〜暗黒街大通り前〜
百峰 桃音
夕方、桃音たちは街中にある3階建ての洋館を道路を挟んで眺めた。ここが今回の標的の本拠地だ。
今回の標的はこのカルト教団だ。詳細は未だ不明だが、あるマフィアの幹部が教祖として経営している。目を付けた者を勧誘しに行くが、正確に言えば拉致し強制的に入信させては何らかの方法で信者を洗脳し、金を巻き上げる悪質な組織だ。
姫宮 麗
大輝「それにしても、こんな街中でバリバリ人通ってる建物の中で任務とか…店長のやつ、ぶっ飛んでやがるぜ」
桃音たち各々が片耳に付けているワイヤレスインカムから大輝の声がした。
百峰 桃音
百峰 桃音
大輝「ビルの屋上だ」
大輝はそう答えた。作戦上により大輝は敵地全体が見える位置にあるビルの屋上でパソコンを開いていた。
神楽 凜々愛
大輝「そうだ。今回はできるだけ破損をせず、騒音をたてず、一般市民に目撃されずに任務遂行する…ってことだ」
百峰 桃音
早乙女 瑠花
百峰 桃音
※サイレンサー・・・・・・消音器。
姫宮 麗
大輝「あぁ。」
大輝「………ところで そろそろツッコんでもいいか?」
大輝「なのになんで条件的に不可能しかない武装してる康一が来てんだ!? お前今日非番だろ!?」
その通り。何故か任務のメンバーに入っていない康一がさりげなく混ざり込んでいた。しかもめちゃくちゃ行く気満々の表情でだ。
核山 康一
百峰 桃音
核山 康一
呑気に話す康一。確かに今回は桃音、瑠花、凜々愛、麗、大輝というメンツだ。おまけにこの洋館は3階建てだが横に広いので、結構大きい。
核山 康一
大輝「だ、だけどよ…万が一非番なのに死んだらどうすんだよ!?」
核山 康一
大輝「康一…」
百峰 桃音
桃音は真剣な眼差しで問う。しかし康一の言葉には嘘偽りは無いことが伝わる。
核山 康一
早乙女 瑠花
神楽 凜々愛
人一倍感が強い凜々愛はその瑠花の反応で、彼女が康一に恋心を抱いていることを察した。
核山 康一
康一は背伸びしながら 苦笑いをして言った。
大輝「そういや悟郎に真っ二つにされたんだっけな?」
百峰 桃音
姫宮 麗
神楽 凜々愛
目を丸める桃音の横で、凜々愛は遠くを眺めた。あの時、自分が偶然鉢合ったため最悪を免れたが、まさか自分の幼馴染みが人のバイクを問答無用で真っ二つにしたとは思いもつかなかったのだ。
核山 康一
百峰 桃音
核山 康一
大輝「だろうな!?」
すかさずツッコむ大輝。
大輝「まぁ…それはそうとして、お前は今日絶対に爆弾とか機関銃使うなよ? てかホントに大丈夫なのか?」
核山 康一
大輝「じゃあ大丈夫か」
ガァンガァンガァン!! ガァンガァンガァン!!
すると騒音が鳴った。
百峰 桃音
大輝「隣は工事中か」
カルト教団の隣には工事現場があり、様々な機械音がうるさく鳴り響いていた。しかし大輝は何かを思いついたのか、表情がみるみる明るくなった。
大輝「これは好都合だ!これなら多少銃声が外に漏れても隣の工事中の音で掻き消されるぜ!」
大輝「そうだ!教祖(幹部)は絶対に殺すなよ!上(店長)からの命令だ!いいな!特に暗殺部!」
百峰 桃音
早乙女 瑠花
核山 康一
神楽 凜々愛
暗殺部が返事した後、 工事の騒音が一旦鳴り止んだ。
百峰 桃音
桃音は壁にもたれて言った。そこの入口付近だけでも死角が無いくらいの監視カメラが設置されていたのだ。
大輝「そのまま突っ切ろ。この敷地内の監視カメラやその他防御システムは全てハッキング済みだ。今入口付近の監視カメラにはダミー映像を流しているから安心しろ。」
姫宮 麗
百峰 桃音
目を丸める桃音と麗。
核山 康一
大輝「俺もそう思ったが、よくよく考えたらそもそもヤクザやマフィアの本拠地に監視カメラねぇから出来ねぇんだよ」
核山 康一
百峰 桃音
神楽 凜々愛
姫宮 麗
早乙女 瑠花
瑠花は張り切って入口へ向かい、 その他も後へ続いた。
〜エントランス〜
百峰 桃音
パスッ パスッ
