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翌日 早朝

揚羽渚沙

じゃあ、行くわね

揚羽凛太郎

もう、行くのか?

揚羽渚沙

昨日言ったでしょ?

揚羽渚沙

今回の帰国は
予定外の帰国だったって

揚羽渚沙

すぐに戻らないと
いけないのよ

揚羽凛太郎

そっか・・

揚羽渚沙

なによ?寂しいの?

揚羽凛太郎

まぁ、せっかく
久々に会えたのになって
ちょっと思っただけだ

揚羽渚沙

ちょっと見ないウチに
可愛くなったわね

揚羽凛太郎

うっさい!!

揚羽渚沙

まぁ、年末には
帰ってこれるから!

揚羽渚沙

そしたらまた一緒に
暮らせるわよ

揚羽凛太郎

ならそれまで
一人暮らしを満喫しとくよ

揚羽渚沙

強がっちゃって!

揚羽凛太郎

早く行けよっ!

揚羽渚沙

わかった!わかった!

揚羽渚沙

あっ!後!

揚羽凛太郎

なんだよ!
まだ何かあんのか?

揚羽渚沙

昨日の子!
奏星ちゃんだっけ?

揚羽凛太郎

日向がどうかしたのか?

揚羽渚沙

大事にしてやんなさいよ!

揚羽渚沙

滅多にいないわよ!
あんなに良い子!

揚羽凛太郎

わかってるよ

揚羽渚沙

あんた!好きなの?

揚羽凛太郎

あんまよく
わかんねぇわ・・

揚羽凛太郎

そーゆーの・・

揚羽渚沙

グズグズしてたら
他の奴に取られちゃうわよ

揚羽凛太郎

わかった!わかった!

揚羽凛太郎

わかったから
早く行けよっ!

揚羽渚沙

はい!はい!
わかった!わかった!

揚羽渚沙

なら行ってくるわね!

揚羽渚沙

またしばらく
迷惑かけるけど

揚羽渚沙

よろしくお願いね?

揚羽凛太郎

ああ!気をつけてな!

揚羽渚沙

凛太郎もね!

揚羽渚沙

じゃあ行ってきます!

揚羽凛太郎

行ってらっしゃい!

学校 教室

揚羽凛太郎

よう!おはよう!

和久井龍也

おぉ!来たな!色男!

揚羽凛太郎

はぁ?何の話だよ!

和久井龍也

昨日、日向に看病
してもらったんだろ?

揚羽凛太郎

んだよ!知ってたのかよ!

揚羽凛太郎

(黙っとこうと
思ったのに・・)

和久井龍也

あれって姫川の
入れ知恵だぜ!

揚羽凛太郎

なに?姫川の?

揚羽凛太郎

おい!姫川!

姫川美咲

あ!揚羽くん!
おっはよー!

揚羽凛太郎

日向に余計な事言ったろ!

姫川美咲

え?もしかして
お粥食べさせて
もらったりした?

揚羽凛太郎

何で知って──

揚羽凛太郎

ってあぁ!まさかそれも
姫川の入れ知恵かぁ!

和久井龍也

お粥をねぇ・・・

姫川美咲

やっぱり!

姫川美咲

日向ってば
純粋なんだから!

揚羽凛太郎

ったく

姫川美咲

でも嬉しかったでしょ?

揚羽凛太郎

ま、まぁ、そりゃ、まぁ

姫川美咲

(奏星も奏星だけど
揚羽くんも揚羽くんよね)

姫川美咲

(まぁ、似たもの同士
って言ったらそうかもだけど)

揚羽凛太郎

というか、日向は?

揚羽凛太郎

まだ来てねぇの?

姫川美咲

ああ奏星ね・・・

姫川美咲

ふふふ

揚羽凛太郎

何がおかしいんだ?

姫川美咲

風邪引いたんだってさ

揚羽凛太郎

え?まじで?

和久井龍也

お前の風邪が
移ったんじゃね?

揚羽凛太郎

嘘だろ・・・

姫川美咲

看病行ってあげれば?

揚羽凛太郎

看病?

