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テラーノベル(Teller Novel)

翌日

久留間悟

じっちゃんから捜査許可もらったよー

渋谷大

マジかよ

渋谷大

やるなお前

久留間悟

当然です

久留間悟

昨日の解散後、死ぬ気でそっちの資料当たったんだよね

久留間悟

今やってる案件と関連性があるなら、放置は得策じゃないし

久留間悟

まぁ決定打じゃないから、ちょっと渋い顔はされたけど

久留間悟

逆にじっちゃんの燃えスイッチ入ったから、だいじょぶ

久留間悟

それにお前、昨日の時点で目の色違ったじゃん

久留間悟

お前の嗅覚は信じてるからねー

久留間悟

渋の字が怪しいと思うなら、俺は後押しするだけですよ

渋谷大

なにお前急に

渋谷大

やめて恥ずかしい

渋谷大

助かるけど恥ずかしい

久留間悟

はっはっはっ、もっと恥ずかしがれ

久留間悟

羞恥死しろ

渋谷大

しねぇよ

渋谷大

お前のそういうところはイラッとくるわ

久留間悟

まぁそう言わず

久留間悟

そっちは? 問題ない?

渋谷大

ないな

渋谷大

ヤマちゃんに出してもらった捜査許可状の威力は凄いぞ

渋谷大

これ見せて、不審落下事件で次にこの学校の生徒が狙われるかもって話しただけで

渋谷大

有名女子校に私服で入れた

渋谷大

犯人に警察だとバレないように変装してると思ってもらえたらしい

渋谷大

手汗がやばい

久留間悟

wwwww

久留間悟

お巡りさんコイツですwwwww

渋谷大

やめて

久留間悟

wwwwwwwww

久留間悟

でも、分からなくはないよなー

久留間悟

そこの学校の場合、前例もあるもんだから

久留間悟

捜査令状なんて出されたら、どんな見た目の人間でも受け入れるでしょ

渋谷大

突然のディス

久留間悟

ホワイトブリーチの長髪で、私服の趣味はメンズナックルの男がなにを今更

久留間悟

俺はじっちゃん指示下で他の調査も進めるけど

久留間悟

通話はいつでも受けられるようにしてあるから

久留間悟

なんかあったら連絡ヨロ

渋谷大

あいよ

スマートフォンを押し込み、耳掛け式のワイヤレスヘッドセットを装着する。

渋谷は、昨夜出会った友理奈の通う学校を訪れていた。

全体を見渡せる屋上で、渋谷の目は霊の気配だけを追う。

脳裏に友理奈の言葉がよぎる。

崎本友理奈

(私と彼女たち、今年の一学期は、確かによく話していました)

崎本友理奈

(友達がいなかったから、私も嬉しくて)

崎本友理奈

(だけど私、途中からついていけなくなったんです)

崎本友理奈

(元々、自分達に超能力があるって設定で盛り上がる事が多かったんですけど)

崎本友理奈

(ある日リナが、――グループの中心にいた子が)

崎本友理奈

(実は自分は天使なんだって言い始めたんです)

崎本友理奈

(グループ全員がそうだって)

崎本友理奈

(自分はみんなに、天使だった頃の記憶と能力を取り戻させるためにここに来た)

崎本友理奈

(だからみんなで天使に戻ろうって)

崎本友理奈

(……さすがに、もうバカバカしすぎるなって思って)

崎本友理奈

(私はグループを抜けました)

崎本友理奈

(その二週間後です)

崎本友理奈

みんなは、学校の屋上から集団自殺しました

やけにはっきりと蘇った一言に、眉根を寄せる。

先ほど久留間がメッセージで言っていた前例。

それがあの霊の集団だった。

渋谷大

自分らの意思で自殺したんなら、それで満足してりゃあいいのに

渋谷大

それから友理奈ちゃんのストーカー

渋谷大

お前も天使になれって、しつこい勧誘が続いてる

それは、現在も継続中らしい。

霊の動きは一貫している。

定期的に数体がどこかへ飛び去るものの、基本的には集団で行動し続けていた。

やはり友理奈に憑き纏っているらしい。

渋谷大

ただ、怪しいのがもう一点……

崎本友理奈

(彼女たち、私を天使に誘うとき、いつも言うんです)

霊1

(――ねぇ友理奈、いいじゃん、友達でしょ)

霊3

(――私ら、他にも天使かもしれない人を誘ったりしたんだけどね)

霊2

(――やっぱどの人も違ったから)

霊4

(――友理奈しか、ダメなんだよ)

話に聞く限り、媚びた話し方がまた渋谷の癪に障った。

渋谷大

他の人間を天使に誘ったってのが、どうにも臭い

渋谷大

けど腑に落ちない部分もある

渋谷大

昨日もそうだが、あいつら自分の意思じゃ相手に触れないらしい

渋谷大

じゃなけりゃ友理奈ちゃん、とっくの昔に投げ落とされてるはずだ

渋谷大

奴らが一連の犯人だとすんなら、どうやって被害者を持ち上げた?

渋谷大

それだけがまだ見えねぇ……

渋谷大

…………

渋谷大

あぁああああ、もう!!

渋谷大

考えるの苦手だっつーのに!!

渋谷大

ん? 悟?

視れば、ポンポンと軽快にメッセージが続く。

久留間悟

新情報入手

久留間悟

彼女たちが生前使用してたSNSアカウントの特定に成功

久留間悟

全員が高頻度で呟いてるワード発見

久留間悟

【空を飛びたい】

久留間悟

ヒントになるかも

それだけを表示し、通知は終わる。

渋谷大

……空を飛びたい、か

思わず空を仰ぐ。

秋空は突き抜けるほど高く、澄んでいた。

渋谷大

そりゃ今の時期なら、飛びたくもなるけど……

渋谷大

――ッ!?

視界の端を横切った違和感に、思わず階下に身を乗り出す。

飛び去っていた霊数体。

それが戻ってくると同時に、今度は全員が友理奈を離れてどこかへ向かい始めた。

目を爛々と輝かせて。

渋谷大

おうおう、危険な匂いしかしませんなぁ!

渋谷大

リブラ、悟に電話!

久留間悟

通話終了

通話
00:41

久留間悟

はいはい

渋谷大

動いた! 追う!

渋谷大

GPSで追跡頼んだ!!

久留間悟

はいよ了解

久留間悟

ってか渋の字、今屋上じゃなかった!?

久留間悟

見失わない!?

渋谷大

んなもん、直線で追えばいいんだろうが!

渋谷大

楽勝!!

言うが早いか、迷いもなく隣接している部室棟へ飛び降りる。

そのまま、衝撃もしびれも気にせず追跡にかかった。

その速度をGPSで確認し、久留間に苦笑が浮かぶ。

久留間悟

……ゴリラかよ

久留間悟

じっちゃん、あっち動いた

本田芙蓉

ほうか

本田芙蓉

さぁ、渋やんの嗅覚、今回はどう出るかの

本田芙蓉

解決なるか、別件が来るか

久留間悟

俺は解決に有給3日賭けてもいいね

久留間悟

あ、今のセリフ、あいつには内緒でよろしく

ふざけた調子で茶化しつつ、その目はGPSの先を読む。

渋谷が向かう先。

その延長線上には、ビジネス街が広がっていた。

カタヅケ屋霊異記【完結】

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