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〜廊下〜
一方その頃、桃音は敵に捕まった瑠花と悲鳴をあげてから応答しなくなった大輝の心配をしながら敵を撃ち殺していた。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
本当はものすごく2人を助けに行きたいところだがそっちまで手が回らない。
それも無理はない。 なにせ……
信者(男)
信者(剣)
百峰 桃音
桃音の目の前には20人前後の敵が立ちはだかっていた。しかも桃音は既に敵の攻撃が掠って身体中傷だらけだ。どこのタイミングでやられたのだろうか、頭から血が流れている。
百峰 桃音
パスッ パスッ!
パスッ パスッ!
撃っても撃っても敵が減った気がしない。かと言って増えている訳でもない。 無駄に多い。ノールックで敵の脳天を撃ち抜く前代未聞の射的の天才である桃音を相手にしているとはいえど、ここまでの勢力は流石に必要ないぐらいだ。
百峰 桃音
百峰 桃音
ここで1つおさらいしよう。 任務に行く者は組織の人数などの標的に関する資料を情報部から受け取り、 彼らはそれらに目を通した上で任務を遂行するのだ。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
そう桃音は考えながら敵を撃ち殺していった。考えれば考えるほど疑問が深まるばかりだ。
百峰 桃音
ブンッ!
ブンッ!
背後から殺気を感じ取った。とっさに桃音は自分を目掛けて振り落とされた斧を躱した。そしてそのまま撃ち殺した。
百峰 桃音
信者(剣)
百峰 桃音
ザシュッ!
女の声と殺気に反応し、とっさに銃を向けようとしたが遅かった。その時に空いた胴体を女に剣で切りつけられた。
百峰 桃音
桃音は傷口を押さえながらその場で崩れ うずくまった。口の中に血の味が染み渡り、痛みで立てない。
信者(剣)
シャキッ!
1人の女が言うと他の信者たちは桃音を取り囲み各々の武器を向けた。もう逃げ道は無い。ここで終わりだと敵の視線と向けられた刃が告げられている。
百峰 桃音
桃音は痛みに耐えながら落とした銃に手を伸ばした。
ダンッ!
百峰 桃音
しかし剣を持った女が桃音のその手を強く踏みつけて阻止した。
信者(剣)
信者(剣)
信者(剣)
百峰 桃音
ジャキッ!
女が桃音が落とした銃を拾い、後頭部に銃を突きつけた。桃音の視界には吐いた血と傷口から垂れた血が付いた床のみ。
「”粛清は自らの物で命を絶つこと”だと」
信者(剣)
信者(剣)
信者(剣)
女はそう嘲笑って引き金に指をかけた。
百峰 桃音
信者(剣)
百峰 桃音
桃音は俯いたまま言った。その問に一瞬動揺した女は図星のようだった。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
信者(剣)
桃音は息を切らしながら顔を上げた。
百峰 桃音
百峰 桃音
「この根性無しが!!」
桃音は女の目を真っ直ぐ睨みつけて言った。殺気立っていた女や他の信者たちも武器を握っていた手が緩みかけた。
信者(剣)
信者(剣)
ヤケクソになった女は桃音の髪を乱暴に掴んで額に銃を突きつけた。
パスッ!
信者(男)
サイレンサー越しの銃声が鳴ったが、脳天を撃ち抜かれのは信者の女の方だった。女は頭から血を飛び散らしながら重力に引かれるように倒れた。
百峰 桃音
そう言う桃音の手には銃が握られていた。女が引き金を引く直前に、今ある力を振り絞ってお得意の早撃ちで殺られる前に殺ったのだった。
信者(男)
信者(男)
信者(男)
周囲にいた信者たちは青ざめていた。
信者(男)
信者(女)
残党は先程殺された仲間の事は気にせず、各々の武器を桃音に向けた。
百峰 桃音
百峰 桃音
この時桃音は、死を覚悟した。
ドクン!!
バチィィィ!!!
百峰 桃音
次の瞬間、目の前が真っ暗になり、 脳から全身に電気ショックのような 衝撃が一瞬だけ走った。
百峰 桃音
信者(男)
取り囲む信者たちは桃音を目掛けて武器を振りかぶった。
ゴッ!!
信者(男)
すると桃音は立ち上がると同時に手前にいた男の顔面を思いっきり頭突きした。
パスパスパスッ!
信者(男)
そしてそのまま武器を振りかぶった敵たちを見向きもせず撃ち殺した。
信者(女)
パスッ!パスッ!
桃音は傷の痛みなんて気にせず、ここへ来た、傷を負う前の時のような動きで敵を撃ち殺していった。
信者(男)
敵陣の中、少し離れたところで信者の1人の男が目を見開いていた。
信者(男)
信者(男)
信者(男)
桃音のピンク色の目は少し薄くなっていた。そして先程よりも素早く、圧倒的な戦闘能力を発揮した。その姿は長年この仕事を成し遂げてきたプロの殺し屋特有のオーラを放っていた。
信者(男)
パスッ!
その男は混乱してそう言って桃音に武器を向けたが、あっさりと撃ち殺された。
実はその男の言う通りである。 今の桃音は痛覚が麻痺していた。
なぜ突如桃音の痛覚が麻痺しだしたのか、それを説明する為には まず彼女の少女時代まで遡ろう。
それは11年前のある日。 桃音がまだ両親が生きており、 ”大阪に引っ越す前”の時の事だ。
〜11年前〜
バン!バン!
