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僕の彼女はトイレの花子さん

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僕の彼女はトイレの花子さん

1 - 僕の彼女はトイレの花子さん

♥

266

2021年10月28日

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古森

おっ、お願いだからよして

不良

やだねー!

不良2

早く入れよ!

古森

犯罪だよっ!

古森

女子トイレに入るなんて

不良

つべこべ言わず入れよ!

不良

一時間何があっても出てくんな

不良2

しっかり外から見張ってるからな

僕はしぶしぶと女子トイレに入った

古森

(誰もいないみたい…)

古森

(よかった…)

40 分後

古森

(女子の話し声がするぞ)

古森

(誰か来る!)

僕は、一番奥の手前から3番目の個室に入る

古森

(女子が二人入ってきたみたいだ)

古森

(これで個室は全部うまったみたい)

神崎先生

この中に古森が入っているって?

不良

そうなんすよ

不良

こそこそ女子トイレに入って行ったんすよ

古森

あいつらチクリやがった…!!

神崎先生は個室のトイレを一つ一つノックしていく

女生徒

はーい

女生徒2

入ってまーす

古森

(次は、僕の番だ…)

コンコン

神崎先生

おーい。誰か入ってるか?

古森

(どうしよう…声を出したらバレるし…)

僕はとりあえずノックをする事にした

神崎先生

悪いけど、名前を教えてもらえるか?

古森

(そんな…もうおしまいだ…)

と思ったその時、頭の上から声がした

花子

戸井 花子です

僕は、上を見上げる

そこには青白い顔をした女生徒が浮いていた

古森

(うわぁぁぁぁぁぁ!)

なんとか声を押し殺す

神崎先生

戸井…花子…

神崎先生

まぁいい…ありがとう…

神崎先生は諦めて去っていったようだ

他の女子達も外に出ていった

目の前の青白い女子は僕をじっとみて言う

花子

今時の男の子ってこんな感じなんだ

花子

なんだか普通

古森

あ、あなたは誰なんですか?

花子

花子

花子

トイレの花子さん

古森

えっええ!?

花子

知らないの?

花子

有名な都市伝説のモデルは私ですよ

古森

ゆ、幽霊って事ですか?

花子

そう

花子

人間はこんな風に浮けないでしょ

花子

それに私みたいな色白美人はいないでしょ

古森

(色白というか青白いんだけどな)

それから僕たちは色々な事について話した。 ここで、逃げ出したら何だか呪われそうだからである。

花子

古森くんはなんでいじめられてるの?

古森

理由は特にないと思います

古森

かばってくれる友達がいないからじゃないかな

花子

じゃあ私がなってあげよう

花子

教室ではかばえないけど、このトイレでは

花子

私は女王さま並みに強いよ

古森

ふふっ

古森

ありがとうございます

古森

花子さん

それからというもの、僕は、下校時間後にこっそり女子トイレに忍び込んだ

そして僕一人の秘密の友人と楽しい時を過ごした

古森

ねぇ花子さん

古森

花子さんはどうして、ずっとこのトイレにいるんですか?

花子

そりゃあきみ

花子

地縛霊って知らないのかい?

花子

私はここで殺された

花子

だからここから離れられない

古森

殺された…誰に?

花子

君が知る事じゃない

古森

どうして?

花子

やつはまだこの学校にいるんだ

古森

え?

古森

ずっと浪人してるって事ですか?

花子

今更やつのことなんかどうでもいいよ

花子

幽霊はね、恨みの根源が消えると、この世から消えるらしい

古森

成仏するって事ですか?

花子

そうだよ

古森

だったら呪い殺しちゃえばいいのに

花子

もし誰かを呪い殺したら地獄行きなんだよ

古森

そうなんですね…

古森

すみません…余計なことを言いました

花子

私はね

花子

消えたくないんだ

花子

君とこうやって話していたいから

古森

(えっ…)

古森

古森

花子

あのね

花子

そこで黙るから彼女できないんだよ

花子

じゃあまあ

花子

ナイフでも持ち歩けば?

古森

それは銃刀法違反ですよ

花子

ポケットナイフだったらバレないよ

花子

そういう護身できるものがあれば

花子

少しは自信がつくものだよ

花子

私もあの時持ってればなぁ

古森

でも、ナイフはちょっと…

花子

あ、あれなんかはどう

花子さんは指さした

古森

鏡の切れ端?

花子

これね

花子

私がちょっとイタズラしたら

花子

慌てた子が、鏡にぶつかったの

古森

そういう事はしないで下さい

古森

悪霊になっちゃいますよ

花子

大丈夫。大丈夫。怪我はしてなかったから

古森

(まずい。花子さんと話していたら、こんな時間になっちゃった)

古森

(早く裏口からでないと)

神崎先生

おい!

古森

神崎先生!

神崎先生

お前、女子トイレで何してた?

古森

えっと…

古森

その…

神崎先生

全く数年に一回ぐらいは君みたいなのが現れるんだ

神崎先生

それにしても今回は男子生徒だとはね

古森

…何の話をしているんですか?

神崎先生

戸井 花子

ドキリ

古森

…何の事ですか?

