テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ

第20話 - お節介アゲハ卒業

220

2022年10月10日

#ドラマ

#青春恋愛

#高校生

#一次創作

#第3回テノコン

×××

週明け　月曜日

和久井龍也

いやぁー互いに
認められて良かったな

揚羽凛太郎

ああ・・・

揚羽凛太郎

安心したよ・・

和久井龍也

刺青姿の親父さんが
出て来た時は
ヒヤヒヤしたけどな

和久井龍也

マジでビビったわ

揚羽凛太郎

だろうな・・・

揚羽凛太郎

俺が龍也の立場でも
そりゃビビるわ

和久井龍也

でも、めちゃかっこいい
親父さんだったよ

和久井龍也

なんか「男」じゃなくて

和久井龍也

「漢」って感じだった

和久井龍也

男が惚れる
漢って感じだったよ

和久井龍也

俺も将来は
あんなカッコいい
親父になりてぇな

揚羽凛太郎

あはは！無理だろ！

和久井龍也

うるせーな！

和久井龍也

まぁ、リンは
日向の尻にひかれて
そうだけどな

揚羽凛太郎

全力で否定
できないとこが悔しい

和久井龍也

でもリンは本当
日向家に歓迎されてる
って感じるよな

揚羽凛太郎

そ、そうだな・・

和久井龍也

相変わらず妹の・・

揚羽凛太郎

綾星ちゃんな？

和久井龍也

そうそう！その
綾星ちゃんからは
ラブコールある訳？

揚羽凛太郎

いや、本当綾星ちゃんは
大胆すぎて困るんだよ

揚羽凛太郎

まぁ、なんつーか
無垢ゆえって
言うのかなぁ・・

和久井龍也

見舞いに行った時も
そんな感じだったもんな

和久井龍也

さすがに手は
出してねーよな？

揚羽凛太郎

バカ言ってんな！
小学生相手に！

揚羽凛太郎

犯罪だろ！犯罪！

和久井龍也

ははは！ムキに
なんなよ！

揚羽凛太郎

ったく・・・

日向奏星

ねぇ！凛くん！

揚羽凛太郎

ん？どうした？

日向奏星

今日さぁ
学校終わった後って
時間あったりする？

揚羽凛太郎

終わった後？

揚羽凛太郎

特に予定とかはないけど

揚羽凛太郎

なんで？

日向奏星

いや、なんというか

日向奏星

その・・・

日向奏星

放課後デート
したいなぁ・・・

日向奏星

みたいな・・・

揚羽凛太郎

放課後デート！
いいね！行こうよ！

揚羽凛太郎

どっか行きたい所
とかあったりする？

日向奏星

うーん、そうだなぁ

日向奏星

特にこれと言って
行きたい所が
ある訳じゃないんだけど

日向奏星

一緒に居たいなぁ、って

揚羽凛太郎

あ、そ、そうか・・・

揚羽凛太郎

いいね！い、行こうよ！

凛太郎は恥ずかしそうに頭をぽりぽりと搔く

揚羽凛太郎

（なんか面と向かって
ストレートに言われると
照れちまうな）

姫川美咲

ねぇ！ねぇ！龍也！

和久井龍也

ん？なんだ？

姫川美咲

なんか最近の奏星って

姫川美咲

かなり積極的に
なってきたと思わない？

和久井龍也

ああ、確かな

姫川美咲

今だってホラ！

姫川美咲

自分から揚羽くんを
放課後デートに
誘ってるしさぁ！

和久井龍也

ダブルデートしようとか
言い出すなよ？

姫川美咲

え？なんで私が
言おうとしてる事が
分かるの？

和久井龍也

だいたい予想つくわ！

姫川美咲

えー！ダブルデート
しようよ！

姫川美咲

絶対楽しいじゃん！

姫川美咲

恋愛漫画みたいで！

和久井龍也

二人にしてやれって！

和久井龍也

せっかくの
デートなんだからよ！

姫川美咲

えー！

和久井龍也

じゃあ俺らも放課後デート
すればいいだろ！

姫川美咲

え？いいの？

和久井龍也

別に拒否る訳ねーだろ！

姫川美咲

なら私行きたい
