亮二
亮二
亮ちゃんの言葉に緊張が走る
反対されることはないと思っていたけれど
もしたっくんがダメだと言ったら……
そんな思いが込み上げる……
拓郎
緊張で上ずるたっくんの声
郁美
亮二
郁美
亮二
美結
いっちゃんの言葉に涙が溢れる
いっちゃんの言葉が嬉しくて
嬉しくて嬉しくて
拓郎
でもそれ以上にたっくんが泣き出していて
美結
拓郎
拓郎
郁美
拓郎
拓郎
久しぶりに聞いた父の名前
もし父が生きていたら
もしここに"あの母"がここにいたら
一瞬そんなことを考えて直ぐにやめた
自分でも驚くほどに母の姿を思い出すことができず
優香里
あの時のあの言葉だけが残っていた
美結
郁美
郁美
拓郎
拓郎
拓郎
拓郎
亮二
拓郎
亮二
郁美
美結
拓郎
拓郎
郁美
郁美
拓郎
美結
それからたっくんが話してくれた
たっくんがずっと不安だったこと
いつか私が二人を捨てて
実の母の元に戻ってしまうのではないか
自分は父親の兄であって父親ではない
亡くなった父は優秀だったため
ついつい自分と比べてしまい
こんな頼りない自分が父親代わりをしていていいのか
そんなことをいつも考えていたらしい
美結
美結
美結
二人が大切に育ててくれたから
今の私がここにいる
児童養護施設ではなく
ここで二人に育ててもらえて本当によかった
だから私が母の元に戻るなんてあり得ない
拓郎
確かにちょっと頼りないけど
私にとっては最高の父親
あの時
まだ会ったばかりの私のことを抱き抱えて
いっちゃんは救急車にも一緒に乗ってくれた
私の前では決して母の悪口を言わなかったし
私が不安にならないようにそばにいてくれた
その時からずっと
二人のことが大好きだった
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