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#恋愛
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宮殿の裏門前・夜
ロゼリア
ノエル
宮殿の火事が収まった頃。
ロゼリアとノエルは隙を見て、北の裏門から宮殿内へ。
荷車は近くに隠し、身軽な状態での侵入だ。
ノエル
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリアは小さく息をのんだ。
──宮殿
さっきまで、遠くから見上げるしかなかった場所。
本当なら、隠れて入るような場所じゃなかった。
ロゼリア
目を細めるロゼリアに、ノエルが声をかける。
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ノエルが先に進む。
ロゼリアもあとを追おうとして、わずかによろめいた。
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエル
ノエル
ロゼリア
難しい顔のロゼリア。
ノエルは一瞬考え、手を差し出した。
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリアはためらった。
でも、ためらっている時間が惜しい。
ロゼリア
ノエル
ノエルの手が、ロゼリアの白い指先をそっと掴む。
ロゼリア
ノエル
回廊の影を縫うように、二人は進む。
遠くから、誰かの掛け声。走る音。
ロゼリア
思わず怯えるロゼリア。
ノエル
ノエル
ノエル
ロゼリア
短いやり取り。
ロゼリアの胸の奥は……なぜか、ひどくうるさかった。
東の離宮跡・夜
ロゼリア
それはもう、“離宮”ではなかった。
緑のアーチは見る影もなく、黒く焦げた蔓が残るのみ。
白かったはずの離れは、柱以外が焼け落ちていた。
噴水は止まり、石畳の上には灰が積もる。
ロゼリア
ロゼリアはノエルの手を振りほどいて、焼け跡へ駆け寄る。
ノエル
ロゼリア
焦げた石畳を踏むたび、靴の下で灰が鳴る。
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリアは言いかけて、口をつぐんだ。
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリアは噴水の裏へ膝をつく。
指先で、灰を払う。
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ノエルもしゃがみこみ、手提げ灯で石を照らす。
ロゼリア
焦げた煤の奥に、たしかに細い裂け目があった。
ロゼリアはそこへ白い指を差し入れる。
ロゼリア
指先に、紙の角が触れた。
ロゼリア
ロゼリアは慎重に引き抜いた。
半分焦げた、小さな日記帳。
ロゼリア
表紙は煤で黒ずみ、角は焼けて丸くなっている。
それでも、確かに残っていた。
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
表紙をなぞるロゼリアの指が、微かに震える。
自分の名前より、自分の顔より、その筆跡のほうが本物に見えた。
ノエル
ロゼリア
ロゼリアは日記を開く。
焼けた紙が、ぱり、と小さく鳴った。
ロゼリア
何ページかは読めない。
でも、途中の一枚だけ、文字が残っていた。
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
やけに引っかかる内容。
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリアは何も答えない。
そのかわり、さらにページをめくった。
焦げ跡。煤。破れた紙片。
そして──
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
日記の最後のページだけが、不自然に破れていた。
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ノエルは日記を受け取って、破れた箇所を観察する。
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ロゼリアの背筋が冷たくなる。
ロゼリア
ロゼリア
この場所が、ロゼリアにとってどういう場所か。
そして、ここに何が残っているかまで。
ノエル
ノエル
ロゼリア
離宮跡から離れつつ、ロゼリアはふとつぶやいた。
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ノエル
ロゼリアは顔を上げた。
ノエル
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
その一言だけで、胸の奥の火が消えずに残った。
瞬間、遠くから声がした。
近衛兵A
近衛兵B
通りがかったのは二人の兵士。
ノエル
ノエルがロゼリアの腕を引く。
近くの木陰に身を隠し、手提げ灯を消した。
ロゼリア
ノエル
ロゼリアは日記を胸に抱え込んだ。
近衛の声が、少しずつ近づいてくる。
石畳を打つ足音が増える。
ロゼリア
ロゼリアは息をひそめた。
近衛兵A
近衛兵B
離宮に踏み入ろうとした兵士が異変に気付いた。
ロゼリア
ノエル
ノエルの指が、ロゼリアの唇の前に添えられた。
ロゼリア
その仕草だけで、声が止まった。