揚羽凛太郎

い、いや、日向は、その

揚羽凛太郎

ほ、ほら!あれだよ!
家族!家族いるだろ!

揚羽凛太郎

別に俺が行かなくても

姫川美咲

心配じゃ無いの?

揚羽凛太郎

そりゃ心配じゃない
って言ったら嘘になるけど

姫川美咲

(ふふふ)

姫川美咲

(奏星と同じ事言ってる)

揚羽凛太郎

な、何がおかしいんだよ!

姫川美咲

別にー

揚羽凛太郎

(からかいやがって!)

姫川美咲

ね?行ってあげたら

揚羽凛太郎

いや、でも・・・

常盤小雪

許しませんっ!

姫川美咲

げっ!!!

揚羽凛太郎

先生・・・

常盤小雪

昨日は特例中の特例よ!

常盤小雪

そう何回も何回も
生徒が学校を
抜け出すのを

常盤小雪

認めるわけには行かないわ

姫川美咲

まぁ、それもそっか・・

姫川美咲

あ!ならさぁ!
放課後にみんなで

姫川美咲

奏星ンちに
お見舞いに行こうよ

クラスメイトA

あ!それいいね!

クラスメイトB

賛成!賛成!

和久井龍也

確かに、それいいなぁ!

姫川美咲

はぁ?あんたは来んなよ

和久井龍也

なんでだよ!
俺だって日向のダチだぞ!

姫川美咲

奏星に悪影響よ

和久井龍也

うるせー!いじめっ子

姫川美咲

元よ!元!

揚羽凛太郎

お見舞いかぁ
うん!それ良いなぁ

姫川美咲

でしょ?

揚羽凛太郎

日向には看病してもらった
お礼もしたかったし

姫川美咲

いや、そういう
事じゃなくてさ

揚羽凛太郎

ん?

姫川美咲

(まぁ、いいっか)

姫川美咲

なら放課後決定ね!

揚羽凛太郎

オッケー!

常盤小雪

もういいかしら?

常盤小雪

そろそろ授業
始めたいんだけど

揚羽凛太郎

あっ、すいません

常盤小雪

(日向さんも、もう
すっかりクラスの一員ね)

常盤小雪

(もう心配いらないわね)

夕方

日向奏星

はぁ〜

日向志津香

よし!もう熱も
下がったみたいね!

日向志津香

これなら明日は
学校行けそうね

日向奏星

うん・・・

日向志津香

でもどこで風邪
もらって来たのかしらね?

日向奏星

うー・・ん

日向奏星

分かんないなぁ・・・

日向奏星

(ママには揚羽くんの
看病の事を知られる
訳にはいかないからなぁ)

ピンポーン

日向志津香

あら!誰かしら?

日向志津香

はいはーい!

日向志津香

今開けまーす!

ガチャ

日向志津香

あら!

揚羽凛太郎

あっ!どうもっス

日向志津香

揚羽くんじゃない!

揚羽凛太郎

その・・ご無沙汰してます

日向志津香

え?もしかして
奏星のお見舞いに
来てくれたの?

揚羽凛太郎

まぁ、はい・・・

日向志津香

わざわざありがとうね

日向志津香

それに、こんなに
たくさんのお友達が・・

和久井龍也

はじめまし──

姫川美咲

はじめまして!
姫川美咲っていいます

和久井龍也

(押すな!クソ!)

日向奏星

あっ!みんな

姫川美咲

ヤッホー奏星!来たよ!

日向奏星

みんな・・・

姫川美咲

もう風邪は大丈夫?

日向奏星

うん!熱も下がったから

和久井龍也

そりゃよかったな!

日向奏星

わざわざありがとうね・・・

揚羽凛太郎

お、おぅ!日向!

日向奏星

あ、揚羽くん・・・

揚羽凛太郎

悪いな!日向

揚羽凛太郎

昨日俺の看病を──

日向奏星

あっ!言っちゃダメっ!

揚羽凛太郎

え?

日向志津香

いいわよ!揚羽くん!
続けてちょうだい

姫川美咲

(あ〜あ、余計な事
言っちゃって・・・)

日向奏星

(もう!揚羽くんのバカ!)

