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星崎探偵事務所の日常

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星崎探偵事務所の日常

10 - 『晴れ時々死体』#2

♥

61

2025年09月27日

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珍しく風都の分も

コーヒーを淹れて、

星崎は戻ってきた。

風都は熱々のコーヒーを

一生懸命冷ましながら、

いつもより

穏やかな表情の

星崎を見る。

風都 燐

あの胴体って…

風都 燐

”医療廃棄物”じゃないっすよね?

星崎 水織

ああ

風都 燐

亡くなった人の胴体を奪うなんて

風都 燐

できっこないんで

風都 燐

犯人が殺した人の胴体…

風都 燐

ってことっすよね?

星崎 水織

そうだ

星崎は大きく頷いて見せた。

星崎 水織

”医療廃棄物”となった手足と一緒にばら撒くことで

星崎 水織

捜査を撹乱する狙いもあったんだろう

風都 燐

身元の特定に時間がかかれば

風都 燐

それだけ警察の捜査も進まない…

風都 燐

でも、犯人が死体をばら撒く意味がわかんないっす

星崎 水織

単なる愉快犯の可能性もある

星崎 水織

空から人の体の一部が降ってくれば

星崎 水織

あおのずとSNSでは

星崎 水織

その話題でもちきりになるだろう

風都 燐

まぁ…そうっすねぇ

風都 燐

ってことは

風都 燐

犯人は医者とか看護師っすか?

言いながら風都は

ようやっとコーヒーに口をつける。

星崎 水織

そうとは限らない

星崎 水織

切断した手足の処理は二通りある

星崎 水織

一つは火葬だ

風都 燐

火葬?

星崎 水織

数千円支払えば

星崎 水織

手足を火葬して

星崎 水織

骨壺に入れてもらえる

風都 燐

えっ!

風都 燐

持ち帰れるんっすか?

星崎 水織

ああ

星崎 水織

もう一つは完全焼却だ

風都 燐

骨も残らないってことっすか?

星崎 水織

ああ

星崎 水織

同意書にサインをしてもらったら

星崎 水織

業者が回収し

星崎 水織

焼却炉に運び燃やす流れだ

風都 燐

うへぇ~…ってことは

風都 燐

この完全焼却になった手足を燃やす前に

風都 燐

こっそり盗んだってことっすか

星崎 水織

それが一番足がつかないだろうな

星崎 水織

どうせまとめて燃やすものだ

星崎 水織

中身をいちいち確認することなどしないだろう

風都 燐

じゃあ

風都 燐

その出入り業者の人間が怪しいってことっすね

星崎 水織

ああ、そうだ

風都 燐

その感じだと

風都 燐

ボスにはもう

風都 燐

心当たりがあるように見えるっすけど…

星崎 水織

そうだな

星崎 水織

私がいた病院に出入りしていた業者の中に

星崎 水織

”いつか人を殺す”人相の

星崎 水織

若い男がいたんだ

風都 燐

マジっすか…

星崎 水織

彼は当時、強いストレスを抱えていたようで

星崎 水織

話しを聞けば

星崎 水織

上司がとても厳しいのだと言っていた

風都 燐

いやいや

風都 燐

待って下さいよ

星崎 水織

ん?なんだ?

風都 燐

それ、何年前の話しっすか?

星崎 水織

三年前のことだ

星崎 水織

小さなストレスが積み重なり

星崎 水織

ついに爆発した

星崎 水織

そう珍しい話しでは無いと思うが

風都 燐

そうだったとしてもっすよ

風都はどうにも

納得いかない顔をする。

風都 燐

今日の今日話しを聞いて

風都 燐

そいつが犯人だって…

風都 燐

”普通”ならないっすよ

星崎 水織

じゃあ

星崎 水織

私は”普通”じゃないんだろ

星崎はあっさりと言い放った。

風都 燐

ボス…

風都 燐

いやぁ…でも…

風都 燐

証拠は…無いっすよね?

星崎 水織

ん?

星崎 水織

ああ、そうだな

星崎 水織

彼が犯人だという証拠は”まだ”無い

そこはあっさりと認めた。

星崎 水織

だが、正直

星崎 水織

誰が犯人なのか

星崎 水織

そんなことはどうでもいい

風都 燐

どうでもいいって…ボス…

風都は少し呆れたように言う。

星崎 水織

大事なのはこの次だ

星崎は薄ら笑みを浮かべて、

パソコンに表示された

地図を見つめる。

風都 燐

次?

風都 燐

また死体は降るんっすか?

星崎 水織

むしろ

星崎 水織

ここからがメインイベントだろ

風都 燐

メインっすか?

星崎 水織

とっておきが残ってるじゃないか

風都 燐

とっておき……

そう呟いて、

風都は星崎の目を見つめ、

ハッと閃いた。

風都 燐

頭!

星崎 水織

そういうことだ

風都 燐

次の犯行場所を予想する書き込みは

風都 燐

SNSにもあったっすけど

風都 燐

結構、バラバラで…

星崎 水織

そうだな

星崎 水織

10階以上の建物がある場所

星崎 水織

監視カメラの数が比較的少ない場所

星崎 水織

逃走経路を確保しやすい場所

星崎 水織

それらを考えれば

星崎 水織

おのずと絞られるが…

風都 燐

それはSNSでも言われてたっすね

星崎 水織

……

そこで星崎はゆっくりと立ち上がる。

星崎 水織

ちょっと出てくる

風都 燐

え、ちょっ

風都 燐

ボス、どこに行くんっすか?

風都も慌てて立ち上がる。

星崎 水織

もちろん

星崎 水織

死体を見に行くんだ

風都 燐

今からっすか!?

星崎 水織

このあとしばらく雨が続くだろ?

風都 燐

…あっ

星崎 水織

この先二週間は晴れない

星崎 水織

死体を降らせるなら今日だ

星崎 水織

この晴れた空から降り注ぐ死体は

星崎 水織

きっと壮観だろうな…

目を細め、

窓の外を見つめる。

風都 燐

次の場所わかってるんっすか?

星崎 水織

もちろんだ

星崎 水織

この手の犯人は

星崎 水織

最後は派手にぶちまけると

星崎 水織

相場が決まっている

嬉しそうに言い、

薄手のコートを羽織る。

風都 燐

俺も…

風都 燐

ついてっていいっすか?

星崎 水織

それは構わないが…

星崎 水織

風都くんもようやっと

星崎 水織

死体に興味が?

風都 燐

そんなんじゃないっすよ

風都はきっぱりと否定し、

上着を羽織る。

別に風都は死体が見たいわけじゃない。

給料が良いから、

探偵の助手をしている。

だから、

金にならないことには

興味が無い。

だが、

楽しそうに微笑む星崎に

言いようのない不安を覚え

ついていくことに決めたのだった。

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