ふと、あるお店が目に止まった
指輪とか、ネックレスとか
そういう、俺には無縁の物のお店
ショーウィンドウ越しに見たネックレスが
何年も拗らせている想いに似ていたような気がして
気になって、止まった
……ふむ、買えなくは無い
興味をそそられ、隣も見る
隣のショーウィンドウには、明るくも静かな雰囲気の指輪があった
それは、何年も拗らせている想いの相手のようだった
綺麗、だけど儚くて
その割に自我がしっかりある
そんな人に、惚れていた
何年も拗らせている、片想いだ
彼女に、似合うだろうな
想像して、ちょっといいなと思った
けど、それは俺以外から与えられるべきもので
俺は彼女の人生に関与する権利がない
俺は、彼女を天使かなんかだと思ってる
救いをもたらしてくれる、人外
……もしかしたら、女神なのかも
そんな人に、従いたい
それでいて、対等でいたい
なんと、矛盾した思考
なんと、醜い感情
なんて、拗らせた想い
それを、「恋」と呼べないと思った
その指輪から目を離し
先程惹かれたネックレスに視線を戻す
なんと、仄暗いものだろうか
だが、それは俺が求めていたものだった
こんな感情に、枷が欲しかった
丁度そこに店員さんが現れ
30%off
と、書かれた値札に変えていた
思わず、苦笑いした
自分の想いに価値が付けられた気分だった
そのままお店に入り
今月は厳しい戦いになるな
と、少し笑った
コメント
3件
彼女に対する気持ちは「恋」じゃないけど、タイトルのように「首を絞める」ほど彼女への想いがあるのは事実で……そして「彼女の人生に関与する権利」がない……それだけで切ないのにタイミングよく店員さんが「30%off」の値札に変えてて更に切なくなった……😭😭 「僕」には幸せになって欲しい……