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comi
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#恋愛
ばたっちゅ
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チタコロ
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ガタゴトと規則正しい振動を続ける車内
エマは、特製の低い机に向かい、足の指で木炭を握って必死に直線を引く練習をしていた
しかし、まだ思うように足が動かず、木炭が床へ転がってしまう
エマ
エマ
両肩の虚しい袖を震わせ、エマが焦燥感に駆られていた、その時
背後の衣装箱の影から、ガサゴト、と不審な音が響いた
エマ
恐る恐る覗き込むと、そこにはボロボロのキャスケット帽を被っている少年が、小さくなって身を潜めていた
彼はスラムの劣悪なスリ集団から命がけで逃げ出し 、三日前からこの列車に勝手に忍び込んで居座っていたのだ
よく見ると、彼の手足の指は、中央で深く裂け、まるでハサミのような形状になっていた
少年は二本指の手で素早く小さなナイフを構え、野良犬のように鋭い目でエマを睨みつける
ロバート
ロバート
エマ
少年はビクッと身体を強張らせ、二本指の手を後ろに隠す
ロバート
ロバート
飢えと恐怖でガタガタと震えながら、精一杯の虚勢を張る少年
ロバート
その「道具として搾取されて捨てられた」という言葉は、エマにとって、実の母親に「邪魔な化け物」と罵られて路上に捨てられた自分自身の痛みに、あまりにも深く共鳴した
エマは微笑んだ
怯えることも、彼の二本指を奇異の目で見ることもなく、自分の右足をすっとしなやかに伸ばした
足の指で、特製の低い机の上にあった、ジーナが作ってくれた大盛りの温かいスープの皿を、驚くほど器用に、優しく挟み持って少年の前に差し出したのだ
エマ
エマ
ロバート
エマ
エマ
エマ
エマ
少年は呆然とエマを見つめ、差し出されたスープの温かい湯気に、じわリと目元を濡らした
彼はナイフを落とし、二本指の手で貪るようにスープを啜り始めた
エマ
ロバート
エマ
エマ
ロバート
エマ
エマがしれっと、ロバートのことをあだ名で呼ぶと、ロバートは口元を緩めた
興行が始まり、テント内が完全な静寂に包まれる
ロバートはエマの隣に座り、楽屋テントの薄暗い隙間から、観客の歓声が響く本番のステージを、まだ警戒を解ききれない目で盗み見ていた
ロバート
その時、一筋の強烈なスポットライトが、遥か天井___地上数十メートルの空中ブランコの台座を照らし出した
そこにいたのは、上半身を美しく鍛え上げた金髪の美青年、サイラス
彼には、腰から下…下半身が完全にない
観客
観客
客席からは下劣な囁きが漏れる
ロバートは腹が立ち、わざとらしく舌打ちをした
すぐそこにいる観客と、スラム街で自分を指差して、笑った大人たちを重ねていた
ロバート
サイラスは、観客の嘲笑をすべて置き去りにするように、眩しいほど爽やかな笑顔を浮かべていた
そして、次の瞬間
サイラスは強靭な両腕だけでロープを掴むと、命綱なしで、暗闇の空中へと真っ直ぐに跳躍した
ステージからは風を切るような凄まじい音が聞こえた
下半身がないからこその圧倒的な軽さと躍動感 サイラスは重力から完全に解放されたかのように、空中を縦横無尽に、鳥のように軽やかに舞った
その姿には、見世物としての哀れみもグロテスクさもなかった
腕先だけで極限の空中を完璧に支配する、圧倒的な「男の強さと美しさ」だけがそこにあった
客席の下劣な囁きは、一瞬にして消え失せ、地鳴りのような拍手へと変わった
ロバートは開いた口が塞がらず、完全に固まっていた
自分の身体の底から「格好いい男になりたい」というプロの、表現者の熱い血が滾るのを、彼は生まれて初めて感じていた
興行が終わり、サイラスが汗を拭きながら楽屋に戻ってきたとき、ロバートはたまらず、物陰から飛び出していた
ロバート
サイラス
サイラスはいつも通りの爽やかな笑顔で、ロバートの目線に合わせた
ロバートは顔を真っ赤にし、二本指の手でサイラスの服の裾をぎゅっと掴んで、叫ぶように言った
ロバート
ロバート
ロバート
サイラスは一瞬、驚いたように目を丸くした
サイラスの目が、これまでの一座の誰に見せたものよりも、優しく、温かく細められた
彼は強靭な右手を伸ばすと、ロバートのキャスケット帽の上から、彼の頭をくしゃくしゃと力強く撫で回した
サイラス
サイラス
サイラス
ロバート
舞台袖の暗闇で、その様子をエマが嬉しそうに見つめていた
エマは、ロバートが「居座る」から「自分の意志で一座の弟になる」瞬間を見て、自分の足の指をぎゅっと握りしめる
コメント
1件
わあ、第4話もすごく良かったです…。足でスープを差し出すエマの優しさがまぶしくて、一緒に温かい気持ちになりました。ロバートがエマやサイラスに触れて、初めて「ここなら居てもいいんだ」と心を開く瞬間が丁寧に描かれていて、じんときましたね。サイラスの空中芸も「欠損」ではなく「強さ」として描かれているのが素敵で、一座のテーマが響いてきます。次が気になります!