな札が貼られていたかのような痕跡があった。そして、桃音たちがいるこの居間は雲龍図襖に囲まれている。
まさに桃音達が殺しの仕事をする時によく見るヤクザの本拠地そのものだった。殺し屋の嗅覚がそう捉えている。
百峰 桃音
姫宮 麗
桃音は立ち上がり、居間を出た。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
〜廊下〜
百峰 桃音
凜々愛さん大正解。 桃音はトイレに行く気なんて全くもって無い。屋敷を回るつもりだ。
百峰 桃音
前言撤回。 やはり行くようです。
ヒヤッ
百峰 桃音
廊下を歩くと横から冷たい空気がした。見ると襖が少し開いていた。
百峰 桃音
好奇心に負けてしまい、 襖に手をかけ開けてみた。
百峰 桃音
襖を開けるとそこには荒れ果てた一室が広がっていた。壁や床が所々バッキバキに破壊されており、そこらに血が滲んでいたシミがあった。
百峰 桃音
桃音は言葉を失っていた。
早乙女 瑠花
百峰 桃音
スパーン!
突然背後から瑠花に声をかけられ、驚いたあまり声をあげて勢いよく襖を閉めた。
百峰 桃音
早乙女 瑠花
百峰 桃音
百峰 桃音
早乙女 瑠花
瑠花は勝手に襖を開けた事には全く気にしていないようだ。
百峰 桃音
瑠花の手元を見ると茶台に乗せられた仏具の湯呑みを持っていた。
早乙女 瑠花
百峰 桃音
桃音は気になって瑠花の後をつけた。
百峰 桃音
襖を開けると、仏壇を中心に仏花や遺影がずらりと並べられていた。
早乙女 瑠花
そう呟きながら線香に火をつけた。
早乙女 瑠花
言葉を失う桃音にそう説明した瑠花は、どことなく悲しい目をしていた。
百峰 桃音
仏壇を囲む遺影と先程の荒れ果てた部屋、そして常に静かなこの屋敷。
(瑠花、アンタも地獄で ずっと1人やったんやな)
〜10数年前〜
アタシの親父はここ ”早乙女組”の組長だったの。ヤクザ界のキングって呼ばれた親父は誰よりも強くて、アタシの憧れだった。ちなみにママは幼い時に病死したの。
「「「組長!行ってらっしゃいやせ!!」」」
瑠花 ・ 父
「「「うっす!!!」」」
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 父
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 父
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 父
ヤクザ組員達
早く一人前になって親父みたいに強くなりたくてたまらなかったから、いっぱい鍛錬したわ。何歳からかは忘れたけど、殺人術とかはプロの格闘家に教わったの。そいつも組の一員だったの。
プロの格闘家(組員)
瑠花 ・ 少女時代
ヤクザ組員達
幼稚園や小学校は普通に通ってたわ。周りの子とは全然違う生き方をしてたけど、親父やファミリーの皆は大好きで不満も不自由もなく平和に暮らしてきた。
……あの時まではね。
あれは確かアタシが中学の入学が決まった12の時だったわ。その日は親父や皆は抗争か何かで出かけてて、アタシは屋敷で1人留守番してたの。
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 少女時代
その日は何時間待っても帰って来なかったから心配になってきてね、説教覚悟で屋敷を出て探しに行ったの。
瑠花 ・ 少女時代
もう暗くなっててほとんど人が出歩いてない時間帯だったから怖かったわ。そんな中親父とみんなを探し回った。でも全然見つからなかったの。そしたらそのうち町外れまで来ちゃったの。 ほら…川沿いの…あそこ。
ウオオオオ!!
瑠花 ・ 少女時代
そしたら親父の叫び声が聞こえてさ、抗争だったんだと思って声のなる方へ行ってみたら……そこに
額に銃を突きつけられた親父がいて…
パスッ
親父が撃ち殺されたの
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 少女時代
親父の周りに組のみんなが倒れているのに気がつくのに時間がかかったわ。
当時の暗黒街課
瑠花 ・ 少女時代
抗争で相手の組の死体と一緒に、 仲間の死体が転がってたの。
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 少女時代
「「「!!?」」」
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
瑠花 ・ 少女時代
思わず叫んじゃって… 腰抜かして隠れてたのバレたの。
当時の暗黒街課
瑠花 ・ 少女時代
当時の暗黒街課
必死で逃げたわ。闇雲に走って頭の中混乱で真っ白になってサツを撒いたのも迷子になったのも気付かなかったわ。
「ハァ…!ハァ…! ハァ…!ハァ…!」
(殺された…!警察に…!)
