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貴方の40cm隣に #テラコン

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2018年10月07日

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左足

走るのが好きだ。中学校の頃は陸上部で、短距離走が好きだった。

右足

走るのは好き。あの頃はスパイクで地面を駆ける感覚が好きで、早朝から自主練をしてたっけ。

ユウスケ

でもまぁ、最近は走ってないなぁ。大人になると全力で走る機会は少なくなるよね。健康のためのランニングなんかは、たまにしてるけど。

左足

走ることと走り続けることは違う。生きることと生き続けるが違うように。僕は知らず知らずのうちに、一緒にいる右足に惹かれていた。左右で一生同じ靴を履きたいと思うようになった。

右足

なにそれ。いつもの厨二病?靴はペアで一足だよ。よくわかんない。

ユウスケ

子供の頃から病弱で、友達も少なかった俺は、自分の身体がそれぞれ意思を持っていたらと、空想してよく遊んだ。大人になった今でも、ジョギングしてるときなんかにはよく、身体同士の会話を妄想するのだ。

右足

歩いてると、ふと君のことが気になることがある。一定な距離の君。これは気のせいかな?

左足

君との会話は楽しい。波長が合うって言うのかな、歩調が合うって言うのかな?一緒にいつまでも歩みたいなって思うんだ。

右足

歩調が合うって、君は言葉遊びが本当に好きだね。それ、さして上手く言えてないから。

ユウスケ

マラソンを走ろうかと思って去年は結構走った。はじめは走り方がわからなくて、元陸上部の友達に聞いたりしたっけ。まぁ、練習はとにかく走っておけみたいな雑な返答だったけど。

右足

マラソンとか、もはや走る気力出ないなぁ。

左足

けど、君と一緒に走るなら、良いかなとも思う。だから、仕事から帰るのが遅くても、一人でよく走ってたよ。

ユウスケ

新しい靴を履くのも好きだ。買ったばかりのランニングシューズを履いて走るだけでワクワクする。いつもより、遠くまで走りたくなる。

右足

好きなメーカーはあるのかな?

左足

そういや、中学の時に好きだった女子が、ニューバランス履いててさ、それで30過ぎた今でもニューバランス好きだわ。

右足

それ、なんかストーカーみたいで少し怖いかも(笑)まぁ、履き慣れてるってのも有るのかもね。

ユウスケ

そういえば、こないだから年末年始で飲んだり食べたりし過ぎて3キロ太ったのだけど、久々に走ったら走ってて脚に凄く負担だった。

左足

無理すると膝壊すし、気を付けないとね。

右足

靴はちゃんとしたクッションのあるやつにした方が良いよー。膝への負担が全然違うらしい。

左足

らしいって。経験から来る助言じゃ無いんだ(笑)

ユウスケ

二足の会話は面白い。足は重ならないし、一緒に前には進めない。片方が前に踏み出せば、もう片方はその後ろにある。

右足

一定の距離でついてくる君。最近は走って逃げようかと思うけど、やっぱり一定の距離。

左足

走って追い付こうと思うけど、やっぱり君との距離は変わらなくて。

ユウスケ

大切なのは距離感だ。そこを間違えたら、怪我をする。

左足

ユウスケはどう思う?おれは彼女が好きみたいだ。

ユウスケ

その告白、俺にする?

左足

僕もお前くらいしか会話出来る相手がいないんだから仕方ないだろ?

ユウスケ

とは言ってもなぁ。

左足

今度さ、気持ちを伝えてみるわ。今までみたいに遠回しな告白じゃなくてさ。

ユウスケ

まじかよ。それ、失敗しても同じ距離感でいけるの?

左足

そのときは、距離感を変えるだけだよ。ずっと一緒に居るだけさ。

数日して

左足

いやー、ダメだったや

ユウスケ

まぁ、そんな気はしてたよ。

左足

まぁ、目的は達成したし、悔いは無いけどさ。

ユウスケ

俺は思うんだけど、その目的ってのが、「赤い右足」を持って帰って来たことなら、たぶん君は直ぐに捕まるよ。

ユウスケ

君は、空想で作った俺(ユウスケ)と言う人格と、やはり空想で作った気になる女性の「右足」という人格とで、対話ごっこをいつもしていたけどさ、

ユウスケ

そして、君は実在する方の右足の持ち主に告白して、振られたのだろうけどさ。

ユウスケ

いくら、君が足フェチだとしても、切って持って帰ったらいけないよ。

ユウスケ

俺は距離感が大切だって言っただろ?

左足

走ることと走り続けることが違うように、好きなことと好きで居続けることも違うよね。

右足

それ、一方的な片想いなら、ただのストーカーだよ。

左足

理想の愛ってさ、君の見た目とか中身とか全てが好きなら、最終的には残されるのは、一番好きなパーツだけあればその人を好きで居続けられる事だと思うんだ。

左足

一緒に歩みたいから、足だけ持って帰った。

サイレンが鳴る

ユウスケ

ほら、そろそろ警察も到着する

ユウスケ

理想の告白には、程遠い。

ユウスケ

君がするのは、ただの自白だ。

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