揚羽凛太郎

あら・・・

揚羽凛太郎

俺余計なこと言ったかな?

日向志津香

ふふふ

日向志津香

知ってるわよ

日向奏星

え?

姫川美咲

え?

日向志津香

貴方が昨日
学校を抜け出して

日向志津香

揚羽くんの家に
看病しに行ってる事

日向奏星

何で知ってるの?

日向志津香

昨日常盤先生から
電話があったのよ!

日向志津香

娘さんを責めないで
あげてくれってね

姫川美咲

(余計な事を!アイツ!)

日向奏星

そうだったんだ・・

日向志津香

だから何も言いません!

日向志津香

まぁ、ひとこと
言って欲しかったけどね

日向奏星

ごめんなさい・・

日向志津香

いいのよ!まぁ
若いウチはそういう事は
良くあるから!

日向志津香

それよりみんな!
上がってちょうだいよ!

日向志津香

お茶でも出すから!ね?

揚羽凛太郎

はい!お邪魔します

日向志津香

さぁ!さぁ!座って

揚羽凛太郎

ありがとうございます

和久井龍也

でけー家だなぁ

姫川美咲

下品な感想ね

姫川美咲

もっと白でまとまってて
お洒落くらい言いなさいよ

和久井龍也

俺がそんな評論家みたいな事
言える訳ねーだろーが!

姫川美咲

まぁ、それもそうね

日向奏星

(ほんと二人仲良いな)

日向奏星

(なんか羨ましいなぁ)

日向奏星

(私もいずれは
揚羽くんと・・)

日向奏星

チラッ

揚羽凛太郎

ん?どうした?

日向奏星

ううん。なんでもない

揚羽凛太郎

そっか

日向奏星

(気付いてよ・・もう)

日向志津香

さぁ!クッキー
くらいしかなくて
申し訳ないけど

日向志津香

よかったら食べて

揚羽凛太郎

ありがとうございます

和久井龍也

頂きます!

姫川美咲

あっ!

美咲は何かを思い出したように ソファから立ち上がった

和久井龍也

ん?どうした?

日向奏星

どうしたの美咲?

姫川美咲

ホラ!アンタらも立って

クラスメイトA

あっ!

クラスメイトB

そうだ!

揚羽凛太郎

ん?

姫川美咲

ママさんっ!

美咲が志津香の方を向くと 他二人も美咲に続いて向き直る

日向志津香

どうしたの?

姫川美咲

すいませんでした!

クラスメイトA

すいませんでした!

クラスメイトB

すいませんでした!

日向奏星

ちょ!みんな

和久井龍也

・・・・・

日向志津香

何?どういう事?

日向志津香

何で謝ってるの?

姫川美咲

私たち・・・ずっと

姫川美咲

奏星をいじめてました!

日向志津香

・・・・・

日向奏星

美咲!その話は──

姫川美咲

奏星は口出し
しないでっ!

日向奏星

美咲・・・

姫川美咲

これは私たちの
ケジメだから!

日向志津香

・・・・・

姫川美咲

私・・奏星が
羨ましかったんです

姫川美咲

可愛くて料理もできて

姫川美咲

みんなから好かれてる
奏星に嫉妬してました

姫川美咲

私に無いものを沢山
持ってる奏星が眩しくて
羨ましくって・・・

姫川美咲

劣等感の裏返しで
いじめをしてました!

姫川美咲

謝っても過去が
消える訳じゃ無いです!

姫川美咲

でも・・・

日向志津香

わかってるわ!
言いたい事はわかる

姫川美咲

ママさん・・・

日向志津香

でも奏星はもう
許してるのよね?

日向奏星

うん・・美咲や
皆んなは大切な友達!

日向志津香

ならもう過ぎた話を
するのやめましょう!ね?

姫川美咲

けど・・・

日向志津香

確かに美咲ちゃんが
言ったように

日向志津香

奏星をいじめていた事実は
いくら時が流れようとも

日向志津香

この先無かった
事にはならないわ

姫川美咲

はい・・・

日向志津香

確かにそれは
そうなんだけど

日向志津香

未来は変える
事が出来るでしょ?

日向志津香

より良い未来に!ね?

