短編

屋上が、1番嫌いだった

……いや、トラウマだった

心の底から、恐怖した

目の前で、死んだ目をして、飛び降りる彼女が

今も尚、目の前にいる気がして

…それが、少しだけ怖くて

でも、それも今日でおしまい

ようやく、トラウマを克服する勇気が湧いた

ガチャリ、と扉を開けて

彼女が飛び降りた、フェンスを見た

……ただ、目を丸くして

そこには、まるで彼女のように

立ち尽くして、飛び降りようとする女の子がいた

止めなきゃ、今度こそ

本能的にそう思って、手を引っ張った

｢……なに、痛いんだけど｣

｢それに、死に損ねた｣

｢どうしてくれるの？｣

見ず知らずの子を、助けてしまった

死なせてあげれば良かったのに

それが、救いの人だっているのに

助けちゃった

まだ、僕の背後に

彼女の亡霊が立ち尽くしてる感覚が、した