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39 - カラダの関係、お許し下さい![綾乃の実家編]Pt.4

♥

18

2021年08月15日

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翌朝 7時

綾乃

ぐがーっ、ぐがーっ(←ベッドの真ん中で大の字)

すぴー(@ ̄ρ ̄@)(←もちろんベッドの隅っこ)

ぷぅ〜〜ん…(←突然室内に漂う謎の匂い)

綾乃

…うぅ〜ん……

綾乃

……くさぁ…っ

…ゲシッ

んん…っ(←綾乃に背中蹴られた)

綾乃

ぐがーっ…ぐがーっ…

もわわわ〜ん…(←徐々に悪臭化する匂い)

綾乃

うぅん……っ

すぴー(@ ̄ρ ̄@)

綾乃

……くっさ!

ドカッ

…ドスン

………。(←もちろん蹴り落とされた)

綾乃

ぐがーっ…ぐがーっ!

……くっさ…

綾乃の母

ふんふふんふふ〜ん♪

鍋「グツグツグツ…」(←悪臭の元)

綾乃の父

なんだお前、珍しく朝早いじゃないか(←もはや匂いに慣れすぎて麻痺)

綾乃の母

あら、おはようございます♡お父さんっ♡

綾乃の母

今朝は葵くんも揃ってますから、張り切って朝ご飯の準備をしてるのよぉ♡

奈々

おはよー…やけに早いじゃん、お母さん…(←その娘も麻痺)

綾乃の母

あら奈々、もうすぐ朝ご飯ができるからもう少し待っててちょうだいねっ♡

奈々

はいはーい

奈々

あ、葵くんはまだ寝てるの?

綾乃の母

ええ、まだ2階の綾乃の部屋で寝てらっしゃると思うけど

奈々

そっかぁ…

奈々

お母さん…ちなみに、何作ってるの…?

綾乃の母

昨夜はお父さんも葵くんもちょっとお酒を飲みすぎて胃もたれしてるんじゃないかと思ってねー…

綾乃の母

胃に優しい煮物とスープにしてみたのよっ♡

綾乃の父

………

綾乃の母

昨日葵くんにレクチャーしてもらえたおかげで、なんだか料理に自信が持てたのよねぇっ♡

奈々

そ、そう……よかったね!お母さんっ…(苦笑)

ドタドタドタ…(←2階)

ドタドタドタドタ…!(←階段)

バァン!!(←ドア)

…な、何事ですか?!

綾乃の母

あらっ!おはよう葵くんっ!♡寝起きでもさすがはイケメンねぇっ♡

綾乃の父

なんだ貴様はっ…朝から騒がしい奴だなぁ!

奈々

おはよー葵くんっ♡

………?!

綾乃の母

どうしたの?そんなに血相変えて…

い、一体なんなんですか?!この匂いっ…!

ま、まるでスエた何かが焦げたような…甘ったるいような腐ったような…この世の物とは思えない匂いはっ…!!

綾乃の母

………え?

綾乃の父

………!!

奈々

あ、葵くん…!!

綾乃の母

もしかして…

綾乃の母

くっ……臭いの…?

……っ?!(←匂いをダイレクトに吸引)

奈々

だ、ダメッ…!言っちゃ───

くっっっっさ!!

パリーンッ!(←母が皿落とした)

綾乃の母

そんな……っ!!

綾乃の父

お、お前っ…!

奈々

お母さん…?!

綾乃の母

……ガクッ(←膝から崩れ落ちた)

綾乃の母

私っ……長年「メシマズ嫁」の烙印を押されながらも今まで家族のために必死で頑張ってきたのに…っ

綾乃の母

やっと…やっと葵くんのおかげで人並みに料理ができると思ったのに…!!

綾乃の母

やっぱり…私は!こんな臭い物しか作れない、「メシマズ嫁」でしかないのねっ?!

綾乃の母

そうなんでしょうっ?!葵くんっ…!!…ゥワァァァ…っ!!

………

奈々

あーあ…

綾乃

おっはよーっ!(←やっと起きてきた)

綾乃

なんか朝からお出汁のすっごくいい匂いがするけど…

綾乃

…何作ってるの?

………

朝ご飯…

「普通の」…朝ご飯……

綾乃

そ、そう…(目が…死んでる?)

綾乃

あれっ?なんか寒いと思ったら全部の窓全開じゃんっ!

綾乃

寒がりの葵が一体どうしたの…?