とこあるんだ

和久井龍也

じゃあそこに行くか？

姫川美咲

うん♫

放課後

凛太郎と奏星は手を繋ぎながら街をぶらついていた

揚羽凛太郎

どっかで飯でも食うか？

日向奏星

うーん、そうだなぁ

日向奏星

なんか甘いものが
食べたい気分

揚羽凛太郎

この辺でなんか店って
あったかな？

男の子

あれ？おかしいなぁ

男の子

確かこの辺のはずなんだけど

凛太郎と奏星が歩く先にスマホを片手に悩ましげな表情をしてる少年が居た

揚羽凛太郎

ん？何かあったのかな？

日向奏星

さぁ・・

揚羽凛太郎

ごめん！奏星！

揚羽凛太郎

ちょっと話聞いてくる

日向奏星

ちょ！凛くん！

日向奏星

・・・・・

日向奏星

行っちゃった・・・

日向奏星

もぅ・・・

日向奏星

私とのデート中なのに

日向奏星

バカ・・・

揚羽凛太郎

どうしたの？

男の子

え？

少年は驚いた様子で凛太郎の顔を見上げる

揚羽凛太郎

いや、なんか
困ってる風だったからさ

揚羽凛太郎

何かあったのかなぁって

男の子

あ、えっと・・・

男の子

このお店を
探してるんですけど

揚羽凛太郎

どれどれ・・・

凛太郎は少年のスマホを覗き込む

揚羽凛太郎

あっ！ここ！
俺知ってるよ！

男の子

本当ですか？

揚羽凛太郎

この店なら、この先の
信号を左に曲がったら

揚羽凛太郎

看板があるから
すぐに分かると思うよ

男の子

ありがとうございます！

男の子

助かりました！

揚羽凛太郎

いいよ！いいよ！
気をつけてね！

男の子

はいっ！！！

少年は笑顔で凛太郎に手を振ると急足でその場を去っていく

揚羽凛太郎

悪い！奏星！お待たせ！

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

あれ？なんか
怒ってない？

日向奏星

怒ってない・・・

凛太郎の問いかけに奏星は頬を膨らませる

揚羽凛太郎

（いや明らかに
怒ってるじゃん・・）

日向奏星

それより早く
食べに行こ！

揚羽凛太郎

あ、う、うん・・・

揚羽凛太郎

（なんか俺まずい事
言っちゃったかな？）

日向奏星

この辺にパンケーキが
美味しい喫茶店があるって

日向奏星

美咲が教えて
くれたんだよね

揚羽凛太郎

えー・・っと
どの辺なんだろ？

凛太郎はスマホで地図を検索する

揚羽凛太郎

あっ！この通りの
突き当たりにあるっぽいな！

日向奏星

なんてお店？

揚羽凛太郎

えーっと・・

揚羽凛太郎

キャラウェイ
って書いてある

日向奏星

あっ！そこだ！
キャラウェイ！

揚羽凛太郎

じゃあ行こうか！

日向奏星

うん♫

凛太郎と奏星が歩いていると喧嘩をしているカップルの声が聞こえて来た

彼氏

うるせーよ！てめぇには
もうウンザリなんだよ！

彼女

なんでそんな
酷い事いうの？

彼女

ぐすっ・・・

彼女

私はただ、これ以上
お金を出すのは
金銭的に厳しいから

彼女

少し出してって
言ってるだけじゃん！

彼女

そんな事も出来ないの？

彼氏

はぁ？

彼氏

俺に出させんのか？

彼氏

てめぇが金は全て出すから

彼氏

付き合いたいって
泣きついて来たんだろ！

彼女

だって・・・

彼女

さすがにもう辛いの

彼氏

じゃあ別れっか

彼女

嫌！それだけは嫌！

彼女

お願いだから捨てないでよ

彼氏

うるせー！触んな！

彼女

わぁぁぁぁぁん

彼氏

あーもう！泣く
んじゃねーよ！

彼氏

ぶっ殺すぞ！クソ

男性が腕を振り上げ女性を殴ろうとする

その腕を凛太郎が掴む

彼氏

あぁ？誰だ？てめぇ！

揚羽凛太郎

女の子を
殴ってんじゃねーよ！

彼氏

は？てめぇに
