あの日、あの時、あの瞬間
俺は、2代目様に落ちた
勝手に、救われたような
そんな、感覚がして
ただ、見つめてくれる感じが
道端に咲く、花に見えた
美しく、凛々しく、ただひたすらに人を魅了する花
無理強いなんて、してくれないであろう
そんな、2代目様に
心の底から、救われて
落ちた
この時
この時だけは
2代目様が、本物の神様に見えたんだ
…いや
少なくとも、あの瞬間だけは
風魔
自分だけを見つめてくれる、神様だった
風魔
風魔
風魔
……狂ってる?
当時の風魔にとって
これは、当然の思考だったのだ
目の前の神様に
全てを、捧げてしまいたくなった
それくらい、救われたのだ
風魔
初代様は、ずっと初代様と呼んでいた
そして、その延長線で2代目様と呼んでいただけだった
それすら、今となっては必要ない
この方は、沙羅の巫女だ
最大限の敬意を持って、巫女様とお呼びするべきだ
桃香
風魔
風魔
心の底からの感謝だった
言葉にしないと、溢れ出そうだった
それくらい、風魔は幸せに満ちていた
桃香
桃香
そう言って、笑う巫女様に
俺は、確実に救われていた
そして、その数日後
沙羅家初代巫女様が、亡くなられた
その後、流れるように巫女様が正式に2代目巫女となり
神の使いも、その全てが2代目へと変わった
……なお、初代様が亡くなられてから
初代様に仕えた神の使いも後を追うように亡くなっていた
故に
大陸の主も、同時に全てが引き継がれた
その後は、ただひたすらに忙しい日々が続いた
巫女様の小さい身体に、重いものだけが乗ってくる
……何も出来ない、自分が嫌だった
それ以上に
神の使い全員も、疲れ果てていて
……本当に、ただ苦しかった
そんなある日
大地の大陸の視察が終わり
帰ろうと歩いていると
案の定、とでも言うべきか
巫女様は倒れそうになった
風魔
なんて思ったのも束の間
支えようと前に出た瞬間
辺り一面に、花々が咲き誇った
巫女様の、自然の神の使いの力が暴発したのだ
瞬時に悟るが、理解は出来ない
ただ、綺麗で
一瞬見とれて
巫女様は、そのまま倒れてしまう
一瞬でこんなに沢山の花を咲かせられる能力に
改めて、人間の力では無いと思った
そして、巫女様に視線を落とした瞬間
俺は多分、この世界を疑った
目の前で、ただ苦しそうな巫女様
風魔
風魔
風魔
風魔
この現象を
気持ち悪いと思って、嫌いになれるならなった方が楽だった
そうじゃないと、この人は一生仲間の為に頑張る
でも
もう、嫌いになんて、なれなかった
なれる訳が、無かった
自分を救ってくれた人だ
嫌いになんてなれる訳ない
きっと、どれだけ酷い罵詈雑言を浴びせられたとしても
心の底では、貴女様を信じてしまっているから
きっと一生、嫌いになれない
……でも、こんなに巫女様を苦しめているのは自分だ
それを分かっていても、無理だ
嫌いになれない
今でも、この花の綺麗さに魅せられてる
風魔
風魔
この時、ただ自分が
堪らなく、惨めに見えた
その後は、皆が自分の大陸に戻り
巫女様の負担を少しでも減らそうと尽力した
故に、神の使いは全員1度、バラバラになった
その後はまぁ……言わずもがなである
20歳を超え、神の使いの力が存分に使えるようになった時
巫女様は、神の使いを集めた
全ては、サラナ討伐の為に
数年ぶりに会う巫女様は、変わらずお綺麗だった
隣にいる未門様も、幼げではあるが
凛とした表情が変わらず
そして、何よりも仲間を信じている所が変わってなくて
なんだか、安心した
神の使いを集めるのも終わりに近づいた時
未門様と沙樹様が敵に操られ、襲撃してくる事件があった
その後、未門様が目覚めるまでの間
俺は個別で巫女様に呼ばれていた
風魔
風魔
桃香
桃香
風魔
風魔
桃香
桃香
桃香
風魔
風魔
桃香
桃香
桃香
風魔
薄々、感じていた事ではあった
なんとなく、そんな気がした
多分、未門様も感じていた
「負けそう」、という感覚
桃香
風魔
クルト
神の使い集めの途中で巫女様が拾った吸血姫だ
……正直、最初は本当に嫌いだったけど
巫女様にとって可愛げのあるペットのような感覚だったのだろうなと思い
仕方なく、本当に仕方なく
受け入れることにしたのだ
……なんとなく、不気味な感じは今でも苦手だけど
桃香
桃香
風魔
風魔
ただの、我儘だ
巫女様に、生きて欲しいだけ
桃香
桃香
桃香
桃香
桃香
……多分、本心だ
…なら、それを叶えてやらなくて
風魔
風魔
風魔
風魔
桃香
桃香
風魔
風魔
風魔
桃香
風魔
桃香
桃香
桃香
風魔
風魔
桃香
風魔
むしろ、巫女様から貰えるものなら
それは、ただの祝福だ
桃香
風魔
風魔
桃香
風魔
そう言って、2人でクスッと笑う
風魔
そう言って、跪く
この身を、巫女様の命令に使えるのなら
それは、無意味から有意義に変化する
俺を見てくれたのは、巫女様だった
俺の、神様
桃香
桃香
そう言って、巫女様はぼそっと何かを言った
次の瞬間、体が少し軽くなったような気がした
……が、たぶん気のせいだ
桃香
風魔
桃香
風魔
風魔
それもまた、魅力的だと思った
が、巫女様は不服だったらしく
桃香
と、一言申されてから皆の所へ一緒に戻った
巫女様の勘が、今まで外れたことは無かった
故に、今回も信じていた
多分、負けるんだって
そして、それは予想通りに
俺達神の使いは、たった数時間で
俺とクルトを除き、全滅した
コメント
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ここから風魔さんは桃香さんを「巫女様」と呼び、彼女に従うと心に決めたんだね✨✨ そしてサラナ討伐の直前、不老不死の呪いをかけてもらう時の風魔さんと桃香さんとの会話が見れて嬉しい!!!呪いをかけられることに屈せず、全てを受け入れている風魔さんを見ると本当に桃香さんへの忠誠心が強いんだな、って思った!!……だからこそ皆が殺 さ れ てしまった時の風魔さんの気持ちを考えると凄く辛い……😭😭