換気…してた…

綾乃

換気?ストーブも付けてないのに?

臭すぎて…

綾乃

な、何が…?

お義母さんの…料理が…

綾乃

………

今日の朝ご飯のメニュー……「野菜の煮物」と「フルーツスープ」だったんだって…

冷蔵庫の中…確認してみたんだ…

そしたら、買ってから3ヶ月ぐらい経ってそうな色の変わったカット生シイタケが残ってて…

どうやらそれをたくさん煮たらしい…

常識を超えた量の砂糖を入れて…真っ黒コゲになるまでグツグツ…煮込んだみたいなんだ…

鼻が…もげそうだった……

綾乃

そう…

…で、ビタミン不足を補うためにオレンジ、リンゴ、スイカ、バナナ、柿、栗を…

ひとつの鍋で塩胡椒で味付けして「フルーツスープ」にしたらしい…

物凄い……匂いだった…

綾乃

……ぶふっ!(←失笑)

わ、笑い事じゃねぇだろっ…

綾乃

だって…!!(笑)

綾乃

それで葵が代わりに朝ご飯作ってるの?(笑)

だ、だって…仕方ないじゃんっ////

お義母さんには泣きつかれちゃうし…

お義父さんは意地でも「台所に立たない男」だし、奈々ちゃんも娘である以上はメシマズを受け継いでそうで信用できないし…

姉のお前だって…っ

綾乃

私が……なに?(←キョトン顔)

いや……別に…

てゆうかさ…

お前も奈々ちゃんも、お義父さんもよくこれまで無事に生きてこれたよな…

俺だったら……たぶん死んでる…てか殺されてる…

綾乃

そ、そうかな…?(笑)

綾乃

まぁ、お母さんのおかげでかなり胃腸は強くなれたような気はするけどね!(笑)

……ま、俺もおかげさまで作り甲斐があるよ

綾乃

確かに普段は私と2人分だけだから、こんなにたくさん作ることもないもんね

いや…

人数っていうより……こうして家族のために何かをしてやれるっていうのが…今までなかったからかもしんない

綾乃

…家族?

…っていっても、血のつながりのある「俺の家族」じゃないんだけどさ(笑)

綾乃

葵…

奈々

何このだし巻きっ!信じられないぐらい美味しいんだけどぉー!!

奈々

鮭の塩焼きもほうれん草の胡麻和えもサイコーッ!!♡

綾乃の母

こ、これが「ワカメと豆腐のお味噌汁」だっていうのっ…?!

綾乃の母

私、生ワカメをそのままぶち込んでお味噌だっていつも適当に塊を投げ込んで混ぜてから沸騰させてるんだけど、こんな味になんてならないわっ…!!

綾乃の母

作り方がおかしいのかしら…?!

生ワカメは下茹でしないと臭くて無理…味噌は塊じゃなくてお玉か味噌こしで溶きながら混ぜる…そして味噌のアルコールが飛んで風味がなくなるから沸騰は厳禁…ブツブツ…(←もはや鬱の一歩手前)

綾乃の父

うっ……美味いっ!

綾乃の父

こんな朝飯は旅館に泊まった翌朝でしか口にしたことはないぞ…!!

(こんな、普通に生きてたら誰でも作れるような物ですらそこまで感動してくれるのか…)

(逆にちょっとおもしろくなってきちゃったかも…)

綾乃の母

あら、お父さんったら、ようやく葵くんの料理の腕を認めてくれたのねぇ?♡

綾乃の父

だっ…誰がだっ!!

綾乃の父

こ、こんな物…大したことはないっ!!

綾乃の母

お父さん、お味噌汁まだありますけど、おかわりはいかがで───

綾乃の父

もらおう!!(←即答)

綾乃

…よかったね、葵♡

……何が?

綾乃

だって、みんな葵のおかげでこんなに幸せそうなんだよ?

綾乃

みんなでこうして食卓を囲んで、美味しい朝ご飯を食べて…1日が始まる…

………

綾乃

私も、メシマズ家庭だとはいえ昔はここでこうして家族と一緒に過ごしてたんだもんね…

…寂しい?

綾乃

…ちょっとはね

綾乃

でも私には葵(※超メシウマそしてHウマ)がいるんだもん、これ以上の幸せなんてないわよ♡

……////

綾乃の母

葵くんっ!♡

綾乃の母が、葵の腕に抱きつく

わっ?!