洋館に入ると桃音はいきなりエントランスの左右に居た敵を見向きもせず撃ち殺した。
信者(男)
信者(男)
グサッ グサッ
そう言った直後に麗が素早く横を通り過ぎ、それと同時に毒針を刺した。刺された敵は苦しむ間も無く倒れた。
姫宮 麗
早乙女 瑠花
麗の肩を組みながらそう言うのは瑠花。彼女の片手には既に息絶えた敵の首をへし折って握られていた。
姫宮 麗
百峰 桃音
桃音が呆れた表情で呟いた。
信者(女)
すると1人の女が慌てて逃げるように階段を駆け登って行った。
百峰 桃音
姫宮 麗
桃音がその女を追おうとしたが、麗がその肩に手を当てて止め、階段を駆け登ったって行った。
百峰 桃音
桃音は麗が追っていくのを眺めながら呟いた。が、足の速い麗は信者の女と共に既に姿を消していた。
ザシュッ ザシュッ
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
凜々愛は敵の2人の首を斬り捨てて言った。濁った目をしたその顔には返り血を浴びさせていた。
百峰 桃音
核山 康一
百峰 桃音
早乙女 瑠花
桃音と瑠花が返事をした後、3人は各々が行く方向へ飛び散るように駆け出した。
神楽 凜々愛
神楽 凜々愛
エントランスに1人残された凜々愛は地下への階段の扉を眺めながら呟いた。
〜廊下〜
百峰 桃音
そう堂々と進みながら呟く桃音の目の前には、天井が高く広い廊下 まさに西洋の城そのものの光景が繰り広げられていた。
信者(男)
信者(女)
向こうから男女混合の信者たちがぞろぞろとやって来た。その各々の手にはれっきとした中世に使われていた武器が握られていた。
百峰 桃音
百峰 桃音
パスッ パスッ パスッ!
上機嫌に言った後、桃音は振りかざす武器を華麗に躱しながら、敵の脳天に風穴を開けた。
信者(男)
信者(男)
信者(男)
信者(男)
2人の信者の男がそう言った。
百峰 桃音
百峰 桃音
百峰 桃音
桃音は声のトーンを低くして言った。
百峰 桃音
信者(男)
すると桃音はスンと真顔になった。
「”殺しに情けは無用”」
百峰 桃音
桃音のその目は鋭く真っ直ぐで慈悲なんてものはとうの昔に捨てたかのような冷酷さを感じさせる…まさに”人殺し”そのものの目をしていた。
信者(男)
信者(男)
怯えているのか、声を震わせながら刃をこちらに向ける信者たち。
百峰 桃音
百峰 桃音
銃を握りなおしてから彼らに銃口を向けた。
百峰 桃音
信者(男)
信者(男)
パスッ パスッ
ほぼヤケクソで武器を振りかぶって襲いかかる信者達を彼らとすれ違うと同時にその脳天を撃ち抜いた。
百峰 桃音
〜地下〜
一方その頃、瑠花は地下の廊下を進んでいた。しかし地下に入ってから敵は全く現れなかった。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
そんな独り言を言いながら進む瑠花。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
大輝「おい瑠花!後ろ!!」
早乙女 瑠花
ドスッ!
早乙女 瑠花
大輝の声がした後、首筋に衝撃が走った。
ドサッ
目の前が真っ暗になり、瑠花はその場で倒れてた。その後ろには怪しい人影が立っていた……
〜屋上〜
大輝は近くのビルの屋上でパソコンを開き、監視カメラの映像を流していた。
琉芭 大輝
桃音「大輝!どないしたんや!?」
康一「何があったんだ!?」
するとワイヤレスインカムから桃音と康一の声がした。
琉芭 大輝
桃音「は!?嘘やろ…!?」
琉芭 大輝
パソコンの映像には気絶した瑠花が2人の信者に運ばれて連れて行かれているのが写っていた。
康一「その地下ってのはどこだ!?」
琉芭 大輝
琉芭 大輝
⚡️⚡️⚡️⚡️⚡️⚡️⚡️ バチバチバチィッ! ⚡️⚡️⚡️⚡️⚡️⚡️⚡️
琉芭 大輝
すると突然、大輝の背後から電気ショック棒が当てられ感電した。
バタンッ!