「なんでよ…」
「なんでなんでなんで なんでなんでなんで なんでなんでなんで !!!!!!???」
「うあああ!!!」
朝になるまで動けなかったわ。 これは悪い夢だって信じたかったけど…家に帰ったら誰もいなかった。
ドガァッ!!
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 少女時代
瑠花 ・ 少女時代
バギィ!!
復讐を誓ったアタシはさっき桃音が見たあの部屋で鍛錬し続けたの。それと親父達を殺した警察が公安の暗黒街課だという事も調べて計画も練りに練って……
それから5年経ったわ。
バアアン!!
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
ゴキッ!
当時の暗黒街課
いよいよ復讐の時が来たの。 アタシは計画通りに公安部の暗黒街部に突撃したの。
当時の暗黒街課
早乙女 瑠花
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
当時の暗黒街課
ドカァ!! バゴォーン!!
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
周囲に居た数人のサツだったが 初めて殺した人間だったわ。
早乙女 瑠花
多分この時だったかな? 感じた事が無い…何かを感じたのは。
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
当時の暗黒街課
バギィ! ドカッ!
早乙女 瑠花
ゾク…ゾク…
バギィ!
ボキィ!
ゴキッ!
丸腰だからこそある殺り甲斐に、 それと同時に聞こえる骨が砕ける音…
ぎゃあああ!!
ぐあああ!!
ひぃ…!!
待ってくれ、話せば解る!
やめてくれ! 頼む!命だけは!!
ぎゃああああああ!!!
そしてあの血塗れになった 苦痛で歪んだ顔が……
……ハハッ
キャッハハハハ!!
快楽というか病みつき…というか! 見ていると堪らなくなっちゃったの!
早乙女 瑠花
そして、現在に戻る。 居間で瑠花の過去を桃音、凜々愛、麗は静かに聞いていた。
百峰 桃音
百峰 桃音
姫宮 麗
麗は同情して涙を流していた。
早乙女 瑠花
瑠花はちゃぶ台に肘を付いて顔の半分を覆い隠して言った。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
百峰 桃音
早乙女 瑠花
顔を上げ、先程の悲しい表情から打って変わって明るい表情になって言った。
早乙女 瑠花
嬉し涙を含んだ満面の笑みをして言った
神楽 凜々愛
すると無口な凜々愛が口を開いた。
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桃音が神妙な顔つきで問う。
百峰 桃音
そう、暗黒街では特に有名な、この忘れてはいけない悲惨な未解決事件がまさかの自分の仲間が犯人だったということが、最もの衝撃的な事だった。
早乙女 瑠花
軽いノリで答える瑠花。桃音は衝撃で驚いている様を見せるばかりだ。
百峰 桃音
姫宮 麗
早乙女 瑠花
百峰 桃音
神楽 凜々愛
姫宮 麗
瑠花がそんじゃそこらの女とは違って只者では無いという事は分かりきっていたが、まさかその早乙女瑠花という1人の女が生まれた原点がこの早乙女組だということを考えると、よりいっそう彼女がいかにそうであるなと思わされる。
まぁここに居る 瑠花以外の3人も只者ではないが…… 早撃ち及び どの角度から襲われてもノールックで敵の脳天を撃ち抜く射的の天才に、繊細で華麗な剣術で眉一つ動かさず敵を斬り捨てる山吹族に、自身の瞬足で銃弾を避ける圧倒的頭脳派の毒使い。
そして今目の前にいる。怪力なその身一つで大勢のマフィアやヤクザをなぶり殺した狂気の連続殺人鬼でヤクザの姫。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は思い切って聞いてみた。
早乙女 瑠花
瑠花はキョトンとした顔で言った。 ”死神”とは過去に暗黒街に潜む犯罪者や組織を痕跡を一切残さず始末してきた最強の殺し屋。存在するか否かも分からない裏社会の都市伝説でもある。裏社会を生きる者たちは誰もが一度は聞いた事あるはずだが、瑠花はまさかの壱茶と同様ご存知ないようだった。
百峰 桃音
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
姫宮 麗
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
瑠花は笑いながら言った。
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音がふと感じた瑠花の”死神”疑惑は秒でなくなり、数分後に晴れて女子会となった。そして、それから数日間の瑠花は”殺戮の姫”と呼ばれるようになった。
そして、瑠花が最初にその”死神”の 正体を知るのは、また別の話にて。
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