綾乃の母

本当にありがとうっ!!こんなにも美味しいご飯をみんなのために作ってくれてっ!♡

綾乃の母

あなたみたいに優しくて素敵な人がうちの娘を選んでくれて…本当に私、母親としてこんなに幸せなことなんてないのよ…

お義母さん…

綾乃の母

だから…

綾乃の母

早くうちのマ○オさんになってね!♡

(やっぱりそうなるのか…)

奈々

あー!お母さんったらまた葵くんに抱きついてる!!

綾乃の父

こらっ!お前という奴は!歳を考えろ歳を!!

綾乃の母

いいじゃないですか、あなた!

綾乃の母

葵くんは私の、自慢の「息子」なんですからっ!

………

綾乃の父

……ふんっ!何が息子だっ…

綾乃

お父さん…っ

綾乃の父

こんな色気づいた顔でうちの娘をたらし込んでよくもまぁかっさらっていきよって…

綾乃

お父さんっ、まだそんなこと言って───

綾乃の父

だがなぁ!

綾乃の父

俺は、こんなにも愛情のこもった美味い飯を作れる男は知らん

綾乃の父

飯という物は、味や見た目だけではない…

綾乃の父

桐矢くん、キミの器の大きな人柄と優しさ…そして情の深さが俺は、一番「美味い」と感じたのだよ

お義父さん…!

綾乃の父

か、勘違いするんじゃないぞっ?!

綾乃の父

俺はまだ貴様のことを完全に認めたわけではない!

で、ですよね…(; ̄ェ ̄)

綾乃の父

…き、昨日話に聞いた…その、「和風モダン」とやらも今後の造園デザインの新しい要素として、ぜひとも詳しく話を聞かせてもらわない限りはなっ…

えっ…

いいんですか…?お義父さん…

綾乃の父

キミの言う通り、昭和で時代がストップしたままの俺が創る庭なぞ、正直「時代遅れ」だと感じてはいたんだ…

綾乃の父

俺が一筋でやってきた純和風庭園では当然、技術は買ってもらえるんだがな…現実はそれだけでは業績の伸び代だって、その名の通り「時代遅れ」なのさ

綾乃の父

だから…ぜひとも、桐矢くんの「現代のセンス」が欲しい

綾乃の父

酒の強さでこの俺を屈服させた、まさに「肝」と度胸の据わったキミの力が…な

…そういうことでしたら、全力でサポートさせていただきます…!

綾乃の父

そうか…ありがたいよ

綾乃

なーんだ、お父さんってば!

綾乃

ひょっとして…初めから葵のこと認めてたのに意地張ってただけなんじゃないのぉーっ?!♡

綾乃の父

なっ…!綾乃っ、お前って奴はっ…!

そうそう、父親にしかわからない心情なんだって!こういうのはっ!♡

綾乃

な、何よ葵まで調子いいこと言っちゃって…

綾乃の父

それと…桐矢くん

…はい?

綾乃の父

もし…またここに来た時には…その…っ

……?

綾乃の父

…いつでも、風呂で俺の背中を流してもかまわんぞっ…////

綾乃の父

これからも…ずっとな!

お義父さん…!

一瞬、過去に何度も見つめていた写真の「父」の顔が頭をよぎる

……はいっ!

どこか幼さの残る顔をクシャッとさせ、葵は笑った

綾乃

(よかった……私の実家で葵がこんなに笑ってくれて…)

綾乃

(ちょっと気にかかることはあるけど…)

綾乃

(…そのことは、葵が自分から話してくれるまで、もう少し待とう…)

…そして、数日後。

あっれ…どこ行ったんだろ

間違いなくアクセサリーケースにしまったはずなんだけどなぁー…

綾乃

………

綾乃

お探しの物って…

綾乃

…これのことかしらぁーっ?(ニヤニヤ)

部屋中を探し回る葵の後ろで、綾乃はホワイトゴールドのピアスをチラつかせた

…ああーっ!

な、なんで綾乃がそれ持ってんの?!

綾乃

…返して欲しい?♡

う、うん…っ

綾乃

ふっふーん♡

綾乃

返してほしくば……洗いざらい吐きなさいっ!(¬_¬)

あ、洗いざらいって…ぼ、僕…一体なんのことだか…っ!

綾乃

(何が「僕」だよっ…)

綾乃

…やっぱこのピアスもらったのって女なんでしょ(¬_¬)

だ、だから違うって!