関係あんのか？

彼氏

すっこんでろ！

彼氏

こりゃ俺と
こいつの問題なんだよ！

揚羽凛太郎

目の前で女の子が
泣かされてんのに

揚羽凛太郎

放っておけるか！

日向奏星

凛くん！

揚羽凛太郎

奏星！危ないから
下がってろ！

彼氏

はぁーん！
てめぇの女か！

彼氏

女の前で
良い格好しようってか？

揚羽凛太郎

そんなんじゃねーよ！

彼女

もういいっ！

彼氏

あ？

揚羽凛太郎

え・・・

彼女

こんなクソ男・・

彼女

こっちから
願い下げよっ！

彼氏

けっ！クソ女に
言われたかねーよ

揚羽凛太郎

おいお前！

凛太郎は男性の胸ぐらを掴む

彼氏

あ？

揚羽凛太郎

男なら女の子を
護ってやれよ！

彼氏

うるせーよ！

警官

君たち！

警官

何をやっているんだ！

おそらくことの一部始終を目撃していた誰かが警察に通報したのだろう

一人の警官がこちらに走って来た

彼氏

やべ・・・

男性は警官を見るや否やその場から逃げ出す

警官

コラ！待ちなさい！

警官は懐から警棒を取り出すとその彼氏を追って走っていく

揚羽凛太郎

大丈夫ですか？

揚羽凛太郎

怪我とかないですか？

凛太郎は、その場で座り込む女性に駆け寄る

彼女

大丈夫です・・・

彼女

お気遣い・・・
ありがとうございます

揚羽凛太郎

あんな奴早く
忘れましょうよ！

揚羽凛太郎

もっと良い奴が
居るはずですから！

彼女

ぐすっ・・・

揚羽凛太郎

ホラ！泣かないでください！

凛太郎はポケットからハンカチを取り出し女性に手渡す

彼女

ありがとうございます

日向奏星

・・・・・

それから凛太郎と奏星女性の３名は

戻ってきた警官に事情を説明した

事情聴取から解放されたのはそれから20分ほど経過した頃だった

警官

君も！危ない事を
しないようにね！

揚羽凛太郎

はい・・・

警官

さっきの彼が
仮に刃物を持っていたら

警官

最悪の事態を
招いていたかも
しれないんだ！

警官

人助けもいいが
それで死んでしまっては
元も子もないんだ！

警官

分かったね？

揚羽凛太郎

そう・・ですよね

揚羽凛太郎

すいませんでした

警官

まぁ、学校や家には
報告はしないから！

警官

今日はもう真っ直ぐ
家に帰りなさい！

警官

いいね？

日向奏星

ご迷惑をお掛けしました

彼女

あんな男と
別れられて清々しました

彼女

今日は本当に
ありがとうございました

揚羽凛太郎

いや・・別に

彼女

そちらは
彼女さんですか？

揚羽凛太郎

えぇ・・まぁ・・

彼女

なんか怒ってる
みたいですけど

彼女

大丈夫ですか？

日向奏星

・・・・・

奏星は遠く離れた場所でスマホを触っている

揚羽凛太郎

いや、大丈夫です・・

彼女

もしかしてデート中
とかでしたか？

彼女

だとしたら本当に
ごめんなさい

揚羽凛太郎

いや、気にしないでください

彼女

私からも彼女さんに
謝りたいんですけど

揚羽凛太郎

いや、大丈夫ですよ！
俺から伝えますから！

彼女

そう・・ですか

揚羽凛太郎

なら俺たちは
この後予定があるんで

揚羽凛太郎

この辺で失礼しますね

彼女

はい・・・

女性は深々と頭を下げるとその場から足速に去っていった

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

奏星、やっぱ
怒ってるよな・・・

揚羽凛太郎

ごめん・・奏星

日向奏星

・・・・・

奏星は凛太郎の呼びかけに応じずスマホをさわっている

揚羽凛太郎

あの・・奏星？

日向奏星

なに？

奏星はスマホから視線を移さない

揚羽凛太郎

やっぱ・・・
