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マドンナ

アッシャー様ぁ、さっきの人、殺してくれたんですかぁ!?♡

アッシャー

ああ。君が苦しむのはたまらないが、まあつまらない男は殺してやる

アッシャー

やっとお前を正室に迎えられるのが嬉しいよ。

アッシャー

私はできればアメリアのことも一目見てみたいのだが

マドンナ

アメリア…ああ

マドンナ

でもあの女はもう良いのですか?正室にするはずだったんじゃ?

アッシャー

ああ…ライアンを産んだ女か。アレはもう潮時だろう、拷問の後処罰する

アッシャー

だってせっかく私の正妻として呼んだのに、結局はなじみの男との愛を捨てきれず子まで産んだ!

アッシャー

もう必要ない。側女としてもいらん。まあ、当分の玩具にはなるが…まずはその男を殺す

アッシャー

ん、悪いけど今日はここまで。

マドンナ

ええ。まだ仕方ないことですから

アッシャー

いい子だ。じゃあまた

アッシャー

愛してる。ずっとそのまま美しくいてくれ

マドンナ

ええ。私こそ愛してるわ

そして、アッシャーは踵を返す。

そのまま振り向くことなく、宮殿の方へ戻っていく。

マドンナの方はというと、彼女もまた堂々とした素振りで歩いていく。

エレン

…申し訳ありません、主様。

エレン

私は世界のことより前に、アメリアのことを守りたいだけなのです。

ボソリと呟く

そして、夜の闇に響いたのは、大きな銃声。

エレンはその場から立ち去り、その後アメリアの父・メイデンも手にかけた

アッシャー

のこのこここにやってくるとは…有り得ん。

アッシャー

今すぐ八つ裂きにしてやる!

エレン

ええ…構いません

エレン

黙ってやられはしませんが───ね。

エレンはそして、攻撃を始めた。このとき──彼女は既に、毒を体に含んでいる。

当然アッシャーも剣を構え、攻め始める

エレン

(あの子は決して死なない)

エレン

(…あの子には才能がある。強くて、誰にも負けない。)

彼女は芯をぶらすことなく、何度も銃発を続ける

エレン

(私は…殺し屋という職を超過して、私情に用いてしまった)

エレン

(それでも後悔はない。それが…あの子の、アメリアのためだから。)

エレン

(確かに、あの幼い子を守ったのだから。)

そして次の一瞬、瞬きの間である

ヒュン、と音がしたときには──自身には長い剣が突き刺さっていた。

たった一瞬のこと

エレンには、その剣先はほとんど見えなかった。

だからこそ、安心したのだ。

エレン

(ああ、よかった。あの子がこの剣に追い回されることがなくて。)

パァン!

横から、銃弾が飛んでくる

死の間際──視界の隅に映ったのは、緑の装飾をした、黒い男。

エレン

(viper。…彼らについては調べてた。正義のフリした粗悪な組織。)

実を言うと、エレンは自身の飲料に混ぜられていた毒の存在に気がついていた。

それでもそれを呑み、さらにアッシャーの前に現れたのは───

エレン

(あの子を巻き込んで死ぬことになるくらいなら)

エレン

(今、大人しく死ぬ。)

他ならぬアメリアのためだった。

エレン

(きっと彼はアメリアのことなんて覚えてもいないわ)

エレン

(そしてアメリア様も…私の遺書を見て、矛先は王家でなくなる)

エレン

(それでいてviperを探してくれれば…死のうと思う暇もないでしょう?)

エレン

(あれは悪い組織だし滅ぼしてくれればいいけど…ダメでもいいわ、見つからなければあの子は一生死ねないもの。)

エレン

(だから…これで終わらせるの)

エレン

(アメリア様と王家が対立するとしてもそれは…私のせいであってはならないわ)

エレン

(私よりも殺しの上達が早くて、そのくせ不器用で)

エレン

(寂しがることもできないのに寂しいと思ってしまう子ども)

エレン

(…かわいそうで、かわいい、私のご主人様…。)

身の丈に合わない願いを抱えてしまった、エレンはそう思った。

殺しをする人間が、死を恨んではいけない。

そんな言葉まで使って、たった一人の少女に、死を感じず生きていてほしいと願ってしまった、そういう

そういう…分不相応な愛の末路がこれだった。

エレン

どうか…あなただけは、幸せに───。

アメリア

…さて、と……。

アメリアは踏ん張り、立ち上がった。

メラ

!アメリア様!座っていてください!

アメリア

大丈夫だ

アメリア

それより…ライアン

ライアン

アメリア

まだ戦う気はあるか?それとも…ただ死ぬだけか?

ライアンは無言で剣を構えた

しかし、その手は、剣を放った

ステイシー

っ!王子───

ライアン

…はは

ライアン

もう無理だ。

ライアン

こんな傷だらけの体で…6人も倒せるわけがない

アメリア

…じゃあ、聞かせろ

アメリア

お前の途中の…あの発言はなんだ?

アメリア

まるで、アッシャーに協力しているのが不本意なような

アメリア

そして…迷い始めた剣先

アメリア

あれは、なんだったんだ。

ライアン

ライアン

…もういい

ライアン

殺せ

アメリア

言わなきゃ殺さない

アメリア

それにやはり私は…関わっていたあのお前らの

アメリア

全てが嘘だったとは、到底思えない

アメリア

お前が心の底から嫌なやつだとは…今もまだ、思えないんだ。

ライアン

ライアン

…ふっ

ライアン

ひどい女だ、まったく。

ライアン

プライドというものが分からんのか?

ライアン

敗けた男に多くを語らせるのは失礼だろう

ライアン

…そう、恥だ。だから…多くは、語らん。

ライアン

それでも────

ライアンはそこまで言うと、力の入る方の足で、ボロボロの体を支えて立ち上がる。

そしてアメリアの方へ少しだけ進み、微笑んだ。

それは悔しそうで、しかし希望を抱き、慈しみさえ思わせるような───。

ライアン

俺も今のお前と同じだ

ライアン

ずっと…ずっと王が、アッシャーが"嫌い"だった

ライアン

最悪の環境に放られ、最悪の男に育てられ

ライアン

…いや、それも、外を知るまではふつうだと思っていたのだが…

ライアン

俺は俺のような気持ちをした人間を、救いたかった

ライアン

…。訳が、分からんだろ

ライアン

アメリアに殺しを依頼したのは王の命令だ

ライアン

言いなりに、なった

ライアン

…そうすれば王座を譲ると言ったから。

アメリア

ライアン

…俺にはその権利がなかったんだ。

ライアン

だがまあ…そんな方法は甘えだったんだな

ライアン

俺もお前らみたいに真っ向から────いや、もう、考えたって遅い。

ライアン

ステイシー。

ステイシー

…?はい

不思議そうな顔をしたステイシーに、王子はハッキリと言った。

ライアン

契約は"無効"だ。自由に生きろ。

銃口の先のエンディング

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コメント

4

ユーザー

エレンさんの想い……それはアメリアさんへの愛が込められていたんだな、って改めて実感した……🥲🥲 ライアン王子も完全に悪い人間じゃないと信じていたからこそアメリアさんはライアン王子を殺 さ な いようにしていたのかな……?言われてみれば、寝床を用意してくれたり、文字が読めないアメリアさんの手助けをしたり……もしアッシャー王に育てられなければ優しい人間になってたのかもしれないね💭

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