大輝はそのまま地面に倒れた。
康一「大輝!?おい!応答しろ!聞こえるか!?何があった!?」
カッ! コロコロ…
康一が必死に彼の名を呼ぶ声が小さく聞こえるワイヤレスインカムを蹴って倒れている大輝から遠ざけられた。
琉芭 大輝
辛うじて地面を這いつくばりる大輝。しかし全身痺れて身動きが取れない。そこには電気ショック棒を握った信者の男が大輝を見下して立っていた。
〜コミュニティスペース〜
核山 康一
康一はワイヤレスインカムを押さえ、サバイバルナイフを振り回し敵を倒しながら必死で彼の名を叫んでいた。
信者(男)
ザシュッ
最後の敵を倒した後、康一はコミュニティスペースから飛び出そうとした。
ヒュン!
グサッ
核山 康一
すると突然、背後から右肩を刺され、 膝を着いた。
核山 康一
信者(ナイフ)
背後から声がした。振り向くとナイフを手で弄りながら不敵な笑みを浮かべる男が立っていた。
核山 康一
康一は立ち上がり、刺された箇所を 押さえながら言った。
信者(ナイフ)
信者(ナイフ)
そう言って男はナイフを振り上げて飛びかかった。
早乙女 瑠花
信者
薄暗い部屋。信者の女に声をかけられ、瑠花はゆっくりと目を開けた。
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
早乙女 瑠花
気が付くと瑠花は鎖で吊るされていた。足には足枷が付けられていた。
辺りを見てみると十字架や棘の椅子やら中世ヨーロッパに使われていたような様々な拷問器具が並べられていた。
早乙女 瑠花
信者(拷問)
そこには1人の信者の女が他数人の信者たち率いるように瑠花の前に立っていた。ここは地下の拷問部屋だ。
早乙女 瑠花
信者(拷問)
余裕ぶっている瑠花を女は不敵な笑みを浮かべて言った。
信者(拷問)
早乙女 瑠花
信者(拷問)
信者(拷問)
すると女は鞭を取り出した。
信者(拷問)
早乙女 瑠花
信者(拷問)
バシィッ!
早乙女 瑠花
女はいきなり瑠花を鞭で叩いた。 打たれた箇所が赤く腫れ血が滲んだ。
信者(拷問)
そして、女はまた鞭を振り上げた。
〜広間〜
一方その頃、凜々愛は「ここは任せて先に行け」という映画だと確実に死ぬ死亡フラグを言った割には、早くもエントランスに居た敵を皆殺しにし、麗の後を追うように奥へと進んでいた。今は2階の広間で10人ぐらいの信者たちと戦っていた。
神楽 凜々愛
信者(男)
信者(男)
神楽 凜々愛
凜々愛は日本刀を構え、そう言う1人の信者の男を睨んで言った。
信者(男)
神楽 凜々愛
信者(男)
ズバッ ズバッ
調子に乗ったその男たちは凛々愛にあっさりと斬り捨てられた。
神楽 凜々愛
瑠花と大輝の事を心配しながら複数の敵を斬り捨てていった。
神楽 凜々愛
凛々愛は、瑠花もそうだが麗の居場所も分からないのだ。先程エントランスで交戦してた際に、麗がどこへ向かったか少しでも把握しようとチラッと見たが既に彼女の姿は無かったのだ。
神楽 凜々愛
ヒュン!
グササササッッ!!
神楽 凜々愛
すると突然、数本の長い槍が凜々愛を目掛けて飛んでき床に突き刺さった。
神楽 凜々愛
信者(槍)
声がする向こうのドアの前を見ると、 信者の男が立っていた。
神楽 凜々愛
凜々愛は床に刺さった槍の数々を見渡した。しかも先程凜々愛が倒した敵の死体まで突き刺されている。そして、この男は武器も何一つ持っていない。 ということは………
神楽 凜々愛
信者(槍)
信者(槍)
神楽 凜々愛
凜々愛は男を睨みつけながら尋ねた。
信者(槍)
信者(槍)
そう男は答えた。という事はこの先にボスがいるかもしれない。
神楽 凜々愛
信者(槍)
信者(槍)
ヒュン!
グサササッ!!
神楽 凜々愛
今度は床から槍が飛んできた。凜々愛は間一髪後ろにさがって避けた。
信者(槍)
”教祖”を神のように崇める過激な思想・概念を持つ集団。
行く手を阻む敵に立ち向かう桃音、凜々愛、康一。 囚われの身となった瑠花。 何者かに襲撃された大輝。 そして麗が追った その先は…!
『暗黒街の銃声』 〜カルト教団編〜 開幕!!