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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

歩く練習をはじめて早2日。

赤ちゃん(元・山田)

(なかなか様になってきたんじゃね、俺!)

メリアス

上手~だよ~

赤ちゃん(元・山田)

(へへっ、ありがとうな!)

赤ちゃん(元・山田)

(あいつにも見てもらいたいなー)

赤ちゃん(元・山田)

(ベリルをたくさん集めてはやく帰ってこねえかなあ)

精霊

ちょっと!

精霊

このわたくしがおりますわよ!

精霊

別にフェンリルがいなくたって

赤ちゃん(元・山田)

(精霊はいつも応援してくれてるじゃん?)

精霊

あたりまえですわ!

精霊

わたくしはあなたのパートナーなのですから!

赤ちゃん(元・山田)

(だけどさあ、あいつは「まだ歩けないのか?」とか、文句ばっかだし!)

精霊

フェンリルはアホなのですわ!

精霊

なにしろ、あいつはヒトの子と関わる機会なんてなかったのですから

赤ちゃん(元・山田)

(さっきも、「生まれたてのフェンリルみたいだな」「我が戻ってくるまでにもう少しマシになってみろ」って……)

赤ちゃん(元・山田)

(そーいやさあ……)

赤ちゃん(元・山田)

(なあメリアス)

メリアス

なあに~

赤ちゃん(元・山田)

(メリアスって、フェンリルと昔から一緒なの?)

赤ちゃん(元・山田)

(生まれたてのフェンリルみたいだなって……)

メリアス

あ~

メリアス

ん~

メリアス

最初に~あったときは~150年前だからね~

メリアス

そのときの話かな~とは~おもうよ~

赤ちゃん(元・山田)

(へえ)

精霊

まあ

精霊

ずっとあんな野蛮なやつといましたの?

メリアス

ん~

メリアス

フェンリルとは~すぐに~わかれたよ~

メリアス

あのころのフェンリルは~ドラゴンとの2強

メリアス

僕達みたいな魔物からしたら~恐れ多い存在だからね~

メリアス

それからは全然あっていなかったの~

メリアス

だけど~100年前に~

赤ちゃん(元・山田)

(再会したの?)

メリアス

精霊も~知ってると思うけど~

精霊

……嫌なことを思い出しましたわ

赤ちゃん(元・山田)

(嫌なこと?)

精霊

ええ

赤ちゃん(元・山田)

(何があったの?)

精霊

……思い出したくもないことが、ですわ

赤ちゃん(元・山田)

(それって……聞かないほうがいいこと、みたいだね)

精霊

……いつか、話しますわ

赤ちゃん(元・山田)

(うん)

変な沈黙が落ちる。

それを破るかのようにメリアスが声を上げる。

メリアス

そういえば~

メリアス

僕と~フェンリルは~昔から~何かと縁があるんだ~

赤ちゃん(元・山田)

(縁?)

メリアス

そう~

メリアス

僕が生まれたとき~

メリアス

100年前~

メリアス

それから~6年前~

メリアス

パンドラ・パニックのときからは~たまに会ってたな~

赤ちゃん(元・山田)

(そういえば)

赤ちゃん(元・山田)

(そのパンドラ・パニックって?)

メリアス

この前みたでしょ~

精霊

悪魔の実……パンドラ

赤ちゃん(元・山田)

(俺の声が出なくなった原因……)

精霊

前まで、この森は迷いの森と呼ばれていて、ヒトの子こそあまりいなかったけれど、冒険者や薬師はよく来ていたのですわ

精霊

魔物もたくさんいましたし、なにより薬草が豊富ですの

メリアス

クエストなんかで~よくヒトがいたの~

メリアス

でね~6年前~、この森に~突如~大量のパンドラが発生したんだ~

メリアス

たくさんの冒険者や~薬師~が犠牲になって~

精霊

王族も一人が、犠牲に……

精霊

……そんな中、救いをもたらしたのが聖女様でしたの

赤ちゃん(元・山田)

(たしか、この森を焼き払ったんだよな?)

精霊

ええ

メリアス

そのあと~聖女様は~この村を元に戻されたの~

メリアス

それから毎年~パンドラが発生していないか~視察にきてるんだ~

赤ちゃん(元・山田)

(へえ)

赤ちゃん(元・山田)

(聖女様も?)

精霊

……

メリアス

どうだろ~

メリアス

僕はそこまではわからないな~

精霊

……そういえば

精霊

あのとき、メリアスはこの森にいましたのよね?

精霊

よく無事でしたわね

メリアス

ああ~

メリアス

フェンリルが~助けてくれたから~

精霊

……フェンリルが?

精霊

……

精霊

そう、あいつが……

赤ちゃん(元・山田)

(えっと、精霊?)

赤ちゃん(元・山田)

(どうしたの?)

精霊

……なんでもないですわ

赤ちゃん(元・山田)

(そ、そう……)

赤ちゃん(元・山田)

……

メリアス

……

精霊

……

再び、辺りに沈黙が落ちる。

それを破ったのはフェンリルの一言だった。

フェンリル

おまえら、一体なにをしているんだ

フェンリル

ほら、ベリルを拾ってきたぞ

赤ちゃん(元・山田)

(わ、わあ~ベリルだ~!)

メリアス

よかったね~

赤ちゃん(元・山田)

(おう!)

精霊

わたくしが煮込んであげますわ!

赤ちゃん(元・山田)

(ありがとう!)

フェンリル

ふんっ

フェンリル

ところで、なにを話しておったのだ?

