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復讐は何も生まない
よく復讐劇で聞く言葉です
本当に?
復讐は色々な感情を生み出します
喜び
後悔
悲しみ
憎しみ
そして『幸せ』
これは『幸せ』を生む復讐のお話である
私の名前は悲川 雫
とある会社のOLをしていた
していたというのも
会社を辞めたのだ
まぁ要するに
今の私は無職だ
じゃあ何で無職になったのかと言われると
夫と別れたのだ
それもただ別れた訳じゃない
夫は不倫していたのだ
相手は私の後輩で
社内でも人気があった
夫も私と同じ会社で働いていて
後輩のことを気にかけてる様子だった
でも
だからって
不倫してるなんて思ってなかった
不倫が発覚したのは 夫が別れようと言い出したからだ
その時の私は何も知らなくて
「いきなりどうしたの?」なんて
そして夫は
「会社の後輩と付き合うことになった」
そう言って離婚届けをつきだしてきて
私は頭が真っ白になって
そこからはよく覚えていない
ただ覚えているのは
驚いた顔をした上司に退職届を出したこと
そうして今に至る
そうして私は今
ある男と出会っている
別に新しい男という訳ではない
彼は『復讐代行屋』という者らしい
彼を知ったのは数日前
ネットの掲示板で復讐代行屋という者の噂と
その人物に繋がる電話番号が書いてあったのを見つけた
私はこれだ!と思い
その電話番号にかけた
彼は自分のことをハッピーエンド至上主義者と名乗っており
明日どこで待ち合わせをするかを聞いてきた
私は近くのカフェの場所と自身の名前と服装を伝え
明日の用意をした
カフェ店
予定通りの時間にあの男は来た
黒のパーカーにサングラスとマスク
傍から見たら完全に不審者だった
男は私の姿を見つけると相席に座る
そうして聞いてきた
「復讐相手は?」と
私はあの男の住んでいる場所と復讐動機を話した
その事を話すと男は
「それで、あなたは幸せを感じるのですか?」
と聞いてきた
それを私は
まるで復讐しても幸せになんてならない
そう聞こえて
「あなたに私の何が分かるの!?」
声は抑えたつもりだが周囲に聞こえていたのだろう
周りの人が変な目でこちらを見てくる
しかし
それを男は気にせず
「私はあなたの復讐を幸せで終わらせたいのです」
「質問を変えます」
「あなたは何をしたら幸せになれますか?」
その質問に私は半ば無意識に答えた
「また彼と、夫と過ごしたい...」
私は自身が出した答えにハッとする
私が思っているよりも私は夫を愛していたのだ
それに気づきますます不倫の悲しみが大きくなる
「分かりました」
私が悲しんでいると男はそう言った
「私は幸せで終わりたいのです」
「あなたの復讐を幸せで終わらせて見せます」
そう言って男は言葉を続ける
「なので悲川さん」
「明日、相手をこの近くの公園に呼び出してくれませんか?」
その言葉で私は泣きそうになった
男は私と彼を結ばせようとしているのだろう
私はそれに分かったと返事をし
会合は終わりとなった
私は今から彼に電話する
彼に私をもう一度見てもらい
彼の愛を勝ち取るのだ
彼の電話番号にかける
何故か彼は離婚してからも番号を残していた
それを疑問に思いながらプルルというコール音を聞く
少し待つと彼がでてくれた
「雫か、なんだ?言っとくが復縁なんてしないぞ」
その言葉に傷つくも言葉を返す
「いいえ、違います」
「私はあなたに約束したいの」
「約束?」
「明日、3時程にH公園に来て」
「会えたら、私はもう二度とあなたに会わない」
「本当か?」
「えぇ、あなたの恋も邪魔しないわ」
その言葉に彼は悩んだのか少し間をあけて
「分かった」
「ありがとう」
その言葉にホッとするも
明日どう彼にアプローチするかを考える
「じゃあ切るぞ」
「分かったわ」
そう言って彼は電話を切った
午後三時 H公園
私は彼を待つ
彼に私の想いを伝えるのだ
そうしてしばらく待つと
後ろから声がかかった
「こんにちは、悲川さん」
あの男の声だ
私は振り返ってその言葉に返事をしようとした
しかし
私は振り返った光景が理解できなかった
男は顔を隠しているにも関わらず伝わる笑顔で
その手には血濡れの包丁
そしてもう片方の手には
彼のした、い
「協力ありがとうございます」
「お陰で楽に殺せました」
何で?何で?何で? なんで?なんで?なんで?
「なんで?」
「え?何でって言われても」
「ああ、まぁいいや」
そう言って男は私に包丁をむけて
「サヨナラです。悲川さん」
俺は今回の依頼で生じた死体を片付ける
証拠となるようなものは消し
誰もいないかを確認する
「いや~しかし良いことしたなぁ」
今回の依頼内容を思い返す
「普通なら男だけのはずだったのに女の方まで殺してあげるなんて」
「俺ってもしかして聖人だったりして」
本来なら男を殺して終わるつもりだった
しかし依頼人である女の顔が妙に優れていなかったから
もしかしてって思って
「それで、あなたは幸せを感じるのですか?」
って聞いたら大正解!
一緒に過ごしたいとか言い出した
まぁ、一緒にしてあげたけどお代を貰ってなかったのはミスったなぁ
そう考えながら俺は二人の死体を一緒に埋める
いや~やっぱり
「復讐するなら幸せに終わりたいよね!」