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***

━━いつの日かこうなることは 分かっていた。 逃れることなど 出来なかったのだ。

......!

━━ざくりと後ろから刺された、 それでも突然の出来事に 唖然とする。

悲鳴は あげなかった。

━━どこかでそうなる 予感はしていたのだ。

これは、今日に至るまでの、 私が殺されるまでの ━━お話。

***

私、桃山 茜(ももやま あかね) この春大学に入学 したばかり。 馴れない学校生活だけれど それなりに友達もでき始め 順調な滑り出しだった。

初めてのアパート暮らしも 慣れてきた頃、 私は学校の食堂の隅で ご飯を食べていました。

やあ、随分混んでるんだね
隣座っていい?

突然 声をかけられました。

ん、いいよ

彼は持っていた カレーライスの乗ったトレーを 私の前へ置いて 席へつきました。

僕は同じクラスの
青井蒼介。
助かったよ、こんなに席が空いてないなんて、思わなかったからさ

そうなんだ、青井くん。
私まだ、名前
覚えてなくって......

私はクラスの人達の 顔と名前を まだ覚えきれていない。

ところで一人なの?

ううん、これから友達と待ち合わせしてたからもうすぐくるはず。

その時、勢いよく 後ろから声をかけられた。

茜!

じゃあ僕はそろそろ行くよ

苺の顔を見るなりかれはそそくさと行ってしまった。

ちょ、茜!
なにやってんの

んん? 席が混んでたみたいだから
成り行きで、同じクラスの子と相席になってた。

ちょ、やめてよ、
あのひとうちのクラスなんかじゃないよ

ええ?

思わぬ返しに頓狂な声を あげてしまう。

う、そうだったのか 全然知らなかった。 私回りの事に疎いからなあ......。

面倒くさいことになっちゃったかな まあ、これからはなるべく関わらないようにしよう。

もー! 茜は普段しっかりしてるのに、どこか天然ぽいとこあるから
気を付けてよー

うん、気を付けるよ、苺

そんな衝撃の出会いから 一週間後のことだった。

私は授業を終えて 帰路につく途中だった。

やあ、また会ったね。

げっ、でた。

うん。

これから帰り?

そうだね

君いつも駅とは反対方向に帰るみたいだけど

えっ

なんでそんな事 知ってるんだろうか。

たまたま、見かけることが多いだけだよ。

君が仲良くしている苺っていうんだっけ
あの子、ずいぶんお節介やくみたいだけど、君はあれがうっとおしく感じないのか?

━━なんかちょっと嫌だな。

さっきの会話を聞いていたとしか思えない。 物陰から盗み聞いていたの だろうか?

じゃ、じゃあ
私急いでるから......

半ば無理矢理話を切りあげ その場を去りました。

帰り道、 つけられてはいないかと 何度か後ろを 振り返りました。

幸い、そのあとは かわったこともなく 無事アパートに帰宅できました。

玄関をあける。 私は荷物を置く。 さてと、部屋の掃除を しなくちゃ。

━━昨日部屋を汚して しまったのだ。

赤黒く床に飛び散ったものを 黒い袋につめる。 丁寧に床から拭き取る。

時間がたってしまったせいで 粘つき凝固したそれを きれいにするのは 時間も体力も労した。

気がついたら 外はすっかり暗くなっていた。

掃除を終えた私の 服や体も汚れてしまっていた。 お風呂に入って すっきりしよう。 それから夕飯を 食べることにする。

***

━━私は 昔から、動物を 解体するのが趣味だ。 物心ついたときから 初めのころは昆虫、あと小鳥とか 小動物を捕まえては 生きたまま、刻んだ。

生き物はそこそこ頑丈に 出来ているもので、 適当に傷をつけても なかなか死なない。

段々、生き物の死に至るまでの 過程、苦しみ衰弱し、 事切れるに至る流れ。 それを自分の手で為す事が 愉悦だったのだ。

━━昨日は猫を解体した。

人間を解体したいと思った事も 一度や二度ではない。 だけど、今日まで 猫、犬までに とどまっている。

殺人には重い罪が課せられる。 誰でも知っている事だ。

私だってなるべくなら 平穏に過ごしたいという 人並みの気持ちはあります。

自分の趣味を周りに隠しとおして いままで上手くやってました これからだって 上手くやっていける。 きっとそれなりの将来もある。

━━私はそう信じていました。

その日は苺と一緒に 食堂でご飯を食べていました。 苺はバンドサークルに はいっていて、 その話をしています。

それで、瑛太がね!

へえ、そうなんだ、ふふふ。

すると何かを 見つけたように 一点を注視する苺。

あっ、噂をすれば!

瑛太

よお、苺じゃんか!

そこには背の低い 茶髪の男子がいました。

あははは!
瑛太独りでご飯食べてんの?

瑛太

そうだよーおれもそっち混ぜてくれよー

そういって、瑛太はトレーを同じテーブルに置き、席に座りました。

それにあわせて 苺が話の話題を変えます。

しってる? 他クラスの青井って
奴、ヤバイんだって

瑛太

しってる、クラスメートのかばんズタズタにして、ゴミ箱へ捨てたことあるらしいぜ

えっそうなの?

あの人、そういう人だったんだ いやだなぁ どうして目をつけられて しまったんだろう。

どしたの? 茜

ううん、何でもない

瑛太

俺、教室近いから
怖いんだよな

お互いきをつけようね

苺たちと別れた帰り道 私は後ろに気配を感じ 振り返りました。

ねぇ、

何か用?

振り返った後ろには 例の青井くんがいました。 どうしてこうも 頻繁にからまれるでしょう。

よければ、連絡先を交換してもらえないかな?

なんで私の事、
追いかけてくるの?

入学式で見たときから、ずっと君のことが気になっていたんだ

僕は、君が猫を殺しているのも
しってるよ

やっぱりストーカー
みたいなこと
してたんだね.....

所で、私の鞄についてたこれ
盗聴器だよね?

私はついさっき 鞄の底から見つけた 小さな機械を 彼に向かって、見せた。

まあね。
こんなに早く気づくなんて

どうするの?私の事
誰かに言う?
あんたが盗聴していたのは
どう説明する?

そんなことしないよ。
ただ仲良くなりたいだけなんだ
そんなに睨まないでくれ

何を言っているんだろう 考えることが分からない。 何か狙いがあるんだろうか。

君の事は誰にも言わないよ
僕は君のことが好きなんだから

入学式で見かけたときから
ずっと見ていた。
僕と君は、これ以上ない
お互いにとっての
理解者になれる
僕はそう思うんだ。

なんなのそれ......なんの告白?

本当の君は、誰にも理解してもらえないだろう?
僕には......それができるんだ。
素敵なことじゃないか?

ふふっ、

この人、頭がおかしいんだ 私はそう思った

可笑しくて 込み上げてきた笑いは おさえきれずに 口から零れてしまう。

ふ......あはははっ

あー、わかったいいよ
連絡先くらい。それで貴方の気がすむなら
なんかもう、笑えてきちゃったし
ふふふふっ

こうして私は 青井と 連絡先を交換しました。

最後に殺される私。

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コメント

1

ユーザー

なんか最後のシーン自分で作っといて読み直しながら爆笑しちゃったんだけども。なんかコイツら頭ヤバイなとか思って。

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