赤ちゃん(元・山田)

(あ、ああ……)

赤ちゃん(元・山田)

(お前とメリアスの出会いの話とか)

フェンリル

だから我のことはお前ではなく

赤ちゃん(元・山田)

(あ~はいはいご主人ご主人)

フェンリル

……わんわとは言わないのだな

赤ちゃん(元・山田)

(だーかーらー!)

赤ちゃん(元・山田)

(何回もいったと思うけどさ……)

フェンリル

で?

フェンリル

それがどうかしたのか?

赤ちゃん(元・山田)

(いや)

赤ちゃん(元・山田)

(二人はずっと一緒にいたのかなーって)

フェンリル

そういえば

フェンリル

メリアスとはよく一緒にいた気がするな

赤ちゃん(元・山田)

(え?)

赤ちゃん(元・山田)

(そうなの?)

赤ちゃん(元・山田)

(メリアスの話ではそんなことなさそうだったけど)

フェンリル

メリアスからしたらそうだろう

フェンリル

我は1000年ほど生きているが、なかなかメリアスみたいに野良で100年以上生きる魔物が居ないのだ

フェンリル

基本的に、魔物達は我より先にニンゲン達によって討伐されていくからな

赤ちゃん(元・山田)

(そういうものなのか?)

フェンリル

そういうものだ

赤ちゃん(元・山田)

(へえ……)

赤ちゃん(元・山田)

(フェンリルって、ずっと一人で生きていたのかなあ)

フェンリル

いや、一人ではない

赤ちゃん(元・山田)

(そうなの?)

フェンリル

ああ……

フェンリル

……

フェンリルが俺の後ろをジッと見る。

赤ちゃん(元・山田)

何かあるのだろうかと、俺も後ろをむこうとしたときだ。

精霊

ちょっと!

精霊

あなたも少しは手伝ってくださる!?

フェンリル

我はベリルを拾ってきただろう

フェンリル

そういうお前こそ、少しは働いたらどうだ?

精霊

なっ……!

精霊

むむむっ

赤ちゃん(元・山田)

(ほんとにこいつらは……)

赤ちゃん(元・山田)

(あれ?)

赤ちゃん(元・山田)

(メリアスはー?)

精霊

メリアスでしたら……

精霊

あら?

精霊

あそこで薬草をとっていたのですけど?

精霊

どこへいったのかしら

メリアス

(あの~)

メリアス

メエ~

聖女

……すまない

聖女

あそこでは都合が悪くてな

メリアス

(それは~大丈夫だけど~)

メリアス

(この人……誰かな~?)

メリアス

メエ~

聖女

あの子に……あのヒトの子に渡してほしいのだ

聖女

これを

メリアス

(これは~?)

聖女

それじゃあ

メリアス

(あ~……)

メリアス

(行っちゃった~)

メリアス

(……)

フェンリル

戻ってきたな

赤ちゃん(元・山田)

(え?)

振り向くと、そこにはメリアスがいた。

精霊

まあ!

精霊

どこにいって……

精霊

あら?

精霊

あなた、なにをくわえて……

精霊

これは……

精霊

あなた、これをどこで?

メリアス

ヒトにもらったの~

フェンリル

……

赤ちゃん(元・山田)

(人?)

赤ちゃん(元・山田)

(もしかして)

頭にフードを被った女を思い浮かべる。

精霊

……

精霊

飲んでみなさい

赤ちゃん(元・山田)

(え?)

目の前に小瓶のようなものを突きつけられる。

精霊

これは、聖水ですわ

赤ちゃん(元・山田)

(せい、すい?)

精霊

呪いを解除するためのものですわ

精霊

もし、パンドラから呪いをかけられていたとするのなら、これを飲むことで声が出るようになるかもしれませんわ

赤ちゃん(元・山田)

(じゃ、じゃあ……)

赤ちゃん(元・山田)

(いただきます)

小瓶を手にして、一気に飲み干す。

赤ちゃん(元・山田)

……

赤ちゃん(元・山田)

(あーあー)

赤ちゃん(元・山田)

(……うーん)

赤ちゃん(元・山田)

(出ないや)

精霊

そう

フェンリル

……ふん

メリアス

大丈夫~

メリアス

きっとなおるから~

赤ちゃん(元・山田)

(うん、そうだよな)

赤ちゃん(元・山田)

(なあなあ、ベリル煮込むのまだー?)

精霊

……あ!!!

精霊

すっかり忘れていましたわ!!

精霊

……!

メリアス

これは~

赤ちゃん(元・山田)

(……焦げてる)

フェンリル

まっくろだな

精霊

うっ……

精霊

わたくしとしたことが……

赤ちゃん(元・山田)

(まあまあまあ)

赤ちゃん(元・山田)

(そんなこともあるって)

精霊

ありがとですわ……!

フェンリル

やれやれ

フェンリル

また拾ってこよう

赤ちゃん(元・山田)

(じゃあ俺はもう少し歩く練習しようかな)

精霊

わたくしもベリルを探してきますわ

メリアス

じゃあ、僕はここにいるね~

精霊

頼みましたわよ!

フェンリル

何かあれば直ぐに我を呼べ

赤ちゃん(元・山田)

(呼べ?)

メリアス

たしか~フェンリルの~奴隷なんでしょ~?

赤ちゃん(元・山田)

(うん)

フェンリル

契約をした、ということは、思念で繋がるのだ

赤ちゃん(元・山田)

(しね、ん?)

フェンリル

ああ

フェンリル

危険が迫ったときは頭の中で我の名を呼べ

赤ちゃん(元・山田)

(わ、わかった)

ある日、異世界に転生しまして。

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