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田中静人
213
イキリ火の玉
12
#怪異
×××
4,652
94
広島市立鯉城高校は
広島城の南側に建てられた
県外でも有名な進学校である
鯉城というのは
広島城の別称である
近代的なたたずまいに
校舎をぐるりと水路が囲んでおり
その中に色とりどりの錦鯉が泳いでいる
が そんな外観に憧れただけで
この学校を志望できるほど
ハードルは低くない
進学校であるがゆえに
県内外から志望者が集中し
入試の倍率が2倍以上になることも珍しくなかった
さらに 入学してからも
毎日のように山ほど課題を出され
「できる人」と「できない人」にはっきり分かれる
そんな学校だった
教師
教師
夏樹
ガムをかみながら
夏樹は肘をついて
窓の外をぼうっと眺めていた
だが 彼を注意する者もいない
彼の態度に対して
注意したとしても
なんの効力も持たない
そんな暗黙の良識が
学校内に広まっていた
教師
教師
夏樹
教師
教師
教師
教師
夏樹
情けない声で生返事する夏樹
足を組んで
窓の外を見ている
教師
教師
教師
教師
教師
教師
夏樹は机の中に
手を突っ込んだ
授業に必要な道具は
いつもそこに置いたまま帰るから
ほったらかしになっていた
と 夏樹の手は
慣れない感触に当たった
教科書でもノートでもない
ざらついた手触り
それを手に取り
机の上に出す
青色の封筒には
「篠原夏樹様」とあった
夏樹
夏樹
素っ頓狂な声で呟くと
周りからは嘲笑の声が上がった
教師
教師
教師
教師
教師
教師
教師
教師
夏樹
ほどなくチャイムが鳴って
張り詰めた空気が抜けるように
何人かの生徒は終わりの号令を待たず
音を立てるような勢いで机に突っ伏す
無理もない
特に定期テスト前となれば
1日数時間ぶんになる課題を出され
疲れ切っているのだから
夏樹
教師が教室を後にしてから
夏樹は早速
帰る支度を始めた
黒いショルダーバッグをたすきのようにかけ
椅子を立つ
そして
机の上に投げ出された
一通の手紙を睥睨する
夏樹
夏樹
その封筒を手に取って
バッグのポケットに入れると
人もまばらになった教室を出て
学校の正門に向かった
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
千尋は手に持った手紙を
その文字を何度も繰り返し目で追う
これを受け取ったのは
焼死した家族だけではない
今ここにいる自分も
全く同じものを受け取ったのだ
千尋
その言葉が
千尋の頭の中に強く響いた
つまり
3日以内になんとかしなければ
千尋は今テレビに映っている
炎に飲み込まれる
千尋
こめかみに
わずかに水分が浮き出てくる
千尋
千尋
千尋
千尋
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
千尋
千尋
千尋
いずれにせよ
死者は帰ってこない
そしてこのままだと
殺されてしまう
千尋は
冷静になろうと
ゆっくりと深呼吸した
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
テレビには
罫線があるが それを無視して走り書きされた文字がうつった
回せ。
それが、唯一助かる方法。
コメント
4件
うわあああ今回もめっちゃ気になる展開!!!😭💕 夏樹くんの「うぃ」しか言わないクールだけど実は何か抱えてそうな感じ、めっちゃエモい…!!机の中から青い封筒出てきた時の「あ」て声、リアルすぎて笑ったw そして千尋さんの冷静な分析と「回せ。」って日記の言葉…!死者が示した答えってまさかこれか…!?続きが早く読みたくて仕方ないよ〜〜!!🔥🥺