綾乃

じゃあなんで言えないのよっ

綾乃

葵の方から話してくれるまで待ってたけど…全然話してくれないんだもんっ!

綾乃

隠し事なんてされたら…寂しいじゃないっ…

………

軽くため息をつくと、葵は綾乃の隣のソファーに座った

…まいっか、別に隠してたわけじゃないし

そのピアス……俺の父さんの物だったんだ

綾乃

葵の…お父さん…?

俺の親、俺が生まれる前に離婚したんだよ

綾乃

そ、そうだったの?

綾乃

知らなかった…

だから…父さんの顔なんて、写真でしか知らないんだ、俺

で、いろいろあって中学に上がってから父さんの荷物とか整理してたらさ、古い小箱が出てきて…

そこに、父さんが書いた俺宛ての手紙と一緒にそれが入ってたんだ

「まだ見ぬ我が子へ、父より愛を込めて」って…

綾乃

………

綾乃

そんな大切なピアス…だったんだね…

しばらくは引き出しの奥に仕舞ってたんだけどさ、大人になって耳に穴開けてピアスするようになった頃に…また手に取ってみたんだ

写真の中の、このピアスを付けた父さんにそっくりな顔した自分の耳に……つけてみたくなったから

綾乃

なるほど…ね…

綾乃

(葵にそっくりなお父さん……すっごく見てみたい…っ!////)

だから…もういいだろ?////

そろそろ返せよっ、それ…////

綾乃

………

綾乃

ねぇ、お母さんはどんな人なのっ?!

綾乃

どこで何してる人なのっ?!

……えぇ?

綾乃

だ、だって…コレ返しちゃったら絶対また秘密にする気なんでしょ?!

綾乃

だから、もっと情報くれるまで返してなんかやんないんだからっ!♪

……(¬_¬)

なぁ、お前ってさ……「ホシノヨウコ」って知ってる?

綾乃

ホシノヨウコ?

綾乃

知ってるも何も、世界的に有名なファッションデザイナーじゃない

綾乃

なんでいきなりホシノヨウコが出てくんのよ

……それ、俺の母親なんだよね

綾乃

………。

綾乃

…はいぃぃぃぃい?!

綾乃

ホシノヨウコって…

綾乃

日本だけじゃなくてパリでもいくつもギャラリーを持ってて、あのパリコレにも何度も参加してる、年商100億以上はあるっていう、あのホシノヨウコぉぉぉ?!!(←超早口)

そ、そう…その、ホシノヨウコ…(; ̄ェ ̄)

綾乃

うっ…嘘でしょお?!

綾乃

葵っ…今までそんなこと一言だって言わなかったじゃない…!

…別にまだ言う必要なかったから言わなかっただけだよっ…

綾乃

職場の人たちや今まで仕事で関わった人たちにも明かしたことないの?!

…うん

綾乃

葵だってデザイナーの道を歩んでるのに…あんなに有名な人の息子なら、いくらでも有利になれたかもしれないのに──

そういうの、好きじゃないんだよ

綾乃

えっ…?

俺も同じデザイナーだけど、「あの人」の仕事とは全然違う…

それに、生き方だって…っ

綾乃

………

だから、俺は「ホシノヨウコの息子」じゃなくて、あくまで「桐矢葵」として生きてる…

だからこうして、自分の好きな仕事を自分でしながら…

…チュ♡

綾乃

んんっ…?!

……好きな女と一緒にいて、キスだってできる♡

綾乃

……っ!////

不意打ちのキスに迫られて、綾乃の手に握られていたピアスがポロッと落ちた

綾乃

あ……っ!

…俺の勝ちっ♡

ピアスを拾い上げた葵がその耳たぶに通してニヤリと笑って…

ソファーの上で、綾乃の上になった

綾乃

ちょ、ちょっと…まだ話は終わってないでしょっ?!////

…だーめ

俺を揺すったつもりでここまで白状させちゃうような悪い子なんて…

このまま、ここで俺にヤラレちゃえばいい♡

綾乃

ばっ…バカッ!なんでそうなっちゃうのよぉぉ…っ!!////

♡♡♡

[葵の実家編]へ、つづく♡

カラダの関係は、お試し期間後に。

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18

コメント

10

ユーザー

めちゃくちゃドキドキしました😍!続き楽しみです!

ユーザー

\\\\\\\私まで恥ずかしいっ!

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