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#読み切り
翌朝。
凪は、鏡の前でまばたきをした。
目の赤さは、ぎりぎり隠れた。
泣いた跡が少し残っていても――
誰も気づかないように 笑う練習をする。
雨宮 凪
小さく息を吐いて、家を出た。
玄関の空気は冷たくて
昨夜の重さとは違う。
歩くたびに、胸の奥が まだ痛んだけれど
それでも凪の顔は“いつもの凪”だった。
学校の門をくぐると、 空気が一瞬で明るくなる。
クラスメイト1
クラスメイト1
クラスメイト2
クラスメイト全員が、当たり前の ように声をかけてくる。
男子も女子も、 凪が来ると自然に視線が集まる。
凪は微笑む。 いつもの、優しい笑顔で。
雨宮 凪
そのたった一言で、 周りの空気がふわっと和らぐ。
女子たちがすぐに集まってきた。
女子クラスメイト1
女子クラスメイト2
女子クラスメイト3
凪は頷いた。
雨宮 凪
みんなが笑った。
凪も笑った。
――まるで、何もなかったみたいに。
心の奥に残った冷たい痛みは
誰にも見せない場所に そっと押し込める。
ここは、凪が“嫌われていない場所”。
ここだけは、凪が
“普通でいられる場所”。
だから凪は笑う。
今日も、明日も、 誰にも迷惑をかけないように。
教室の窓から差し込む光は明るかった。
家で感じた暗さとは まるで別の世界のように。
凪は席に座り、深呼吸をした。
――大丈夫。
学校にいる間くらい、平気。
そう言い聞かせて、笑顔を作り続けた。
その笑顔が、誰かにとって“本物”に 見えるように。
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