マフィア
桃音・少女時代
桃音・少女時代
敵を葬りながら全く関係ないことを考えている桃音は当時14で殺し屋歴2年。殺し屋一族生まれの彼女は幼い頃から訓練されており、その実力は現役の殺し屋も顔負けの射的の天才であった。
この日は”暗黒街”の町外れにある廃工場を本拠地とするマフィアを標的とした仕事だった。
マフィア
ヒュン!
桃音・少女時代
マフィア
マフィア
その男は桃音を誘導するように追い込んだ。そして…………
ダンッ!
桃音・少女時代
ふわっとした浮遊感を感じた。
桃音・少女時代
ダボーン!!
桃音は硫酸の海に突き落とされた。
マフィア
ザバァ!!
するとタンクから真っ白な手が出てきた。まるでホラー映画で墓場の地面からゾンビが手を突き出したかのようだ。
マフィア
そのままタンクの淵を掴み、辛うじて這い上がって桃音はタンクから出て来た。
マフィア
マフィア
バン!
パニックになった男を何も言わず黙って撃ちころした。
桃音・少女時代
桃音は濡れた髪をかきあげてそう呟いた。そして、自分の手がふと目に写った
桃音・少女時代
桃音・少女時代
そう。硫酸ではない謎の液体の海に落ちたから異変が起きた。桃音の肌は色素が薄くなり、髪は真っ白になっていた。
桃音・少女時代
桃音・少女時代
あまり細かい事は気にしない呑気な性格をしていた彼女は仕事が終わった連絡をして、家へ帰った。
しかし家に帰った後、風呂で何度も洗ってみたが戻ることはなかった。 桃音はタンクにあった謎の液体によって全身白く染められてしまったのだった。
〜6年後〜
かれこれあれから6年経った。相変わらず全体的に白い姿の桃音は訳あって元の姿に戻らなければならなくなり、例の液体について調べるために、かつて自分をこんな姿に変えた廃工場へ足を運んだ。
桃音(20)
桃音(20)
桃音(20)
すると桃音は背後から人の気配を感じ、咄嗟に銃を向けた。
白衣の男
そこには白衣を着た男が立っていた。
白衣の男
桃音(20)
白衣の男
「かつて廃工場(ここ)の化学者だった……とでも言っておこうか。」
桃音(20)
白衣の男
ギクッ!
桃音(20)
白衣の男
白衣の男
白衣の男には全てがお見通しのようだった。桃音は警戒心が高まった。
桃音(20)
白衣の男
そう言って男は無駄にデカい注射器を見せた。中には紫の液体が入っている。
桃音(20)
白衣の男
桃音(20)
白衣の男
桃音(20)
白衣の男
白衣の男はその”代償”について 説明した。
桃音(20)
白衣の男
桃音(20)
今の桃音にはその薬品にしか目がなかった。とにかく今は元に戻らなければならない。生き抜く為にはこの特徴的な容姿から変えなければならないのだ。その為なら代償はなんだって良い。
白衣の男
桃音(20)
白衣の男
男はその標的の顔写真を渡して言った。
桃音(20)
白衣の男
白衣の男
なんだか上から目線で腹立つが今はそんな事を気にしている場合ではない。
桃音(20)
白衣の男
桃音(20)
生首持ってこいっていうのは さすがに引いた……
〜2時間後〜
桃音(20)
桃音は廃工場に戻った。
白衣の男
桃音(20)
そう言って桃音は黒いビニール袋を渡した。中には標的の生首が入っていた。
白衣の男
男は生首を掴み、標的の死に顔を見て不敵な笑みを浮かべた。どうやらこの廃工場の裏切り者のようだ。なるほど、それで生首を持ってこいと言ったのか……
白衣の男
桃音(20)
桃音(20)
桃音は手を出して言った。
白衣の男
桃音(20)
白衣の男
そう言って背を向けた男の後を着いた。
桃音(20)
ここはかつて桃音がタンクに突き落とされた場所。下には以前と同じようにタンクに入った液体の海がある。
白衣の男
桃音(20)
白衣の男
白衣の男
ドン!
桃音(20)
桃音(20)
ダボーン!!
桃音は男に背中を押され、 液体の海にまた落ちた。
全身が焼け付くような激痛がはしる。
四方八方から無数の針で刺されているような感覚だ。
桃音には全く現状が把握できない。
しばらくして痛みが和らいだ。
苦しい!窒息しそう!
桃音は慌てて水面から顔を出した。
ザバァ!
桃音(20)
桃音(20)
桃音はタンクの淵にしがみつき、 白衣の男を睨んで言った。
白衣の男
男はタンクの側まで来て桃音の手を引いた。そして、どこからか持ってきた鏡を見せた。
桃音(20)
鏡に写る自分を見た桃音は驚きのあまり、心臓が止まりかけた気がした。
白衣の男
桃音(20)
桃音(20)
桃音はタンクに指をさして言った。
白衣の男
桃音(20)
桃音(20)
白衣の男
桃音(20)
パスッ!
そして現在に戻る。 桃音はここにいる敵全てを始末した。
百峰 桃音
あの白衣の男が言う元の姿に戻す際の”少し大きい”代償、それがこの薬品の副作用なのであった。
その副作用とは、不定期に脳に電気ショックのような衝撃し一時的に痛覚が麻痺し、その麻痺が切れるとまた電気ショックのような衝撃が訪れ、麻痺時に受けた分のダメージに襲われることだ。
そしてそれが繰り返すことにより、寿命がじわじわと削られているのだ。
百峰 桃音
百峰 桃音
「あんな地獄で死なずに済むんやったら…… 安いもんや…!!」