姫川美咲

ぐすっ・・・

日向志津香

ホラ!泣かないの!

日向志津香

まぁ、これからも奏星と
仲良くしてあげて
ちょうだいね?みんな?

姫川美咲

はいっ!もちろんですっ!

クラスメイトA

ずっと友達ですっ!

クラスメイトB

私も同じですっ!

日向志津香

はい!もうこの話は
おしまい!ね?

姫川美咲

ぐすっ・・

日向志津香

ちゃんと謝れて
偉いわね!

姫川美咲

ありがとうございます

揚羽凛太郎

なんか、やっとこれで
解決した気ぃすんな

和久井龍也

ああ・・・

和久井龍也

(姫川も変わったよな)

姫川美咲

何笑ってんの?

和久井龍也

いや、別に
笑ってる訳じゃ

姫川美咲

ふんっ!

和久井龍也

(可愛くねぇなぁ)

日向綾星

ただい──

日向綾星

まぁ!!!

日向綾星

いっぱい人がいる!

日向奏星

あ!綾星おかえり!

揚羽凛太郎

や!綾星ちゃん!
お帰りなさい!

日向綾星

わぁ!揚羽お兄ちゃん!
また来てくれたのー?

日向綾星

わぁーい!やったー!

綾星はソファで座る 凛太郎に抱きつく

和久井龍也

おい!おい!
いつの間にそんなに
仲良くなってんだ?

揚羽凛太郎

秘密だよ!

揚羽凛太郎

なぁ?綾星ちゃん?

日向綾星

うん♫ひみつ♫
おしえなーい♫

日向奏星

(むっ!)

日向奏星

(だから近いってば!)

姫川美咲

(あらら)

姫川美咲

(こんな近くに
ライバルが居たなんてね)

姫川美咲

(こりゃ手強い
ライバルだ・・・)

日向奏星

美咲!何か
言いたそうだね?

姫川美咲

いや、別に・・・

揚羽凛太郎

というか綾星ちゃん!ホラ!
この人もお兄ちゃんだぞ!

凛太郎は龍也を指差す

日向綾星

じーー

綾星は龍也の顔を まじまじと見つめる

和久井龍也

ゴクリ──

日向綾星

なんか不良みたいで
このお兄ちゃん怖い

和久井龍也

ぐぅはっ(吐血)

姫川美咲

きゎははは!
言われてやんのー!

和久井龍也

じゃあ綾星ちゃん!
このお姉ちゃんは?
怖くない?

姫川美咲

私?

日向綾星

じーー

姫川美咲

ニコッ

日向綾星

お洒落で綺麗な
お姉ちゃん♫

姫川美咲

やったぁー♫

和久井龍也

何でだよっ!!!

姫川美咲

子供は正直よねー

日向奏星

ふふふ

日向志津香

なんか賑やかに
なって来たわね

日向康文

ただいま!

日向康文

って何だこりゃ!

日向志津香

ああアナタ!
お帰りなさい!

日向康文

こりゃ・・どういう

日向志津香

みんな奏星のお友達よ

日向志津香

学校終わりに奏星の
お見舞いに来てくれたのよ

日向康文

ああ!そうか!そうか!

日向康文

みんなありがとうな!

姫川美咲

いえ!いえ!

姫川美咲

奏星は大切な友達ですから

揚羽凛太郎

あのっ!お父さんっ!

日向康文

あっ!揚羽くん・・

揚羽凛太郎

あの、その、なんというか

日向康文

本当に申し訳なかった!

康文は深々と頭を下げる

揚羽凛太郎

いや、お父さん!
やめてくださいよ!

日向志津香

そうよ!

日向志津香

友達だって居るのに!

日向奏星

一応、みんな
事情は知ってるから

日向志津香

あら!そうなの?

日向康文

君の顔を知らなかった
というのは
理由にはならない!

日向康文

綾星を家まで
送ってくれて

日向康文

奏星が教室に登校
できるようになる
キッカケを作ってくれた
揚羽くんに・・・

日向康文

私はとんでもない言葉を!

日向康文

どんな謝罪の言葉を
並べても足りない

揚羽凛太郎

お父さん・・・

日向志津香

はい!はい!アナタ!
もうその辺にして!

