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東の離宮跡・夜
近衛兵A
近衛兵A
近衛兵B
離宮に踏み入ろうとした二人組の兵士が、灰の乱れに気づいた。
ロゼリア
ノエル
近くの木陰に隠れるロゼリアとノエルの身がこわばる。
近衛兵A
近衛兵B
片方の兵士が駆けていった。
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
小声での短いやり取り。
ロゼリアは日記帳を胸に抱えたまま、木陰に身を縮めた。
息をするたび、焦げた薔薇の匂いが喉に刺さる。
??
ロゼリア
やがて聞こえたのは、ロゼリアの知る、低い声。
重く、迷いのない足音が続く。
近衛隊長
怒鳴ってはいない。
それなのに、その場の空気が一気に張りつめる。
ロゼリア
その名を、ロゼリアは胸の奥でつぶやいた。
──ディルリック
剣より先に、礼を知る近衛隊長。
幼いロゼリアの歩幅に合わせ、ゆっくり歩いてくれた人。
近衛兵A
ディルリック
近衛兵B
ディルリック
ディルリック
ディルリック
ディルリックは膝をつき、灰の上に残った跡を見つめる。
ロゼリア
その横顔を見た瞬間、ロゼリアの胸が痛んだ。
全部、ロゼリアが知るディルリックだった。
なのに今、その忠誠は自分には向いていない。
ディルリック
近衛兵A
ディルリック
ディルリック
ロゼリア
その一言が、心を突き刺す。
ノエル
ノエルがわずかにロゼリアを見る。
でも、何も言わない。
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリアはたまらず、木の幹を握りしめた。
ノエル
ロゼリア
そう言った時だった。
近衛兵B
近衛兵B
ディルリック
兵士たちの注意が奥へと向いた。
ノエル
ロゼリア
ノエルがロゼリアの手を掴む。
二人は同時に木陰を飛び出し、そして離宮を離れていった。
宮殿の外庭・夜
ノエル
ロゼリア
裏門へ向け、ロゼリアとノエルは駆けていた。
ロゼリア
つまずきよろけるロゼリアを、ノエルが支える。
ノエル
その言葉に、ロゼリアは唇を噛む。
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ノエルに引かれながら、ロゼリアは必死に足を運ぶ。
近衛兵C
近衛兵D
曲がり角の向こうで、急ぎ走る兵士たちの気配。
ノエル
ロゼリア
ノエルはロゼリアの肩を抱き寄せ、植え込みの陰に身を隠す。
近衛兵E
近衛兵D
近衛兵C
兵士たちの足音が遠ざかる。
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
宮殿外・夜
ロゼリア
外庭を走り抜けたロゼリアとノエル。
裏門を抜けたところで、ロゼリアは後ろを振り返った。
見慣れた宮殿が、やけに大きく遠く見える。
ノエル
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエルは隠していた荷車にロゼリアを乗せる。
そのまま人気のない路地へ走り込んだ。
宮殿の灯りが、遠ざかっていく。
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ノエルは少しだけ黙った。
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリアは、胸元の日記帳を抱きしめ直す。
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエル
工房・夜
ノエル
ロゼリア
ロゼリアとノエルが工房へ滑り込むように戻ると。
グレッタが椅子に座ったまま、こちらを見た。
グレッタ
グレッタ
ロゼリア
グレッタ
グレッタの視線が、ロゼリアの胸元へ落ちる。
グレッタ
ロゼリア
ロゼリアは、ようやく日記帳を手から離した。
机に置いた瞬間、指先が震えていたことに気づく。
ノエル
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
言い返しかけて、やめる。
ノエルの言葉が温かかったから。
ロゼリア
ロゼリアはおとなしく椅子に腰を下ろした。
脚が、まだ小さく震えていた。
ノエルがしゃがみ込み、ロゼリアの足を優しく確認する。
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
ノエルはロゼリアの足首にそっと触れた。
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエルは銀糸を取り出すと、何やら作業を始めた。
グレッタ
グレッタ
ロゼリア
ロゼリアが答えるまでに少し時間がかかった。
ロゼリア
ロゼリア
グレッタ
グレッタの顔色が変わった。
グレッタ
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリアが言葉に詰まった。
さっきの声が、まだ耳に残っていた。
ロゼリア
グレッタ
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ノエル
作業をしていたノエルの手が止まった。
ロゼリア
ロゼリアは俯いた。
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
グレッタ
グレッタは何も言わなかった。
──しばしの沈黙。
ノエル
沈黙を破ったのはノエルだった。
ロゼリア
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエル
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
ロゼリア
悔しかった。
認めたくなかった。
でも、口にしたら、もう嘘にはできない。
ノエル
ノエルはロゼリアの足首から手を離し、顔を上げた。
ノエル
ノエル
ロゼリア
ノエル
ノエル
ノエル
#ミステリー