怒ってるよね？

奏星は呆れたようにスマホを制服のポケットに入れる

日向奏星

もう・・・

日向奏星

私とのデート中だって
忘れてない？

揚羽凛太郎

あ、いや、それは・・・

日向奏星

お節介も
良い加減にしてよっ！！

奏星の目には薄らと涙が滲んでいた

日向奏星

せっかくの
デートだったのにっ！

揚羽凛太郎

ご、ごめん・・・

揚羽凛太郎

本当に申し訳ない・・

日向奏星

もう、今日は帰ろ！

揚羽凛太郎

いや、でも・・・

日向奏星

もうパンケーキ
食べる気分じゃ
なくなったから

揚羽凛太郎

けど・・・

日向奏星

じゃあ一人で行けば？

日向奏星

それが嫌ならその辺で
人助けでもしてれば？

日向奏星

好きでしょ？人助け！

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

私は帰るから！

揚羽凛太郎

あ、待って！

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

か、帰ろうか・・・

凛太郎と奏星は帰る途中一言も言葉を交わさなかった

日向奏星

送ってくれてありがと

揚羽凛太郎

か、奏星・・・

揚羽凛太郎

今日はホント──

日向奏星

じゃあまた明日ね！

ガチャン

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

はぁ〜・・・

揚羽凛太郎

完璧に怒らせたな

日向奏星

・・・・・

日向奏星

凛くんのバカ・・・

日向志津香

あら！帰ってたの？

日向志津香

お帰りなさい！

日向奏星

ただいま・・・

日向志津香

ん？なんか暗くない？

日向奏星

なんでもないよ・・・

奏星は黙って自分の部屋に入る

日向志津香

（何かあったのかしら）

リン

今日は本当にごめん🙇‍♀️
せっかくのデートだったのに
台無しにして申し訳ない

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

既読がつかない・・・

揚羽凛太郎

嫌われたかな？

揚羽凛太郎

はぁ〜・・・

揚羽凛太郎

どうしよ・・・

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

明日学校で謝ろう・・

翌日

揚羽凛太郎

あっ！奏星・・・

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

昨日は・・その

揚羽凛太郎

デートを台無しにして
本当にごめん・・・

日向奏星

デートを台無し？

揚羽凛太郎

あ、ああ・・・

揚羽凛太郎

せっかくの
二人の時間を──

日向奏星

なんで私が怒ってるか
分かってくれてないの？

揚羽凛太郎

え？

揚羽凛太郎

それは・・その・・だから

揚羽凛太郎

俺がデートを台無しに・・

日向奏星

（やっぱ分かって
くれてないんだ）

日向奏星

もういいよ！

揚羽凛太郎

ちょ！奏星っ！

奏星は凛太郎の問いかけを無視して自分の席に座る

揚羽凛太郎

あ・・・・・

和久井龍也

お前ら何か
あったのか？

揚羽凛太郎

いや・・・・

揚羽凛太郎

別に・・・

和久井龍也

いや！何かあったろ！

揚羽凛太郎

・・・・・

休み時間

和久井龍也

おい！美咲！ちょっと！

姫川美咲

なに？どうしたの？

和久井龍也

いや、なんかさ

和久井龍也

リンと日向の様子が
今朝からおかしいんだよ！

和久井龍也

日向はリンを無視してるし

和久井龍也

リンも日向を
避けてるみてーだし

姫川美咲

それ私も思った！！

姫川美咲

あのふたり！