日向康文

だかな・・・

日向志津香

男が終わった話を
グジグジ言わないの!

日向志津香

見なさい!揚羽くんを!
若い彼の方がまだ
ピシッとしてるわよ?

日向康文

う・・・

姫川美咲

奏星のママって
鬼嫁的な感じ?

日向奏星

まぁ、そんな感じ

和久井龍也

意外だな・・・

日向志津香

ホラ!アナタ!
それに揚羽くん!

日向志津香

さぁ!向かい合って!

揚羽凛太郎

あ、は、はい・・・

日向志津香

ホラ!アナタも!
しっかりしなさいよ!

日向康文

ひ、引っ張るなよ

日向志津香

はい!

志津香は二人の手を握り 握手をさせる

日向志津香

はい!これで和解!

日向志津香

いい?揚羽くん!

揚羽凛太郎

は、はいっ!

日向志津香

アナタもっ!いい?

日向康文

はい・・・

日向志津香

はい!これで
この話はおしまい!

志津香は手のひらで 二人の背中を思いっきり叩く

揚羽凛太郎

いった!

日向康文

いだぁ!

日向志津香

これで和解成立!

日向奏星

ふふふ

日向志津香

そうだ皆んな!

日向志津香

今晩うちで夕飯
食べていきなさいよ

揚羽凛太郎

え?いいんですか?

揚羽凛太郎

かなり大所帯っスけど

日向綾星

いいじゃん!賑やかで

日向綾星

お兄ちゃんは嫌?

揚羽凛太郎

そんな事ないよ!

姫川美咲

なんか楽しく
なって来たね

日向奏星

うん♫

日向志津香

そうと決まれば
材料買いに行かなきゃね

日向志津香

アナタ!車出してちょうだい

日向康文

ああ、わかった!

姫川美咲

私も手伝いましょうか?

日向志津香

いいのよ気にしなくて

日向志津香

あなた達はお客さんだから!
ゆっくりしててくれて良いわよ

日向志津香

さぁ!アナタ!行きましょう

日向康文

あぁ!

日向康文

じゃあ皆んな
ゆっくりしててくれな?

揚羽凛太郎

ありがとうございます

姫川美咲

いやぁ、両親の
パワーバランスには
笑っちゃった

和久井龍也

昔っからあんな
感じなのか?

日向綾星

ママは鬼だよ!鬼!

日向綾星

怒るとめっちゃ
怖いんだよ!

揚羽凛太郎

(なんかわかる気がする)

姫川美咲

なら奏星もその血を
受け継いでるかもね

日向奏星

そうかなぁ・・・

揚羽凛太郎

(鬼嫁な日向かぁ)

凛太郎の想像

日向奏星

あなた!靴下
脱ぎっぱなし!

日向奏星

洗濯機に入れるくらい
自分でしなさいよね?

揚羽凛太郎

あ、ごめん・・・

揚羽凛太郎

今からやろうと思って──

日向奏星

口で言うだけなら
誰でもできます!

日向奏星

ホラ!ぼさっとしない!
さっさと動く!ホラ!ホラ!

揚羽凛太郎

あ、はい!
すいません

日向奏星

まったく!

日向奏星

私が居なきゃ何も
出来ないんだから!

日向奏星

もぅ!

揚羽凛太郎

面目ない・・・

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

なんか変なこと
想像してない?

揚羽凛太郎

い、いや、してないよ

日向奏星

むっ!

揚羽凛太郎

う・・・

日向綾星

お姉ちゃん怖ーい!

日向奏星

怖くないっ!

和久井龍也

血は争えねぇな

姫川美咲

全くよね

姫川美咲

って気安く
話しかけないでよ

和久井龍也

いや、お前だろーが

姫川美咲

ふんっ!

和久井龍也

ったく・・・

日向綾星

ふたり付き合ってるの?

姫川美咲

こんな不良は
こっちからお断り

和久井龍也

そりゃこっちのセリフだ

姫川美咲

綾星ちゃん?

姫川美咲

将来的にこんなヤツとは
付き合っちゃダメだからね?

