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翌朝の教室
まだ人もまばらで、窓から柔らかい光が差し込んでいる
私は席に着き、 鞄を開けた瞬間──
陽斗
花
不意に、頭の上から 声が降ってきた
顔を上げると、すぐそこに瀬戸が立っていた
私の身体は氷のように固まる
近い
陽斗
花
声が出ない……
陽斗
花
陽斗
距離を詰めながら、 覗き込むような視線
怖い
花
私の喉がぎゅっと 締め付けられて、息が浅くなる
私はギュッと目を瞑った瞬間
「瀬戸」
花
陽斗
低く、落ち着いた声が割り込んだ
蓮
陽斗
振り返ると、白崎君が教室に 入ってきたところだった
白崎君は私の様子を見ると、 すぐに察したように言った
蓮
陽斗
蓮
陽斗
花
瀬戸が教室を出ると、 白崎君は私の横に座る
蓮
花
蓮
蓮
花
蓮
蓮
蓮
花
蓮
蓮
花
陽斗
陽斗
陽斗
陽斗
その日は午前で授業は終了
俺はいつも通り彼女と 駅前を歩いていた
女子高生A
女子高生A
女子高生A
陽斗
陽斗
女子高生A
女子高生A
陽斗
陽斗
俺はふと視線を逸らすと
花が歩いていた
陽斗
陽斗
女子高生A
バス停
花
花
プシュウウウ……
「発車しまーす」
陽斗
花
陽斗
花
陽斗
陽斗
花
私は無言でイヤホンをつける
瀬戸君の帰り道はこっちじゃないのに、なんでバスに乗ってるのか
私にはわからなかった
男の人が、すぐ隣にいる。 それだけで胸の奥がざわつく
私は顔を伏せ、ぎゅっと鞄を抱え、窓の外を睨むように見つめた
ガラスに映る自分の顔は、 明らかに強張っている
陽斗
陽斗
陽斗
名前を呼ばれても、振り向けない
陽斗
瀬戸は少し身を乗り出し、 いつもの調子で囁く
陽斗
冗談めかした声、 色目を含んだ視線
──それでも
私は、動かない。 窓の外だけを見続ける
瀬戸君には申し訳ないけど、 身体が拒否反応を起こしていた
陽斗
陽斗
私はふと視線を逸らすと
瀬戸君は私に向かって 色目を使っているのを 窓越しの反射で見た
私は寒気がしてすぐに目を逸らす
陽斗
その時
バスが止まり、瀬戸君は 世間話をしながら 乗ってくるおばあちゃん達に 目が入った
女性A
女性B
陽斗
瀬戸君はおばあちゃん達に 色目を使う
女性A
女性B
女性たちは一瞬で頬を赤らめた
陽斗
瀬戸君は笑いながら 相槌を打ちつつ、 横目で私を見た
私は相変わらず窓の外
陽斗
ガチャ
母
母
母
陽斗
母
陽斗
母
母
俺は部屋の鍵を閉め、机に向かう
陽斗
陽斗
(なぜ効かない!?)
陽斗
陽斗
陽斗
色目を使えば、 だいたいの女は落ちる
笑えば距離は一気に縮まり、 その日から女はハエのように しつこくひっついてきた
それが、俺にとって“普通”だった
なのに!!
今回ばかりは違う
助けても、 話しかけても、 距離を詰めても──
逃げる
俺がどんなに呼びかけても、 振り向かなかった
最初はただ恥ずかしがってるだけだと思ってたけど
花は明らかに……
俺を避けている!!
その事実に気づいた瞬間、 胸の奥が、かすかにざわついた
いつもの俺なら
……面倒くせぇと 事を締める
だが、今日は違う
俺は自然と口元が緩む
色目が効かない、 笑顔が通じない、 触れれば、反射的に離れる
今まで、そんな反応をする 女はいなかった
「例外」
その言葉が、ふと俺の脳裏を よぎった
ベッドの上で、 仰向けになりながら 腕を目に当てる
怖がられてるのに、 嫌われてる感じじゃねぇ
陽斗
「面白ぇ女」
俺は可笑しくなって、 小さく笑った
落とせない相手 近づくほど遠ざかる存在
陽斗
そして俺はまた、 彼女の表情を思い出す
窓の反射で見えた、あの 虫でも見るかのような彼女の表情
思い出すだけで 俺は表情が緩みニヤけてしまう
──花はどこか
今までの誰とも違う
陽斗
天井に向かって呟き、 俺はゆっくり目を閉じた