なんかあったの？

和久井龍也

いや、それがさ

和久井龍也

リンの奴！何でもない
って言うだけで

和久井龍也

喋ろうとしねーんだよ！

姫川美咲

え？

和久井龍也

だからさ、昼休みに
それとなくリンに
話聞いてみるからさ

和久井龍也

美咲からも日向に
聞いてもらえねぇかな？

和久井龍也

何があったのかって！

姫川美咲

そういう事なら任せて！

和久井龍也

悪い！頼んだ！

姫川美咲

オッケー！

昼休み

和久井龍也

なぁ！リン！

和久井龍也

良い加減に話せって！

和久井龍也

昨日何があったんだよ！

揚羽凛太郎

だから何も──

和久井龍也

嘘つけよ！

和久井龍也

なんかあったろ！絶対！

揚羽凛太郎

・・・・・

和久井龍也

そもそもお前ら二人
昨日デートだったんだろ？

和久井龍也

そのデート中に
何かあったんだろ？

揚羽凛太郎

・・・・・

揚羽凛太郎

実は──

姫川美咲

だから何か
あったんでしょ？

日向奏星

だから──

姫川美咲

揚羽くんに何か
酷い事言われたとか？

日向奏星

いや、違うけど──

姫川美咲

ならどうして二人
会話がないの？

姫川美咲

何かあったじゃん！
絶対にっ！！

日向奏星

それは・・・

姫川美咲

話してよ！
私たち友達でしょ？

姫川美咲

困った事があるなら
力になりたいのっ！！

日向奏星

・・・・・

日向奏星

昨日の放課後に凛くんと
デートに行ったの・・

姫川美咲

いや、それは
知ってるけど・・

日向奏星

そこでね、凛くん・・・

日向奏星

私とデート中なのに

日向奏星

道に迷ってる
男の子に駆け寄って

日向奏星

丁寧に道教えてあげたり

日向奏星

カップルの喧嘩に
首突っ込んで

日向奏星

泣いてる彼女に
駆け寄ってハンカチ
貸してあげたり

姫川美咲

あぁ・・・

姫川美咲

そういう事か・・・

姫川美咲

まぁ、揚羽くんらしい
っちゃ、らしいけど

姫川美咲

彼女の立場からすると

姫川美咲

ちょっと！って
感じだよね・・・

日向奏星

さすがにデート中は
私だけを見てほしい！
なんて言わないけどさ

日向奏星

何かちょっと
嫉妬しちゃったというか

日向奏星

結局凛くんは
私じゃなくても

日向奏星

みんなに
優しいんだなって

姫川美咲

奏星・・・

日向奏星

仮に不登校明けの女子が

日向奏星

私じゃなくて
他の誰かだったとしても

日向奏星

たぶん凛くんは
同じことを
したんだろうなって
思っちゃって

姫川美咲

そんなネガティブに
考えちゃダメだよ！

日向奏星

だって・・・

日向奏星

昨日の凛くん見たら
不安になっちゃって

姫川美咲

てか！それはキチンと
揚羽くんに伝えた？

日向奏星

いや・・・

姫川美咲

言わなきゃ
伝わんないじゃん！

日向奏星

だって・・・

日向奏星

重いとか、メンヘラ
だとか言われたりしたら

日向奏星

ショックじゃん・・・

日向奏星

もしも・・そう
言われたりしたら

日向奏星

私・・立ち直れないよ

姫川美咲

揚羽くんは
そんな事言わないって

日向奏星

それは・・・
そう思うけど

日向奏星

もし言われたらって
考えたら・・・

姫川美咲

でもだからって
ずっと言わないの？

姫川美咲

その方がかえって
奏星が辛くない？

日向奏星

そう・・だけど

姫川美咲

ちゃんと言いなよ

日向奏星

で、でも・・・

姫川美咲

大丈夫！

姫川美咲

揚羽くんが
グダグダ言うようなら

姫川美咲

私もガツン！と
言ったげるからさ！

日向奏星

美咲・・・

姫川美咲

私が何があっても
奏星の味方たから！

日向奏星

ありがと・・・