神崎先生

君みたいな出来損ないが、女子トイレに入り浸るわけ無い

神崎先生

彼女の誘惑なしでね

ビリビリ

古森

うぐっ

体に電流が走る

古森

(スタン…ガン…)

ドサリ

目を覚ますと僕は女子トイレの中にいた

神崎先生

全く非科学的な事だが

神崎先生

このトイレには、まだあいつがいるらしい

神崎先生

幽霊が、俺の悪事を言いふらしているんだ

神崎先生

あれは10年前の事だ

今から10年前

俺と花子は付き合っていた

花子

もう私たち別れよう

神崎先生

なんでだよ…

花子

神崎くん。クラスでいじめの首謀者なんだってね

花子

私、人の気持ちが考えられない人とは

花子

一緒にいられない

俺は激昂した

部活で使っていたバッドで殴りつけた

あいつは、女子トイレの中に逃げ込んだ

俺は手前の個室から順番に開けていく

バタン

神崎先生

いない

バタン

神崎先生

いない

そして最後の扉

バタン

神崎先生

いた

ガスン

ボクッ

グチャ

神崎先生

ははっ 掃除しないと

俺は洗剤で血痕を綺麗に掃除した

死体を丁寧に折りたたみ、部活用バックにつめた

そしてそれを山の中に捨てた

古森

あんたが…あんたが花子さんを!

神崎先生

しっかり死体も始末した

神崎先生

でも、魂だけは始末できなかったみたいだね

神崎先生

ネットの掲示板でこの学校のトイレの噂話を聞いた時は焦ったよ

神崎先生

秘密がバレたら人生台無しだからね

神崎先生

だから教師になった

神崎先生

門番をするためにね

動こうとするが、ロープで手が固定されていて動けない

神崎先生

このノコギリを使ってバラバラにすれば

神崎先生

今度は運ぶのに困らないな

このままでは本当に殺されてしまう

何か方法は?

花子

ナイフでも持ち歩けば

古森

(そうだ…さっき拾った鏡)

僕は鏡の切れ端を使って、縄を切った

古森

あああああああ!

勢いよく、神崎に飛びかかる

ドスン

体当たりを食らった、神崎はよろめく

神崎先生

この野郎!

しかし形勢は一気に逆転した

血眼になった神崎は僕の上に馬乗りになった

僕の右手には、鋭利な鏡がある

古森

(これで、こいつの首を刺せば…)

古森

できなかった

古森

(こいつを殺したら、花子さんは成仏してしまう)

古森

(そしたら僕はまたひとりぼっち)

古森

(ここで死ねば、もしかしたら自分も霊になって)

古森

(永遠に一緒にいられるかもしれない)

神崎先生

どうした?

神崎先生

戦意喪失か?

神崎先生

死ねええええええ!

巨大なノコギリが降りかかる

カラン

古森

……

古森

………

神崎先生

うぐっ げぇぇっ……

目の前には花子さんがいた

花子

この世界に巣食う死霊達よ

神崎先生

おげぇええええ

花子

この邪悪な人の子をこの世から消し去れ!

神崎先生

うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ブシャァァァァァァ

神崎の頭はトマトのように弾け飛んだ

花子

はぁ…はぁ…

古森

花子さんどうして?

古森

こいつを殺したら、君は地獄に

古森

僕はもっともっと君と一緒にいたかったのに

花子

あのね… 例え離れ離れになっても

花子

好きな人には生きててほしいって思うものなの

古森

そんなの…そんなの変だよ

古森

一緒にいられた方が幸せに決まってる

花子

理由は私にだってわかんない

花子

でも、そういうのは感覚で決めるものなの

花子

そんなのも分かんないから、モテないんだよ…

花子さんは半透明になり、どんどん宙に溶けていく

花子

お別れだね

花子

最後に言う事は?

古森

古森

……

花子

そういうところで黙るからモテないんだよバーカ

古森

あ、

古森

あいして

古森

花子

重たすぎるんだよ…

花子

バーカ

彼女の姿は見えなくなった。 少し肌寒かったトイレの温度が、心なしか上がったような気がした。

古森

じゃあ今日はこれでおしまいだ

古森

日直、号令

あれから18年

俺は、大学を卒業すると同時に、あの高校の教員になった

もしかしたら彼女にまた会えるかもしれない

そんな淡い期待をもって

でもあれから18年もたった今

あの時の鏡の破片はまだ、ポケットの中の入れてある

気弱な俺が教師になれたのも、あの鏡のおかげだ

女生徒

古森君

古森

だれですか、先生の事を君づけするのは?

振り返るとそこには

花子

古森君

花子さんがいた

花子

へへっ 生まれ変わっちゃった

花子

地獄って人間界の事を言うみたいだね

花子

確かに生きるのって辛いしね

花子

でも、また君と会えてよかったよ

古森

……

花子

そういうところで黙るからモテないんだよ

僕は花子さんをきつく抱きしめた

誰かに見られたらかなり問題になるだろう

春の温かい空気が、ほんの少しだけさらに温もりをおびた気がした

この作品はいかがでしたか?

266

コメント

3

ユーザー

神崎先生屑じゃん…でも切ない恋×ホラーですね

ユーザー

爆笑しました

ユーザー

怖くて笑って泣ける…

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