日向綾星

私!揚羽お兄ちゃんと
付き合う!

揚羽凛太郎

いや、ちょ、綾星ちゃん!

日向奏星

むっ!

姫川美咲

(はぁ・・・)

姫川美咲

(無垢っての強敵ね)

揚羽凛太郎

すいません

揚羽凛太郎

ご馳走になっちゃって

日向志津香

いいのよ

日向志津香

またいつでも
来て良いからね?

揚羽凛太郎

ありがとうございます

和久井龍也

じゃあ、今日は失礼します

和久井龍也

ご馳走様でした

姫川美咲

ご馳走様でした!

揚羽凛太郎

じゃあ!日向!
また明日学校でな!

日向奏星

う、うん・・・

日向綾星

また遊びにきてね!

揚羽凛太郎

うん!必ず来るよ

日向康文

夜道には気をつけてな

揚羽凛太郎

はい!

揚羽凛太郎

じゃあお休みなさい

和久井龍也

じゃあ俺はこっちだから

姫川美咲

付いて来ないでよ

和久井龍也

仕方ねぇだろーが
家がこっちなんだから

姫川美咲

ふんっ!

揚羽凛太郎

(もうお前ら
付き合っちゃえよ)

揚羽凛太郎

じゃあまたな!

和久井龍也

おぅ!

姫川美咲

また明日ねー!

凛太郎は自宅に向かって 歩いていると

後ろから奏星が 凛太郎を追うように走ってくる

日向奏星

揚羽くんっ!待って!

揚羽凛太郎

ん?

日向奏星

はぁ・・はぁ・・

揚羽凛太郎

あれ?日向?

日向奏星

ご、ごめんね・・・
呼び止めちゃって

揚羽凛太郎

いや、いいけどさ
どうかしたの?

日向奏星

ちょっと
話したい事というか

日向奏星

聞いてもらいたい
話があるの

揚羽凛太郎

話?

日向奏星

ちょっと座らない?

揚羽凛太郎

ああ、いいけど

揚羽凛太郎

(どうしたんだろ?)

二人は薄暗い公園のベンチに 腰を下ろす

日向奏星

そういえば
お母さん元気?

揚羽凛太郎

ああ元気にしてるよ

揚羽凛太郎

まぁ、今日の朝、また
海外に行っちまったけどな

日向奏星

え?もう?早くない?

揚羽凛太郎

なんか今回の帰国は
イレギュラーらしくてさ

日向奏星

予定外って事?

揚羽凛太郎

ああ!だからすぐに
戻って行っちゃったよ

揚羽凛太郎

まぁ、年末には
マジの帰国らしいけどな

日向奏星

そっか・・・

揚羽凛太郎

聞いてもらいたい話って
母さんの事だったの?

日向奏星

あ、いや、違うの

日向奏星

聞いてもらいたいのは
揚羽くんのお母さんの
話じゃなくって

日向奏星

私の話なの・・・

日向奏星

どうしても聞いて
もらいたい話があって

揚羽凛太郎

日向の?どんな話?

日向奏星

その・・・

日向奏星

私からいきなり
こんな事言われても

日向奏星

困ると思うんだけど

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

私ね・・・

日向奏星

揚羽くんの事が・・・

揚羽凛太郎

俺の事が?

日向奏星

その、なんというか

日向奏星

えっと・・・

日向奏星

(言いなさいよ!私!)

日向奏星

(ちゃんと伝えなきゃ!)

日向奏星

(言ってスッキリしよう!)

日向奏星

私ね!

日向奏星

揚羽くんの事が

日向奏星

その・・・す

揚羽凛太郎

す?

日向奏星

す・・す・・・

日向奏星

す、好きになっちゃったの

揚羽凛太郎

え?まじ?