姫川美咲

だから！ね？

姫川美咲

ちゃんと伝えよ？

日向奏星

う、うん・・・

和久井龍也

そんな事が
あったのか

揚羽凛太郎

俺がデートを
台無しにしたから・・

和久井龍也

いや、違うと思う

揚羽凛太郎

え？違う？

和久井龍也

日向が怒ってんのは
そこじゃねーと思う

揚羽凛太郎

だったら何に
怒ってるって──

和久井龍也

そりゃお前・・
嫉妬だろ！嫉妬！

揚羽凛太郎

嫉妬？誰に
嫉妬すんだよ！

和久井龍也

はぁ〜・・・

和久井龍也

分かんねーのかよ！

揚羽凛太郎

な、なんだよ・・・

和久井龍也

じゃあ考えてみろ！

和久井龍也

日向がお前とのデート中に

和久井龍也

同い年の男に駆け寄って

和久井龍也

頭撫でてハンカチを
渡したりしてたら

和久井龍也

お前・・嫉妬しねぇか？

和久井龍也

俺が横に
居るのに何で？
って思わねーか？

揚羽凛太郎

あっ・・・

和久井龍也

やっと気づいたかよ！

揚羽凛太郎

俺・・・

揚羽凛太郎

奏星の気持ち・・・

揚羽凛太郎

全然考えてなかった

和久井龍也

ったくお前は・・・

揚羽凛太郎

でも何で奏星は何も
言ってくれなかったんだろ

揚羽凛太郎

言ってくれれば──

和久井龍也

そりゃ、束縛してると
思われたくなかったんだろ？

揚羽凛太郎

束縛・・・

和久井龍也

それに、多分日向は

和久井龍也

お前のお節介っつーか

和久井龍也

その優しさに惹かれて
好きになったんだろうから

和久井龍也

そこに不満を抱くのは

和久井龍也

虫が良すぎるって
気持ちもあったんじゃね？

揚羽凛太郎

・・・・・

和久井龍也

そんくらい
分かってやれよ！

揚羽凛太郎

そうだよな・・・

和久井龍也

もうそろそろ
卒業してもいいんじゃね？

揚羽凛太郎

卒業？

和久井龍也

「お節介アゲハ」だよ！

揚羽凛太郎

卒業か・・・

和久井龍也

別にお節介を焼くな
って言ってる訳じゃねぇ

和久井龍也

けどな？

和久井龍也

今お前は、日向の
彼氏なんだぞ？

揚羽凛太郎

そう・・だよな

和久井龍也

友達関係じゃなくて
恋人なんだからさ

和久井龍也

お前が一番見て
あげなきゃなんねぇ相手は

和久井龍也

見ず知らずの
困ってる奴じゃなくて

和久井龍也

日向だろ？違うか？

揚羽凛太郎

龍也・・ありがとう

揚羽凛太郎

目が覚めたよ！

揚羽凛太郎

俺！奏星に
謝ってくる！

和久井龍也

おぅ！行ってこい！

凛太郎はその場から走って教室へ向かう

和久井龍也

はぁ〜・・・

和久井龍也

リンと日向の話になると

和久井龍也

こうやってスラスラ言葉
出てくんだけどなぁ

和久井龍也

美咲との事になると
どうも上手く
行かねーんだよな

和久井龍也

女心ってのは
つくづく難しいな

和久井龍也

一生かかっても
理解できる気がしねー

ガラガラ

揚羽凛太郎

奏星っ！

姫川美咲

揚羽くん？

日向奏星

凛くん・・・

揚羽凛太郎

本当にごめんっ！！！

日向奏星

え？

凛太郎は深々と頭を下げる

揚羽凛太郎

俺・・バカだった・・・

揚羽凛太郎

すげーバカだった

揚羽凛太郎

奏星の気持ちを
全く考えてなかったよ

揚羽凛太郎

俺が一番見なきゃ
いけないのは
奏星だって言うのに・・

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

俺・・卒業するよ

日向奏星

卒業？

揚羽凛太郎

お節介から卒業する！

日向奏星

！！！！！！

日向奏星

凛くん・・・

揚羽凛太郎

俺が他の女の子に
優しくしてたら

揚羽凛太郎

そりゃ嫉妬しちゃうよな

揚羽凛太郎

