気がつけば、こんな仄暗い場所にいた
というのも、実は情けない話
大陸の者に捕まってしまい
こんな状態である
拷問にでもかけられるのか
そんなことを考え
風魔
なんて柄にもなく声に出る弱音
…このまま、ここで死ぬのかな
……そもそも、大陸の者に捕まるなんて最低だ
……裏切られたのだ、愛する民に
……なんだか、思考を回せば回すほど
嫌な現実に気づいて嫌になる
もうこのままいっそ…
なんて思っていたら、部屋に入ってくる大陸の人
見覚えのある、顔だった
まぁ、そこからは予想通り
拷問まがいなものをされた
まぁ、痛いのなんのって
ただ、不思議と何も考えられなくて
都合がいいな、なんて思っていたら
桃香
辺り一面に、薔薇が咲いた
次の瞬間、大陸の者はそそくさと帰って行った
……どうしてここに、2代目様が?
と言うか、他の人が居ない
2代目様、1人で?
こんな、危険な場所に??
というか、どうして俺なんかを助けに…?
桃香
風魔
風魔
風魔
桃香
風魔
風魔
風魔
風魔
……まずい、やらかした
言いすぎた
つい当たってしまった
終わった、終わったんだ俺
すぐに謝ろうとすると、2代目様の言葉に遮られた
桃香
桃香
冷たい、けど炎のような視線で俺を見つめる2代目様
確実に怒ってる、ということしか分からない
終わったんだ……本当に……
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
桃香
桃香
桃香
あ、本当に終わったんだ
と、全てを諦めた
2代目様、こんな表情出来たのか
なんて訳の分からない思考が回った
……もう、諦めて全部言ってしまおうか
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
風魔
……ただ、黙って聞いている2代目様
何を、考えているのだろう?
ただ、黙って聞くことしか出来なかった
それは、かつての少女によく似ていた
かつて、私も同じだったから
あの時も、きっと私は似ていた
死んだような、なんで生きてるのか分からない表情と雰囲気
私は、ある人に助けられたから
桃香
桃香
桃香
長い沈黙のあと、2代目様は口を開いた
桃香
やっぱり人の心なんて迷惑じゃないか
予想通りの言葉に、絶望する
どうせこのまま置いていかれるんだろ
そんなことを思っていたら
目の前まで来て、目線を合わせる2代目様
……なにがしたいんだ?
桃香
風魔
尊厳とか、もうどうでもいい
なんて言った?この人
なんか笑ってるし……
桃香
桃香
風魔
桃香
桃香
いきなり褒められてなんか不気味だ
今まで誰も見てくれなかった、風魔そのものを見てくれたことが
なにか、くすぐったい
なんで、この人は気がついたのだろう
自分の、努力に
桃香
桃香
桃香
桃香
桃香
風魔
風魔
桃香
桃香
桃香
桃香
桃香
桃香
風魔
桃香
今更でごめんね?と言ってから
俺の傷を治していく2代目様
それが、ただ、綺麗で
思わず、見蕩れた
そもそもの話、術なんて綺麗じゃなくてもいいのだ
それを綺麗に見せようと、ただひたすらに努力するのだ
つまり、これほど綺麗に見えるまで
風魔
風魔
風魔
勝手に四人神様は
俺とは違い本物の才能を持っていて
努力を知らない人だと思っていたけど
そんなことなんて、無かったんだ
全ての常識が、ぶち壊れた感覚がした
桃香
そう言って、こっちを見て笑った2代目様に
全ての努力が、認められた気がした
今まで影で行っていた、全ての努力
それが、認められた気がして
こんなに綺麗な術を使える人が
他の誰でもない、自分を欲してくれている
その真実が、何よりも嬉しくて
勝手に、救われてた
なんて、自分勝手だ
でも、ただ本当に
心の底が、軽くなった感覚がした
コメント
4件
確かに大陸の民に捕まっていたところ沙羅の巫女が一人で自分を助けに来た、なんて驚くと同時に何で危険な場所に一人で来たのか!?と聞きたくなるよね……💦 逆に桃香さんの風魔さんからいろいろ言われても凛とした姿で話を聞いて最後は「一緒にいて楽しい」と伝えるところが桃香さんらしいな、って思った😌💭 「風の神の使い」というではなく「風魔」という人間して見てくれた桃香さんに心を救われて