日向奏星

ごめんね・・・

日向奏星

急にこんな話・・・

揚羽凛太郎

いや・・そんな

日向奏星

でも、付き合いたいって
贅沢言うつもりはない

日向奏星

高望みをするつもりもない

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

でも好きだって
気持ちだけは

日向奏星

どうしても
知ってもらいたくて

揚羽凛太郎

日向・・・

日向奏星

揚羽くんが私の事を

日向奏星

只の友達としてしか
見てないのも知ってるし

日向奏星

私だって揚羽くん
との友情関係は

日向奏星

今後も続けて
いきたいって思ってる

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

でも、好きだってこの
気持ちを伝えないまま

日向奏星

ずっと友達でいる事は
臆病者の私には出来なかった

日向奏星

弱虫には出来なかった

揚羽凛太郎

・・・・・

日向奏星

ごめんね・・・

日向奏星

私のワガママなの

日向奏星

私がスッキリしたいって
ワガママで・・・

日向奏星

こんな話・・迷惑だよね

揚羽凛太郎

ううん・・・
迷惑なんて思ってないよ

揚羽凛太郎

伝えてくれて嬉しいよ

揚羽凛太郎

ありがとうな!日向!

日向奏星

揚羽くん・・・

揚羽凛太郎

正直俺は・・わからない

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

でも、多分俺も、日向の事
好きなんだと思う

揚羽凛太郎

というか・・好きだ!

日向奏星

え?

日向奏星

(やばい・・)

日向奏星

(泣いちゃいそう)

揚羽凛太郎

けど、俺・・・

揚羽凛太郎

こういうのって
あんま分からないんだけど

揚羽凛太郎

付き合う付き合わないって

揚羽凛太郎

男側にはかなりの
責任があると思うんだ

日向奏星

責任?

揚羽凛太郎

うー・・・ん
何て言ったらいいかな

揚羽凛太郎

俺は、日向と付き合うなら

揚羽凛太郎

一生を共にするくらいの
覚悟と責任を持って
付き合いたいって思ってる

日向奏星

一生・・・

揚羽凛太郎

そういうのは
大事にしたいんだ!

揚羽凛太郎

日向好きだから
尚更大事にしたい

日向奏星

・・・・・

揚羽凛太郎

だからさ日向・・・

揚羽凛太郎

答えはもう少し待って
いてくんないかな?

日向奏星

揚羽くん・・・

揚羽凛太郎

俺が日向を一生守れるくらいの
覚悟と責任を持てるその時まで

揚羽凛太郎

待っていてくれないかな?

日向奏星

うん・・・

日向奏星

待ってる・・・

日向奏星

いつまででも
待ってるから・・

日向奏星

ぐすっ・・

揚羽凛太郎

ごめんな。日向。
こんな曖昧な答えしか
言えなくて

凛太郎は奏星の頭を 優しく撫で

奏星の目から流れる涙を 親指で拭う

揚羽凛太郎

本当にダサいよな・・俺って

揚羽凛太郎

こういう大事な時に
はっきりとした答えを
出すことすらできない

揚羽凛太郎

俺こそ臆病者だよ・・・

揚羽凛太郎

ホント笑っちゃうよな

日向奏星

ううん。そんな事ない

日向奏星

揚羽くんの気持ちを
知れただけで

日向奏星

私は嬉しいから・・

日向奏星

私が一方的に好きな
だけだって思ってたから

日向奏星

私だけじゃなかったんだって
知れただけでも嬉しい

揚羽凛太郎

日向・・・

日向奏星

けど・・・

揚羽凛太郎

けど?どうした?

日向奏星

もうひとつだけ

日向奏星

私のワガママ
聞いてくれない?

揚羽凛太郎

ワガママ?

そういうと奏星は立ち上がり 自分の顔を凛太郎の顔に近づけた

揚羽凛太郎

日向?

日向奏星

やっぱり・・
我慢できないの・・

揚羽凛太郎

日向・・・

日向奏星

嫌・・かな?

日向奏星

私なんかと・・・

揚羽凛太郎

ううん。嫌じゃないよ

揚羽凛太郎

嬉しいよ・・日向

日向奏星

揚羽くん・・好き

揚羽凛太郎

俺も・・好きだよ

街灯が照らす薄暗い公園で 凛太郎と奏星は

口づけを交わした

お節介アゲハと弱虫ヒナタ

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コメント

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ユーザー

え、やばい·····!!めっちゃキュンキュン、 でも私は、和久井くん派やなぁ

ユーザー
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