誰にでも優しいとか
ただの無責任だもんな

日向奏星

ぐすっ・・・

揚羽凛太郎

それに今更ながら
ようやく気づいたよ！

日向奏星

凛くん！！

奏星は凛太郎に抱きつく

揚羽凛太郎

奏星・・・

日向奏星

ごめんね・・・

日向奏星

私・・重いよね

日向奏星

ワガママだよね・・・

揚羽凛太郎

ううん・・・

揚羽凛太郎

そんな事ない・・・

揚羽凛太郎

俺だって奏星が他の
男に優しくしてたら

揚羽凛太郎

嫉妬しちゃうと
思うからさ・・・

日向奏星

凛くん・・・

揚羽凛太郎

奏星の立場になって
考えたら、すぐに
分かる事なのに・・・

揚羽凛太郎

龍也に言われるまで
気づかなかった

揚羽凛太郎

バカだよな・・俺

日向奏星

ううん・・・

揚羽凛太郎

俺の事・・・

揚羽凛太郎

嫌いになったよな？

日向奏星

そんな事ない！

日向奏星

大好きだよ！

揚羽凛太郎

ありがとう奏星・・

揚羽凛太郎

俺も大好きだよ

揚羽凛太郎

だからさ・・その

揚羽凛太郎

仲直りしてくれるかな？

日向奏星

う、うん・・・

揚羽凛太郎

よかったぁ・・・

姫川美咲

おふたりさーん！

姫川美咲

ここ教室ですよー！

姫川美咲

みんな見てますよー！

揚羽凛太郎

あっ・・・

日向奏星

あっ・・・

気がつくと大勢のクラスメイトに囲まれていた

クラスメイトA

よっ！アツアツ！

クラスメイトB

見てるこっちが
恥ずかしいわ！

男子生徒A

キスしろよ！キス！

男子生徒B

ひゅー！ひゅー！

揚羽凛太郎

あはは・・いや・・

日向奏星

あはは・・・

常盤小雪

あなた達は
学校で何やってんのよ！

揚羽凛太郎

す、すいません・・・

日向奏星

ごめんなさい・・・

常盤小雪

まったく・・・

放課後

揚羽凛太郎

奏星！

日向奏星

なに？

揚羽凛太郎

今日デート行かない？

日向奏星

え？デート？

揚羽凛太郎

ホラ・・昨日行けなかった
喫茶店に行きたいんだ！

日向奏星

凛くん・・・

揚羽凛太郎

予定あったりする？

日向奏星

ううん！大丈夫！

揚羽凛太郎

じゃあ行こうよ！

日向奏星

うん♫

姫川美咲

二人、仲直りできで
よかったね！

和久井龍也

ああ・・・

姫川美咲

じゃあ私たちも
デート行く？

和久井龍也

昨日も行ったろ？

姫川美咲

あーそういう事言う！

姫川美咲

はい！はい！わかりました

姫川美咲

なら一人で行きまーす

和久井龍也

ああ！待て！

和久井龍也

誰も嫌って
言ってねーだろ！

和久井龍也

待てって！美咲！おーい！

日向奏星

うーん♫

日向奏星

おいしー♫

揚羽凛太郎

これ美味いな！

日向奏星

見た目も可愛いし
味も美味しいし

揚羽凛太郎

良い店知れたわ！

揚羽凛太郎

教えてくれた
姫川に感謝だな！

日向奏星

また来ようね！

揚羽凛太郎

ああ！絶対来よう！

姫川美咲

あれ？奏星？

日向奏星

あっ！美咲！

揚羽凛太郎

なんだよ！二人も
ここに来たのか！

日向奏星

まぁ、この店
教えてくれたの美咲だしね

和久井龍也

結局このメンバーに
なるんだな！

日向奏星

じゃあせっかくだし
みんなで食べようよ♫

姫川美咲

サンセー♫

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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お節介アゲハと弱虫ヒナタ

第20話 - お節介アゲハ卒業

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